毛利家の次女   作:残月

18 / 117
西の名探偵 後編

 

工藤新一に戻ってから新兄は平次さんの推理が不可能である事を論破して自身の推理披露をして事件は解決……したんだけどなぁ……

 

 

「どう言う事よ、新一!こんな時ばっかり顔を出して……その人も言ってたわよ。私の事を聞かないのは近くで見て面白がって笑ってるだけだって!私が困ってるのを見て楽しんでたの?答えてよ!」

 

 

案の定、お姉ちゃんが新兄に食いかかっていた。その目には涙が浮かんでる。

 

 

「貴方の不用意で的外れな言葉で苦しんでいる人が目の前に居るんですが、先程の迷推理を含めてどんなお気持ちですか?」

「キッツいなぁ……嬢ちゃん。でも俺も反省しとるわ……まさかあの姉ちゃんがあそこまで工藤の事で悩んでたなんて思ってもみなかったわ」

 

 

先程の間違えた推理をした西の高校生探偵を睨むと平次さんは冷や汗を流しながら焦った様子だった。そりゃそうだよね、藪を突いて大蛇が現れたのだから。

 

 

「眼鏡の坊主と……千紗に聞いたんだよ。大阪から変な探偵が来てるから来てくれって……げほっ!げほっ!だから手掛けてた事件を一時切り上げて急いで来たんだよ……」

「コナン君と千紗に?そう言えばコナン君は?」

「コナンならさっき体調が悪化したみたいだから着替えさせたよ。今はトイレに籠ってる」

 

 

咳き込む新兄の説明に視線が私に移る。コナンの行方が気になっていた様なので事前に新兄と打ち合わせをしたカバーストーリーを話す。

 

 

「それに千紗に話を聞いたって……」

「お姉ちゃんが居ない時に新兄から電話が来た時は私が対応してたからね。でもお姉ちゃんの話は少ししか話してないよ?」

 

 

お姉ちゃんが私に不安気な目が向けられるけど私は新兄に微笑む。すると新兄はフッと笑みを浮かべた。

 

 

「へ……甘く見んじゃねーよ。蘭の事なんか……声を聞けば分かるっての」

「因みに私やコナンがギリギリまでお姉ちゃんに言わなかったのも新兄に頼まれてたからだよ。ちゃんと自分の口から自分の事を話したいからって言うから」

「新一……」

 

 

新兄の言葉にときめくお姉ちゃん。うんうん、良い傾向だね。

 

 

「ぐ……かはっ……ごほっ!ごほっ!」

「新一……待ってて!お医者さん、呼んでくるから!」

「大丈夫、新兄?」

「ちっ……推理も心意気も俺の負けっちゅーわけかいな」

 

 

新兄の苦しみ方からお姉ちゃんは慌てて医者を呼びに部屋を出ていく。壁に寄りかかりながら新兄は『これで覗き魔にされずに済んだか』と安堵の息を吐いた。そんな新兄に平次さんは俺の負けだと宣言するが新兄はニヒルに笑った。

 

 

「バーロー……推理に勝ったも負けたもねーよ。真実はたった一つ……それだけだ」

「……そやな」

 

 

新兄の言葉に平次さんも勝負にこだわって自分が冷静でなかった事を自覚したらしい。

 

 

「ぐ、が……くぅ……」

「お、おい工藤……お前、ホンマに風邪なんか?」

「新兄……熱っ」

 

 

倒れそうな新兄を支えようとそばに寄り添うと体温が異常に熱いのを感じる。これってもしかして元に戻る前兆!?

 

この後、お姉ちゃんにもう一目会おうとした新兄だったけどタイムアウト。体が縮み始めていたので新兄をトイレに押し込んで私は玄関の戸を開けて如何にも誰かが出て行った風を装う。

 

 

「千紗、新一は!?」

「そろそろ担当してた事件に戻るから後は頼むってさ。トイレにはコナンが入ってるよ」

 

 

新兄の姿からコナンの姿に戻ったので私は服を預かっている。医者を連れて走ってきたお姉ちゃん。惜しかったね、もう一目会うにはニアピンだったよ。私の言葉にお姉ちゃんは鍵が掛かってなかったトイレのドアを開けてコナンと目が合う。

 

 

「あ、あはは……」

「コナン君!?ダメじゃない勝手に出歩いちゃ!」

「熱で汗をかいたから私が着替えさせてトイレで出すものを出して楽になりなって言ったの」

 

 

苦笑いのコナンを叱るお姉ちゃんに私はフォローを入れる。

この後、新兄の伝言として今回の事件に『工藤新一』は関わっていなかった事を目暮警部に伝えたおかげで今回の事件は表沙汰……と言うよりは新兄の名が話題に上がる事は無かった。

平次さんも大阪に帰って行った。『嬢ちゃん、俺は工藤と同じくらいアンタに興味が湧いたで』と去り際に言い残したが大阪の幼馴染に話すなよ絶対に。確実に誤解されるから。

 

それはそうと新兄がコナンに戻ってからのフォローをして本格的に協力者になる事にした私は話したい事を纏めるから少し待ってくれと新兄に頼まれた。うん、少しなら待つし私に出来ることなら幾らでもフォローするよ……なんて思っていたのだが。

 

 

「白乾児を一気飲みとか何考えてるの?急性アルコール中毒になるよ?」

「ばーろー……ひっく……元のからたに……もろる為……に……」

 

 

阿笠博士から連絡を受けた私は阿笠邸にコナンを迎えに行った。そこには白乾児を飲み干して顔を真っ赤にしたコナンの姿が。仕方ないのでオンブして事務所に帰る事に。

確か、白乾児を飲めば元の姿に戻れると勘違いしたコナンは沢山飲めば完全に元通りになると考えたんだっけ。平次さんもそうだったけど冷静じゃないと普段の行動から考えられない行動をしちゃうんだね。タガが外れると言うか。

 

今更だけど私が迎えに行かないでも阿笠博士の所に泊まらせれば良かったのでは?

そんな事を思いながら溜め息を吐いて……世話のかかる姉と義兄に私は苦笑いを溢した。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。