◆◇side白馬探◆◇
「例のブツよ」
「ご拝見します」
僕は千紗さんの姉の蘭さん、その友人の園子さんに呼び出され学校帰りに喫茶店で待ち合わせていた。
向かい合わせのテーブルに座ると園子さんは何故かサングラスを掛けており、茶封筒に入れた何かを差し出してくる。
まんま怪しげな取引現場の様だが何があるのだろうと興味の方が優った僕は茶封筒を開けて中身を確認した。
「こ、これは……」
「いいでしょー。ベストショットよん」
茶封筒の中身は数枚の写真が入っていて、先日伊豆に旅行に行ったとは聞いていたけど、その時の写真なのか……
千紗さんの私服姿、浴衣、水着と僕にとっては眩しく輝かしい写真に見えた。
「これを……何故僕に?」
「蘭の方は新一君に見せるつもりだから別にしてるけど白馬君はすぐに呼び出せるからね。元々旅行の写真は見せるつもりだったし」
園子さんは注文したコーヒーを口にしながら笑みを溢す。工藤新一に見せる蘭さんの写真もあるのか……僕は彼に会った事はないが千紗さん曰く、実質夫婦の両片思い。早くっつけや、なんて言っていた。
厄介な事件を抱えて今は姿を見せないそうだが……少し気になるな。
「それでね……千紗は私に遠慮しちゃて白馬君を誘う事が出来なかったから、そのお詫びかしら」
「そうでしたか」
そんな事を思っていたら園子さんからは詫びの言葉が出ていた。
千紗さんからは園子さんの傷心&ナンパ旅行と聞いていたが、どうも当人達での認識の違いがあるな。気を遣っていたのは事実だろうけど語弊がある気もしますね。
「……っ!」
「あ、やっぱりその写真に一番反応した。可愛いでしょ」
何枚かの写真を見ていたけど僕の手は最後の一枚でピタッと止まってしまう。
そこには見た事もない柔らかな笑みを溢す千紗さんの笑顔が。
僕もまだ見た事のない笑顔に可愛いと思う反面、少し悔しい気持ちになっていた。
千紗さんは家族や親しい友人の園子さんの前ではこんな笑顔をするけど僕の前ではまだこんな笑みをしてくれていない。
その事実が少し僕の心に棘が刺さった気分だった。
「……千紗の事、お願いね。あの子、いつも受け身だから白馬君みたいにドンドンアプローチしてくれる人の方があの子の為になると思うから」
「……ええ。そのつもりです」
そんな僕の思いとは裏腹に園子さんは少し困った様な笑みを浮かべながら僕に千紗さんの事を話していた。園子さんにとって千紗さんは妹みたいなものだと聞いている。だからこそ伊豆旅行の際にお互いに必死に庇おうとしたと聞いている。
今も姉の蘭さんとは違った方向でだけど千紗さんの幸せを願ってると言う事なのだろう。
「それはそうと……千紗の中学校の体育祭。千紗は応援団に決まったそうよ。もしかしたらチアガール姿の千紗とか見れるかもしれないわよ」
「それは……楽しみですね」
千紗さんから体育祭の話は聞いていたが……是非とも見学に赴きたいですね。
◇◆side毛利千紗◆◇
「貴女もトラブルに好かれる性質みたいね。誰かを守ろうと動くのは良いけど自分自身をまずは守りなさい」
「私自身と言うよりも周囲の方が……って気はしますが」
主にコナンとか園子さんとかコナンとか絡みで。
学校を終えた後、紅子さんから呼び出され喫茶店へ。テーブルに着くなり紅子さんはトランプで私を占い始め……先日の伊豆旅行の件も含めて注意を受けた。貴女の情報のネットワークどんだけ広いんですか。
「あら、恋愛方面は良い結果ね。これから何かあるかも知れないわよ」
テーブルの上にシャッとトランプを円形に並べる紅子さん。その内の二枚をピッと選ぶと片方はハートの絵柄。ニヤニヤと笑みを浮かべる辺り楽しんでますね。もう一枚がなんなのか気になるけど教えてくれそうにないですね。
「貴女はこれから大きな災いに巻き込まれていくわ……気を付けなさい。貴女に何かあれば悲しむ人間も多いのよ」
「普段がトラブル塗れなので……より一層気をつけますね」
紅子さんに真面目な顔で注意されたけど、こちとら修羅の国コナンワールドで頑張ってんですよ。
これ以上予想外のトラブルでも……起きそうだから怖い。
冷静に考えればこれから過激なシリーズになるから気を引き締めないと。そろそろ黒の組織の話に差し掛かる頃だし。
「ああ、それと……これから先、恥ずかしい思いをするわよ。主に白馬君関連で」
「それって予言云々じゃなくて確定事項なんですか?もう決まった未来を見たかの様に言いましたけど!?」
貴女が言うと洒落にならないから怖いんですよ!