君恵さんの家に到着し、お父さんを寝かせる為に布団を借りる事に。
まったく酔いすぎでしょ。
「ほら、お父さん。しっかり……」
「英理……ぐぅ……」
敷布団に寝かせて毛布を掛けた所でお父さんが少しだけ目を開けて、ぼんやりと口を開いたお父さんは寝惚けて私とお母さんを見間違えた。
見間違えたり、寝惚けてお母さんの名前を口にするくらいに恋しいならケンカしなければ良いのに……
「まったく……手間が掛かるんだから……」
「千紗さん、毛利探偵は大丈夫ですか?」
お父さんを寝かしつけた私に白馬さんが様子を見に戻ってきた。
「白馬さん、名簿はどうでした?」
「君恵さんが探していますが今年の分の名簿だけが見当たらないそうです。コナン君と服部君は過去の名簿を読み漁っていますよ。女性陣は君恵さんの名簿探しを手伝ってます」
私が名簿の事を聞くと白馬さんは私の隣に座った。ん、なんか距離が近くありません?
その後の事だけど私は大きく事件に関わる事が出来なかった。
蔵で火事が起きて君恵さんが焼殺された。まあ、これは君恵さんの偽装工作で殺害されたのは沙織さんだったのだが。
現状でこの事件は容疑者が絞れなければ動機も不明。三件の殺人が同一犯という確証もない。共通点は滝で吊られた寿美さん、網に絡められた奈緒子さん、蔵で焼かれた君恵さん(沙織さん)が幼馴染であるという事だけ。
更に神社には『儒艮の矢を売ってくれて、ありがとうございます。お陰で息子の手術は成功しました』と。これは儒艮の矢を売ってボロ儲けをしようとした沙織さんの父である弁蔵さんの仕業であり、この事が露見される事を恐れた弁蔵さんが君恵さんの家から名簿を盗んだのである。
その後、服部さんと和葉さんが通夜をやっていた網元の家に聞き込みに向かい、コナン、お姉ちゃん、お父さんは弁蔵さんの家に話を聞きに行く事に。私と白馬さんと紅子さんは紅子さんの提案でまた電話や島の人が来る事で情報を得られるかも知れないから君恵さんの自宅兼神社で待機する事に。私と白馬さんは調査をするつもりだったが紅子さんに必死に止められていた。
その後、謎を解いたコナンがお父さんを眠らせた後、眠りの小五郎推理ショーをする事に。白馬さんがいるので絶対にバレない様に会場のセットと白馬さんは私が引き付ける事に。平次さんと和葉さんは山の中に逃げていた弁蔵さんを追いかけて山の中にいるらしくまだ会場には姿を現していなかった。
多分、崖下ロマンスしてんのかな。崖下に落ちそうになった平次さんを和葉さんが庇って代わりに和葉さんが落ちてしまい、平次さんがギリギリの所で落下を阻止。しかし、このままでは二人とも崖下に落ちてしまう事に和葉さんは持ち歩いていた儒艮の矢で和葉さんを掴んでいた平次さんの手を突き刺す。しかし、平次さんは和葉さんを決して離さずに二人は崖下に落ちず脱出を果たした……と言うのが平次さん、和葉さん儒艮の矢ラブラブ傷跡事件である。
それはさて置き、平次さんと和葉さんが戻らない為、推理ショーを始める事に。犯人は弥琴さんに扮した君恵さんであり寿美さん、奈緒子さん、沙織さんを殺害した動機は復讐だった。
寿美さん、奈緒子さん、沙織さんは以前の祭りで儒艮の矢が当たらなかった腹いせに命様を演じていた君恵さんのお母さんを蔵に閉じ込めて焼き殺した事から始まる。君恵さんはお母さんの意思を継ぎ、命様を演じる覚悟を決め、数年が経過した頃、沙織さんが君恵さんに当時の事件の事を漏らした事で君恵さんは三人に復讐を決意した。
復讐を果たした君恵さんだったが満たされる事はなく、それどころか島の島民……と言うよりは大人達は全てを察していたのだ。島の大人達は君恵さんのお母さんの代から命様を演じていた事を知っていて、君恵さんのお母さんが亡くなった際に命様を演じた君恵さんを見た時に何も言えなくなってしまった。ならば君恵さんの気の済む様にしようと島民は決意し、君恵さんは島を愛し、島民の為に命様をしていたお母さんの意思を継いで命様を演じ続けた。
結果として互いが互いを尊重し、黙った事で今回の事件が起きたと言わざるを得ない。なんとも居た堪れない話である。
君恵さんは、なんで言ってくれなかったのかと涙ながら島民に訴える。
「不老不死なんて夢を見たからや……人間、命に限りがあるから大事なんや。限りがあるから頑張れるんやで……不老不死なんて悪い夢からサッサっと目を覚ますべきやったんや」
そして崖下への落下を免れたであろう平次さんは和葉さんを連れて会場に到着。
その後、君恵さんは逮捕されたが急に悪天候に見舞われ、島から出られずにいた。まるで島の為に尽くした巫女との別れを惜しむかの様に嵐を巻き起こしたみたいに。
そして嵐が収った頃に私達も帰る事に。蜘蛛御前の事件の時もでしたけど居た堪れない事件の後は気が落ちますね。特に私、今回何も出来ないままでしたし。
そんな事を思っていたら白馬さんは背後から私の肩に手を添えてくれた。私の気を察して慰めてくれてるんですか?
因みに平次さんはお姉ちゃんと紅子さんに傷の事を聞かれたりしていた。お姉ちゃんも自分の事だと狼狽えるのに他の人の恋バナだと聞く気満々なんだから。
平次さんは「もう治ったで」と左手を見せて平然としていたけど和葉さんが儒艮の矢で傷を負わせたのは右手である。その証拠に平次さんが隠してる右手には包帯が巻かれているし。
コナンと白馬さん、私はそんな平次さんを見ながら「意地っ張り」と心の中で呟いた。
いや、一番意地っ張りなのはお母さんが恋しいのに未だに強がりで別居を続けてるお父さんかな……
◆◇side小泉紅子◆◇
人魚はいなかったけど千紗の危険は回避出来たわね……
私は水晶の占いやタロットの占いで少しだけ未来を見る事が出来る。それで以前、怪盗キッドが白馬君に捕まる未来を見た私はそれを回避した事もある。
今回も偶々未来を占った際に見たのは千紗が白馬君を庇って崖から落ちる未来。千紗と白馬君は事件の証拠を集めていたのか何かの墓を見つけた際に崖の近くだった事もあってか落ちそうになった白馬君の身代わりとなって崖から落ちてしまった。白馬君も咄嗟に千紗を助けようとしたけど後一歩の所で手が届かず千紗は崖下に落ちてしまった。
その未来に起きる可能性を見た私は今回必死に千紗の行動を注視していた。時には行動を制限もさせた。
千紗は他人の感情の機微に敏感なのに、自身に向けられる好意に鈍感。そして他者を助ける為に必死に動くけど、その助かる対象に自身を含めず危険な目に遭う。黒羽君以上に見ていて危なっかしいのよね。
千紗の行動を制限させて危険は回避させたけど代わりに服部平次と遠山さんが崖下に落ちそうになって危険な目にあってしまったけど、あの進展が遅いカップルには丁度良かったかもしれないわね。
千紗はまた他の事を考えてるみたいだけど白馬君が不憫よ。
千紗の下手な介入は悪化を招く事を察知した紅子様でした。