「はい、写真!」
「ありがとうございます。柴田さん」
「よく撮れてるわね。たくさん撮ったものねー」
柴田さんから渡されたのは体育祭で記念に撮影した大量の写真。データを送るだけでも良かったんだけど現像して持ってきてくれていた。
はい、実は体育祭はもう終わってるんですよ。黒の組織とのゴタゴタですっかり忘れてましたけど。
と言うよりは私としては割と恥ずかしい思いをしたので記憶から消しておきたかったと言いますか。
「この千紗のコスプレ可愛かったねー」
「ええ、写真に納めて正解だったわね」
「二人してジックリと見ないで下さい」
柴田さんと早川さんは私が学園祭でした服装を褒め称えてるけど私は単に恥ずかしかった。
「だいじょーぶ。千紗と白馬さんの為に写真は焼き増ししといたから」
「それは少なくとも私の為になってません」
柴田さんが更に写真を増やす。思い出の写真は兎も角、白馬さんに渡す為だけに私の痴態を見せ付けないで。
「でもさー、千紗があんなに体育祭に積極的に……」
「白馬さんのあからさまに落胆した顔も印象的だったわね」
柴田さんと早川さんが体育祭の思い出を語ってるけど。
なんでしょうね……大切にしたい思い出と忘れたい思い出が混合してる感じは。
◇◆side早川葵◆◇
体育祭、当日。体育祭日和の良い天気。
「よーし、頑張るぞー!ほら、千紗も!」
「本当にやるんですか?やっぱり普通の……」
体育祭は紅組白組に分かれての対決となっている。柴田さんは朝から毛利さんを連れて張り切ってるわね。
柴田さんは準備期間中から毛利さんを振り回してた感じよね……まあ、毛利さんも満更じゃなさそうだから私も無理には止めないけど。
『宣誓!我々生徒は……』
「ほら、白馬さんも見にきてるよ!蘭さんとコナンも!」
「白馬さん……見に来るとは聞いてましたけど本当に来たんですね。紅子さんもご一緒のようですけど……」
生徒会長の選手宣誓が行われてる最中、柴田さんと毛利さんは観客の中に白馬さんや家族を見つけて盛り上がってるみたい。
白馬さんを見つけた毛利さんは少し表情が明るくなったけど、隣に凄い美人さんが一緒で一瞬で表情が曇った。名前を知ってるって事は毛利さんも知ってる人なのかな?
白馬さんと一緒に来てた人は何も知らなければ白馬さんと美男美女のカップルと言われても違和感が無い感じね。
あ、柴田さんも毛利さんの不機嫌になったのを察したのか面白そうなものを見た顔になってる。絶対に後で弄る気になってるわね。
そんな事をしている間に開会式は終わり、競技が始まった。
短距離走やリレー、綱引きや大玉転がし等を経て、いよいよ大一番……と言うよりも私達が毛利さんを振り回して一番楽しみにしていた応援合戦が始まる。
相手の白組は女子を中心としたチアによるダンスが行われていた。これは半ば通例となっている事だけど応援合戦は女子のチアダンスが主流になっている。
だからこそ私達紅組はその通例を覆す応援をする事にした。
「い、いきますよ皆さん!紅組、ファイトー!!」
「「「ファイトー!オーッ!!」」」
応援合戦に現れた紅組応援団。皆の推薦により応援団長になった毛利さんの号令に紅組チアの皆が元気よく返答し、チアリーディングが始まった。
その中でも目を引くのは毛利さんの格好だと思う。
チア姿の皆の中で毛利さんは髪をポニーテールに纏め、服装は長ランの学生服を着て正しく応援団長。
一番背の低い毛利さんが学ランを着て応援団長になって、チア姿の皆が周りでチアリーディングをする。このアンバランス感が見る側には面白く映る事は間違い無かった。
応援合戦の話し合いをする中で出た意見を採用したけど大成功だったみたい。生徒からも観客からも絶賛する声が聞こえる。
毛利さんも恥ずかしそうにしてるけど必死に応援しているのが尚更、盛り上がる要因になってるんだと思う。
そんな中、応援合戦を見る白馬さんが視界に入った。
白馬さんは遠い目をして毛利さんの応援団長姿を見てる。
うん、コレじゃない感があるんですね。応援合戦と聞いていただろうし、チアリーディングと聞いていたから毛利さんのチア姿が見れると期待してたんですよね。
毛利さんのチア姿が見れなくてわかりやすく凹んでる白馬さんに毛利さんは気付いてないみたい。気付いたらそれはそれで関係が進展しそうだから気付かせてあげたい。
あ、柴田さんも蘭さんと一緒に来てた鈴木園子さんもその事を察したのか凄く悪戯を考えた時の顔してる。後で毛利さんは大変な事になりそうね……