毛利家の次女   作:残月

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コナンVS怪盗キッド①

 

 

 

 

時間を少し巻き戻し、私とコナンが怪盗キッドと出会う前の話をしましょう。

そもそも事の発端は園子さんからだった。世界を賑わせてる怪盗1412号から鈴木財閥に予告状が届く。曰く鈴木家に代々伝わる宝石ブラックスターを頂きに頂戴すると。その事を知った園子さんは怪盗1412号がどんな顔をしているか知りたくなって、お姉ちゃんを通してお父さんに依頼をしたのだ。

そして、その予告状の謎解きと怪盗1412号。つまりは怪盗キッドを捕まえようと言うのだ。

 

お父さんは園子さんから予告状のコピーを見せてもらって謎解きに挑戦するが解けずに当日を迎えてしまった。コナンも夜通し考えてたみたいだけど結局謎は解けず徹夜してたみたい。

私は私でお姉ちゃんが気になってた。小学校の恩師が犯人だったり、恋愛模様の末の醜い殺人を見たりと精神的に弱ってるのに更に新兄にも会えなかったと思ったら、先日新兄を見たと騒いでいたから。

はい、それは怪盗キッドの素顔です。なんて言える訳もなく今回の一連の騒動が終わるまでモヤモヤしてもらう事に。

 

そして怪盗キッドからの予告状をお父さんが明後日の方向の推理を披露して警察の皆さんは的外れな場所の警備をする事に。お疲れ様です。

 

コナンの方は謎が解けたみたいで時計の文字盤を周囲の景色に合わせて予告状に示された場所を確認してる。となると今日の夜中に出ていくなコレは。私も夜に備えようっと。

 

 

 

 

 

◇3/31 PM11:04◇

 

 

「よし、寝てるな」

「で、お姉ちゃんの寝顔を確認してどうだった?」

 

 

夜遅くにコナンがお姉ちゃんの部屋を覗いて寝てるのを確認していたので扉を閉めたタイミングで背後から耳元に囁く。するとコナンは猫のごとくビクリと飛び退いた。

 

 

「ち、千紗……」

「しーっ。怪盗1412号に会いに行くんでしょ?私も一緒に行くから」

 

 

お姉ちゃんは滅多な事では夜に起きないが念の為、小声で会話する。コナンも私だと分かると苦笑いやら諦めの表情となった。

 

 

「ったく……危ないと感じたらすぐに帰れよ?」

「見た目、小学生を夜遅くに出す方が危ないかもねー」

 

 

呆れ顔のコナンが夜の街を先に歩こうとしたけど小学生が夜中に出歩くのを見逃す訳にはいかないよネ。私もアウトな年齢だけど。

 

 

「それで?怪盗1412号は何処に現れるの?」

「ああ、あの予告状の……」

 

 

私はコナンから予告状の暗号の説明を聞いた。私はぼんやりとしか覚えてなかったけど、あの暗号を解読出来るコナンはやっぱり凄いよねぇ。

そして到着したのは杯戸シティホテル。この屋上に例の怪盗キッドが現れるそうだ。

私とコナンは杯戸シティホテルに入って従業員以外立ち入り禁止地区に入って屋上へと向かう。

 

 

「今思い出したんだけど新兄って怪盗1412号……怪盗キッドに会った事なかったっけ?ほら、去年の時計台で……」

「ああ……そうか、アイツがキッドだったのか……」

 

 

そこで私が思い出したのはコナンと怪盗キッドが出会うのは今回が初だけど工藤新一と怪盗キッドが出会うのはお互いの名前も素性も知らないまま接敵したエピソード。まあ、後付けの話に近かったから仕方ないか。

そんな話をしている間に屋上に到着して扉を開ける。すると気持ちの良い風が吹き抜ける。夜景が綺麗で穏やかな気持ちになってしまう。

 

 

「んー、良い景色……」

「よし、後は奴が来るまで……おっと」

 

 

私が夜景を堪能してるとコナンの携帯に電話が鳴り響く。多分、阿笠博士かな。そうなると現れるのは……

 

 

「これはこれは……こんな夜更けにお嬢さんと坊主が出歩くなんて感心しないですね」

「怪盗1412号……」

「通称……怪盗キッド」

 

 

私とコナンの背後にフワリと舞い降りる白い影。深夜のビルの屋上で私とコナンは白いタキシード姿の怪盗と遭遇していた。

 

 

「なーに、やってんだ坊主?お嬢さんも夜更かしはお肌に大敵ですよ?」

「花火、綺麗でしょ?」

「私の肌が荒れて困るのは私だけなのでお構いなく。寧ろ貴方と出会えた事の方が重要ですので」

 

 

スタスタと歩み寄る怪盗キッドにコナンは準備していた花火を打ち上げて周囲の警察に知らせた。私はさりげなく怪盗キッドとの距離を詰める。うーん、原作でもコナンとキッドの対決って好きだったから顔が緩みそう。

 

 

「ほら、ヘリコプターが気付いたみたいだよ。こっちに来るみたい」

「目立ちたがりの怪盗さんにはギャラリーが必要なのでは?」

「坊主、お嬢さんも只の子供じゃ無さそうだな。何者だ?」

 

 

コナンが打ち上げた花火に気づいたヘリコプターが此方に飛んでくる。この場で捕まえるのは実質不可能だから会話だけでも引き伸ばさないと。

 

 

「江戸川コナン。探偵さ。それより良いのか逃げなくて?ヘリがドンドン近付いてるぜ」

「私は毛利千紗。名探偵毛利小五郎の娘で……うーん、この子の助手って所ですね」

「へえ、探偵にその助手ね。くくっ……面白いじゃないか」

 

 

コナンはドヤ顔で自己紹介したけど私は悩んでしまう。私の推理とか犯人を追い詰めるのは基本的には便乗スタイルだから私自身の功績じゃないし。キッドは懐から無線機を取り出すとコホンと咳払いをすると私とコナンを見ながらニヤリと笑みを浮かべた。

 

 

「あー、此方茶木だが杯戸シティホテルの屋上に怪盗キッドを発見!至急現場に急行せよ!えー、ワシだ中森だ。杯戸シティホテルの警備の捜査員に告ぐ。キッドは屋上だ!奴を取り押さえろ!」

「す、凄い……変声機も使わずに次々に別人の声を……」

「変装の名人と謳われるだけありますね。そうやって声色を変え、変装に長けている訳ですか」

 

 

いや、目の前で見ると凄い声色の変え方。ボイストレーニングがどうとかのレベルじゃない。感心したいけどポーカーフェイスを貫け私。

 

 

「これで満足か、探偵君に探偵の助手ちゃん?」

「成る程……ステージを整えた訳ですか」

「動くなキッド!」

 

 

ヘリコプター数台が上空に待機して、中森警部が大量の部下を引き連れて屋上に乱入してくるけどキッドはハンググライダーで飛び立とうとして閃光弾で私達の目を眩ませた。

 

 

「よう、知ってるか坊主。怪盗は鮮やかに獲物を盗み出す芸術家だが探偵はその後を見て難癖を付ける批評家に過ぎないんだぜ?」

「なんだと!?」

「そうでしょうか?どんな芸術も評価してくれる人がいなければ価値などわからないでしょう。評論家も批評家も居なければ芸術とは成り立たないものです」

 

 

眩い光の中でコナンを挑発するキッド。私は捕えるのは無理だとわかっていたので言いたい事を告げた。するとキッドは一瞬驚いた顔をしたけど光が収まる頃に姿は消え、後にはキッドからの予告状が残されていた。残されたのは上空のヘリコプターにキッドを見失った大量の警官達。

 

 

「次は本当のブラックスターを頂きに参上します……ですって」

「ち、千紗ねーちゃん?」

 

 

私の服の胸の辺りにキッドのメッセージカードが貼り付けられていた。成る程、私に喧嘩を売ってるんですね?

 

 

「私の胸が平たいからメッセージカードを貼り付けてメッセージボード扱いをするなんて許せません。私自らの手で奴を殺……いえ監獄に叩き込んでやりましょう」

「いや、キッドもその意図があってやったとは思えないけど……」

 

 

私はキッドのメッセージカードを握り潰す。おや、コナンも警察の方々も何を怯えているんですか?私はただ怪盗キッドを捕まえる覚悟を改めただけですよ。

 

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