愚問なり、無知蒙昧、知らぬならば答えよう   作:まいねーむいずあしたか

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前話では久しぶりの投稿だったのに多くの感想や評価をありがとうございます。


年内にもう1話か2話くらいは更新したい願望。

仕事とモンハンとポケモンの合間にちびちび書かなくては。



011『訪問』

 

そろそろ日付が変わる時間に、やって来ました町外れにある廃工場。

 

ランサーのマスターであるケイネス・エルメロイ・アーチボルトと婚約者のソラウ・ヌァザレ・ソフィアリが潜む魔術工房(仮)である。

 

本当ならホテルの最上階で優雅にワインでも飲みながら過ごせてたのにね。これも全て衛宮切嗣って奴が悪いんだ。

 

そういえば、切嗣ってホテル爆破する時に非常ベルを鳴らして「昔の僕なら……」って自嘲してたみたいだけど、昔のままだったら聖杯戦争に勝つ為に無関係な一般人を爆殺しようとしてたのは、冷静にもう一度考えてみると相当では?

 

育ての母親ちっくな人が乗った飛行機をロケランだかスティンガーで撃墜した時は、そのまま飛行場とかに着陸させたら死徒に噛まれた乗客が変異した死者や屍食鬼が溢れるかもって事で仕方ない部分があっただろうけど、爆破したホテルに宿泊してたり働いてた従業員を殺したら言い訳のしようもなくただの大量殺人だよね。

 

世界平和の為の尊い犠牲とかってお題目だからテロリストと呼んだ方がいいかも知れないけどさ。

 

「桜は寒かったり眠かったりしてない?」

 

「……だいじょうぶ」

 

「そう。厚着してるから大丈夫だと思うけど、もし寒くなったら礼装に魔力を通すんだよ。やり方はキャスターに教わったし、出来そうかな?」

 

こくこく頷かれた。まぁ本人が出来るって言うならいいか。

 

あぁ、うん。実は今回は桜も連れて来ているんだよね。

 

一応は殺し合いになるし、連れて来たくはなかったんだけどさ。桜に聞いたら一緒に行くって言うし、キャスターも今後も教育を考えると一緒に連れて行った方がいいとか桜に賛成したし。

 

間男は教育に悪いって怒られたのに、殺し合いの見学は今後の教育に必要って頭ケルトでは?頭ケルトの筆頭だったわキャスター。

 

桜は病み上がりというかルーン治療が終わって目覚めたばかりだし、幼少期に十分な睡眠が取れないのはあんまり良くはないのだけど、確かに桜の将来とかを考えるとサーヴァント同士の戦いや魔術師の在り方とかは見学しておいて損はないんだけどさぁ。

 

まぁ、仕方ないか。とっとと終わらせて帰って寝れるように祈ろう。

 

ちなみに、礼装の話題が出たけど桜の魔術回路はキャスターがルーンで治療するついでにある程度の数を開いて、俺が寝ている間に目覚めた桜にスイッチの作成や魔術回路の励起に礼装の使い方などの訓練を済ませたらしい。

 

桜の魔術回路の総数は俺より多かったらしいのでちょっと悔しい。まぁ、質は俺の方が少し良いらしいけど。

 

キャスターに視線を送ると「うむ」という感じで頷かれたので準備は大丈夫っぽい。なので、桜と手を繋いだままではあるけど魔術回路を励起して、フリーな方の手を口に添えて声を上げる。

 

「ケーイーネースくーん!!あーそーびーまーしょー!!!!」

 

声の大きさを増幅させて指向性を持たせるスピーカーみたいな単純な魔術だけど、これエコーを付けてみたりとか色々応用出来そうだな。聖杯戦争を無事に終えて実家に帰れたらガングニールたやマごっこの時に使ってみよう。

 

深夜の御宅訪問による遊びのお誘いをかけること数分。じっとしていると寒いからそろそろキャスターを嗾けようか悩みだしたくらいに座っている車椅子をランサーに介助されているケイネスと、その横を歩くソラウが姿を見せた。

 

ケイネスはかなり憔悴してる感じだけど、ソラウが若干うきうきしてる気がするから令呪はもう奪い取られているのかな?

 

「夜分遅くにごきげんよう。はじめましてになるのかな、ロード・エルメロイ。キャスターのマスターである六雛玲依が聖杯戦争をしに来ましたよ」

 

せっかく挨拶したのにすっごい怪訝そうな顔をされたよ。子供が子供とサーヴァント連れて来たのがそんなに珍しいか?まぁ、実際珍しいとは思うけど……時計塔のロードが魔術師を見た目で判断したら駄目でしょうに。

 

「あぁ、いまはそちらの婚約者さんがマスターになられたのでしたっけ?いやはや、魔術師殺しの衛宮がしばらく前にアインツベルンに雇われたというのは少し調べれば出て来る情報だったんですがね。その程度の情報も調べずにアインツベルンに意気揚々と攻め込んだ戦果がその姿とは」

 

本当に悲しいよね。滞在してたホテルを爆破された段階で考え方を変えればよかったのにさ。

 

「人形師への多額の出費に加え、婚約者にサーヴァントも奪われましたか。フィオナ騎士団の騎士様は生前と変わらず主の婚約者に粉をかけるのが何よりお得意なご様子だ」

 

言葉を追加したらケイネスだけでなくランサーの顔もぴくぴくさせてしまったよ。この程度の煽りで表情に変化が出るとか時計塔って政治の方も化け物がいっぱいいるって聞いてるのに、よくロードまで登り詰められたな。

 

人形師の件は何で知ってるのかって?本人に連絡して聞いたよ。

 

魔法使いの家系と比べるのはおこがましいけど、羽佐間も六雛も日本の魔術師の中ではそれなりに歴史がある方だし。六雛は一応人形作りが専門だからか母親が知り合いだったので、その関係で俺も何度か会った事があるのですわ。

 

聖杯問答の前に「お久しぶりです。依頼で冬木に来てたりしません?ちょっとお願いしたい事があるのですが…」って連絡したら冬木にいるって言うのだもの。その際に直接会う約束も取り付けられた。

 

ルーン魔術を専攻してた人だからね。神代のルーンの知識を得られるかも知れないって情報だけで快く了承してくれたよ。

 

「それで、まだ返答を頂けてないのですが……()()()()()()()()()殿()?」

 

ケイネスとソラウの2人を交互に見て返答を待つ。

 

原作だと令呪と魔力供給はソラウがしてたけど、それでもランサー自身はケイネスに忠誠を誓ったし。いまのランサーのマスターって本当にどっちになるんだろうね。

 

「…………ランサー」

 

ソラウが胸元で右手を左手で大事そうに握ると不安そうな顔をランサーに向けた……ってことは、ケイネスから令呪を奪い取ったのは確定か。

 

ケイネスはランサーに何も言う気はないみたいだけど、ソラウがランサーを呼んだ時はちょっとばかり苦々しい表情を顔に出していた。

 

そんなランサーはケイネスの車椅子から手を放すと、紅と黄の魔槍を呼び出し前へと進んでくる。

 

――叶う事なら、キャスターより先に騎士王との決着をつけておきたかったのだがな。

 

そんな小さな呟きが流れて来たが、それについては申し訳ない。まぁ、セイバーはいまマスター共々メンタルブレイクしてるはずだから多分満足いく戦いは出来なかったと思うよ。

 

キャスターに勝てたならセイバーと戦う機会もあるかもだから頑張って欲しい。

 

「この二振りの魔槍に誓おう。今度こそ我が主に勝利を捧げると」

 

ケイネスとソラウにそう告げ魔槍を構えるランサーに応じるようにキャスターも自身の魔槍を呼び出し前へと出ていく。

 

「マスター、行ってくる」

 

本当に嬉しそうな声だこと。結構我慢させちゃったし、前にランサーと戦ったときは中途半端に終わったから仕方ないか。

 

そんな楽しそうにしてるキャスターにマスターとして出来ることをしよう。大丈夫だとは思うけど、キャスターが敗北する可能性は減らしたい。

 

もちろん、切嗣みたいにマスター狙いをする訳ではない。

 

車椅子で魔術がほとんど使えないケイネスと、ただの箱入り令嬢であるソラウ相手ならヤレると思うけど、原作みたくケイネスが突然拳銃を取り出して撃って来る可能性だってあるからね。

 

だから、こういう時は容赦なく切り札を使うのですよ。

 

「令呪をもって我がサーヴァント、キャスターに命ずる。その魔槍に恥じぬ戦いを、そして勝利を掴め」

 

右手に刻まれた令呪が発光し、凄まじい魔力をまき散らしながら三画あるうちの一画が消えていく。

 

本来であればこのような曖昧な命令は令呪の無駄使いであり、原作でウェイバーがライダーに使ったように魔力が補充される程度だが、今回は違う。

 

「あぁ。感謝するぞ我がマスター、六雛玲依よ」

 

「存分に楽しんで来てねキャスター。全部、任せるからさ」

 

魔術師のクラスであるキャスターに令呪まで切って()()()()()()()()を望んだのだ。

 

キャスターが調子を確かめるように槍を振り回す。卓越した技術を持つキャスターであるが、軽々と踊るように槍を振るうその姿は以前見た時とは明らかに鋭さが違っていた。

 

「もう一本の愛槍がないのが残念ではあるが、問題ないな」

 

魔術師のクラス(キャスター)ではなく、令呪の効果による時間制限こそあるが槍兵のクラス(ランサー)として影の国の女王がフィオナ騎士団の騎士に宣言を行う。

 

「サーヴァント、キャスター改め()()()()。我が真名は影の国の門番にして女王、スカサハである!!」

 

そのキャスターの宣言を聞き、先程までの陰鬱とした無表情ではなく、凄まじさを感じさせる笑顔を浮かべたランサーが同じく宣言を行った。

 

「全霊で相手をしよう影の国の女王よ。我はフィオナ騎士団の一番槍、ディルムッド・オディナ!!」

 

そして、一瞬の沈黙の後に……。

 

 

「「―――いざ、参る!!!!」」

 

 

此処に、聖杯戦争でも類を見ない紅の魔槍を構えた勇士と、紅と黄の魔槍を構えた騎士による槍兵(ランサー)同士の闘いの幕が上がるのであった。

 

 

 





Q.令呪でクラスの変更とか出来るの?

A.令呪って割と何でもありだから出来る気がする。だって(世界は違うけど)三画で受肉した奴とかいたし。

というか、令呪を使えばサーヴァントを空間転移させるとかまで出来るんだからさ、令呪をただのサーヴァントに対する絶対命令権のシステムでなく、もっと研究すればマキリの蟲爺は色々と応用出来たのでは?言峰とか使い捨ての外付け魔術回路にしてたくらいだし。

こんなん魔術回路が死滅したマキリの血筋には必要な技術過ぎるでしょ。



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