毛利家の次女   作:残月

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14番目の標的①

 

 

 

 

 

◇◆side妃英理◇◆

 

 

 

私はあの人の友人の食事会に招かれて蘭と千紗とコナン君との食事を楽しんでいた。

先日の事件から少しだけあの人と打ち解けられたと思っていたけど……

 

私を含め家族での食事なのにあの人は銀座のクラブのママである岡野十和子さんとニュースキャスターのピーター・フォードが仲睦まじく話をしているのを見て憤っていた。私との食事の最中に良い度胸じゃない……

 

 

「ちょっとお父さ……っ」

「おじさ……っ」

「ちょっとアナ……っ」

「ああん?……おわっ!?」

「………」

 

 

蘭とコナン君。そして私があの人に文句の一つでも言ってやろうとしたら千紗が静かに怒っていた。椅子に座りながら目を瞑り怒りに打ち震えている様にも見えた。

 

 

「お、おい……千紗?」

「お父さん……久しぶりにお母さんを含めて家族団欒が楽しめると思ってたの。それを常連のお店のママさんにうつつを抜かして……そう言えばあのお店にツケが貯まってたよね」

 

 

戸惑うあの人に千紗がニコリと笑みを浮かべながら告げる。あの人はドンドン顔が青ざめていってる。

 

 

「最近お父さん仕事も沢山あって羽振りが良いけど可笑しいなぁ……我が家の家計はまだ苦しいままなのに……貯金に回すお金もお店のツケの支払いも終わらないのはなんでなのかな?」

「あ、いや……その……金額を増やそうとお馬さんにだな……」

 

 

冷たい視線の千紗に問い詰められたあの人は死刑を待つ囚人みたいに顔が真っ白になってる。蘭とコナン君は千紗の圧倒的な雰囲気に冷や汗を流してる。

 

 

「さて、お父さんとお母さんの別居の理由を知っている身としては心苦しいけど……お父さん、何か言う事は?」

「そ、そのだな……」

 

 

あの人は千紗の人を追い詰める言葉と仕草に返す言葉が無くなっている。それどころか殺人犯に怯まない、あの人が怯えている様だ。

 

 

「お母さん、行こう。お姉ちゃん、私今日はお母さんの所に泊まるから」

「え、ええ……」

「あ、ちょっと千紗!?」

「千紗ねーちゃん!?」

 

 

私の手を引く千紗に私はそのまま促されるままに店を出る事に。突然の事態に蘭やコナン君は戸惑うばかり。

 

 

「ぬぅ……あの女子、背後に不動明王を背負うか……」

 

 

レストランを出た際に出会った通りがかりの和服を着た妙に古風な男性の一言が印象的だった。あれって刀を持ってる?銃刀法違反してないかしら?

 

 

「お父さんも少しは反省させないとね。それにお父さんばかりにお姉ちゃんや私が寄り添い過ぎてるから。偶には私もお母さんに甘えたいし」

「そうね……あの人にも反省を促さないとね。今日は甘えなさい」

 

 

そんな私の思考を遮ったのは千紗だった。千紗は私の腕に自身の腕を絡ませながら甘える様に擦り寄ってくる。この子がこんな風に甘えるのは珍しいから私も千紗を甘やかそうと思ってしまう。

 

この日から数日間、千紗は私の事務所に入り浸っていた。仕事の手伝いや事務所の掃除をしてくれたりと助かってはいるけど千紗があの人から離れようとしている様に見えて少し不安になってしまう。

そんな日々が数日続いたある日、目暮警部がボウガンで撃たれるという事件が起きた。あの人や蘭、千紗、コナン君は目暮警部の見舞いに行き少なくとも重傷ではないと告げられた。

 

その翌日には私の法律事務所にジゴバのチョコが送られて来た。あの人が先日の詫びとして私の為に送ってくれたのだと思って食べようとしたら千紗に止められた。

 

 

「お父さん、ジゴバのチョコなんか用意してなかったよ。宛名もないし怪しいと思う」

「確かにそうね……調べた方が良さそうね」

「直ぐに手配します!」

 

 

千紗に止められた私は冷静になる。送り主は不明だし、事務所の郵便受けに入っていたチョコ。冷静に考えれば怪し過ぎるわね。秘書の栗山さんがチョコを回収して警察の鑑定に送ると言っていた。

 

 

「……もう手遅れとは思っていましたけど、手心を加える必要は無さそうですね」

 

 

目のハイライトが失われた千紗が呟く。

あの通りがかりの古風な人が言っていた千紗の背後に不動明王が見えると言ったのもあながち間違いには思えなかった。

 

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