毛利家の次女   作:残月

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黒の組織との再会④

 

 

 

◇◆side灰原哀◆◇

 

 

杯戸シティホテルでジンに見つかって撃たれた時、私は死を覚悟した。お姉ちゃんと再会出来ず、悔しかったけど工藤君の身体を元に戻す手掛かりを残す事が出来たのが唯一の救い……そう思っていたのに。

工藤君と毛利千紗は私を助けに来た……危険を顧みず。

毛利千紗は変声機で声を変え、防犯スプレーや爆竹を使い、工藤君は麻酔銃でジンを撃ち、変声機で声を変えて私に煙突に逃げ込む様に指示を出してくれたけど……毛利千紗は本当に何者なのかという疑念が私の中で強くなった。

 

工藤君は高校生探偵として事件に関わった事もあるから荒事への慣れもあるとまだ分かる。

でも毛利千紗は私が教えた組織の僅かな情報だけでジンを手玉に取り、市販の防犯スプレーと爆竹でジンとウォッカを翻弄し、逃げ果せる。

こんな事を一人の中学生がしたと考えると頭が痛くなる。

 

阿笠博士の車で家に帰る道で私は工藤君達にこれ以上私と関わると組織に狙われる。特にこの町で私が見つかったから奴等はこの町を探す筈だから逃げると言ったけど工藤君と毛利千紗はそれを否定した。

 

 

「奴等は灰原の動きを予想するだろうよ。この町から逃げるだろう、ってな。だから逆にこの町に残れば奴等はまさか居るなんて思わない筈だぜ」

「それに私と新兄でシェリーさんの協力者の男を装って話しましたからね。今頃はシェリーさんの男性協力者二人を探してるんじゃないでしょうか?」

 

 

そう言われて私の中で毛利千紗への疑念が更に深まった。確かに私はジンの事や組織時代の私の話を多少は話した。でも毛利千紗はそこからジンの行動パターンを読み切っている。

屋上で聞いたあの声や喋り方をすれば、ジンは組織内部や周囲を怪しむ。更に独特な喋り方をする裏の人間や傭兵もチェックする筈……それは私や工藤君の事を組織の目から撹乱させる事に繋がる。

そんな事をする中学生がいてたまるか、と考えていた私の頭を工藤君が手を添えた。

阿笠博士が運転をして助手席には毛利千紗。後部座席に私が寝転び、工藤君が隣に座る構図になっている。

 

 

「千紗なんだけどよ……あれで灰原の事をすっげー心配してたんだぜ?千紗は身内や友達と思った奴の為の行動力が凄い事になるからよ」

「そ……私も助けられたから不満は言えないわね」

 

 

私が毛利千紗を訝しんでいたのを察したのか工藤君が毛利千紗のフォローをしてきた。私にだけ聞こえる様にコソッと。私は素っ気ない言い方しか出来なかった。でも、毛利千紗の中で私はその行動力が発揮される枠組みの中にいるのね。

 

 

「ああ、でも……頼りすぎるなよ?千紗はあれで結構抜けてて大事な所でやらかすんだ」

 

 

そう言う工藤君は半分呆れ顔のジト目になって乾いた笑いになっていた。以前の事件の事を工藤君から聞かされてたけど確かに毛利千紗は何処かでやらかす印象が強い。

真面目でピシッとしてそうなのに、何処か詰めが甘くポカをやらかす。

 

お姉ちゃんが言っていた『何処か危なげな子』と言っていた意味が少しだけ分かったかも。

そう思いながら私は微睡の中、千紗の事を思いながら眠りについた。

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