ナギサに許嫁がいた話   作:ナギサ様には曇らせが似合う

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ノリと勢いで書いてたら、原作からだいぶ外れた…ままええやろ(適当)


セイア襲撃〜ナギサ視点

ドゴォォォン!!!

 

 

「ッ……!」

 

突然の轟音で目が覚める。

回りの鈍い脳髄をすっかり冷めきった紅茶で持って叩き起こし、何が起きたのか把握しようと思考を回す。

 

「爆、発…でしょうか?」

 

爆音の正体は直ぐに思いついた。だが一体何処が、何が爆発したのだろうか?

そう思い、窓から外を見やる。すると、皆が寝静まり灯り暗くなったトリニティの街並み、その一角が爛々と赤く紅く朱く光り輝いているのが見て取れた。

 

「…火事…炎がガスに引火して、爆発…したのでしょうか…」

 

パッと思いついた事を口にしてみるが、なんとなく違うと確信する。何か、嫌な予感がした。

 

「それにしても、あの方角…確か、セイアさんの……」

 

直後、執務室の扉が勢いよく開かれ、儀仗兵の一人が飛び込むような勢いで持って入って来る。

 

「何事ですか!」

 

「ナギサ様!至急のご報告が!」

 

この時、嫌な予感が確信へと変わった。

 

「……どうしたのですか」

 

「…セイア様のお住いが、何者かに爆破されました」

「お住まいは爆破により発火。現在火の手が激しく、消火並びに救助活動は難化しています」

「犯人は不明。ですが、動機に関しては例の条約への反発ではないかと捜査部は推測しており、その線から捜査していくとの事です」

「そして……セイア様の安否に関してなのですが……生存は絶望的、というのが消防部の見立てです……」

「また、爆破前に銃声が聞こえたとの報告も上がっており、その観点からも絶望的かと…」

 

それらの報告を聞いて、愕然とした。

 

「………そう…ですか…」

 

「すいませんが、少し、一人にしてもらえませんか」

 

辛うじて、それらの言葉だけが出る。

今の状況で一人になるのは不味い。それは理解している。

だけど、今は一人にして欲しかった。一人になりたかった。

 

「セイア様が襲撃を受け、犯人は未だ逃亡中。そんな中、ナギサ様をお一人にする事は承諾しかねます」

 

案の定咎められる。彼女が、私の身を案じて言っているのは分かる。理解している。

しかし私は、彼女のその心配も、ただひたすらに鬱陶しかった。だからヒステリックに、激情のままに叫ぶ。

 

「ひとりにしておいてください!!!」

 

「…………では、せめてお部屋の前に兵を置かせてください」

 

「………えぇ…わかりました…」

 

深呼吸をして少し冷静さを取り戻し、1人思考を回す。

エデン条約の締結に対する反発にしても、これは少しいや、かなりやりすぎている。別の目的があるように思えてならない。

それに、あの条約には多くの分派、組織が関わっている。筆頭の1つとは言え、その内の一角を今更潰した所で対した意味はないし、何よりもセイアさんは自身が居なくなっても問題ないように組織を作っていた。

セイアさんが抜けた事で、混乱や遅れといった問題は生じるだろうが、サンクトゥス分派はすぐ建て直すだろう。

言ってはなんだが、この程度では条約締結の流れは止まらない。

ならば、犯人の狙いは何なのか、なぜセイアさんだったのか……ティーパーティーのホスト…?

犯人は、ティーパーティーのホストの座を狙っている……?

思考の歯車がカチリと嵌った様な気がした。

何故セイアさんを殺したのか。それならば納得がいく。

しかし、それならば犯人は………

 

「…セイアさん……」

「……考え過ぎなら、良いのですが……ですが、この考えが当たっているなら……次は、私でしょうね…」

「……貴女は、貴女はそんなにも…そこまでして……」

あぁ…なんて、羨ましい。

 

窓から、赤く赤く照らされるトリニティの町並みを眺める。

炎はその勢いを弱めること無く燃え盛り、セイアさんの屋敷を呑み込んでいる。

そんな屋敷の姿が、自分の未来の姿を暗示している気がして、自嘲する。

しかし、そんな事は関係ない。

 

「……何があろうと、誰が相手だろうと関係ありません。私があの人の遺志を、夢を、理想を、実現させます。いや、しなければならない」

 

「絶対に」

 

覚悟は、出来た。

 

 

 

日が登って直ぐ、私はティーパーティーのテラスにて、昨夜のセイアさん襲撃事件についてミカさんとの話し合いを行う事にした。

ミカさんが黒かどうかを確かめる為にも、こうして話す場を設けることは必須である。と言う考えからだった。

 

「……さて、ミカさんも既に知っているでしょうが、昨夜セイアさんが何者かに襲撃されました」

 

そう切り出して、ちらりとミカさんの様子を窺う。……

 

「………うん……まさか、こんな事になるなんて………」

 

俯いていて瞳の動きや表情はよくわからない。が、声の抑揚、呼吸、身体の動き、それらはどれも問題なしと……

ふむ…………

 

「セイアさんの安否は不明。焼跡での捜索が続けられて居ますが……消防部の方々は、生存は諦めた方が良いと仰っています…」

 

問題なし…

 

「犯人の動機も不明。怨恨とエデン条約関連、その両方の線で調査を進めるそうです」

 

問題なし……

 

「また、救護騎士団の蒼森ミネ団長。彼女の姿も昨夜から確認出来ておらず、何か関係があるものとして調査するようです」

 

問題なし………

……しょうがない。なら……

これならどうだろうか?

 

ミカさんの表情、瞳の動き、呼吸、身体の動き、それらの少しの変化も見逃さないよう、つぶさに観察しながら、勿体つける様に、焦らす様に私は言う。

 

「私が思うに……」

 

「私が思うに、今回の襲撃はセイアさんがティーパーティーのホストだから、起こった物だと見ています」

 

………ミカさんの動きが、数瞬止まる。それに瞳が少しだけ逸れた。

これは……釣れたとみていいか…?

よし…このまま畳み掛けよう。

 

「セイアさんが襲われた原因は、まず間違いなくエデン条約でしょう。ですがエデン条約締結の流れは、セイアさん1人を潰した所でもう止まりません」

「なら、どうやって締結の流れを阻むのか…ティーパーティー、そのホストの座に着けば良い。そうすれば、その強権でもって幾らでもやりようはありますからね」

 

勝ち誇る様に、全てを見透かしたかの様に問いかける。

 

「ねぇミカさん。貴女はどう思いますか?」

 

「…もう、ナギちゃんはいじらしいなぁ…そんな風に誤魔化さないで、もっと直球に言えば良いのに…お前を疑ってるぞって。

今の言い方じゃ、性格、悪く見えるよ☆」

 

一見、狼狽えたりといった様子はないが……これは明確に苛ついている。特に、最後の一言がそれを表してる。

図星と見て良いか?

 

「そんなつもりはないのですが…」

 

「あははっ!隠さなくても良いよぉ〜私がナギちゃんの立場でも、同じ様に考えただろうからね」

「主要3分派で、唯一条約締結を反対している分派の首長で、ゲヘナへの恨み憎しみを日頃から隠しもしないタカ派。まぁ怪しいよね、私。わかるよ」

「でもね、流石の私も条約締結を阻む為に、親友を殺したりなんかしない………」

 

なんて白々しい……

 

「…………」

 

「むしろ、今回の件でやっと覚悟が決まったよ……私達、パテル分派も協力します」

「セイアちゃんの死を無駄になんかしない。お互いに頑張ろうね!ナギちゃん!」

 

……元から怪しんで、いや、半ば確信はしていたが、これで完全に確信した。ミカさんは黒だ。

だがしかし、今ここでこれ以上の追求はできない。これは私がミカさんの反応からした推測出会って、確固たる証拠など無いのだから。

だから私は

 

「…………そうですね」

 

そう、返事を返し、ミカさんが退出するのを黙って見ているしかなかった。

 

ミカさんが退出し、テラスには私と私のお付きの娘達のみが残る。

静寂を破る様に、1人が声をかけてくる。

 

「………桐藤様、我々はいかがしましょうか」

 

少し考え、命令を下す。

「………以前命じた、ミカさんは掻き集めた火器や弾薬を何処に保管しているのか。また、ミカさんが接触していると言う謎の集団の素性。それら2つの特定が急務になりました。何よりも優先して行ってください」

 

「かしこまりました」

 

「では、くれぐれもお願いします」

 

「御意に……それでは、失礼します」

 

解散の命を出し、私はテラスに1人残る。

爽やかな風がテラスにて吹き込んでくるが、それとは反対に私の心中は鬱々としていた。

覚悟を決めたし、元々ある程度は疑っていたとはいえ、姉妹同然だった幼馴染みが裏切り者だったと言うのはやはりクルものがあった。

とはいえ、ここで立ち止まっても居られない。まだまだやる事は多いのだから。

 

「……ミカさんの黒は確信できました。後は……」

 

協力者の存在ですか……

なんて心中で呟く。

ミカさんがセイアさんを直接襲撃したとは考えられない。ミカさんが絵図を書いた黒幕なのは間違いないが、実行犯…協力者は絶対に居る。

それに、例の謎の集団が妙に引っかかる。

ただの武器商人の一団なら、まぁ杞憂だったという事で別に良い……いや良くないが、良い。

しかし、もしその集団がミカさんの協力者となると少し面倒だ。

なにせミカさんには、パテル分派以外の……トリニティ外の戦力があると言うことになるのだから。

パテル分派だけなら、ホストの強権を持ってすればどうにでもなる。しかし、トリニティ外の集団はどうにもならない。

もしその場合は、正義実現委員会を使って潰す事になるが……そうなると羽川ハスミさんの存在が気がかりだ。彼女はかなりのゲヘナ嫌い。もしかしたら、離反してミカさんの側に付くかもしれない。

だから、あまり彼女達をクーデターの抑え込みには使いたく無いと言うのが本音だ。

 

まぁなにはともあれ、ミカさんの協力者がトリニティに潜んでいる可能性は高い。先ずはそこから潰していくとしよう。このままチョロチョロ動かれても面倒だ。

しかし……

 

「問題は、どうやって炙り出すか…ですね…」

「とりあえずは……怪しい方を一通りリストアップしていく必要がありますかね…」

 

私はそう呟いて、扉へ向かう。

さぁ今からトリニティの全生徒を洗い出す大仕事だ。

今夜は寝る暇も無さそうですね。なんて、伸びをしながら漠然と考えた。




ぶっちゃけこのミカ様、セイア様生きてたよ!で止まる未来見えないんだけど…どうしよっか、どうしようね…


オリ設定

儀仗兵:ティーパーティー重鎮の身辺警護がお仕事。

消防部:消火活動や、救助活動がお仕事。

捜査部:正式名称は、正義実現委員会捜査部。地道な捜査や犯人のプロファイリング、鑑識、がお仕事。
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