愚問なり、無知蒙昧、知らぬならば答えよう 作:まいねーむいずあしたか
お久しぶりですー(小声)
なんというか、年度末には仕事がくっそ忙しい中コロナに罹患したり、4月・5月も仕事でガッタガタになってたり…。
あと、正直Zero編で一番書きたかった聖杯問答が書けたので何か自分の中で満足してましたわ。
一応プロットは考えてあるので……まぁ、長い目でお付き合い頂けると幸いです。
ちょっとだけ書き溜めてあったFGO編を生存報告代わりに。
やっと辿り着いた異聞帯の王がいると予測された廃城。
「マスター、今の所敵性反応などはありませんが注意して進みましょう」
マシュの言葉に頷きながら、廃城の中を進んでいく。
きっとこうなる前は綺麗だったんだろうなって少しばかりの郷愁を感じながらも足を進めるが、人の気配が一切しない。
住民の姿を全く見ない異聞帯だったけど、この廃城には野良で召喚されたサーヴァントの姿すらない。
どれだけ歩いたのだろう?私とマシュ、それにスルーズの3人の足音だけが響いた廃城内で……声が聞こえた。
―――食べちゃう系の先輩の事件が終わってコクトー君が退院したらってのが通説だけど。何の通説かって?いや、両儀家への婿入りだけど。あ、あと、元七夜の彼には会ったことある?知らない?いくら時代の流れとはいえ、退魔四家の巫浄に浅神の末には出会っていたのだから、残りの七夜の末も少しくらい気にしてあげなよ。
これは、玲依さんの声?両儀って聞こえたから式と話しているのだろうか?
―――カルデアはある意味節操ないからね。君がいるくらいだからいずれは遠野であり七夜である彼や『青』にも遭遇しそうだけどさ。あぁ、もし沙条を名乗る姉の方と出会うことがあったら全力で警戒するといい。妹はともかく、姉の方はコクトー君に出会えず過剰に拗らせ過ぎた『 』の方の君のような存在だから。
声がする方へ足を進める。
やがて見えて来たのは、瓦礫で不恰好に寄せ集めたような玉座に座った玲依さんと、崩れた柱に背を預けている式の姿だった。
―――どういう事かって、マジで言ってる?俺の方が先に出会ったんだから、お前にあいつはあげないとか熱烈な宣言をしたこともあるのに??ちょい、眼を蒼くしないでよ。どうせ視えないし、斬れないんだから……はいはい、私がわるぅございました。余計なことはもう言いませんとも。
やれやれと言わんばかりに肩をすくめる玲依さんをジト目で眺める式。
「はっ?何で式と玲依さんが仲良く談笑してんの!?」
ありえない光景に思わず叫んでしまい、式と玲依さんがこちらに気付いた。
「よぉ、いらっしゃい」
玲依さんは、まるで自宅に友人を招いた時の様に気楽に挨拶をしてきた。
そして、私の背後に視線を向けると一瞬だけ茫然とした顔をしたが、すぐに元の疲れたような顔に戻った。
「いやはや、懐かしい顔ぶれが揃ったな。久しぶり、キリシュタリア、オフェリアにカドック」
振り返ると、ストームボーダーにいるはずの元Aチームの3人がそこにいた。
多分ダヴィンチちゃんが通信が取れなくなった私たちを心配して送り出してくれたのだろう。
玲依さんが玉座から立ち上がり、こちらに少しだけ近づく。
「まぁ、アレだ。このまま素直に殺されてやってもいいが」
「藤丸立香、君の旅はきっとこの先も続くだろう。なんせ、世界を救う為とはいえやりたい放題したんだ。なら、それを人理はきっと許さないだろうからな」
「だから、これは俺からの餞別だ藤丸立香……いや、カルデアのマスター」
全身に寒気が走った。
殺気?いや違う、敵意?これも違う。
玲依さんから感じるこの雰囲気の正体がまるでわからない。
「全霊で打破しろ。こんな死に満ちた世界なんかに負けるなよ」
「出会いも別れも、喜びも悲しみも、怒りも憎しみも、全てを飲み込み、食い散らかしてお前の糧にしろ」
「お前と共にある盾を信じろ、お前を支える者たちを信じろ、お前を信じて託して散った者たちの願いを忘れるな、お前はお前の道を歩き続けろ」
「立ち止まってもいい、振り返ってもいい、うつむいても、座り込んだっていい」
「折れてもいい、崩れてもいい、泣いても、喚いたって構わない」
「だけど。それでも、最後には立って歩き出せ」
「そうすりゃ、きっとお前は後悔だらけの道の先でも、最期は笑えるさ」
彼は自分からキリシュタリアさん達の方を向き声をかけた。
「すまんが、キリシュタリアたちも藤丸を助けてやってくれ」
「それで、だ。当然だが……お前ら3人にも餞別は渡す」
「なんだよ、受け取り拒否は許さないからな」
「お前らも乗り越えろよ。お前らはカルデアに、藤丸に負けたんだ」
「だから藤丸を決して独りにすんな、抱え込ませるな。先輩なら先輩らしく支えるくらいしてやれ」
空気が変わる。
敵であるというのに、和やかな雰囲気さえ流れていたのに。
重く、暗く、生を感じさせない死の匂い。
何度か訪れた冥界で感じたそれよりも濃い気さえする。
『やっと繋がった!立香くんやみんなだいじょ………魔力反応増大!なんだこれっ!?神霊クラス!?いやそれ以上の魔力だってぇぇぇぇ!?』
「っ!?惚けるな藤丸!構えるんだ!!」
キリシュタリアの鋭い声に我に帰り令呪が刻まれた手を構える。
そんな私の姿を、彼は「そう、それでいい」とでも言いたげな穏やかな顔をして、笑った。
彼は笑う、心底楽しそうに。
彼は願う、真実嬉しそうに。
彼は詠う、きっとそれは私たちの勝利を……信じているから。
景色が変わる。
先程までの瓦礫だらけの荒廃した玉座は、神聖で荘厳な玉座へ。
ヨーロッパにある豪華なお城の内部を思わせる内装ではあるが、何処か寒々しい空気を感じる。
「固有結界、なのか」
愕然としたようなカドックの声が聞こえた。固有結界、エミヤやネロ、他にも何人かのサーヴァント達の宝具が固有結界だったはずだけど……これとは何か、違う気がする。
なんだろうか、上手くは言えないけど何かが決定的に違う。
「
「んで、これは3段階目の『創造』。お前ら魔術師にもわかりやすく言えば固有結界の亜種みたいな物だ」
ニヤリと壊れたような歪んだ笑顔を浮かべた玲依さんが腕を上げ、パチンと指が鳴らされオフェリアさんとシグルドの姿が消える。
「さて――ブリュンヒルデはオフェリアとシグルドを」
また指が鳴らされ、今度はカドックたちの姿が消えた。
「言峰綺礼はカドックとアナスタシア。カーミラはキリシュタリアとカイニスの相手をそれぞれ頼むわ」
何処かに転移させられた?何の目的で??
答えを出す前にもう一度パチンと指が鳴らされ、気が付くと私はさっきまでいた場所と全く違う場所に立っていた。
「ボブは……こほん。エミヤはカルデアのマスターとマシュの相手な」
パチンと指を鳴らし各々を相応しい場所へ送る。
この創造を使った今ならこの城全ては俺の支配下だ、空間転移させるくらい容易い。
ついでに両儀式は藤丸とマシュの所へ送り、ワルキューレの1騎はオフェリアの所へ送っておく。
「よし、んじゃ少し話でもするか」
コツコツと音を立てながらこちらに近づいてくる姿が見える。
創造を展開する時に気配を感じたから玉座の入り口付近に転移させておいたが、意外というか何というか。
カルデアのマスターに絆されたのかね?つまらなそうに本ばかり読んでいたこいつが旦那以外の他人を気にするとは。
いやはや、ゲームでは知っていたが意外に面倒見がいいのにはびっくりだよ。
「なぁ、芥ヒナコ。いや、いまは虞美人に戻ったんだったか?」
相変わらず不機嫌そうなしかめっ面をしているが、一体全体何しに来たんだか……しっかし、さぁ。
「つかよ、お前仮にも人妻なんだから……もうちょい服装考えろよ。なんでそんなにエロい感じに露出が多いんだよ」
具体的には第二再臨。せめて第三再臨の姿で来い。
まぁ、どちらにせよ……人妻がしていい格好ではないが。
「そんなんだから、ぐだ×ぐっ、ぐっ×ぐたの薄い本出されるんだぞ」
あれって一種のNTR本になるんかな?というか、生前に既婚者だったサーヴァントの年齢規制がある薄い本はソウなるのか…わからん。
あれ、何か怒ってる?
もしかして、薄い本が何なのか理解してたりするの?Aチーム時代から読書家ではあったけど、とうとうそっちにまで手出したのか。
………マジで??
「薄い本に理解がある真祖って、何かやだなぁ」
まぁ、月のお姫様がアーパー吸血姫とかって呼ばれてたし。
そんなもんなのかね……って、おま!?
いきなり宝具の詠唱始めるのやめーや!肉片回収阻害してロリぐっさまにするぞ!?
いいのか!?ロリぐっさまだぞ!徐福ちゃんが解釈違いですとか言い出すかも知れんが、記録撮ってカルデアにばら撒くぞ!?
………すっげぇ忌々しいって顔すんなや。いきなり宝具ブッパしようとしたお前が悪いんだろうが。
よい、落ち着いたな?落ち着いたよね??
「こほん……カルデアのマスター達の救援にしてはちと遅いが、何しに来た芥ヒナコ?」
は?今更格好つけるな?いや、雰囲気って大事でしょうに。
本編より先に詠唱しやがりましたわ、この男。
本編と番外編で詠唱は同じでも効果は変える予定だから……まぁえぇか。
ちなみに、番外編玲依くんの聖遺物は『改変され尽くされた空想樹』で渇望は『再誕』。
正確には渇望というよりも玲依くんが転生したときに魂にこびり付いた呪いであり祝福の類。
今回は前世の記憶にあった獣殿の城を再誕させた。