毛利家の次女   作:残月

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『隻眼の残像』観て来ました。
こりゃもう創作意欲がモリモリと湧き上がる出来栄えで。

一言で言うなら最高です。


世紀末の魔術師⑧

 

 

 

私がカラカラと鉄パイプを地面に引きずって音を鳴らしながら歩くとキッドは青ざめて後退りしていく。まあ、お待ちなさい。

 

 

「さて……何故私が来たか、分かりますよね?」

「ふ……俺が逃げるとでも?」

 

 

いや、思いっきり逃げようとしてたじゃないですか。

 

 

「取り敢えず鉄パイプは勘弁してくれ」

「ああ……この鉄パイプは杖代わりです。まだ少し足が痛いので」

 

 

まったく人を何だと思ってるんですか?脅す為に拾ったのも事実ですけど。

 

 

「こんなので人を叩くなんてしませんよ。まあ……叩きたい気分ではありますけど?」

「大阪の件…‥だよな」

 

 

私がカンカンと鉄パイプで地面を突くとキッドは怯えた様子で……それは兎も角、新兄の姿のまま情けない姿は見せないで欲しいです。それはそうと私はメモ帳を開く。

 

 

「停電による被害ですが……交通事故が37件。医療機関への悪影響。エレベーターが停止した事で閉じ込められた人が数名。インターネットの使用不可による業務処理の停滞。スーパー等の食材がダメになる……まあ、余罪を上げればキリがないですね」

 

 

私が罪状を読み上げてるとキッドは新兄の姿のまま土下座をしようと……おいおい、ちょっと待ちなさい。

 

 

「アナタの土下座を見るのは吝かではありませんが新兄の姿のままやらないで下さい」

「俺自身の姿だったら良いのかよ……」

 

 

死刑を待つ囚人みたいな顔してそんな事をしないで下さい。観念し過ぎでしょ。しかも新兄の姿のままで。立って下さい。話がしづらいから。

 

 

「それで?テロリスト紛いの事をした怪盗キッドをどうする気だ?確かに俺は今回やり過ぎたとは思ってたよ……だが今回だけはしくじれなかった……どんな手を使っても……その結果がコレだ。怪盗もマジシャンはスマートじゃなきゃならないってのによ。エッグの件があったとしてもやっちゃならない事だった……」

「……一応、反省はしてるみたいですね。先程は罪状を読み上げましたけど奇跡的に死者は出ていません。怪我人は多数出ましたが。医療機関への影響も然程出なかった様でした。自家発電への切り替えが早かったみたいです」

 

 

雨の中、俯く怪盗キッド。その姿から反省しているのは感じ取れる。私はパタンとメモ帳を閉じた。

 

 

「私も足がこんなですし、現状捕まえるのは不可能です。アナタが罪を認めず逃げる様なら地の果てまでも追い掛けるつもりでしたけどね」

「おっかねーな、おい。最初はその鉄パイプで殴られてリンチされるかと思ったぜ」

 

 

正直、あのタイミングで走って逃げられたら捕獲は難しかっただろう。逃走経路を予想して先回りしてただけなんだから。

いくら鉄パイプを持ってても私情で暴力は振るいませんよ。

 

 

「そう言う意味ならアナタが罪を認めてくれて助かりました。罪を認めるまで拷問とか疲れますから」

「そこは良心が咎めるとかじゃないのかよ!?ないんだろうな!」

 

 

うん、ナイスノリツッコミ。

 

 

「ったく……俺は此処で失礼させて貰うぜ。お前に捕まったらタダじゃ済まなそうだ」

「あら、今は兎も角、現行犯で逮捕したら容赦しませんよ?」

 

 

キッドは新兄の変装を解いてバサっとハンググライダーで飛び立って行った。

大阪の街のライフラインを破壊した馬鹿に折檻したかったけど……お姉ちゃんにバレそうだったコナンの正体がバレない様にフォローしてくれた恩は忘れませんよ。

今度、盗みを働いて現行犯で捕まえる機会があれば容赦しませんけど。

 

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