九十九と仲違いした人   作:覚め

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後日談


第11話

終わった、というよりも終わらせたという気分。虎杖悠仁の魂を知覚する拳が黒い火花を放ち、その瞬間に乙骨が呪言で足止め。日車が刺して終わりと、呆気のない物だった。裏梅は秤が隙を作って、九十九の術式でダイブして死んだらしい。死滅回遊は、これもまたあっけなく終わった。理屈は知らんが、とにかく終わった。

 

「…正直言って、君は自分から出るタイプではないと思っていたんだけどね」

 

「そうか?」

 

「高専時代から変わってなければね。冥冥さんがそう言うってことは多分変わってないのかな」

 

…虎杖悠仁と伏黒の二人にとあることを言いに来た、というよりも伏黒にとあることを言いにきただけなんだが…どうやら、九十九には珍しく見え、冥冥にはあり得ない行動として見られたっぽい。さらに言えば冥冥は宿儺戦の時のことを言い出した。思い出が長いな、おい

 

「これから先、私は時代遅れだろうね」

 

「まあ、六眼が消えたから大して呪霊も強くはならないさ。」

 

「だったらまだやれる。安心だ」

 

「あ、そういえばなんだけど」

 

「なんだい?」

 

「お金かな?」

 

なんだこの二人、まじでキレるぞ…と思ったがどうでも良い。万も宿儺が死んだのを確認したら途端に出なくなった。まあ基本よくわからんが、万自身の気分なのだろう。俺自身模倣を捨てているから、万から構築術式について聞いて見たかったが何も答えないなら仕方ない

 

「俺、術師やめるから」

 

「…はぁ?」

 

「驚いたね」

 

「あの戦い自体、恩のある歌姫に頼まれて入ったようなもんだ。復興はできるだけ手伝う、でもそれまでだ」

 

「歌姫から?」

 

「…どんな恩があるのかな?」

 

「俺が荒んでた時に話聞いてくれてな。更に飯まで奢ってくれたんだ。そのときの恩だ」

 

「しょぼっ!」

 

「歌姫が…どこの店の食事か、覚えてる?」

 

「コンビニ。九十九が消える頃だったし、歌姫も小さかったしな。貰ったのはウエハースだった」

 

伏黒の部屋に着く。中から少し騒がしい音がする。何かあっただろうか。虎杖悠仁がいるのは知っている。他にいるとすればなんだ?伏黒自身の式神?いや、奴らは喋らないはず。では誰だ…二年の奴らか?真希や乙骨か。まあいても不思議な奴らではない。そんな中爆弾を落とすようで申し訳ないが…まあ、良いだろう。

 

「よう」

 

「…いないわよ」

 

「おや」

 

「歌姫じゃないか」

 

「なぜいない?」

 

「呪物の毒に適性があるだけの人間に、万が一でも宿儺が出たら危ないじゃない」

 

「あーそうか‥まあ良いか。」

 

「そんなに急ぐ用事じゃないんだ?」

 

「まあな。どーせいつかわかるし」

 

「で…なんであんたが女を侍らせてるわけ?」

 

「これが侍らせてるって言うのか?いつ殺されるかオドオドだ」

 

まあ良い。歌姫はまだ信頼できるからな。特に何もすることはないが、ただただ面倒な気になっているのが事実で、実際、今病室のベッドに腰掛けている。九十九は何をしているのか、俺の真向かいにあったベッドに腰掛けている。冥冥は歌姫の横に立った。お前らがそこに立つとすんごい怖い。

 

「…なんでやめるのか聞いてなかったね」

 

「え、やめるの?」

 

「らしいよ」

 

「そりゃお前、金だって十分に貯まったし、もう働く必要がないからだよ」

 

「総士らしいね。こういう話の時に私の目を見ないのも総士らしい」

 

「どっかのアパートで読書でも永遠にやろうかしら」

 

「君には無理だろうけど?」

 

そういえば、読みたい本とかあっただろうか。後で本屋行ってみよ。それとは別にゆっくりしたいんだよ俺は。術師、しかも九十九由基の同期なんだから、アホほどそれ関係で話が回ってくるし、ある程度の実力があれば五条が絡んで来て面倒になる。特級は面倒以外を運んでこない。これ、今後術師になるなら覚えとけよ。

 

「九十九。俺は模倣を捨てた。今使えるのは、投射呪法と分身、十割呪法、構築術式だけだ」

 

「なんで星の怒り捨ててんの?」

 

「捨てた、というよりもそれ以外を絞って構築術式の利便性を上げるために重要な術式全部捨てただけだ」

 

「あ、そゆこと」

 

「…じゃ、行くわ。伏黒達いねーし」

 

さっさと立ち上がる。乙骨にも言っておこう。それだけでもまあ良いはずだ。現代の最強、乙骨憂太に。今の特級二人はこれからの呪術界のツートップだろうな。是非とも頑張っていただきたい。俺?九十九の術式、投射呪法に分身…と考えるならば、特級認定されかねん。よって逃げる。

 

「乙骨〜」

 

「総士さん」

 

「お、なんだおまえ」

 

「真希は知ってるはずなんだが」

 

「いや…ぁ、そうか。万ってやつだな?」

 

「…あー、魂?最近はめっきり出なくなったな」

 

「やっぱ想い人が死ぬと辛いんだな」

 

「僕もそう思うよ…」

 

「怨霊持ちの言い分は説得力あるねえ」

 

「だなぁ」

 

「さて、俺がここに来た訳でも話そうか」

 

「五条先生の墓参りじゃないんですか?」

 

五条の墓前でこんなこと言うのもなんだとは思うけど。まあでも、五条悟からすれば『ああ、そうなの?』程度だろうし。つーか、互いに知ってるだけで五条悟からの好感度そんな高くなかったと思うし。よく俺五条の無下限模倣できたな…感謝しとこ。使う間もなく終わったけど。

 

「俺、術師辞めるから」

 

「え!?」

 

「は?」

 

「これからの呪術界は多分だけど乙骨と九十九のツートップだ。京都校の爺さんもいるが、夜蛾の件を見れば恐らくトップは張らないだろうし」

 

「待ってください、辞めるって…なんでですか?」

 

あ、そこから説明するのね?そもそも俺は九十九が消えてから細々と一級活動をしていてな。特級案件に一年に一回出会って祓って文句付けて…とか繰り返してるうちに、辞めて〜とか思って。その時に歌姫に来いと言われたのが渋谷事変。仕事の区切りにはちょうど良いかなって思ったら死滅回遊で羂索や宿儺と戦って。もう術師引退だな〜って。

 

「そんな軽い気持ちで…」

 

「悟は知らねえけどな。歌姫先生はいつもお前の話してたぞ」

 

「高専の中で一番関わるだけで、交流自体は少ねえと思うが」

 

「それでも頼りになるって。真衣が聞いてた」

 

「そう。それじゃあね〜」




終わり
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