沖縄旅行も無事に終わり、帰ってきた週明け。
私は白馬さんに沖縄土産を渡しに江古田高校近くに来ていたんだけど……
「あら、彼女が例の?」
「ええ、毛利千紗さんです」
「ど、どうも……毛利千紗です」
お互い学校帰りと言う事もあり、制服姿だったんだけど白馬さんが凄い美人さんと一緒だった。江古田高校の制服着てるけど、どなた?
「そう……私は小泉紅子よ。よろしくね」
「あ、はい」
「紅子さんは僕のクラスメイトなんです」
紅子さんから差し出された手を握り返す。え、小泉紅子……あ、そうだ!この美人さん、まじっく快斗のキャラの紅子さんだ!リアルで見るとめっちゃ美人!
「貴女……不思議な巡り合わせを持っている様ね」
「へ?」
握手したまま凄い真面目な顔で思案された。いや、何事!?
「あら、ごめんなさい。私、タロットとかやってるのよ。少し気になっただけよ。白馬君の大事な人なら今度占ってあげるわ」
「は、はい……その時はお願いします」
思案する顔から静かに微笑みながら手を離す紅子さん。その思案顔が凄く気になったんですけど……追及のしようがないから何も言えないけど。
「じゃあ白馬君。また明日」
「ええ、また教室で。行きましょう、千紗さん」
紅子さんは話はここまでと言わんばかりにサッサッと帰ってしまった。白馬さんもスマイルで見送る。そうなったら私は本格的に紅子さんを呼び止めて先程の事を聞く訳にはいかず諦めるしか無かった。
「クラスメイトの方なんですね」
「ええ、クラスの中ではよく話す方です。他にも仲の良い級友は居るんですが先程、幼馴染の方と帰ってしまいまして。紹介し損ねてしまいましたね」
並んで白馬さんと適当な店に入ろうかと雑談をしていると話題はやはり紅子さんや白馬さんのクラスメイトの事に。
その級友って中身怪盗キッドの方ですよね?幼馴染はお姉ちゃんそっくりの人。早く会ってみたいなぁ。
「しかし……紅子さんも不思議な事を言ってましたね。まあ、彼女はタロットや占いが得意なそうなので千紗さんの事も気になったんでしょう。僕からも機会を見て占ってもらう様にお願いしますから。彼女、学校内じゃ美人占い師として有名なんですよ」
「……そうなんですね」
まただ……前にも白馬さんが峰不二子の事を言った時も胸の辺りがモヤっとしたけど……今も白馬さんが紅子さんの事を褒めた時にモヤッと。
うーん……不整脈かな?
あ、白馬さん。コレ、沖縄のお土産です。
◆◇side小泉紅子◇◆
「不思議な子ね」
白馬君とあの子と別れた私は先程まで彼女と握手していた手を見つめる。
あの子、理が何処か普通の人と違った……まるで世界が違うかの様な存在。
生粋の魔女である私はあの子と握手した時に何かを感じた。
あの子は私の言葉をキョトンと聞いていたけど私の方は心中穏やかではない。この町や米花町の様に因果に囚われている場所や人が多く渦巻いている。
あの子もその内の一人ね。大きな運命に巻き込まれてしまう。
「きゃっ!?あれ、紅子ちゃん?」
「何やってんだオメー?」
「ごめんなさい。ちょっと考え事をしていたのよ」
考え事をしながら歩いていた所為で前が疎かになってたわね。本屋から出て来た中森さんとぶつかってしまう。その後ろには黒羽君も一緒だった。
「考え事?」
「ええ、さっき白馬君の恋人候補と会ったの」
「えー、前に白馬君がデートしてた子?青子も会いたかったなぁ!」
黒羽君の疑問に答えると中森さんが会いたかったと話す。二人は会った事が無いのね。
「ねぇねぇ、どんな子だった!?」
「見た目は可憐な文学少女……って所かしら。私から聞くよりも白馬君に紹介して貰って会った方が良いわよ。人から聞くのと直接会うのじゃ印象が違うもの」
そう……あの子は一言じゃ言い表せない何かがある。
「なんかあったのかよ、白馬の彼女に?」
「まだ恋人関係では無さそうよ。そうね……あの子は特別な運命に愛されてる……私には分かるのよ。あの子を取り巻く運命の柵がね」
黒羽君が中森さんに聞こえない様にコソッと話しかけてくる。私の方でも少し調べた方が良さそうね。
「何言ってんだか訳わかんねーよ」
「タロットの占いや御呪いと一緒よ。遠回しにしか言えないのよ……そうね分かりやすく言うと……」
艶美な言い回しは黒羽君は好みじゃ無いのね。なら分かりやすく……
「あの子の中で天使と悪魔がチークダンスしてるわ」
「いや、より一層わからねーよ……」
まだ私にもハッキリとした事は言えないのよ。でも、あながち間違ってない気がするのよね。