毛利家の次女   作:残月

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14番目の標的⑤

 

 

 

 

 

結果を言えば成功と言える。犯人である沢木公平の逮捕が為され連続殺傷事件は幕を下ろした。現在では余罪の追及がされているのだけど……

 

 

「え、えぇぇぇっ!?お母さん、お父さんが撃った理由が分かってたの!?」

「当たり前じゃない。これでも一応妻ですもの」

 

 

私は今現在、お姉ちゃん、コナンと共にお母さんの事務所に遊びに来ていた。私の退院祝いとお姉ちゃんがお母さんに聞きたい事があるからとの事で。お姉ちゃんはお母さんにお父さんがお母さんの事を撃った時の事を話したんだけど、お母さんは苦笑いしながら口を開いた。

 

 

「人質を盾にしている被疑者を確保するには、要は人質が邪魔になればいい。囲まれている状況では、殺す暇もない」

「そうする事で犯人から人質を解放させ、犯人は確保出来る。お父さんもお母さんも通じ合ってたから出来た事だよね」

「千紗ねーちゃんは知ってたの?」

 

 

尤も、その事を知らない人や若手の刑事は曲解してたみたいだけど。白鳥刑事とか白鳥刑事とか。

コナンの疑問に私は苦笑いをするしかなかった。

 

 

「うん、前にお母さんから聞いてたからね。でも今回私は……迂闊だったかなぁ……」

「行動力があるのは結構だけど心配するのは家族なのよ」

「良かったよ、千紗の怪我も軽いもので」

「おじさんも凄い心配してたし、『英理と千紗をこんな目にあわせた真犯人を捕まえてやる』って意気込んでたからね」

 

 

実は私は今回、途中退場だった。

事の経緯を振り返れば私からの情報で辻さんの家の前を刑事が張り込みさせた目暮警部。

所轄警察署から刑事が二人派遣されて、辻さんの家の前を張り込みをしていたらフルフェイスのヘルメットを被ってバイクで乗り付ける怪しげな人物が現れたのだ。

その人物は石を投げて辻さんの家の窓ガラスを割り、その音を聞きつけた辻さんが家の中から出てきた所で辻さんの車の中の目薬を入れ替えようとした所で刑事さん達はその人物を取り押さえようと飛び掛かったが犯人はボウガンで応戦。更にバイクに乗って逃走を図ったのだ。

 

ここで私がマヌケだったのは森谷教授の時みたいに既に犯人は取り押さえられたと勘違いして朝早くに現場に行ってしまった事だ。その際に前述の通り逃走を図った犯人と鉢合わせてしまったのだ。

咄嗟にローラーシューズで回避したのだが私はバイクは避けたが代わりに壁に体を強打して気を失ってしまった。その後、刑事さん二人が私を病院へ搬送し、病院にはお母さんが来てくれたらしい。

 

その後の展開はコナンから聞いたのだけど、おおよそ劇場版のストーリー通りに進んでしまった様で辻さんのヘリコプターは飛ばなかったけど、アクアクリスタルへは行ったらしくコナン、お姉ちゃん、お父さん、目暮警部、白鳥刑事、辻さん、沢木さん、小山内奈々さん、仁科稔さん、宍戸永明さん、ピーター・フォードさんのメンバーだった。ここで更なる予想外だったのは先程の刑事二人もアクアクリスタルに同伴した事である。

 

私が犯人に轢かれそうになった事に責任を感じて事件解決に協力を申し出たらしい。しかし、まあ……見た目がね。

 

 

「あの刑事さん達も凄い怒ってたわよ『いたいけな少女を傷付けた罪は重い』って」

「犯人の沢木さんボコボコにしてたもんね……」

「所轄じゃ有名らしいわね、兄弟で刑事してるとかで」

 

 

お姉ちゃん、コナン、お母さんの順であの日の事が語られる。

眠りの小五郎により真犯人である事が暴かれた沢木さんはアクアクリスタルを事前に設置していた爆弾で爆破。

水没するアクアクリスタルからの脱出のゴタゴタでお姉ちゃんを人質に自分だけ逃げ出そうとした沢木さんだったが、コナンが白鳥刑事の銃でお姉ちゃんの足を撃って逃走不可となった所でアクアクリスタルに同伴していた刑事二人に捕まりボコボコにされたらしい。

その兄弟刑事こそ丸男さんと竜二さんなんだけど……ぶっちゃけ世界的に有名な配管工兄弟にしか見えなかった。

名前からして丸男と竜二でネーミングもそこそこ似てるし。

 

それは兎も角、辻さん、沢木さん、小山内奈々さん、仁科稔さん、宍戸永明さん、ピーター・フォードさんは無事だった。正確には大小差はあるものの軽傷だったので今後の生活に支障はなさそうだがそれぞれがトラウマを抱える形となった。

そもそも沢木さんが犯行に及んだ原因として小山内さんの轢き逃げ。それに伴う味覚障害の後遺症。それに加えてストレスが原因の可能性があると医者から告げられ沢木さんは小山内さんと過去に自身に多大なストレスを与えた者への復讐を決意する。

辻さんは沢木さんが誇りに思っていたソムリエの仕事を馬鹿にした。

旭さんは高級なワインを買い占めた挙句、品質管理を疎かにしてワインをダメにし続ける愚か者と苛立っていた。

仁科さんは料理やワインに関する間違った知識を世間に発信し続けてソムリエと言う仕事をしていた沢木さんからしてみれば侮辱以外何物でもなかった。

被害者側にも確かに問題はあったとは思うがどんな理由であれ殺人を正当化して良い物では無い。

 

被害者の方々のその後も原作よりかはマシとは思うが凄惨だとは思う。

辻さんは酔っていたとは言えど恨まれる発言をした事による後悔。小山内さんは轢き逃げ容疑で捕まったとの事。仁科さんは自信を無くしてしまったらしく料理エッセイストを辞めるとの事だった。宍戸さんとピーターさんに至っては完全なるとばっちりでご愁傷様としか言いようがないし、アクアクリスタルのオーナーの旭さんや改心したのに罪を被せられる為に殺された村上丈さんには同情を禁じ得ない。

 

因みに白鳥刑事は目暮警部からお父さんとお母さんの確執の問題となった発砲事件を間違った解釈でお姉ちゃんに伝えた事を凄く怒られたらしい。まあ、人様の家庭に不協和音を響かせたのだから、このくらいは甘んじて説教されて欲しいものである。

 

 

そして真犯人だった沢木さんは丸男さんと竜二さんにボコボコにされた後で相当詰め寄られたらしく肉体的にも精神的にもかなり参った状態らしい。特に丸男さんのボディブローで三日程マトモに食事が出来なくなったと聞いた時は少しだけ同情した。

でも実際、沢木さんは同情する点は幾つかあったのは事実。まあ、その為に関係無い人を巻き込んだ殺人をした段階でアウトな訳だが。

 

 

お母さんはお姉ちゃんに別居を決めた本当の理由を話していた。お母さんは感謝の気持ちを込めて夕食を作ったのだが、お父さんはお母さんの傷を気遣って「こんな不味い飯を作ってる暇があるなら休んで寝てろ!」と吐き捨てたのだ。お母さんはそれに怒って、数日後には別居を決意したのだとか。気持ちはわからなくもないけどまだ赤ん坊同然だった私を残して出て行くのもどうかと思う。だからこそ離婚にまでは至らなかったのかもだけど。

しょうもないエピソードを笑いながら聞くお姉ちゃんを見て今回の一件でお姉ちゃんの疑心暗鬼も解消されたし良かったとは思いたいけど……

 

 

「お姉ちゃんを傷物にした責任は取ってもらうからね?」

「バーロー……当たり前だろ」

 

 

私がジト目でお母さんとお姉ちゃんに聞こえない様にお姉ちゃんの足を撃ったコナンを睨むとコナンは真面目な顔で切り返してきた。あらやだイケメン。

 

 

「そっか……でもお父さんもお母さんも嫌いあってはいないんだね……よーし、ここは私が仲直りをさせて……」

 

 

お姉ちゃんはお姉ちゃんでお父さんとお母さんの仲を取り持とうと考えてるみたいだけど高確率で失敗すると思う。

 




以前したアンケートのオリジナル刑事の登場となりました。
アンケートでも出さないで欲しいとの意見が多かったのでゲスト的な形での出演にするので今後は出ないと思います。


『丸男と竜二』
何処かで見た事があるような兄弟刑事。


「天堂丸男」
ガタイが良く、プロレスラーの様な体型。
強面顔だが優しい性格で子供の面倒見が良い。
身体能力に優れており、高跳びが得意。格闘技経験者で瓦割りの要領でブロックを破壊する程の怪力の持ち主。
キノコが好物。亀が苦手。

「天堂竜二」
細身で背が高い。頭脳担当。
少々気弱な性格でオバケが苦手。兄に比べると身体能力が高くないがその分、知恵でカバーしている。
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