毛利家の次女   作:残月

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レッド・ラム様から素敵なイラストを頂きました。
前話の前書きや小説のトップに掲載しています。
後書にも新たにイラストを頂きました。

ありがとうございます!


世紀末の魔術師② ◇

 

 

 

 

劇場版だと爆破とか凄い事になるけど初期だと違った意味でとんでもない事になった!

まさか盗みのターゲットの所在地を探る為に大阪の街を停電させるとかテロと変わらない事しやがって!

恐らくだけど警察の追っ手を撒くための停電による交通渋滞を狙っての事。だとしたら迷惑すぎるでしょ!経済損失とか考えて……ないんでしょうね!

私は空を優々と飛んでいる怪盗キッドを視界に入れながら停電して暗い夜道をローラーシューズで走り抜けていた。

 

 

「千紗さん、信号も止まって街灯も消えています。前をよく見ながら走ってください!」

「あ、はい」

 

 

そんな私に追いついて走れるアナタも大概ですよ、白馬さん。

新兄も探偵に必要な体力作りとしてサッカーやってたけどそれと同じく体を鍛えていたとしても、この速度を維持して走り続けるのは凄いです。

そして先程の不安は的中しており、車同士の事故で渋滞が発生し怒号が飛び交っている。たまにドゴーンって音が聞こえるから事故が頻発してる。これって怪盗キッドが引き起こした事って新聞かニュース、SNSで取り上げられたら大炎上するんじゃ。それに下手すると水道とかも止まるからライフラインとか……

 

あれですね。アニメとか映画館で見た時はハラハラするシーンって実際に見ると色々とエゲツない。

あまりの惨状に現実逃避しかけた私と白馬さんは渋滞の中をすり抜けて行く。

 

キッドを追って走っていた私と白馬さんだったけどそれは途中で中断させられた。川に差し掛かった辺りでキッドは突如バランスを崩した。それと同時に落下して行くキッドの姿が見えた。

 

 

「……キッドが!」

「千紗さん、前を!」

 

 

怪盗キッドはスコーピオンと呼ばれる殺し屋に襲撃される。覚えてはいたけど咄嗟の事態に私は空を見上げたまま走り続け……白馬さんの声にハッとなる。子供を抱っこしたお母さんらしき人が……ヤバッ!?

 

 

「っく……てりゃ!」

 

 

私は咄嗟に飛び上がって体を捻って宙返りの状態になる。私の頭の下を親子の頭が通過してギリギリの所で衝突は回避した……けどコレって着地がヤバいよね!?

 

 

「っと、この……きゃん!?」

「千紗さん!なんて無茶を!」

 

 

なんとか体勢を立て直して足から着地したけど思いっきり捻った。前回の時も思ったけど、この収納型ローラーシューズってデメリットの方が大きい気がしてきた。

 

 

「痛ったぁ……きゃっ!?」

「失礼します。そこのベンチに座って下さい。」

 

 

転がりながらも、なんとか起き上がりながら確認すると親子は無事だった。良かった、私が事故を起こす訳にはいかないんだから。そんな事を思っていたら白馬さんが焦った様子で私を横抱きにしながらベンチへと走る。

 

 

「捻ったみたいですね。見せて下さい!」

「ちょ、待っ……ひゃぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

私をベンチに座らせた白馬さんは私の靴を脱がせると少し腫れているのに気付いたのか、私の履いていたストッキングをすぽーんと脱がせてしまう。めちゃくちゃ恥ずかしいんですけど!!

 

 

「少し腫れている様ですが……」

「ん……くっ……」

 

 

更には骨に異常が無いか優しく触診しているんだけど痛いよりも恥ずかしさが勝っていた。私の口からは声にならない声が出てしまう。

 

 

「ふむ……骨に異常はありませんね。よかった」

「は、はい……痛いけど歩けそうです……」

 

 

恥ずかしいけど白馬さんは至って真面目に私の足の触診をしている。そういうのじゃないと分かっていても意識してしまうのは仕方ないよね。

しかも白馬さんは私の靴とストッキングを脱がせた後は私の前に膝立ちをして私の足を自身の膝の上に乗せている。足を汚さない為の配慮でこんな時にでも紳士を忘れない白馬さんは流石と言えるんだけど……

 

これって端から見れば白馬さんが私に跪いている様にも見える訳で

 

 

それを意識してしまって……ヤバい、今の私の顔絶対にヤバい事になってる。確認しなくてもわかるくらいに顔が真っ赤になってるってわかる。

 

私と白馬さんがこんなやり取りをしている間にキッドは生死不明の行方知らずとなり、エッグはコナンが回収していた事を後で聞かされた。ついでにキッドのハトも。

コナンから『何やってんだオメーら』的な目で呆れられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇side白馬探◆◇

 

 

 

怪盗キッドを捕まえる為に僕は大阪へきていた。千紗さんも毛利探偵と共に来ていて、なんでも鈴木財閥から毛利探偵を指名したからその付き添いで来たのだという。

僕は柄にもなく気分が高揚していた。怪盗キッドの逮捕のチャンスもそうだが前回一緒に行く事が出来なかった大阪へと千紗さんと共に来れたからだ。

 

怪盗キッドの予告状から毛利探偵や大阪府警や中森警部も怪盗キッドは深夜に来るだろうと予想をしていたが僕はそうには思えなかった。彼の予告状の言い回しを考えれば違った意味がある筈だと頭を悩ませていたけど違った悩みが出来てしまった。

警視総監である父から「今夜、警視副総監とそのお孫さんと会食する事になったから一緒に来い。それと毛利小五郎の娘と最近懇意にしているそうじゃないか。誘うと良いだろう」と言われてしまった。

父の立場から警察関係者と会食に行った事は何度もあったが、まさか千紗さんを連れて来いとはどう言う事なのか。

僕が話したから父が興味を持ったならまだわかるが千紗さんだけを誘った意味の方がわからない。父に問い合わせれば「警視副総監のお孫さんが生意気盛りらしくてな。ゲストを招き入れた際にどんな無礼を働くかわからん。身内や近しい者が叱っても効果が薄いから警視庁でも話題の毛利千紗に指摘してもらいたい」との事だった。

千紗さんをなんだと……と言いたかったが千紗さんは割とそうだった。殺人犯や怪盗キッドにすら説教をしてしまう。

本庁では犯人の心を折るスペシャリストとさえ言われているらしいが……

 

 

そんな事もあり僕と父さん、警視副総監、お孫さんの秀樹少年、千紗さんで食事会となったが……案の定、秀樹少年は千紗さんや毛利探偵との悪評や悪口を口にする。

千紗さんが諭す様に叱ると、今度は千紗さんの胸の事すらバカにし始めた。

この段階で僕の怒りは頂点に達していたが僕が許せなかったのはその後もだ。

突如、停電になり周囲が暗くなる。千紗さんが心配になったが千紗さんは叱っていた秀樹少年を守る為に自身の方へと抱き寄せていた。

先程まで千紗さんに悪態をついていた秀樹少年は顔を赤くしているがその手は必死に千紗さんを放すまいと抱きついていたのだ。

父の部下がライトを持って部屋に入った際に抱き合う千紗さんと秀樹少年を見た僕は即座に剥がしに行きたかった。

我ながら子供じみた嫉妬心が心を満たしている。だが、それを行う前に千紗さんが口を開いた。

 

 

「大丈夫ですよ。恐らく只の停電ですから……ん、停電……まさか!?白馬さん、カーテンを開けてください!」

「はい!……アレはキッド!」

 

 

千紗さんは僕に窓を開ける様に指示をしたのでカーテンを開ければそこには怪盗キッドの姿が。あの衣装のハンググライダーで空を飛ぶから悪目立ちしていた。

 

 

「警視総監!私は大阪の街を停電させた馬鹿を捕まえに行きます!お食事ご馳走様でした!」

「僕も行きます!」

 

 

大規模な停電を引き起こしたのが怪盗キッドだと確信した千紗さんは秀樹少年を部下に任せると素早く部屋を出て行く。僕も慌てて後を追ったが千紗さんは阿笠博士が作ったと言う収納型ローラーシューズで凄い速さで行ってしまった。僕は全速力で走ってなんとか追い付いたけど速すぎる。

 

 

「千紗さん、信号も止まって街灯も消えています。前をよく見ながら走ってください!」

「あ、はい」

 

 

千紗さんに注意を促しながら千紗さんの少し後ろくらいを走っているのだが停電の影響でそこら中から事故の音が聞こえる。しかし、これは彼らしくないですね。怪盗キッドはビルの停電くらいならやるでしょうけど街そのものを停電に追い込むなんて初めてだ。まるで何か焦っているかの様な……そんな僕の思考を切り裂いたのはキッドの様子が突如変わった時だ。怪盗キッドはバランスを崩して落下して行くのが見えた。何があったんだ!?

 

 

「……キッドが!」

「千紗さん、前を!」

 

 

千紗さんも動揺していたのか前を見ないまま走ってしまい、僕が注意しても僅かに遅かった。千紗さんの目の前には幼児を抱き抱えた母親が。このまま行けば激突は必至だった。

 

 

「っく……てりゃ!」

 

 

千紗さんは激突を避ける為に飛び上がるとアクション映画のヒーローの様に体を捻りながら女性の頭の上を宙返りしながら通過する。でも、あの体勢はマズい!

 

 

「っと、この……きゃん!?」

「千紗さん!なんて無茶を!」

 

 

見事に体勢を立て直した千紗さんだったけど着地までは難しかったらしく足を捻ってゴロゴロと転がって行った。

 

 

「痛ったぁ……きゃっ!?」

「失礼します。そこのベンチに座って下さい。」

 

 

僕は千紗さんに追い付くと千紗さんを抱きかかえて近くのベンチに座らせた。先程の女性は驚いていた様だが千紗さんの機転と行動で無傷だった。千紗さんは運ぶ際に小さくだけど「痛っ」と漏らしていたので恐らく捻った足が痛むのだろう。ベンチに座らせた後、靴を脱がせると捻った側の足首が明らかに腫れていた。

 

 

「捻ったみたいですね。見せて下さい!」

「ちょ、待っ……ひゃぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

折れたりヒビが入っていたら大変だと僕は千紗さんの足の触診をする事にした。履き物を脱がせて足首に触れる。足首を動かして様子を見て「ん……くっ……」と千紗さんから痛みに耐える様な声が出ているが折れてはいないみたいだ。

 

 

「ふむ……骨に異常はありませんね。よかった」

「は、はい……痛いけど歩けそうです……」

 

 

痛いのであれば無理はしないで下さい。そう言おうとして僕は自身の失態を悟る。千紗さんが怪我したかもしれない焦りから千紗さんの履いていたストッキングを脱がせていた。しかも触診の為とは言えど紳士は女性に気軽に触れて良いものではない。僕とした事が焦りから完全に失念していた。

 

しかも千紗さんは僕が触診をしている最中も痛みではなく羞恥で声を上げていたのかもしれない。

寧ろ後者なんだろう。千紗さんは目を瞑り、手で口元を隠しながら羞恥と痛みに耐えている様に見えた。

 

 

僕が千紗さんに対して失礼な事をしてしまった事を悔やんでいたらエッグはコナン君が回収していた。怪盗キッドの方は行方知らずとの事だが彼の事だからきっと無事だろう。なんせ彼を捕まえるのは僕なんだから。

 

 

この後、大事を取って千紗さんは歩かせず僕が運ぶ事にした。

毛利探偵には怒られるだろうなぁ……隣を歩くコナン君もジト目だし。

ところでそのハトはなんだい?




本日の教訓『考え事をしながら走るのはやめましょう』


レッド・ラム様から素敵なイラストを頂きました。
ローラーシューズで走る千紗です。  
AI作成によるファンアートの様ですのでイメージが違う可能性がありますので閲覧の際にはご注意下さい


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