毛利家の次女   作:残月

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鳥取クモ屋敷の怪③

 

 

 

 

夕食の準備が進む最中、私は紗栄ちゃんと絵未ちゃんを連れてロバートさんの所へと向かった。

 

 

「千紗さんに……紗栄ちゃんと絵未ちゃん?」

「ロバートさん。紗栄ちゃんと絵未ちゃんがお話ししたい事があるそうです」

 

 

大部屋でカメラの手入れをしていたロバートさん。恐らくだけど殺人の仕込みはもう終わらせたのだろう。させませんよ?

 

 

「あのね、ロバート」

「謝りたいの」

「え?」

 

 

紗栄ちゃんと絵未ちゃんの突然の言葉にロバートさんは驚きと戸惑いが隠せていなかった。

 

紗栄ちゃんと絵未ちゃんの説明は辿々しいものだったけどロバートさんに必死に伝えた。

英語とローマ字会話の差がわからない事や自殺した美沙さんも情緒不安定の時に『shine』の単語を『死ね』と読んでしまった事にショックを受けて自殺してしまった事。更に何故、紗栄ちゃんと絵未ちゃんがこの誤解をしたかと言えば根岸さんの名刺を見た際に『negishi』の文字を見た事に起因する事。

 

その全てを聞いたロバートさんはガクッと膝から崩れ落ちた。

美沙さんの自殺の原因は信一さんと根岸さんだったと思い込んでいたロバートさんにとっては辛い現実だろう。

 

 

「ロバートさん、先程の紗栄ちゃんと絵未ちゃんの言葉だけでは本当に美沙さんの死因はわかりません。本当にそれがきっかけだったのかも……」

 

 

私は打ちひしがれてるロバートさんに話し掛ける。

まあ、本当の原因は信一さんの方かも知れないから割と外れてはないと思うけど。

でも私がそれを言う訳にはいかない。何故知ってる?となってしまいますし。

 

 

「千紗…さん……毛利探偵に話したい事があります……」

「何か重要な事みたいですね。すぐに取り次ぎますね」

 

 

ロバートさんは涙を堪えながら搾り出す様な声でお父さんと話したいと告げた。多分、根岸さん殺害の自白と信一さんの麻薬取引の話を話すつもりなんでしょうね。

夕食でお酒を飲もうとしていた、お父さんを引き連れてロバートさんに会わせた。

そしてロバートさんは様々な事を自白した。根岸さん殺害・信一さん殺害予告・信一さんの麻薬取引・美沙さんの自殺幇助。

 

お父さんはロバートさんの独白を聞いて最初こそヘラヘラしたいつものお調子者の顔だったけど徐々に真面目な顔付きになっていき、最後にはお母さんが惚れた男の顔付きになっていた。

 

 

「ロバートさん、言いたい事は色々とありますが今は協力して頂けますかな?」

「……はい」

 

 

この後、お父さんの提案でこの日は何事も無いように振る舞う事に。夕食は普通に取った……と言うよりも宴会になった。

お父さんはいつも通りに振る舞っていたけど夕食前に警察に連絡して、裏どりをしてもらった上で向かってもらっている。信一さんに警察の動きを悟られない様に。

 

翌日になり、鳥取県警が武田家にご到着。

信一さんは麻薬取引の疑いで逮捕され、ロバートさんも根岸さん殺害の容疑者として逮捕された。信一さんは余罪もポロポロ出てきた。まあ、以前から評判悪い方だったみたいですし……と言うか今回の事件の大元は全てアナタですよね。被害者ヅラしてましたけど、大概アナタが悪いんですよ?

 

 

その後、信一さんの弟の龍二さんは信一さんの奥さんとの浮気を咎められたけど直接的な犯罪では無かったとされた。奥さんとお母さんの武田智恵さんに怒られていたけど。智恵さんは龍二さんの不貞を知っていたみたい。その辺りはご家族で話し合ってください。

信一さんとロバートさんはそれぞれ警察に連行されていった。智恵さんは紗栄ちゃんと絵未ちゃんには「ロバートは国に帰った」と告げて双子にはトラウマが残らない様に気を使っていた。

 

コナン達は自分達が何もしないままお父さんがテキパキと動いて犯人逮捕に動いていた事に驚愕していた。まあ、原作みたいに信一さんの殺害が無かったから事件の全容を掴みようが無かったのも仕方ない事だと思うけど。

そんな訳で今回の事件はお父さんが武田家の呪われた蜘蛛屋敷の殺人や事件を解いたと世間的には有名になった。

 

でも、私の心には痼が残る。だって今回の事件はある意味で救いようが無い事件だったから。私に出来たのは少しばかり事件の内容を緩和させる事だけ。

本当に……私は一人じゃ何も出来ませんね。

 

そう思うと事件を次々に解いていく新兄や白馬さんは凄いなぁ……

 

 

 

 

 

 

 




はい、と言う訳でクモ屋敷の事件は終わりです。
今回、サラッと終わらせた理由としては『千紗が状況を軽く見て被害に遭う』がパターン化していたから今回は別アプローチとしました。
特に今回の事件は原作においても救いのない事件としても有名でしたし。


実は今回の話において途中まで、いつものパターンの話も書いていました。少しだけ放出します。

シチュエーションとしては和葉がスタンガンで気絶させられ意識を取り戻した後の辺りです。
『もしもスタンガンを浴びせられたのが千紗だったら』状況です。







◆◇



油断してしまいました……まさか和葉さんが喰らう筈だったスタンガンを私が喰らって気絶させられるとは……私って油断しすぎですね。


「おい、嬢ちゃん!」
「あ、平次さん」
「どないしたん?千紗ちゃん、さっき目を覚まして……」


私が思考を巡らせていると平次さんとコナンが部屋に駆け込んできた。慌てた様子でコナンは平次さんにしがみついている。


「嬢ちゃん、ちょっと脱いで見せてみーや!」
「ちょ、平次!?」
「平次さ……きゃあっ!?」
「は、服部くん!?」
「止めろ、服部!」


平次さんは部屋に入るなり私の服を脱がせようとしてきた。あまりの事態に和葉さんもお姉ちゃんも呆気に取られていたけどコナンだけは平次さんを止めようとしてくれていた。


「俺の推理が間違うて無かったら背中にスタンガンの跡が…ぶっ!?」
「や、止め……」
「「「止めろ(なさい(んかい!!!」」」


私の服を脱がせようとした平次さんはコナンのキック。お姉ちゃんの拳、和葉さんのビンタのトリプルコンボを叩き込まれた。
あ、焦った……そう言えばスタンガンの痕が証拠になる話でしたね……
でも原作以上に平次さんのダメージが増えましたね。まあ、因果応報とは思いますけど。
白馬さんに見せるよりも平次さんに私の肌を見せる訳無いで……って違う!
乙女の柔肌は晒す訳にはいかないんですよ、うん!




◆◇




とこんな展開を考えていました。
パターン化した話ばかりになったので却下したのと少し千紗の感情の出し方が露骨だったかと思ってボツに。
まあ、これはこれでありとは思ってはいましたが。
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