毛利家の次女   作:残月

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夏バテやネタ探しで時間がかかりました。


シンフォニー号殺人事件①

 

 

「レコードよ、レコード!この答えレコードに間違いないよ」

「『昭和の頃……ほとんどの日本人が持っていた大切な物。貴方はまだお持ちですか? 現在、完全に姿を消しつつある、その貴重な品物を持参された方を先着10名様を小笠原イルカツアーに無料ご招待』……中々に豪勢な催しだね」

 

 

新聞の端に記載された広告にお姉ちゃんが目を輝かせていた。私も新聞を覗き込むと謎解きが出来れば二泊三日の無料ツアーとは大盤振る舞いなイベント……なんだけどこれって事件の導入だったよーな。

 

 

「やめとけやめとけ、こんな胡散臭いツアー。第一、蘭の答えも間違ってるぞ。レコードなら『日本人』とは書きゃしねーよ」

「じゃあなんなのよ、その答えは」

「昭和の頃のレトロな物って事だよね?昔懐かしい物?」

 

 

お父さんはお姉ちゃんの答えが間違っている事を指摘して、お姉ちゃんは答えをお父さんに促した。うーん、なんだったっけコレの答え。

 

 

「バーカ。今の日本人が忘れちまったのは『侍魂』に決まってんだろ」

「そんなの私、今も昔も持ってないけど……」

 

 

取り敢えずお父さんもお姉ちゃんも答えはハズレっと。

 

 

「昔懐かしい……そのフレーズはどんな物にも通用するんだな。レトロブームなんて、正にそれだろうし」

「あー、なんか分かるかも。大した物じゃなくてもビンテージみたいに思えるからね」

 

 

悩むお父さんとお姉ちゃんを尻目に私はコナンとレトロな物が答えだという新聞記事を見ていた。

 

 

「ヨーヨー、ラッパズボン、紅茶キノコか……お、エリマキトカゲってのもあったな」

「うーん、DCブランドにファミコン……」

「結構色々と出て来るもんだ」

「それが答えとは思えないけどね」

 

 

お父さんとお姉ちゃんは思い付く限りの懐かしい物を挙げているけどどれも合っているとは思えない。その様子にポンポンと答えを出しているが答えが合ってるとは思えないコナンは呆れ顔だった。

 

 

「大人は皆……昔を懐かしみ、あの頃に戻りたいと思うんだよ。それに営業を織り交ぜて下世話な言い方をすればノスタルジーは、お金になるって事だね」

「身も蓋も無さ過ぎるだろ。あ、でも千紗ねーちゃんが正解かもね」

 

 

私の発言にコナンは前半はボソッと私に聞こえる様に小声でツッコミを入れた後、あどけない声を出して私が正解を引き出したと言った。

あ、そっか……忘れてたけどこの問題の答えは……

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

「はい、正解です」

 

 

お父さん、お姉ちゃん、コナン、私はシンフォニー号の乗り場で添乗員さんにビシッと旧一万円札を見せつける。聖徳太子の一万円札なんてもうレア過ぎるよね。見事に正解だったから私達はシンフォニー号への乗船が認められた。

 

 

「コナン君と千紗の言った通りだったねー。前のお札、大事に取っておいて良かったー」

「たまたまだよ」

「私もコナンが気付けたからだよ」

「おい、サッサと仕舞えよ。他の奴にも見られちまうだろ」

「大丈夫ですよ。簡単に用意出来る物ではありませんから」

 

 

お姉ちゃんがお札を見ながら感心していたがコナンは兎も角、私は偶然です。お父さんは他の人に見せるとマズいだろ、と言うけど簡単に用意出来る物じゃ無いから大丈夫と告げられていた。

案内された船内は豪華ホテルみたいな仕様だった。

事件さえ起こらなければ良い船旅になるんだろうけど。

 

 

「お客様、四名様。ご家族ですか?それでしたら10号室のツインルームにご案内させていただきます。四名様ですので簡易ベッドもご用意致します」

「そうですね。お願いします」

「じゃあ小さい簡易ベッドは私とコナンが使う形になるね」

 

 

そう言えばこのツアーの上限は10人だったよね。コナンはカウントされなかったとしても私が居るイレギュラーが人数を変えちゃうのかな?

 

 

「では、お客様のお名前の確認を……」

「あ、はい。私、毛利小五郎と言いまして……」

「元警視庁捜査一課の刑事で……今は泣く子も黙る名探偵……だろ?」

 

 

添乗員の確認にお父さんの言葉を遮ったのは渋いおじさんだった。

 

 

「さ、鮫崎警視殿!?」

「おいおい、もう警視じゃねーよ。二年前にめでたく定年を迎えた只の老いぼれさ」

 

 

お父さんが驚きながら咄嗟に敬礼しようとするのを鮫崎さんが手で制した。お父さん、偶に刑事時代の癖が出るよね。

 

 

「わー、お久しぶりです」

「おお、蘭ちゃんは別嬪さんになったな。千紗ちゃんは……まだちっこいな」

「小さい子を抱き上げる様に持ち上げないで下さい。ちっこいのは認めますけど」

 

 

お姉ちゃんが鮫崎さんに挨拶すると笑みを浮かべながらお姉ちゃんと私を交互に見た後、私を高い高いをするように脇に手を添えて私を持ち上げる。

 

 

「お久しぶりです。警視……いえ、鮫崎さん。どうしてここに?」

「なーに、ちょいと海が見たくなってね。ほら、今日は特別な日だろ?」

 

 

お父さんの疑問に鮫崎さんが悲壮感が漂う顔で告げた一言にお父さんはポカンとした顔をした。

 

 

「特別な日?」

「ハッハッハッ。刑事を辞めた、お前が忘れちまうのも無理はねーか。それよかあの別嬪の女房はどうした?まさか、まだ別居してるなんてこたぁ……」

 

 

鮫崎さんの一言に一瞬場が静まり返る。

 

 

「生憎、そのまさかでして……ま、いいんですよ。あんなのは放っておいて」

「ちょっと、お父さん!」

 

 

お父さんはお母さんの悪態をつく。お姉ちゃんが咎めてるけど、お父さんはお母さんの事を別嬪って所を否定してないし、生憎って事はお母さんとの別居中なのを後悔とか残念に思ってるって事だと思うよ。

 

この後、客室に案内されて行く途中で先に乗船していた何故かハンコを持ち歩く亀田さんやその亀田さんの知り合いなのか親しげな蟹江さん、最後の一人の乗船者となった海老名さんと会った。

 

私が来た事で人数が11人になったのに大丈夫かと思ってたけど「子供だからいいでしょ」とされた。私、一応中学生なんですけど……

 

 

「でも、これでこの船で事件が起きても安心ですね。名探偵の毛利小五郎さんや元刑事さんが合わせて3人も乗られてるんですから」

「3人?」

「オレ達の他にも誰か乗ってるのか?」

 

 

乗船客のチェックをしていた添乗員さんが完璧なフラグを立てた。いや、もう事件確定じゃん。

 

 

「ええ、若い探偵さんがもう一人……そうは見えない方なんですが」

「ほう……まあ、いいだろ。毛利、荷物を置いたらデッキで一杯飲まんか?」

「お、いいですな」

 

 

添乗員さんの説明に少し引っかかったものはあるものの今は良いのか鮫崎さんとお父さんは既にお酒の話をしていた。

 

ま、取り敢えず荷物を部屋に置いて……

 

 

「その探偵ってもしかして白馬君なんじゃない?千紗を追いかけて来たとか」

「白馬さんは他に用事があるって言ってたよ。お姉ちゃんだったら新兄が来て欲しいんでしょ」

「あ、はは……」

 

 

少しニヤついた顔でお姉ちゃんが私を揶揄おうとする。

お姉ちゃんも最近、園子さんや和葉さんみたいに私と白馬さんをくっつけようと必死なんだよね。

色々と思う所はあるけどこっちはこっちで揶揄うネタ増やしてるから、そのつもりで。

コナンは乾いた笑みを浮かべてる。まあ、本人が一緒なんだから当然か。

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