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お姉ちゃんの提案でリゾートホテルの海辺で家族旅行の海水浴に。お姉ちゃんはお父さんとお母さんを別々に呼び出して偶然に二人が再会を果たした風に装って仲直りをさせようと計画してたけど……
お父さんはビーチで髪を拭いていた美女にスケベ丸出しの顔でナンパしようとした。しかし、お父さんが鼻の下を伸ばした美女はお母さんだったりする。
そしてお姉ちゃんがすかさず、「お父さんとお母さんったら偶然ね!これって運命かしら!」と芝居地味たセリフを出した。
「蘭……お前……」
「図ったわね……」
「あ、あらぁ……」
「そりゃバレるよ、お姉ちゃん」
「あ、ははは……」
お父さんとお母さんのジト目に睨まれ、お姉ちゃんは目が泳ぐ。私のツッコミにコナンは苦笑いだった。
そんなこんなでお母さんとも本格合流しホテルのレストランで食事を楽しむ事になったけど、お父さんとお母さんの空気が最悪だった。凄いギスギスしてる。
「ったく……なんでこんな所で顔を突き合わせながら飯を食わなきゃならんのだ……良い歳して水着着てたおばさんが居るってのによ」
「あら、親子連れで海水浴に来ていながら、そのおばさんに鼻の下を伸ばしてナンパしようとしたスケベ親父が言えた事かしら?」
「もうお父さんもお母さんも喧嘩しないでよ!確かに無理矢理引き合わせたのは悪かったけど……」
お父さんとお母さんはバチバチに喧嘩していた。自分が原因だとお姉ちゃんはフォローを入れようとしてるけど不機嫌な二人には効果が無さそうだよ。コナンは口が挟めずズッとジュースを飲むフリをして黙ってるし。仕方ない私もフォローしてみるか。
「でも、お父さんはお母さんの水着姿のお尻を見てナンパしようとしたんだよね?つまりお父さんはお母さんの水着に興奮した、と。お母さんプロポーション良いから、お父さんは……むぎゅ」
「説明せんで良い!」
「も、もう……何を言ってるのよ千紗ったら……」
お父さんが素直になれない様なので説明したらお父さんに口を塞がれた。どちらも顔を赤くしてるし、お母さんは恋する乙女の様な顔になってる。
素直になれば円満夫婦間違いないだろうにどっちもひねくれツンデレだから仕方ないか。
「ぷはっ……私もお姉ちゃんと同意見だよ。二人には喧嘩しないで……とまでは言わないけど家族全員で揃ったんだからご飯の時くらいは……」
「けっ……トイレ行ってくる」
「あ、ちょっとお父さん!」
私の言葉の途中でお父さんは不機嫌そうに席を立ち、行ってしまう。
「お、お父さんったら照れてるのよ」
「そうかしら?私には自分から折れる事の出来ない度量の小さい男にしか見えないけど」
「それってお父さんに言ってる?それとも自分自身?」
お姉ちゃんがフォローしようとしたがお母さんは冷静に切り返したけど私の一言に言葉を詰まらせる。自覚はあるのね。
お母さんはお父さんが吸っていた煙草の火を左手で灰皿に押し付けて消した際にお姉ちゃんが左手を見て驚いた。
「お母さん……結婚指輪してないの!?いつもしてるのに!?」
「ああ、わざとよ。試したのよ、あの人がコレに気付くかどうか。コレに気づく様ならまだ希望はあったかも知れないけど……全然気付かないんだもの。無駄だった様ね。別居じゃなくてサッサっと離婚すれば良かったかしら」
お姉ちゃんは気付いたけどお父さんは結婚指輪に気付かなかった。その事にお母さんは怒りを通り越して呆れて……いや、どっちかと言えば寂しがってるのかな?
「ダメよ、コナン君はあんな大人になっちゃ」
「は、はい!」
私がそんな事を思っているとお母さんはコナンの将来が心配になったのか注意を促したけど、なろうと思ってもお父さんみたいな人にはそうそうなれないと思う。
基本的に評価低めだけどお父さんって刑事としては優秀だったし、元々個人で探偵事務所を開設出来る力は持っていたんだから立派だとは思うんだけどな。あのお調子者の性格と空回りする体質が無ければもっと良かったとは思うけど。
「それにしても遅いなぁお父さん」
「またビーチにでも出てナンパでもしてんじゃない?」
「お母さん、半分正解かもね」
「だーはっはっはっ!」
「こんな所で名探偵の毛利小五郎さんに会えるなんて超ラッキー!」
「ウフフ」
お姉ちゃんが中々帰ってこないお父さんを心配して、お母さんが即座にお父さんの行動を予測したけど強ち間違いでは無かった。
お姉ちゃんがお母さんの予想を否定しようとした瞬間、ロビーにお父さんの笑い声と女子大生くらいの女性が楽しそうに話し合っていた。
この瞬間、お母さんのこめかみに一瞬、青スジが浮かんだの私は見逃さなかった。
「お、お父さんったら……」
「ほらね、スケベ親父の行動は予想しやすいでしょ。あの人の足をご覧なさい。さっき私達とビーチから戻った時に砂を全部払ったのに今は砂が膝までびっしりと付着してる。ビーチでひざまづいてあの娘達にサンオイルでも塗ってる姿が容易に想像出来るわ」
デレデレしている姿に僅かながらもショックを受けているお姉ちゃんに捲し立てる様に推理を重ねるお母さんだけど……それはちょっと早合点し過ぎじゃないかな?コナンはお母さんの推理を聞きつつも他の推理を組み立てたみたいだけど。
その後、女子大生と共に私達の所へ戻ってきたお父さんは女子大生の戸田貴和子さん、松崎はるみさんを紹介されて他にも一緒に来ていた河津邦生さん、松崎雅彦さんと合流してお昼ご飯を一緒にする事に。
シーサイドレストランに移動した私達は大学生の人達がスキューバダイビングのサークルである事や松崎雅彦さんと戸田貴和子さんが結婚する話を聞きながらお昼ご飯を食べていたんだけど……途中から雲行きが怪しくなっていった。
松崎雅彦さんと戸田貴和子さんは幼馴染の結婚が決まった事を喜ばしく思っていたし、お姉ちゃんも幼馴染の結婚にお父さんとお母さんみたいと言って素晴らしい事だと言って夫婦仲の改善を仄めかしたけど逆効果となった。お父さんは「幼なじみのフレーズに泣いたカップルがどれ程いる事か」と言って、お母さんは「気心が知れた仲だと幻想を抱くのは愚の骨頂」と完全に喧嘩のゴングが鳴ってしまう。
「ま、アンタ等には無用の事だとは思うが、もし奥さんの素行に不信を感じたら……この毛利探偵事務所をヨロシク」
「離婚の際、ご主人に慰謝料を請求したい場合は、この妃法律事務所をヨロシク」
「「は、はあ……」」
「さ、寒ぅ……」
「どうしてこうなっちゃうのよ……」
幼馴染の結婚に対する不安を盛大に煽ったお父さんとお母さん。
しかも営業のつもりで二人して名刺を渡してるけどこれから結婚する二人に浮気と離婚を仄めかしてどうするの……
真夏のビーチに極寒の風が吹いている様でコナンとお姉ちゃんはドン引きしていた。