平次さんに誘われた事もあり、私達一家は大阪に来ていた。天王寺公園や、大阪ドーム、通天閣と大阪の観光名所を巡るツアーは純粋に楽しく、お迎えには平次さんの他に和葉さんも来ていた。
「どや、えートコやろ大阪は」
「蘭ちゃんも千紗ちゃんも待ってたんやでー」
平次さんは大阪観光をお勧めしたいらしくテンションが高く、和葉さんはお姉ちゃんや私が来るのを楽しみにしていたらしく私は抱きしめられて振り回された。
そのポジションはコナンでしょうに。そんな事を思いながら振り回されていたけど着地すると平次さんがニヤニヤしていた。
「なんや、白馬が居らんから機嫌悪いん……痛っ!?」
「余計な事を言ってると罰ゲームを厳しくしますよ」
私は平次さんの足にローキックを見舞った。前回も電話の時もそうだけど人の事を言えない立場で何言ってんだか。
「それよりもそろそろメシに行かないか?腹減ってきたぞ」
「おお、そやな。そろそろ迎えも来る頃やし。ま、もうちょっと待ってや」
「迎え?」
お父さんが空腹を訴えた所で平次さんは迎えが来るから待てと言うけど……そう言えば平次さんがこの時、用意させた車ってパトカーだったよね。でも、この人数ならパトカーには乗り切らないから流石に別の車を手配してるでしょ。
「おい、服部……そろそろ教えろよ。なんで俺達を呼んだんだよ。なんか事件とかか?」
「ちゃうちゃう。今回はホンマに仕事抜きや。一遍お前等に大阪見せたら思うてな。人間なんかいつ死んでまうか、わからへんからな」
その発言はミステリードラマや小説だと完全なるフラグです、と言いたくなったけど黙っとこ。
「けったいな夢見てもうたんや……今から犯人を捕まえるちゅう時に逆に犯人に刺されてもうて……お前が死ぬ夢をなぁ……ちっこい嬢ちゃんはその後で犯人ボコボコにしとったで」
「おい……」
「なんで私がオチ要員なんですか」
コソコソと事情を知る組で話をしているけど、その嫌な予感ってある意味で当たりってのがなんとも言えない。
暗い雰囲気を出さないようにケタケタと笑ってる平次さんだけど内容的には笑えないなぁ。
「スマンスマン、平次君」
「おっ、やっと来よった」
なんて話をしていたら眼鏡をかけた人の良さそうなスーツ姿の男性が現れた。あ、この人って確か犯人だったっけ。取り敢えず犯罪は防ぐ方向で……
「大阪府警の東尻署の坂田です。えろぉ、遅くなってスンマセン」
「刑事さんがどうして平次君の迎えで来たの?」
「ウチの親父が『毛利小五郎ハンが大阪に来はるんやったら、ちゃんと案内せぇ』って気ぃ効かせてくれたんや。ほんで、あの車は用意は出来たんか?」
刑事さんの自己紹介の後、お姉ちゃんは疑問を口にして平次さんが答えた。私としては不安が嵩んだんだけど。パトカーじゃないなら何が来る?
「そらもう。平次君に言われた通りに東尻署で一番の奴を失敬して来ましたがな」
「お、おい……警察署から失敬した車ってまさか……」
「おいおい……まさか……」
「パトカーなんじゃ……」
「ちょっと平次……」
「これは予想外でしたね……」
平次さんの問いかけに坂田さんが和かに答え、お父さん、コナン、お姉ちゃん、和葉さん、私の順でコメントしていく。平次さんのリクエストした車に全員が嫌な予感がしていた。
通天閣から外へと出るとそこで待機していたのは警察所属の事故処理車が鎮座していた。
「こんな車で大阪観光しろってのか!?」
「何が不満なんや?ピカピカの新車やで」
「連行されてるみたいで恥ずかしいんだけど……」
「上着脱いで頭から被ってれば完璧ですね」
「千紗ちゃんノリノリやん」
「知り合いにでも見られたら何か言われそうだな……」
確かに大人数だからパトカーには乗り切らないけど、まさか事故処理車を持ってくるとは思わなかった。仕方ないから全員乗車したけど悪目立ちしてるよね明らかに。
「もう恥かいた気分なんですけど」
「なんや貴重な経験やと思えばええんや。別に悪い事して訳やないんやから堂々としてたらええ。なんやそれともやっぱ白馬が居らんからノリ気やないんやろ」
私の一言に平次さんがまたもやニヤニヤしていた。まったく……
「そんな風に私を弄ってるなら私にも考えがありますよ。以前話してた罰ゲームをする時に東京ドームで巨人対阪神戦やってる時に巨人側のベンチ付近で六甲おろしを全力で歌わせますよ」
「なんでそんな大阪人が嫌がる事を的確に考えつくんや!」
「千紗ちゃん、怖い事思いつくなぁ……」
警察の事故処理車に揺られながらバカな会話が進む。私の提案した罰ゲームにお父さんは爆笑して、コナンとお姉ちゃんは苦笑い。平次さんと和葉さんと坂田さんは割と本気で引いていた。