毛利家の次女   作:残月

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思いの外、筆が進んだので連載に切り替えました。


新一の妹としてコナンの姉として。

 

 

 

 

先日、アイドルの沖野ヨーコさんの事件を解決して有名になったお父さんは、その後も事件を幾つか解決した。コナンの助言のおかげで。お父さんは気付いてないけどね。

コナンと言えば阿笠博士の勧めで帝丹小学校に通い始めた。めちゃくちゃ複雑そうな顔してたけど当然だよね。つい先日まで高校生だったのが小学校に通わなきゃいけなくなるなんて。

 

そんな私の日常は今の所変わらない。前世の男だった頃の記憶が一部戻ったけど私は私だ。今の私に過去の記憶がダウンロードされたような感じなのでベースは女として生きた今の私。つまりは他人の記憶に近い感覚なのだ。男の記憶が蘇ったから今更男として生きろとでも?

 

 

さて、そんな訳でコナンワールドに入ってしまってる私だが宮野明美さんの話がまだ来ていない。この話は黒の組織の事や後の灰原哀ちゃんの事など名探偵コナンの序盤での最大のキーポイントとなる事件……の筈なんだけど……まだ起きてない。

私が知らないだけなのかと思っていたけど、宮野さんも依頼に来てないし、そもそも強盗事件すら起きていない。つまり物語が既に狂い始めている可能性がある。

 

 

「ねえ、千紗。コナン君見なかった?」

「あ、おかえりお姉ちゃん。見てないけど……部屋じゃないの?」

 

 

本を読みながら考え事に集中していた私はお姉ちゃんの一言に意識が戻る。思ってた以上に考え込んじゃってたみたい。時計を見ればもうそろそろ夕飯の時間だ。なんの準備もしてなかった事に焦ってエプロンを着る。

 

 

「それが居ないのよ。ランドセルがあったから学校からは帰って来たみたいなんだけど」

「うーん……私も見てない、と言うか私が本読んでて時間になったらコナンが声を掛けてくれるから夕飯の支度するんだけど今日は声をかけてくれなかったから気付かなかったよ」

 

 

最近の私のルーティンなのだが学校が終わって家に帰ってから本を読むのだが集中しすぎて時間を忘れる事もある。そんな時にコナンは夕飯の支度に間に合う時間に私に声を掛けるのだが今日はそれが無かったから気付かなかった。

 

 

「あんだぁ……あの坊主がどうしたって?」

「お父さん……は当てにならないわね」

「また昼間から飲んでたんだね。コナンの行方もわからないね」

 

 

私とお姉ちゃんが悩んでいるとお父さんがリビングに来たのだがビールを片手に持っており、顔は赤い。また昼間からビール飲んで!

 

 

「うーん、阿笠博士の所とか?」

「電話してみる!千紗はお父さんお願い!」

 

 

慌てて阿笠博士の所に電話を始めたお姉ちゃん。私は酔っ払ったお父さんに肩を貸しながらリビングのソファに寝かせると力無く寝始めた。完全に酩酊してる。まったく……なんでこんなに飲んだんだか。

 

 

「英理ちゃ〜ん、お水持ってきてぇ〜……」

「残念ながら英理ちゃんじゃなくて千紗ちゃんです。お母さんが恋しいなら素直になってよね」

 

 

寝ぼけて私をお母さんの名前で呼ぶお父さん。まったく互いにベタ惚れな癖に互いに意地張ってるから別居するなんてツンデレ拗らせ過ぎでしょ。

私は呆れながらもお父さんに毛布を掛けて寝かせる。

 

 

 

因みにコナンはその夜、行方が知れずお姉ちゃんもズッと心配していたのだがコナンは学校の友達と肝試しをしていて、しかもその入った家には迷宮入りしていた事件の犯人と母親が居たらしく事件に巻き込まれていたのだ。

コナンの説得により犯人は自首したのだが保護者も伴わない肝試しで一晩行方知らずを許す親なんていないだろう。それぞれが保護者にこっぴどく叱られていた。

 

 

「そう言えばあったなー、こんな事件。あ、となると……」

 

 

保護者達の説教を受けているコナン達を尻目に私はこの後の事を思い出した。仕方ないから少しだけフォローしてあげる。

 

 

 

 

◆◇sideコナン◆◇

 

 

 

元太、光彦、歩美の三人の提案でお化け屋敷探検をした俺だったが事件に巻き込まれ、その後めちゃくちゃ怒られた。

その数日後に歩美が他のお化け屋敷を見付けたと話してまたしても探検に行こうと言う流れになってしまった。

その家は俺ん家だが江戸川コナンとしては他人の家だ。下手に止めるのも疑われかねないと悩んでいたら、あっと言う間に放課後になり工藤家に到着してしまった。

 

あー、どうしよう!?歩美達は探索する気満々だし!

 

 

「こら、この間叱られたのに懲りてないの?」

「い……千紗ねーちゃん!?」

 

 

頭をペシンと叩かれて振り返ると呆れた顔の千紗が俺達の背後に立っていた。千紗は蘭の妹で俺にとっても幼馴染であり妹みたいなもんだった。

 

 

「あ、コナン君のお姉さん!?」

「私はその妹。で、また肝試し?今度は説教だけじゃなくて拳骨を落とされたいの?」

「あ、あはは……新一にーちゃん家だから止めようとは思ったんだけど……」

 

 

歩美が先日の説教の際におっちゃんじゃなくて蘭が来ていた事で千紗の事も覚えていたらしい。俺は咄嗟に言い訳をしたのだが千紗はフゥとため息を溢す。

 

 

「この家の人は今留守にしてるの。家の中の物は全部大切な物だから勝手に入ったり、盗んだりしちゃダメなんだよ。今回は入らなかったから厳しくは言わないけど、次は無いからね」

「「「ご、ごめんなさい……」」」

 

 

千紗が軽く怒ると歩美、元太、光彦は頭を下げた。先日の保護者からの説教が効いてるのか、また怒られると思っただけに素直だ。

 

 

「コナンもだよ。好奇心旺盛なのは良いけど、前に事件に巻き込まれてるんだから。それに新兄もそうだけど……心配するのは身近な人なんだからね」

「あ、うん……」

 

 

千紗の一言に俺は身につまされる。千紗は江戸川コナンに対して言っているんだろうけど、この一言は工藤新一にも響く言葉だったから。

そんな事を思っていたら歩美が千紗に歩み寄り目をキラキラさせていた。

 

 

「もしかして、お姉さんって工藤さんの事が好きなの?」

「あ、だから家に来たのか!」

「成る程、納得です!」

「いいっ!?」

 

 

歩美の発言に元太、光彦も乗っかってきた。俺はと言えば言葉を失い戸惑っていた。

 

 

「うーん。私からしてみれば新兄はお兄さんだからねぇ。それに新兄……工藤新一の事が好きなのはお姉ちゃんだから。私は家族として新兄の事が好きだし。それにお姉ちゃんと新兄が一緒になれば本当の兄妹になるからそれでいっかなーって思ってる」

 

 

しかし、千紗はサラッと様々な事をカミングアウトしていった。あまりにストレートすぎる内容に歩美達はポカンとしていた。

 

 

「じゃ、私は帰るけど寄り道は程々にね。コナンは夕飯までには帰ってくるんだよ」

 

 

じゃ、と手を挙げながら俺の家から毛利事務所へ帰っていく千紗。

助かったけど違った意味で問題が増えたっての!

 

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