作者としてはバランスを取りながら執筆をしているつもりではありますが、シリアスとギャグのどちらかに寄せると反対意見が必ずと言っていいほど出てきます。
『ギャグシーンはギャグとして受け入れて欲しい』『マジな推理はいずれ描きたい』『関係無い様に見える間話も実は伏線なんです』『恋愛話も少しずつ匂わせます』とコメントを返させて頂きます。
無事にホームズフリークツアーに参加できた。その事をコナンに伝えた時のはしゃぎっぷりったら凄い物だった。企画した甲斐もあるってもんだね。
ツアーまでまだ一週間程先だったので私は金谷裕之氏が出した考察本を読む事にした。なんせこの本の内容が事件勃発のきっかけなんだから。
タイトルは『アイリーン・アドラーの嘲笑』。このタイトルや内容は犯人にとっては絶対に許せないもので執筆者や本の出資者を殺そうとする。
いや、なんで?と言いたいが実際問題この手の話は多かったりする。歴史上の偉人の解釈違いや漫画やアニメの公式CP以外は絶対に認めない論争。更にストーリーが納得いかず内容次第では原作を描いた作者にすら『お前はあの作品をわかっていない!』なんてメールを出すファンも居る程。とあるテニス漫画が筆頭だろうか。
他にもアニメオリジナルの話を受け入れられない原作主義者や公式CP厨とか。挙げていけばキリがない。
普段は大人しい人でも一度論争となれば普段の三倍は牙を剥くとさえ言われている。
では今回の事件はどう食い止めるか。物理的に止めるしかない。何故ならば先程の話通り互いの意見の食い違いから起きている事なので水掛論でしかないのだ。犯人を説得とかまあ、無理でしょ。
と言うわけで犯行現場を押さえて御用ってのがベストだと思いたい。
◇◆
そんなこんなでツアー当日。迎えのバスに揺られながらホームズフリークの皆さんの話は大盛り上がり。ホームズに興味の無いお父さんとお姉ちゃんは実に暇そうである。私も話には参加せずお父さん達と一緒に前の席に座ってる。
「おい……なんでこんなツアーに参加せにゃならんのだ?」
「しょうがないじゃない。千紗がコナン君の為にってツアーの申し込みしちゃったんだから」
「コナンも親元を離れて寂しい所があるだろうから少しでも元気付けられればと思って」
ヒソヒソと話す私達。私の言葉に渋々ながら納得してくれたお父さんと成る程、とお姉ちゃんは笑ってくれた。
「アナタはどの話が好きなんですか?」
「あ、ええと……私は『そして誰もいらなくなった』ですかね」
「お父さん、それはアガサ・クリスティの作品。タイトルも『そして誰もいなくなった』だよ」
後部座席に座っていた男の人が話しかけて来たのでお父さんは自分が知っている作品のタイトルを口にしたけど、その瞬間……皆さんの顔が無表情になった。
「ふん、ホームズの作品ですらない作品を言うとは」
「しかも間違ってますよ」
「娘さんの方が詳しいじゃないか」
「……けっ」
「ごめんなさい。お父さんはホームズフリークでは無いんです。この子がホームズ好きなので応募させて頂きましたが見ての通りまだ子供なので子供だけで外泊させる訳には行かなかったので保護者として同伴してもらってます」
後部座席に座ってるホームズフリークの皆さんが口々にお父さんを一斉口撃してきたので頭を下げてフォローすると「まあ……そう言う事なら」と納得してくれた。この手のガチな人達は怒らせると怖いからね。
少々不穏な空気を残しつつペンション『マイクロフト』に到着して自己紹介をする事に。
オーナーの金谷裕之さん。ツアー参加者の藤沢俊明さん、戸叶研人さん、大木綾子さん、川津郁夫さん、清水奈々子さん、戸田マリアさん。そしてペンションの従業員の岩井仁美さん。
「なんや工藤はおらんのかいな?」
「その工藤はおらんみたいやし……そっちのちっこいのが千紗っちゅー子やな?」
そして少し遅れながら登場した西の高校生探偵の服部平次さ……何故、遠山和葉さんもご一緒なのかな?なんか私、和葉さんにめちゃくちゃ睨まれてるし。
「で、これで全員ですか?」
「ああ、いえ。もう一人……」
「少し遅れてしまった様ですね。偶々日本に帰国している時にこんなツアーがあったのかと興味が惹かれたので急遽申し込んだものでしたから。ですが、ツアーの開始時間には間に合った様ですね」
お父さんがオーナーに話し掛けるともう一人来る事が判明した。あれ?まだ来る人って居たっけ?と思っていたら扉からスッとイケメンが登場した。え、なんでこの人が……いや和葉さんがこのタイミングで平次さんと一緒に来たのもイレギュラーだったけど……
「僕は……白馬探と申します」
持っていた懐中時計をパタンと手の中でしまうイケメン……なんで来ちゃったの白馬さん!?アナタの登場はもっと後でしょ!?