「貴女も本当に……トラブルに好かれやすい性質みたいね」
「それは自覚してます。我ながら巡り合わせが悪いみたいです」
最早、いつもの事になりつつある放課後に紅子さんとのお茶会。
鳥取から帰ってきた私は学校を終えた後の放課後に紅子さんに呼び出され、喫茶店で事件の概要を話していた。
「蜘蛛御前ね……地方の伝承や昔話は諺や何かを忘れさせない為の物よ。中には本当の話もあるかも知れないけど」
そう言う紅子さんも生粋の魔女ですものね。
そんな事を思いながらコーヒーを飲んでいた私だったけど紅子さんは少し大きめの水晶玉を通して私の事をジッと見ていた。
紅子さんは毎回、占いの道具を変えている。トランプだったり、タロットカードだったり、コインだったり、パワーストーンだったりと様々で今回は水晶玉。雰囲気出ますね。
「貴女……今回の事件、下手したら襲われてたわよ。白馬君が知ったら色んな意味でブチ切れ案件ね」
「何があったんですか、私に」
紅子さんがやたらと真剣な顔付きで言うものだから凄く嫌な予感がした。確かに今回の事件は原作とは違う展開になりましたけど。
「知らない方が良い事もあるわね……気を付けなさい、女として」
「不穏すぎませんか、そのアドバイス」
紅子さんはフーッと息を吐きながら私にアドバイスするけど本当に何を見たんですか貴女。碌な未来じゃなさそうですけど。
「それにしても占いってそんなに未来を見通せるものなんですか?」
「そうね……未来を占うと言う事は彼岸と此岸の狭間……夢と現の境界……時が揺らぎ、場所を見失う曖昧な世界なの。その運命に辿った結果を絵にする……とでも言えば良いかしら」
紅子さんの場合、本当に見えてそうですよね。スッと目を細めた紅子さんは本当に雰囲気がある。
「占った結果が確実に訪れるとは限らないのよ。あくまで運命を視ているだけなの。現在というのは数多の選択の積み重ね。貴女の選択が一つ異なれば違う現在に至ってた筈よ」
それは凄い感じます。『名探偵コナン』と言う作品の中に存在しないイレギュラーな私が起こす行動で良い方向に向かう事もあれば悪い方向に向かうかも知れないんですから。
特にこれからそうなんですよ……今、お姉ちゃんは帝丹高校の文化祭でやる劇のお芝居の練習してる。
つまり、そろそろコナンの正体がバレそうになるターニングポイントの一つであり、コナンが新兄に一時的に戻るエピソードに差し掛かる。
でも、その前にコナンは阿笠博士と少年探偵団とキャンプに行き、キャンプ先で銀行強盗の犯人グループに遭遇。そしてコナンは犯人グループの一人に撃たれて重傷を負ってしまう。
そして輸血が必要になりコナンの血液型がわからないと焦っていると、お姉ちゃんが「私と同じ血液型」と発言が出る。
つまりお姉ちゃんは現段階で『江戸川コナン=工藤新一』である事に半ば確信を持っている事である。
そうなると私はどう振る舞うべきでしょう……コナンが重傷を負わない為に動くべきか、お姉ちゃんにいっそ全てを話してしまうべきか……
「貴女が何を悩んでいるかわからないけど……さっきも言ったけど運命は選択の積み重ねなのよ。貴女が今、幸せや後悔を感じていないのであれば、その選択は過ちではないと言う事よ。だから……」
「あ、紅子さん……」
紅子さんは私を落ち着かせる様にスッと手を伸ばして来た。
「そんな百面相して悩んでないで後悔しない様にしなさい。貴女を心配してる人も沢山いる事をちゃんと受け止めなさい」
紅子さんは少し呆れ気味に私の頭を撫でて安心させる様に告げて来た。
紅子さんも哀ちゃんみたいにクールビューティーな割に心根は優しいんですよね。今もお姉ちゃんみたいですし。
「それと言っておくけど……いえ、こっちは止めておきましょう。精々悩みなさい……(待たされてる彼も焦れてるでしょうけど」
「待ってください、そんな言われ方されると気になるんですが!?それに最後、わざと聞こえない様に小声で言いましたよね。なんて言ったんですか!?」
一転して紅子さんは園子さんがする様な悪戯な笑みを浮かべていた。何が視えたんですか、貴女!
特に最後の一言は殆ど聞こえなかったんですけど!?