愚問なり、無知蒙昧、知らぬならば答えよう 作:まいねーむいずあしたか
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仕事がクソ忙しい中、息抜きで書いてたら8000文字超えそうだったので分割してちょっと短いけど投稿。
やって来ました言峰教会。
「桜は大丈夫?疲れてない?」
「だいじょうぶ」
桜と手を繋いで近場のバス停から歩いてきたが、言峰教会は坂の上にあるから小学生には辛いんだよ。くそ、もっと楽に行ける場所を指定すべきだった。
教会は本来なら中立の場所だからって他の陣営に目撃された場合も考えて教会でいいかってその場のノリで決めたけど、こんなに面倒なら人気の多い公園とかでも別によかったかも。
「マスター。教会内からサーヴァントの気配がする、十分に気を付けることだ」
キャスターから警告が入る。まぁ、教会内にいるサーヴァントとなるとアーチャー以外ありえないから大丈夫じゃないかな?アーチャーが不意打ちしてくる理由は今の所ないだろうし。
「よし、それじゃ行こうか」
ゆっくりと教会の扉を開ける。
このギィって感じに重厚で厳かな音を扉が立てるのは宗教的な演出の意味合いもあるのかね?神社の鳥居とかと同じで人と神の領域を分け、教会の内部は俗世ではなく神を称える場所……みたいな。
まぁ、単純にこの教会がそこそこ歴史のある建物だから扉も古くなってて音を立てるだけな気もするけど。
「っ!?」
教会内に入り、少し進んだ辺りで見えたソレに手を繋いだままの桜が息を飲んだ。
「…………悪趣味だね、言峰綺礼」
「心外だな。私は
俺の呟きに応えるように教会の奥から何やら色々と吹っ切れましたという表情をした言峰と相変わらず楽しそうにニヤニヤした表情でこちらを眺めるアーチャーが姿を見せる。
こぉーれは完全に愉悦部に入部してますねぇ。面倒くせぇなオイ。
「監督役?それお前の親父さんのハズだろ。いつの間に監督役が変わったのさ」
「今朝の事だ。私は父に監督役を譲ってもらい……父は私の個人的な願いの為に冬木を離れている」
個人的な願い?パパ峰さんって言峰と似たり寄ったりのくそ真面目で信仰心のある信徒だろ。そんな人物が息子が頼んだからって聖杯戦争の監督役を譲って息子の個人的な願いを叶えるとかやるか?
「そう怪訝そうな顔をするな。父には
「――いや、お前の娘なんだから自分で迎えに行けよ」
返答が予想外過ぎて思わず素でマジレスしてしまったじゃないか。
「いやはや、その通りだ。しかし、そちらに指摘されるまで娘の存在を忘れていた私は娘が現在何処にいるか知らないのでね……居場所を把握していた父に頼むしかなかったのだ」
そんなやれやれみたいな空気を出されても、パパ峰が知ってたのなら聞き出してお前が行けばいいだろうに。
なるほど、妻を亡くし娘の事まで忘却してしまうくらいの記憶障害を起こしてた息子から「私はもう大丈夫です。しかし……娘と顔を合わせる覚悟がまだないので父上が迎えに行ってくれませんか?」とか言われたらパパ峰さんは行きますわ。あの人、なんだかんだで言峰の事は真摯に愛しているっぽいもんな。
それに、原作第四次聖杯戦争と違ってこちらの聖杯戦争は地味目に進行してるからね。連続殺人犯は既にブタ箱で子供が多く行方不明にもなってなければ川に巨大生物が出現して自衛隊機を叩き落したりもしてないし、監督役としての隠蔽工作も現状は最低限になってるから息子に経験を積ませる意味もあって譲り渡したとかも考えられるか。
しっかしさぁ、存在すら忘れていた娘と今更顔を合わせるのが辛いとか健気な事を感じる精神をしてないだろうお前は……何でこう第四次聖杯戦争に参加してる娘を持つ父親は微妙に残念なヤツしかいないんだ。
いや、型月作品に出て来る父親って大体碌なヤツいねぇから仕方ないのか?仕方ないとか普通に嫌だけど、そもそも裏世界の住人にまともな精神性を求めるのが間違いか。
「それに、聖杯から舞台を降りる事を許されていなくてね」
令呪が刻まれた手をこちらに向けられた。言峰の台詞的にこれは原作同様アサシンが敗退し失われたはずの令呪が再度出て来た、という事だろう。
うん、何となくは納得した……けどさ。
「で、その結果がコレな訳?」
「アーチャーが師ではなく私と手を組みたいと申し出てね。師との契約を破棄する為にアーチャーが行ったのだよ」
俺にコレ扱いされたのは教会の床に雑に捨て置かれるように倒れている遠坂時臣。
一応生きてはいるようだが、顔のあらゆる穴から血が流れているし、身体もちょいちょい痙攣するかのようにぴくぴく震えている。
髭の優雅な紳士が陸に上げられた死にかけの魚の方が元気だと思える酷い姿になってしまったか。
こんなホラー映画に出て来そうな物体を見たらそりゃ桜もビクってなりますわ。
「アーチャーが宝物庫にある宝具で魔術回路を砕いたらしい。あぁ、そちらが望んでいた魔術刻印には一切損傷はないから安心してくれたまえ」
何その切嗣の起源弾みたいな宝具、こわぁ。
起源弾は魔術回路だけなく魔術刻印にもダメージを与えるけど、それは切嗣がケイネスにやったように魔術回路を最大に近いくらい励起させていた状態で当てた場合だろうに。
多分だけど、トッキーはケイネスと違って魔術回路をフルで励起してない状態でもこれだけの損傷を負ったんだろうな。トッキーがアーチャーの前で魔術回路をフルで励起する理由なんてないからね。
何時の何処の誰の原典かは知らないけど、アーチャーの宝具本当に怖いわ。
「さて、同盟への対価にそちらが提示した遠坂家の魔術刻印の用意はした。移植は聖杯戦争後にするかね?」
「いいよ、こっちで勝手に貰っていくから」
言峰とアーチャーに少し時間を貰うことを伝え、桜に最終の意思確認を行うとコクリと頷いたのでキャスターが瀕死のトッキーから魔術刻印を2割ほど剝がし、それをそのまま桜へと移植していく。
その際についでにトッキーがこのまま死なないように最低限の処置をキャスターにお願いした。原作と違ってアゾられておらずこのまま生存出来そうだからね。魔術回路を壊された生粋の魔術師が普通に今後も生きて行けるとは思えないけど、まぁその辺は遠坂葵とかにフォローして貰おう。
キャスターという英霊の力で拒絶反応とかを無理矢理ごり押しした移植だったが、特に問題は起きる様子はなさそう。
ただ、流石に桜が疲れたような様子だったので礼拝堂に並んだ椅子で少し休んでもらう事にした。
俺の上着を枕に椅子へ横になった桜の頭を軽く撫でると、さっきまで魔術刻印の移植を興味深そうに見ていた言峰へと向かい合う。
「さて、先払いとはいえ報酬を受け取ったし同盟は結ぼう。等価交換は大事だからね」
自己中な外道が多い魔術師だからこそ、契約という物は大切にしなければならない。
この辺はヤクザやマフィアみたいなのが面子とか約束事を大切にしてるのと同じだね。社会から外れた者と世界から外れた者という違いはあるが、モラルのない世界に生きているからこそ自分達が定めたルールという物は重要視される。
そうしないと際限なく堕ちて行くからね。堕ちた先は異端狩りによる粛清だから、研究を続けていきたいなら最低限のルールくらいは守らなくてはいけない。
まぁ、それでも基本的に信用も信頼も出来ない相手しかいないから
まともは魔術師ってのは人間としてはまともじゃないからなぁ……悲しいね。
一応言峰に
まぁ、頑張って気をつけよう。
「以前に言っていたな。私がこれまで抱えて来た欠落、焦燥、苦悩、疑問。それら全ての答えを、私はこの聖杯戦争で手に入れることが出来ると」
あぁー。そういえば、そんな事言いましたね。
あの時は殺されないように必死だったのが報われてテンションが上がってたから原作言峰の名セリフを言いたくなっただけなのだけど。
「聖杯戦争でこれまで私が見聞きした事と、アーチャーからの言葉で私は私の望みを自覚した」
自覚しちゃったかー。でも、原作とは違い雁夜は退場済みだから愉悦を肴にワイン飲んだりしてないだろうな……何で自覚してんだよお前。
「アーチャー曰く異界の未来を識る者、六雛玲依」
「貴様は私の望みが間違っていると思うか?」
……そんなこと俺に聞いて来るな。知らねえよ。
トッキーの扱いを本当にどうしようか悩んだ結果。生かしたまま魔術師じゃなくせばいいんや!と唐突に閃く。
いやさ、トッキーをキルして未亡人葵ママが一般人と再婚するとかって展開も考えたけど、そうすると遠坂邸の扱いとか凛ちゃんが義父に隠しながら魔術師続けるの難しいよねってことでトッキーは生存。
この後、教会の地下で魔力を絞られたりもしませんのでご安心を。
Q.魔術刻印ってそんな簡単に移植できるの?
A.あんま覚えてないし確認もしてないけど全年齢だから「タイミングを合わせて同時にイクの」が出来なかったアニメ版のUBWで士郎と凛がパス繋ぐときに刻印ペタリして使ってなかったけ?まぁ、今回はキャスターが凄いってことで。
困った時のキャスター。色々詳しくない作者だけどキャスターなら出来てもおかしくないという信頼があるので書く時はとても便利である。
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