帝丹高校への道中。私は猛省していた。
迂闊だった……万全を期すつもりがまさかの逆効果になるなんて……
「ほう……ではキミは今日は来ないつもりだったけど予定が空いたからやはり来る事にしたと?急な事だったから案内をして欲しいと千紗さんを呼び出したのかい?」
「お、おお……そうなんや。ちょっとした依頼があったやんやけど俺が行く前に解決してもうたんや。ほんで予定も空いたから、く……坊主に連絡取ろうかと思ったんやけど風邪引いとるちゅーし、ほんで姉ちゃんの方は劇に出るから忙しいやろ?しゃーないから嬢ちゃんに連絡したんや。いや、和葉に連絡して合流しても良かったんやけど驚かせよ思うてな……」
私の背後でバチバチの白馬さんと平次さん。
事の発端は私が平次さんに「新兄のコスプレしないでいいですよ」と告げた後に今後の話を持ち掛けようとした所で今日、私と一緒に帝丹高校に行く約束をしていた白馬さんと会ってしまう。
白馬さんはいつものように待ち合わせ場所に早めに到着しようと行動していたみたいでしたが今回は完全に白馬さんの紳士ぶりが裏目に出た……
本来なら平次さんに新兄とコナン(哀)の話をして協力して欲しかったのに、その話をする前に白馬さんと会ってしまった事で打ち合わせすら出来なくなってしまった。
そして平次さんは『坊主が困ってるから代わりに工藤新一に変装して姉ちゃんを騙したるつもりやったんや』と言えるはずもなく必死に苦しい言い訳をしていた。
新兄はもう哀ちゃんから薬を貰って帝丹高校へ向かってる筈。コナンに扮した哀ちゃんとの入れ替わりももう済んでいる。後は平次さんの事を済ませればミッションコンプリートだったのに目前で失敗しちゃった……
平次さんは白馬さんの静かな怒りに押され気味だし。
本当なら私もフォローしたいけど白馬さんの有無を言わせぬ雰囲気に黙るしかなかった。
「服部君……想像して見てください。キミが遠山さんとデートの予定を立てていたのにその待ち合わせ場所に向かう途中で遠山さんが他の男と仲睦まじく話をしているのを見たらキミはどんな気持ちになる?」
「ぐ……って和葉は関係ないやろ!なんで、俺が和葉とデートを……」
白馬さんの問い掛けに平次さんは言葉を詰まらせる。うん、デートに向かうシチュエーションとしては最悪ですね。あれ?原作でそんな流れがあったよーな……うーん、思い出せない。
私の場合だと白馬さんと……紅子さんが話してる感じでしょうか……
「は、白馬さん……私も迂闊でしたからその辺で……平次さんだけじゃなく私も同罪です」
「はぁ……千紗さんが謝る事ではないでしょう。服部君も今後は気を付けて下さい。じゃないと千紗さんが考えてるキミの罰ゲームに僕も知恵を出しますよ」
「お、おう……ホンマにすまんかった。って白馬まで参加したら、それはもう罰ゲームやなくて罰そのものになるやろ」
なんか想像したらモヤっとした……白馬さんも帝丹高校の文化祭を楽しみにしていたし、私も一緒に行く約束をした身としては不誠実でしたね。
新兄とお姉ちゃんの事で頭がいっぱいだったけど白馬さんに失礼でした。
必死に頭を下げると白馬さんはため息を一つ落としてから許してくれた。そしていつものように余裕そうな笑みを浮かべながら冗談を口にする。
平次さんもツッコミを返して笑いが発生するけど……本当に冗談だったんでしょうか……少しばかり目がマジだった気がします。
でも今回の事や今後も平次さんの協力が必要なシチュエーションは増えるし罰ゲームも手加減してあげましょうか。
そんな事を思いながら帝丹高校へ白馬さんと平次さんと一緒に向かう事にした。
帝丹高校到着後に私は少しばかり非難の目を集める事となる。
和葉さんは嫉妬と言うか怪訝な顔付きになり、コナン(哀)からは呆れ、お姉ちゃんはなんで?と疑問の表情、園子さんからは「やるわね……」と言われた。そして何故か居る紅子さん。
客観的に見ると私は白馬さんと平次さんを侍らせながら帝丹高校文化祭にデートに来た様な風に見えてしまった様でして……
この後、事情説明と誤解を解くのに時間を費やし、私は新兄の事を平次さんに説明する事も出来ずにお姉ちゃんの劇が始まる時間になってしまいました。