「毛利さん、怪盗キッドってどんな人だった?」
「コナン君って毛利さんの弟なんでしょ?」
「今度紹介してよ」
怪盗キッドの事件の翌日、この手の質問が飛んでくる。昨夜の事が新聞に掲載されてコナンが新聞の一面を飾った。問題はその写真でコナンがメインだけど私も端っこに見切れている。そんな訳でキッドやコナン関連の質問が山の様に舞い込む。
キッドの事は「20代には見えたけど変装の名人だから素顔とは限らない」「コナンは家で預かってる子だけど弟みたいな子だよ」と答えているがキッドの正体は高校生だし、コナンは本当は弟じゃ無くて兄だよと事実を言いたい。
「大変だねー、千紗も。どれ、お姉さんが癒してしんぜよう」
「背中に胸を押し付けながら頭を撫でないで、柴田さん」
柴田さんが背後から抱きつきながら胸を押し付け頭を撫でてくる。怪盗キッドといい私に喧嘩を売るとは良い度胸だ。
なんて思ってたらメールが届いた。差出人は白馬さんだった。
『怪盗キッドと対峙した事は聞きましたよ。ニュースにもなっていますが、コナン君も一緒だったとはいえ彼を退けるとは流石、千紗さんです。また改めて、お話を聞きたいものです』
白馬さんも耳が早いなぁ。しかもロンドンに居るのに事件の概要をしっかりと把握してる。お父さんが警視総監だし、そっちから情報を得たのかもだけど。
『直接対峙したのはコナンです。私は少しだけ怪盗キッドと話をしただけですよ。彼に受けたセクハラの被害を訴えてゲンコツを落とした次第です』
「これで良し」
「そのメールの相手って、この間話してた男の人?いやぁ、嬉しそうに返信してんだもん」
是非とも白馬さんに気合を入れて怪盗キッドを捕まえてもらおうと今回の一件を包み隠さずにメールした。これで白馬さんが怪盗キッドを捕まえたら爆笑物だと思うとニヤニヤが抑えられなかった。そんな事を思っていたら柴田さんが既にニヤニヤしていた。
「嬉しそうと言うか……ちょっと、柴田さん?」
「うんうん、千紗にも春が来たねー。色仕掛けの極意を伝授しよう。こうやってバストアップ法を……」
白馬さんとの関係って説明が微妙に難しい。どう説明しようか悩んでいたら柴田さんは私の胸の位置に手を添えた。私はスンと意識が冷める感覚になる。
「揉む面積が無い場合は?」
「……ごめん」
自分の事はよく分かってる。揉む面積も寄せて上げる事も叶わぬ絶壁に立ち向かえるものか。柴田さんも謝罪してるし。
「でも千紗って胸よりも脚だと思うよ。なんて言うか……エロいよね」
「ひにゃあ!?」
柴田さんの手が胸から私の脚にシフトチェンジした。ストッキング越しに指でなぞられて、くすぐったいのとなんかゾクっとしたと言うか……変な声出た。
「ヤバ……千紗エロ過ぎでしょ。もっとやっていい?」
「や、駄目っ!」
「止めなさい、柴田さん!」
何故かノリノリで私の脚を撫で回そうとする柴田さん。スカートも捲れてるし勘弁して!早川さんが止めに入ってくれたけど怪盗キッドの質問責めに会うよりも疲れた……
◇◆sideクラスメイトの男子◆◇
学校の授業も終わり俺達は帰り道で今日の事を話していた。
「毛利の奴、怪盗キッドと対決したってスゲーな」
「対決したのは弟って話だけどな」
「でも対決には少し関わってたらしいぞ」
毛利が話題の怪盗に会ったなんて凄い話だ。でもそれ以上に……
「毛利のメールの相手って誰なんだろうな……」
「柴田の口振りじゃまだ恋人って感じじゃなさそうだけど」
「時間の問題なんじゃないか?」
そう、毛利に男の影が見え隠れしてるのに男子一同ソワソワしていた。
「でもよー、毛利だぜ?あの貧乳じゃ男にフラれるのがオチだろ」
「ま、そうだよな……」
「おっぱいは大事だよね」
我ながら最悪の話題になって来てるけど気になってしょうがないんだ。
「でも柴田も言ってたけど毛利って足がエロいよな」
「わかる」
「あの黒タイツに包まれてるのが堪らないよな」
「今日の柴田はナイスプレーだった」
昼の休み時間に柴田が毛利のスカートを捲りながら足を撫で回していた。足も綺麗だと思ったし何よりも……
「あの声……ヤバかったな」
「あのクールな毛利さんもあんな声出すんだね」
「堅物な毛利が可愛いってヤバいだろ」
柴田にセクハラされた毛利の焦った声や顔。あの時、クラスに居た全員の気持ちは一つになっていた。
クールで堅物のイメージの毛利がセクハラを受けて可愛い声と仕草でギャップ萌えが凄すぎる。
「毛利って良いよな……」
「ああ、いい……」
「うん」
俺達の出した結論はいつも通りだった。