園子さんに誘われて私、お姉ちゃん、コナン、お父さん、そして白馬さんはトロピカルランドのスケートリンクに遊びに来ていた。
園子さんは相変わらず男漁りをするかの様に来ていた男性客の品定めをしている。
京極さんが海外に武者修行として世界大会に行って、既に二ヶ月程。
寂しさから園子さんはお姉ちゃんや私を遊びに誘う事が増えていた。今回もその一環である。
「ちょっと園子……京極さんが居るのにナンパなんか」
「俺より強い奴に会いに行く……って渡航しちゃったからって不義理な、むぎゅ……」
「蘭は兎も角、アンタは良いわよね。相手が近くに居るんだから」
お姉ちゃんや私が園子さんに苦言を呈そうとしたら何故か私だけが頬をつねられた。そして園子さんに反論されて気付く。
白馬さんがごくナチュラルに参加メンバーに加わってる事に。今回の遊びの誘いは園子さんが先に根回しして私達を誘ってくれたんだけど白馬さんもご一緒でした。
一番の問題は園子さんが白馬さんを誘った事でなく、私が白馬さんと一緒に居る事に違和感を感じなくなった事な気がする。
まるで新兄みたいに一緒に居るのが当たり前みたいな感覚というか……
「あいてっ!」
「ありゃ。このガキンチョ、スケート初めてなのかしら。いつも生意気だしイジメちゃおうかしら」
「ちょっと、園子。ほら、コナン君。一緒に滑ろう」
そんな事を考えていたらコナンがスケートリンクの上で転んでいた。園子さんが揶揄い、お姉ちゃんがコナンを立たせていた。
私もだけどコナンも考え事をして注意力散漫で転んだって感じかな。哀ちゃんの事が心配だし、黒の組織の事も考えなきゃだろうから。
「コナン君は蘭さんと園子さんが教える様ですから千紗さんは僕が教えるとしましょう。さ、お手をどうぞ」
「あ、ちょっ……白馬さん……」
コナンを起き上がらせようとしているお姉ちゃんと園子さんを見た白馬さんは私の手を引き、氷上を滑る。
私の手を引きながら滑る白馬さんは実に見事と言わざるを得ない。寧ろ、苦手な事あるんですかアナタ。
「ちょっ……ひゃっ!?」
「おっと。膝を軽く曲げて、腰を落としながら、重心をやや前方に傾けて下さい。支えますから怖がらずに僕に体を預けて下さい」
スケート初心者の私は転びそうになったけど白馬さんは私の手を引きながら、スッと体を支えてくれた。サラリとアドバイスしながらフォローするのは流石です。ローラースケートと普通のスケートじゃ少しばかり勝手が違うから慣れるまで少し時間を要しました。
白馬さんに手を引かれながらスケートを楽しんでいた私だけど、陽が落ちて暗くなり始めた。夜には花火が上がると園子さんが言ってたからそろそろかな?
「そろそろ蘭さん達と合流しましょうか。少し名残惜しいですけど」
「そうですね、お姉ちゃん達と合流し……あ」
白馬さんが言った『名残惜しい』のセリフと共にキュッと繋がれた手に意識が集中する。私、今まで白馬さんとズッと手を繋いでいたのに気付かなかったなんて……あれ?なんで私、今までそれを意識しなかったんだろ……
「あ、花火が……おや?」
「始まってしまいま……いや、上がっていない?」
ヒュウゥゥゥゥゥゥ、ドゥン!と音が鳴ったので私と白馬さんは空を見上げた。でも、花火は上がっていなかった。
「音だけだったんでしょうか?」
「今の音……何か違和感が……」
『キャァァァァァァァァァァッ!!』
今の花火の音に違和感を感じたのも束の間。何処からか悲鳴が鳴り響く。
「行きましょう千紗さん。失礼!」
「ちょ、白馬さん!!」
白馬さんは私をヒョイっと抱き上げるとお姫様抱っこすると悲鳴が聞こえた方へと猛スピードで滑り抜けて行く。本当にスペック高すぎませんかアナタ!?