毛利家の次女   作:残月

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大阪へ行く前に

 

 

 

左文字シリーズの続編が描かれたのは喜ばしい事だけど私やお姉ちゃん達がモデルってのは恥ずかしい。

幸いにも誰にも気付かれてないみたいだけど……

 

 

「探偵左文字の新シリーズ……実に面白いですね。特にこの新たに追加された助手達がそれを際立たせています。僕としてはこの恋する乙女な中学生が好ましい」

「そ、そうですか……」

 

 

白馬さんには気付かれてるみたい。面白そうに左文字シリーズの小説と私を交互に見比べてる。時折、面白そうに笑みを浮かべるのが何よりの証拠である。恥ずかしいんですけど……

 

 

「失礼。それで大阪行きでしたか。西の高校生探偵の服部平次君からのお誘い……と」

「はい。私達が大阪に来ないかと誘われたんですが、白馬さんも誘ったらどうだと言われました」

 

 

放課後に私は白馬さんと喫茶店でお茶をしていた。先日の事件のあらましと平次さんから大阪に誘われた事を話していたのだ。

白馬さんは持っていた小説をパタンと閉じるとフムと悩む仕草を見せた。

 

 

「せっかくのお誘いと千紗さんと旅行出来る重要なチャンスだと言うのに残念です。僕は急用が出来てロンドンに一度戻らねばならなくなりました。すぐに帰国する予定ですが非常に残念です。千紗さんと旅行出来たのに……」

「そ、それは残念です」

 

 

白馬さんは本当に悔しそうにしていた。私との旅行を二度も強調しないで下さい。

 

 

「でも白馬さんが緊急でロンドンに行かなきゃならないなんて何があったんですか」

「……千紗さん」

 

 

私が疑問を口にすると白馬さんは私の名を呼び指で私を此方に寄る様に指示をした。私がスッと顔を近付けると白馬さんも顔を近付け……いや、近いって!

 

 

「僕の思考回路を狂わせた数少ない存在の怪盗キッド。それと並ぶ程に世界的に有名な怪盗がロンドンの美術館に予告状を出したんです。そう……かの大怪盗アルセーヌ・ルパンの三代目。ルパン三世です」

「ルパン三世……」

 

 

あまり周囲に聞かせてはならない話だったからこそ顔を近付けてコソッと教えてくれた。と言うか、やっぱり居るんだルパン三世。一応コラボスペシャルとかあったから可能性はゼロじゃ無かったけど。

 

 

「因みに……僕の思考を一番狂わせてるのは貴女ですよ、千紗さん」

「ひゃっ……もう揶揄わないで下さい」

 

 

私が思考の海に沈みかけた時に白馬さんは私の手を取って囁いた。私がパッと離れると楽しそうにしている。本当に心臓に悪いですよ、英国イケメン探偵め。

 

 

「ロンドンの美術館からの依頼だったので断る訳にもいかないんです。まったく僕はつくづく怪盗と縁がある様です」

「そうですね……お仕事ならしょうがないですし、そっちの事件も楽しみにしてるんじゃないですか?」

 

 

私との旅行に行けないのは残念そうだけどルパン三世の事件に挑めるのも楽しみでしょうがないって感じ。ワクワクしている様子が新兄にそっくりなんだもん。

 

 

「僕の事も千紗さんにはお見通しって訳ですね。帰国の際には千紗さんにルパン三世の逮捕のニュースを届けてみせますよ」

「楽しみにしてますね。でも、危ない事はしないで下さいね?」

 

 

いや、まあ……ルパン三世を捕まえるのは怪盗キッドを捕まえる以上に難しいから無理だと思う。

取り敢えずガンマンとサムライには気を付けて下さい。

 

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