毛利家の次女   作:残月

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前話の千紗の考えの中で選択肢が出た事で千紗がどちらの選択肢しか出さなかった事ですがデートと爆弾を釣り合わせたのではなく、どちらかと言えば新一がコナンが元の姿に戻れないままデートの約束をしてしまった事で蘭に会えない事や、蘭や周囲の人間にコナン=新一の正体バレを懸念しての考えでした。そして正体バレしてしまうと黒の組織に再び目を付けられ周囲の人間に危害が及ぶ事を心配したのです。
そして前話の段階では森谷はまだ何もしていません。つまり逮捕する事も咎める事も不可能だった訳です。

前話を少し加筆しました。
それらを踏まえて今話を見て頂ければと思います。


時計仕掛けの摩天楼②

 

 

クイズに正解した事で森谷教授から私、コナン、お姉ちゃんが特別にギャラリーへと案内された。

 

ギャラリーには森谷教授がこれまで建ててきた建築物の写真が額に入れて飾られていた。有名人の屋敷、駅、橋、米花シティビルと、本当に色々建てている。素人目で見ても凄い作品が多い……これで完璧な左右対称じゃないからって理由で爆破してこうってんだから。何考えてんだか。

「今の若い者は美意識と責任感が足りん!」なんてガーデンパーティでも言ってたけど……それは森谷教授の自己陶酔にしか思えなかった……だって

 

 

「そうなんです。新一とは5月3日に、米花シティビルの米花シネマでオールナイトの映画を見る約束をしてて」

「そうでしたか。若者のカップルの青春の手伝いが出来たのなら光栄ですね」

 

 

なんて考えてたら、お姉ちゃんが新兄とのデートの話を森谷教授に話してた。一瞬だったけど表情が強張った。つまりは原作通り爆破計画は進行中って事ね。だとすれば……あ、コナンがめちゃくちゃ苦笑いしてる。元の姿にも戻れないし、デートの事も完全に忘れてたね、コレは。

仕方ない……森谷教授の犯行を最小限に抑えるのと新兄の正体バレを防ぐ為に頑張りますか。

 

 

 

 

◇◆

 

 

と言う訳で迎えた5月3日。本日はお姉ちゃんと新兄のデートの日で明日は新兄の誕生日となる。お姉ちゃんは朝からルンルン気分で出掛けて、コナンは顔を引き攣らせていた。全く……問題を先延ばしにするからだよ。

 

私とコナンは阿笠博士の家へ出掛けるとコナンはソファに寝転びながら悶々としていた。

 

 

「あー、もう……どーすっかな。博士、俺そっくりのロボットでも作ってくれよ。それか千紗を俺みたいに成長させる薬を作るとか」

「そんなロボットや薬が作れるんならとっくにキミを元の姿に戻しておるよ」

「それって新兄の体が縮む所の話じゃないよね?そして私は成長しても胸がぺったんこだと言いたいの?」

 

 

コナンがとんでもない事を口にする。頭が良いから本当に切羽詰まると突拍子も無い事を言うんだから。ペシンとコナンの頭を叩く。流石に見過ごせません。

 

そんなバカなやり取りをしていたらテレビのニュースで連続放火事件やプラスチック爆弾の原料となる物が大量に盗まれたと報じられていた。やっぱり放火とか爆破計画立ててたなあの教授。あー、どうなったかなぁ……結果がわからないと心配してソワソワしちゃうよ。

 

そんな時だった。私と新兄の携帯電話がほぼ同時に鳴った。私は少し離れた場所に移動して着信の名前を見るとお父さんだった。

 

 

「はい、工藤です。ご無沙汰しています目暮警部」

 

 

変声機で工藤新一の声に変えたコナンが電話に出ている。相手は目暮警部みたい。もしかしたら上手くいったのかな?そんな事を思いながら私は自身の携帯の着信に応じる。

 

 

「もしもし、どうしたのお父さん?」

『ああ、千紗……落ち着いて聞いて欲しいんだが……森谷教授が逮捕されたんだ』

「森谷教授が逮捕された!?」

 

 

通話先のお父さんから告げられた事と私の背後で驚いている新兄(コナン)の声を聞いて私は今回の事件が最小限に抑えられたのだと確信して小さくガッツポーズをした。

 

 

 

◆◇

 

 

阿笠博士に車を出してもらい、警察署へ。私とコナンが車から降りて警察署内へと行くとお父さんは既に到着していて目暮警部から話を聞いていた。

 

 

「お、来たか二人とも」

「おお、呼び出してスマないね千紗君、コナン君」

「いえ、私もコナンも気になったので」

「目暮警部、森谷教授はなんで逮捕されたの?」

 

 

挨拶もそこそこに私とコナンは森谷教授が逮捕された経緯を聞いた。

今朝早くに警察に匿名の電話が来た事が今回の発端で電話した人物はボイスチェンジャーで変えた合成音声でこう告げた『最近多発している連続放火事件の犯人は私だ。無能な警察は私を捕える事が出来ない様だから予告してやる。これから東都環状線に爆弾を仕掛けに行く。止めてみせろ無能共』と挑発じみた犯行予告があった。そして煽られた警察は半信半疑の下、現場へ行くと変装をした怪しげな人物がせっせっと線路の間に爆弾を仕込んでいたので現行犯逮捕。変装を剥ぎ取ると森谷教授だと判明した。そして森谷教授の豪邸を家宅捜査するとラジコンや猫用のキャリーケースが爆弾に改造された物が見つかり、更に盗まれたプラスチック爆弾の元となる材質が大量に見つかった。

 

 

「それで森谷教授が連続放火事件の犯人だとわかってね。放火された建物の全てが彼が手掛けた作品だと言う事も判明している」

「爆弾が仕掛けられそうだった東都環状線に掛かる橋も奴の作品だったんだとよ……」

「そう言えばニュースに映ってた火災があった所は森谷教授のギャラリーで見たかも」

「森谷教授は自分の作品を壊して回っていたって事?なんで、そんな事を?」

 

 

目暮警部の言葉をお父さんが引き継ぎ、私は放火事件のニュースと森谷教授のギャラリーで見た写真の事を思い出す。コナンも同様に疑問を感じている様だ。

 

 

「それが……工藤君への恨みを口にするばかりで他の事はあまり喋らんのだよ。それに盗まれたプラスチック爆弾の元となる材質はまだ1/3程が見つかっておらん。まだ何処かに爆弾を仕掛けたんじゃないかと取り調べているんだが難航していてね」

「それで私達を?」

「ああ……千紗とコナンはガーデンパーティで森谷のクイズを解いただろ?そんなお前達が相手なら森谷も何か喋るんじゃないかと警部殿はお考えでな」

 

 

目暮警部の話ではまだ全ての爆弾が見つかった訳ではなくまだ何処かに仕掛けられているのではと考えたが取り調べは進まない。だから少しでも森谷教授の反応に変化があるんじゃないかと関係者を集めているみたい。

それなら私とコナンが呼ばれたのも仕方ないよね、と思う反面……上手くいって良かったと私は心の中で安堵していた。

 

実は明け方に警察に匿名で電話したのは私で、事件が起きるのは今日だと知っていたから夜が明ける頃に阿笠博士発明の変声機で先程の挑発を行ったのだ。

森谷教授が東都環状線に仕掛けた爆弾はセンサー式で光に反応する。だから事前に仕込むとしたら夜明けしかないと考えて、こっそりと夜中に家を抜け出して公衆電話で放火犯を装って警察に電話した。そして案の定、森谷教授は爆弾設置作業に赴いており、現行犯逮捕となった。

 

でも思惑通りになって良かった……最悪、悪質なイタズラ電話で終わる可能性もあった。綱渡で運頼みの部分が占めてたけど事件の被害を最小限に抑えるにはこれしかないと思ったから。

そして最後の爆弾の設置場所が米花シティビルとは知ってるけど森谷教授の口から吐かせなきゃならないし、なんちゃって完璧主義者の鼻を叩き折らなきゃ私の気が済まない。

 

 

「では取調室に入っても良いでしょうか?実は私も森谷教授に言いたい事があったので」

「あ、ああ……頼むよ」

「こ、怖ぇ……」

「また英理みたいになってやがる……」

 

 

私は目暮警部の許可を得てから取調室に入った。お父さんとコナンが若干引いてるみたいだけど私はとっても冷静だよ?

さあ、後始末に行きましょうか。

 

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