毛利家の次女   作:残月

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新一の恋人……なわきゃねーだろ

 

 

 

 

先日の成実さんの事で悩んでいた私は阿笠博士の所を訪れている。

 

 

「お願いします、阿笠博士」

「し、しかしだねぇ……」

 

 

私は阿笠博士に自身の体力不足を補えるような発明をお願いしていた。先日の成実さんを追いかけていた際にあっさりと見失った事やコナンに追い抜かれた事を考えると、私はフィジカルがどうしてもネックになる。今からトレーニングをするのも無駄ではないのだろうけど、それらが実を結ぶのは結構後になってしまう。ならばキック力増強シューズや蝶ネクタイ型変声機の様な物に頼ろうと思ったのだ。

博士の作る発明品ってマジでチートの領域の代物ばかりだし。

 

 

「じゃが……それをキミに渡して事件に巻き込まれでもしたら、ワシは新一君や蘭君に睨まれてしまうのぅ」

「犯人から逃げる為の物でもあります。それこそ……何も出来ないのが一番悔しいので。お願いします」

 

 

私が事件に関わる事で危険が増すのでは?と懸念している博士に深々と頭を下げる。すると博士も折れてくれたのか私の足のサイズや服のサイズ、身長などを測って、うーむと悩む仕草を見せた。

 

 

「新……いや、コナンには最近開発したスケートボードを渡したんじゃが、千紗君には別に開発予定じゃった発明品を渡すとしよう。まだ作っとらんから時間はかかるがの」

「本当ですか!?」

 

 

今、新一って言おうとしましたよね?その反応だけでも十分な証拠な気もするけど今はスルーしておこう。それはそうと発明品を貰えるのは凄く嬉しい。

 

 

「ただし、危険なマネはしない事を約束しておくれ」

「身の安全を第一に考える事はお約束します」

 

 

阿笠博士の提案に私は頷く。うん、身の安全を第一には考えるよ。それ以外の用途も勿論あるんだろうけど。

出来たら連絡すると阿笠博士に言われたので帰る事に。しかし、まあ……先日の成実さんの話もそうだけど宮野明美さんと黒の組織の話に差し掛からない事に私は不安と不思議の両方を感じていた。

 

明美さんの話と成実さんの話は名探偵コナンにおける序盤における最大のターニングポイントだ。でも片や事件が起きず、片や微妙に違う展開と実に悩ましい。

もしかして報道されなかっただけで10億円強盗事件は既に発生していたのかな……でも事務所に明美さんは依頼に来てないし……

 

なんて事を考えながら事務所に帰ると……

 

 

「つ、付き合ってた!?新一と!!?」

「は、はい……」

 

 

事務所に入るとお姉ちゃんの叫び声と見知らぬ女子高生。あー、なんだっけ……弟の誘拐事件だったか……

 

 

「ま、まさか新一が……」

「きっと何かの間違いだよ。良く似た人とか……」

「嘘なんかじゃありません。私、新一さんとはキスも済ませてます!お願いです、彼を探して下さい!」

 

 

青ざめているお姉ちゃんに焦るコナン。それに追い討ちを掛けるように女子高生の追撃の一言が。

 

 

「キ、キス……」

「さてはアイツ、事件とか言っておきながら女の所にしけこんでやがったな……いでっ!?」

「適当な事を言って煽らないでお父さん。さて、初めまして。私は毛利千紗と申します。お名前をお伺いしてもよろしいですか?」

「は、はい。赤木量子です」

 

 

顔を真っ赤にしたお姉ちゃん。いや、貴女ある意味、それ以上の事をしそうになったでしょ。ブラのワイヤーの事を聞かれたりとか。

それは兎も角、面白がっていたお父さんに鞄を投げつけ私は依頼人の女子高生の向かい側に座る。

 

 

「では、量子さん。アナタは工藤新一と付き合っていて、行方が知れなくなったから探して欲しい……そう言う事ですね?」

「は、はい……」

 

 

私の質問に少し目が泳いでる量子さん。はい、嘘確定。

 

 

「量子さん……ウチは、毛利家は工藤新一……新兄の一家と家族ぐるみの付き合いがあり、お姉ちゃんや私は新兄の幼馴染です。そしてコナンも当然、新兄を知っています」

「え……」

 

 

私の発言に量子さんは顔を青くした。つまり、この時点で量子さんは私達と工藤新一の繋がりをそこまで深く知らなかった事が確定する。

 

 

「仮に新兄が私やお姉ちゃんに内密にアナタと交流があったとしましょう……ですが、新兄は今とある事件の捜査に出向いていて家にも帰っていません。新兄と付き合ってキスまで済ませたアナタが何故、そんな事すら知らないんですか?」

「え、あ、それ……は……」

 

 

私の疑問に量子さんは口をモゴモゴとするばかり。新兄と付き合ってるなんて嘘なんだから当然だよね。

 

 

「そして……アナタが口にした嘘により、傷付いた人が居ます。更に新兄の名誉と交友関係を傷付けた……訴えられてもおかしくない状態ですけどまだ嘘を吐きますか?」

「あ、その……私は……」

「こ、怖ぇ……」

「千紗、本気で怒ってる……」

「あの圧力の掛け方……英理に似てきやがった……」

 

 

私の発言に涙目の量子さんだが嘘でお姉ちゃんを傷付け新兄の名誉毀損をした人を許す気も無い。それと外野はうっさいです。さて、本気で怒って追い詰めちゃったけど、どうしよう?なんて思っていたら事務所の電話が鳴ったので私が応対をした。

電話は阿笠博士からで、コナンに渡した発明品の説明と私宛の発明品が決まったので連絡をくれたらしい。ふむ、ちょうど良いかも。

 

 

「はい、はい。ええ、わかりました……うん、伝えとく。頑張ってね」

 

 

私はさり気なく通話を切ってからまだ会話が繋がっている振りをしつつメモに『阿笠博士からの電話だったけど新兄からの電話だった事にするから、協力して。可能なら新兄に連絡を』と書いてコナンに渡す。コナンは驚いた様子だったが、この場を切り抜けねば、ある意味終わると感じたのか小さく頷いた。

その後はほぼ原作通りだった。

 

やはり量子さんの友人のサッカー選手の赤木英雄の弟の守が誘拐されており、量子さんはそれを救うべく工藤新一に依頼をしようとしたが現在は行方知らず。その為、工藤新一に出て来てもらう為に出入りしていた毛利探偵事務所で大嘘を吐いて本人に連絡を取ってもらうつもりだったらしい。その当ては私が潰してしまった様なものだったが。

その後、お姉ちゃんとコナンと私で量子さんのマンションへ行き連絡を待つ……と言う体だがお姉ちゃんは量子さんの嘘を信じており新兄への怒りを募らせている。怒りのボルテージが蓄積されて攻撃力が上がってるね。

そんな中でコナンが蝶ネクタイ型変声機を使って工藤新一の声で謎を解いていった。一応は私から連絡を受けて、コナンが慌てて電話をしたと言う事にしているらしい。おい、私がブチ切れたとか会話に織り交ぜるな。事実だけど。

 

守を誘拐した犯人は赤木英雄のチームメイトの上村直樹である事を推理した。犯行動機は赤木英雄が事故で上村直樹の右足の骨を砕いてしまった事で上村はその事を事故ではなく故意の仕業だったと思い込んでいる事からの犯行だった。

犯人のマンションへ行った私達は犯人である上村直樹を問い詰め……と思ったのだが、私がキレた時以上に怒ったお姉ちゃんの蹴りが炸裂。マンションのドアを蹴破って突入。無事に弟の守の保護も済んだ。

このドア、鉄だしチェーンも掛かってたんだけど引きちぎれてるよ。

 

その後、上村直樹自身の勘違いだった事と量子さんの願いから警察沙汰にはしないで欲しいと頼まれた。まったく散々人を振り回しておいて……

因みに新兄(コナン)が逃走して、お姉ちゃんが追いかけているので、この場には私と量子さんと上村直樹と守のみである。守はテレビのサッカー中継に夢中で会話には参加していない。

 

 

「だったら、貴方達で事件の事と嘘を吐いてた事をちゃんとお姉ちゃんに説明して納得させて下さい。私やコナンから伝えても信じきれないみたいなので」

「あ、ああ……迷惑を掛けたんだ。それくらいはさせてもらうよ」

「あの……もしかして蘭さんは新一さんの事を……」

 

 

私がジト目で睨むと二人は怯えた様子を見せる。上村直樹は反省の意味も込めてなのか快諾も早かった。量子さんは恐る恐ると言う感じで私に聞いてくるが、お姉ちゃんの様子を見てればわかるでしょうに。

 

 

「もしかしなくても両想いなんですよ。私はあの二人を身近で見て応援してる立場なので」

「ご、ごめんなさい!」

 

 

その後、量子さんと上村直樹から警察沙汰にしなかった事件と工藤新一と付き合っていると言ったのは嘘である事をお姉ちゃんに説明して、お姉ちゃんが新兄の潔白を信じたのはそれから三日後の話となった。なんで見知らぬ人の嘘を真に受けて、新兄の事を信じないかなー。ニューヨークでも熱い夜を過ごしたでしょ(笑)

 

と言うか……それなら新兄がしたロンドンでの告白の返事を保留にしないで早く返事を返してあげればいいのに。先の話だけどさ。

 

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