少し間を置いてから人魚の滝へと行けば既に人だかりが出来ていた。儒艮の矢の受け取りの儀を見ようと人が集まっているみたいですね。
当たりを引いた和葉さんは儒艮の矢を貰って美貌やら若さを手に入れられると喜んでいた。
儒艮の矢を受け取れるのは当選した三人。和葉さん、奈緒子さん、後は寿美さんだったのだが酔っ払った男性が名乗り出る。
「あれ?変やな、てっきりあの姉ちゃんが当たったと思ったんやけど……」
「ああ……姿も見えねーし……」
「儒艮の矢を誰かに譲る事があるんでしょうか?」
平次さん、コナン、白馬さんのキレ者三人はその状況に疑問を抱いてる。
そして儒艮の矢の受け取りの儀が終わり、花火が上がる……周囲が花火の光で明るくなると滝に吊るされた寿美さんの姿が露になった。
その後大騒ぎとなり、寿美さんを滝壺から引き上げると自殺か他殺かの考察が行われた。寿美さんの首にクイが巻き付かれ、首が絞まった事による首吊りだったかとお父さんは推理していた。お父さんは元刑事って事もあり、現場検証は早い。後は推理が追い付いてくれれば文句は無いんだけど……
その後、コナンと白馬さんが滝壺と川の途中で不自然な浮き輪を見つけて来たり、寿美さんが人魚の墓を探していたのでは無いかと疑いが掛かったり、過去に神社が焼けた際に出て来た焼死体の下半身が骨が無く人魚の死体だと大騒ぎがあった事が語られた。
うん、端折った話にはなるけど大筋は原作通りだったからです。私も捜査に参加しようかと思っていたんですけど紅子さんに止められました。
「貴女はもっと……自分を大事にしなさい。それにあの面子が揃ってるなら千紗が行かなくても大丈夫でしょ?」
と紅子さんの談。確かにコナン、白馬さん、平次さん、お父さんと探偵役満状態ですから私の出る幕ないですけど。
それにしても今回、なんか紅子さん私に過保護じゃないですか?
なんて事を思いながら君恵さんの曽祖母に会う事に。と言っても君恵さんの変装だと知っている身としては微妙な心境である。ドッキリが起こるのを知っていてリアクションを求められる芸人みたいな心境ですよね。
そんな訳で君恵さんの実家に行き曽祖母の『弥琴』さんに会う事に。
君恵さんが家事の為に家の奥に引っ込み、それと入れ替わりに弥琴さん(君恵)が登場。ヨボヨボで腰が曲がり、シワクチャのお婆さんって容姿。それを見た紅子さんは一瞬で怪訝な顔付きになった。あ、これは偽物だと見抜いたな。
「ワシに用とは汝らの事か……」
「あ、あのさー……矢がもらえる当選番号ってどうやって決めるのかなーって……」
シワクチャのお婆さんの弥琴さんの登場に私と紅子さんを除く全員がドン引きしている最中、コナンが代表して口を開く。
「適当じゃよ……競馬の当たり番号じゃった時もあったかのー」
「蓋を開ければこんなオチなのね」
「神秘が音を立てて崩れていきましたね」
弥琴さんは笑いながら儒艮の矢の事を笑い飛ばす。矢の当選番号が適当かつ欲深な番号が使われていた事に紅子さんと私は少々げんなりとしていた。
この後、弥琴さんは君恵さんの「大おばーちゃーん。お風呂の支度できたわよー!」と声が聞こえた事でサッサっと家の奥へと引っ込んでしまった。その際に弥琴さんは「呪禁の矢を手放すな」と和葉さんに助言をした後に居なくなってしまった。
「声もしわがれて顔色も悪い今にも死にそーなバアさんや……」
「とても不老長寿の体を持つ不思議な老婆には見えねーな……」
「そうですね……ですが、どこか違和感を感じましたが……」
平次さんとお父さんは弥琴さんの事を只のお婆さんとして見ていて白馬さんは弥琴さんの事を少し疑っているように見えた。まあ偽物ですし。
翌日になって寿美さんの葬式が急遽執り行われる事となり、私達も参列する事となった。お父さんは元々スーツだし、私やお姉ちゃん、コナン、白馬さん、紅子さんは制服も喪服も当然持ってきてはいないので私服で出る事に。最低限のマナーとして黒の服を選んで略喪服にしてます。
平次さんと和葉さんは帰ってすぐに学校に行けるように制服を持ってきていたらしく学ランとセーラー服だった。
葬式に参列する人が増えていく最中、夜の暗闇に庭の方で一瞬、人影が映し出された。そこには殺され、庭と浜辺を仕切る網に吊るされた奈緒子さんの遺体だった。
葬式に集まった人達を尻目にお父さん、コナン、平次さん、白馬さんはまだ島に来ていない警察の代わりに現場検証をしていた。私も参加しようと思っていたけど紅子さんに再び止められてしまう。
「今回は止めなさい」と……なんで今回そんなにマジなんですか?
この後、お父さん達が現場検証を進めてる最中に福井県警が到着した事で現場の捜査をする事に。
お父さん達は一先ず警察に現場検証を任せて通夜を済ませる事に。
この際、お父さん達は通夜を終わらせた後、通夜振舞いに乗じて色々な人から話を聞き、情報を集めていた。お父さんはお酒を飲みながら様々な人に話を聞いて回り、コナンや平次さん、白馬さんは独自に推理を張り巡らせていた。その最中、誰が儒艮の矢の当選番号札を持っていたのか分からないとなった所で君恵さんから当たった人の名前が記された名簿がある事を告げられて、それをチェックしに行く事に。
「じゃあ行こっか、お父さ……ああ、もう……」
「んあ?ひっく……」
コナン達が君恵さんの家に行こうと立ち上がったので私も行こうと思い、お父さんに声を掛けたら見事に酔い潰れていた。
「ほら、お父さんしっかりして」
「おう……っと……」
「千紗さん、僕が支えますから」
私の力じゃお父さんを立たせるのは難しいと思っていたら白馬さんがスッとお父さんに肩を貸したと思ったらそのまま立たせてくれた。
白馬さんが右側から肩を貸してお父さんを立たせて私は左側から支える形で何とかお父さんを歩かせてる。もう白馬さんにも迷惑かけて……
「ごめんね、白馬君もお父さんが迷惑かけて……」
「すみません、白馬さん」
「いえいえ……これからを思えばこの程度、苦ではないですよ」
お姉ちゃんと私の謝罪に白馬さんはなんて事はないと苦笑いだった。これからも迷惑かけちゃいそうですね。
◆◇sideコナン◆◇
酔い潰れたおっちゃんを白馬が肩を貸して千紗が支えてる。その光景に俺は何とも言えない気持ちになっていた。
「おい、どうするんや工藤。白馬の奴、着実に毛利家に馴染もうとしてんで?」
服部が他の人には聞こえない様にコソッと俺に話しかけてくる。微妙にニヤついてるのが腹立つな。
でも、確かにそうなんだよな……さっき白馬が言った「これからを思えばこの程度、苦ではないですよ」と言う発言はこれからおっちゃんの酒癖の悪さにも付き合うと言う意味だ。
つまり本気で千紗との交際を願い、その先すら考えてるって事だよな。俺や服部は気付いたが当人の千紗は気付いてなさそうだが。
俺も工藤新一の体に戻ってりゃ、おっちゃんに肩貸してたのは俺なんだよな……蘭にも告白したいし、おっちゃんにも認めて貰う為に色々するってのにもどかしい……早く元の体に戻りたいぜ、チクショー!