お祭り当日
電車も通っていない田舎にしてはかなりの大盛況で目を回す程に忙しかった
迷子の子供の親を探したり、叢雨丸が抜けないことに怒った酔っ払いをあしらったり、告白してくる地元の男を玉砕したりとイベントに事足りない……最後のは余計だね
おやつ時が過ぎた頃になると、ひとしきり観光客をあしらえば、人の流れに波があって小休憩ぐらいできるようになった。まあ、ここから夜になるとまた人が増えるのだろうけど。
受付に置いておいたペットボトルのお茶を飲んでいたら地元の男女と普通の格好をした青年が近づいてきた。大正あたりの服装をベースとした服装を地元の人はしているから見分けがつけやすくて助かる。
「あの、鞍馬 玄十郎を知りませんか?」
「鞍馬、鞍馬、くらま?」
メモを片手でめくりながら人名の着いたタグを必死に探る
めも204 鞍馬 玄十郎は旅館、志那都荘のオーナー
違うこれじゃない
メモ219 鞍馬 玄十郎は白髪の老年 イケおじ
イケおじ、イケおじね……
全然分からない。イケおじってどういうこと???
困っていると誰かに肩を叩かれた
「将臣か、来ていたのか」
私の後ろにイケおじがいた。うん間違っていない。メモ全然役にたたないな……
「お久しぶりです。さっき到着しました」
「長旅ご苦労じゃった。うむ、して、将臣はこのイベントは初めてか?」
「見るのも初めてですよ」
将臣と呼ばれた青年の視線は、社内に祀られた巨石に突き刺さった1本の刀に向けられていた。
心做しか目がキラキラしているのは男のサガというものだろうか?
「いい機会じゃ。将臣もやってみるといい」
玄十郎さんはちょうど人もおらぬところだしのと付け足し青年を率いて叢雨丸の所へ案内した。
その時微かに青年から祟り神と同じ匂いがした
「(いや、流石に気のせいか)」
人からする匂いじゃないから思い込みすぎかもしれない
人混みに疲れているのだろう。巫女姫様にケモ耳が生えるとかいうビックリ予兆が発生していないのだから、こんなに人が多い場所まで祟り神が来るはずがない。きっとなにかの間違いだ。
そう思い、気分リフレッシュするために伸びをしていたら、鉄の折れる音がした
「は?」
ありえないと思いながら音の鳴った、叢雨丸の方を見ると、刀身が中程で折れている刀を持った青年がこの世の終わりみたいな顔で立っていた。
思わず2度見したけれど変わらず叢雨丸は折れたまま
「「え、え〜〜〜〜!!!!」」
私と青年の声がシンクロして神社に響いた
勇者の剣イベントは目的の刀が折れたことにより中止となった