愚問なり、無知蒙昧、知らぬならば答えよう 作:まいねーむいずあしたか
読んでいただきありがとうございます!!
至高天・黄金冠す第五宇宙の詠唱が好きなので、型月世界でも使えないかなと思い立って気付いたら書いてました。
詠唱が好きな理由?平成ガメラ三部作を観よう!!
001 『召喚』
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に
聖杯の寄るべに従い、人理の轍より答えよ
誓いを此処に
我は常世総ての善と成る者
我は常世総ての悪を敷く者
汝、星見の言霊を纏う七天
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――」
触媒なしの英霊召喚。
こういう場合は自身と相性が良い英霊が召喚されるらしいが、俺と相性が良い英霊って誰になるんだろうか?
せめてもの抵抗として、詠唱に工夫をしてみたが……意味あったかなこれ?
召喚自体は成功してるし、意味があったならよいなぁ。
自宅の地下に設置した召喚陣から溢れていた光が収まり、召喚された英霊の姿が見え…………えぇ。
…………うっそだろ、おい。
「サーヴァント、キャスター。召喚に応じ参上した」
召喚されたのはキャスターらしい。
いや確かに、貴女はキャスターの適性もあるとは思いますが……。
「―――問おう。汝が私のマスターか?」
貴女、通常の聖杯戦争じゃ召喚出来ないはずじゃなかったの?
英霊の座に、人理に刻まれるのは確定してるけど、貴女まだ正確には刻まれてないですよね?
なんで、召喚されてんのよ………。
流石に、貴女が召喚されて来るのは想定外なんですが!?
⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎
いま俺が生きているこの世界を「もしかして、この世界って型月世界なのでは?」だと思ったきっかけは、前世の記憶を思い出した3歳のときだった。
ちなみに、前世の記憶は転生系なろう小説みたいに頭を打って「前世の記憶がー」とか、高熱出して「思い、出したっ!」とかではなく………父親に
いやー、あの時は家中洒落にならんくらいパニックになったわ。
魔術回路を開かれて前世の記憶なんてもん思い出したせいかは知らんが、初回なんでとりあえず回路を1本だけ開く予定だったのに何故か全部の魔術回路がドバァって開き、俺は全身から血を吹き出してぶっ倒れたらしい。
何年か経ってたから聞いたけど、冗談抜きで俺は死にかけてたらしい。というか、何回か心臓も止まったので無理矢理動かしたりを繰り返したとかなんとか。
そのときに使った
さて、そんな大変感謝している俺の両親なんだが、父も母も結構な変人である。
魔術師なんて変人に決まってるだろ言われると否定し辛いんだが、魔術師から見ても変人に見えるのがうちの両親だったりする。
父親は約500年の歴史がある魔術師の家の現当主、母親は約300年の歴史がある魔術師の家の
な?おかしいだろ。魔術師の当主同士で結婚したんだぜ、うちの両親。
なんで当主同士が結婚なんてしたのかというと……俺もあんまり詳しくは聞いてないんだけど、簡単に言うと母方の実家は事故やら内輪揉めで断絶の危機に陥ったらしい。
稀によくあるとは変な言い方だが、魔術師にはマジで事故だったり内輪揉めだったりで断絶の危機に陥るケースが本当に稀によくあり、母以外魔術刻印を継承できる人間がいなくなったんだとさ。
母としては「いや、私回路少ないし。根源も興味ないから刻印貰っても困るんだが?」となったらしいが、貰える物は貰っとくかの精神で受け取ったらしい。
そんな魔術師としては若干ずれてる母は旅行先で父と出会い、なんだかんだあって結婚。
結婚してしばらく後には兄を、5年後に俺という2人の子供を産み、いまも主婦兼魔術使いという生活をそれなりに幸せそうに過ごしている。
そんな家を出なくちゃならなくなったのが1年前、8歳のときだった。
別に家族仲が悪くなったとか、親に追い出されたとかではない。
両親や兄とはちょいちょい連絡を取り合うし、俺の家出資金は両親から出してもらっている。
じゃあ、何故家を出なきゃならくなったかというと……魔術師ならではの面倒な理由というか、俺の起源と属性と特性のせいというか、ぶっちゃけて言うと発現しちゃった
まず大前提として、魔術師の家系は長子にのみ先祖から受け継いできた魔術を伝えていく。
「地上で最も優美なハイエナ」の家など一部の例外はいるが、基本的には長子にのみ魔術を継承していくのが普通の魔術師の家系だ。
継承出来る魔術刻印には限りがあるし、魔術というか神秘は知られてしまうと効果が下がってしまうので知る人間は少ない方がいいという理由で、兄弟姉妹であっても魔術師の家系であることすら知らされず育てられることが多い。
「幽霊の 正体見たり 枯れ尾花」ではないが、正体を見られなけば枯れ尾花は幽霊のままで認識されているのと同じで、神秘も知られなければ神秘のままでいられるのだろう、たぶん。
ちなみに、第二子の素質が魔術師的に優秀だったりする場合は他家に養子に出されたり、政略結婚の道具としてそこそこ魔術の教育もされる場合もある。
ちなみにうちは、当代だけは一部の例外の方になる。
その理由として、父も母も先祖から受け継いだ魔術刻印を持っていているのだが、歴史が微妙にある家だったせいで両親の刻印を全部兄が継ぐには人間を辞めない限り受け継げなさそうだったのだ。
500年と300年で微妙なのかと思うかもしれないが、1000年どころか2000年を超えてる家がごろごろあるのが魔術師という生き物なので……うちなんてまだまだ新参者である。
人間辞めれば全部継ぐのもワンチャンあったらしいけど、例えば死徒になる研究だったりは先祖はしてこなかったし、兄が自分の意思で人間辞めるならともかく、親から強制するもんじゃねーなと却下された。
あと、兄は父の刻印への適性は高いが母の刻印への適性が低く、逆に俺は父の刻印への適性は低いが母の刻印への適性は高かったので「じゃあ、もう兄弟で仲良く刻印分ければよくね?」となったらしい。
この辺りが両親が魔術師として変わっているというか、人間らしいなと思う所でもある。
魔術に1000年以上妄執してる連中だと普通に兄を死徒などの人外にして刻印を継承させてると思う。
そんで、将来的に兄には父の刻印の7割と母の刻印の3割。俺には父の刻印の3割と母の刻印の7割が移植されることになった。
将来的にと言ったのは、魔術刻印を移植するというのは他人の臓器を移植するようなものなので、一気に全部の刻印を移植するのは難しく、段階的に移植していくしかなかったりするからである。
俺はいま父の刻印の1割と母の刻印の4割が移植されているが、年齢や刻印の量から考えると結構移植されている方だ。
そんで、兄と俺が両親の刻印を全部受け継ぎ終わったら、兄が当主として家を継いで……俺は母の実家を再興し、順当に行けばそこの当主になる
まさか昔のごたごたで死んだと思われてた母の叔父が突然現れて、「嫁に行ったのなら、自分が家を継ぐから刻印寄越せ」とか言い出すとは……。
母の叔父、俺からすると会ったことも無い母方の祖父の弟である大叔父の要求を当然ながら母、父も断固拒否。
10年以上音信不通だったのにも関わらず、今更出てきて刻印を寄越せとかふざけてんのか?それ以前に、お前って私(母)より回路の数が少ないし質も悪かっただろ。先先代当主(母の祖父)のお情けで刻印株分けしてもらって分家起こしたお前なんぞに継がせるなら、回路の数が私よりも圧倒的に多くて質もそれなりな息子(俺)に継がせるに決まってんだろバーカバーカ。魔術師として当主を継いだ父(祖父)にコンプレックス持ってたのは知ってたけど、見返すべき人間はとっくに死んでるのに執着すんな、みっともないぞ老害。
という内容をオブラートに包んで大叔父に叩きつけるが、大叔父は一歩も引かずに両親と大叔父で言い争いが始まる。
一応は刻印を継ぐ当事者ということで、話し合いに強制的に参加させられた俺は最初から帰りたい気持ちしかなかった。
というか、大叔父はなんでこんな刻印に執着してんだ?実力的に父と母に勝てないんだし、あまりもゴミみたいに騒ぐなら消されても文句は言えないんだけなぁ……帰りてぇ、帰って兄貴とゲームしたい。
とか祈ってたら突如右手に痛みが走り……しばらくして痛みが治まった右手には
これには俺も両親も、そして大叔父も絶句。さっきまで言い争ってのが嘘みたいに静かになってた。
冬木の聖杯戦争はそれなりに有名、というか日本での大規模魔術儀式なんだから日本在住の魔術師として知らんほうがおかしいので、両親も大叔父も令呪が何なのかは知ってたらしい。
問題は、聖杯戦争の御三家でもなければ冬木の聖杯に縁もない俺に御三家や監督役の教会から聖杯戦争を告知される前に令呪が宿ったことだった。
ちなみに、俺が絶句してた理由は前世の型月知識のせいだったり……年代的にFate/Zero、つまりは第四次聖杯戦争用の令呪なんだわこれ。
そこからはさぁ大変。
大叔父は刻印を諦めてやるから代わりに令呪を寄越せと言い出すが、両親も……そして、こればかりは俺も断固拒否。
というか、魔術師なんだから等価交換の原則くらい守れや。なんでこっちが一方的に差し出さなきゃならん。
いや、正直に言うと聖杯戦争になんぞ参加したくないから渡せるなら令呪を渡したかったんだが、ちょっと無理な理由があった。
令呪ってのは外付けの魔術回路みたいなもので、渡す際には自分と相手の回路を接触させる必要がある。
で、魔術師として格の低い大叔父相手なら多分大丈夫だと思うのだけど……回路を接触させたときに俺の属性とかがバレるかもしれないので、俺の属性とかを知ってる両親も万が一にもバレる可能性は潰したいので拒否をするわけで。
ぎゃあぎゃあと言い争いを続けるが妥協点などないので、話し合いは結局喧嘩別れに終わったのだが、ある意味此処からが本番だった。
俺に令呪が発現した事を知った大叔父を消すか?という父の意見に母が「小物のくせにあそこまで強気になってたのが不気味で仕方ない。間違いなく、バックに誰かいる。下手に消すと何かあったと探られるかも」と反対。
父も母の意見に納得したので大叔父の寿命は伸びた、くそわよ。
そこからは兄も含めて家族会議、あーだーこーだふんぎゃろしゃいと意見を出し合い……両親も兄も反対したが、俺は家を出ることにした。
大叔父のバックに誰がいるのかはわからないが、魔術師であることは間違いないし、俺に令呪が発現したことはいずれ時計塔にも確実にバレる。
両親か兄に令呪を渡し……そこから令呪を誰かに売るなりするっていう手段も取れなくはないが、必要以上に俺を他の魔術師に接触させないようにしてるのは不自然でしかない。
なら、本当に本気で嫌だが聖杯戦争に参加してそれなりの成績を残すことで他の魔術師を牽制するしかない。
時計塔や西洋の古い魔術師にとって聖杯戦争なぞ極東の猿がやってる魔術儀式にしか過ぎないが、型月知識を持ってる俺にとっては違う。
第四次聖杯戦争には時計塔の鉱石科の君主、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトが出陣するのだ……たぶん。
俺という存在がいるので間違いなくズレは出るだろうが、最悪ケイネスじゃなくても時計塔の参戦枠を使うやつの実力が低いはずはない。
そんな奴らを相手に9歳の子供が生き残ったら、「呼び出した英霊が強かった」だの「運が良かっただけ」とは言われるだろうが、それでもわかる奴にはわかる。
どっちみち、俺は属性がバレたら封印指定されかねないので……封印されないようにする為には手が出せない程の実績を積むしかない。
このまま家にいても、時計塔から使者やら詰問状などが来たら誤魔化しきれないし、家を出て隠れ潜んで聖杯戦争に参戦すると家族に前世の型月知識以外を使い説得をした所、本当に渋られたが何とか許可が取れた。
その後は父が冬木の
むろん、世間的には小学生になったばかりの俺が1人暮らしをするのは怪し過ぎるので……聖杯戦争が始まるまで父が手配したお手伝いさんのような人と暮らした。
遠坂だけでなく、蟲爺ことマキリのゾォルケンにもバレないように気を付けながら聖杯戦争まで魔術の研鑽をし……。
「今日貴女を召喚した、そういう訳だキャスター」
「あ?俺の属性と特性を聞いてないって?そういや言ってなかったか……」
「属性が
「んで、さらに言えば特性が
ちなみに、起源は『流転』でランクは低いが生まれつきの魔眼持ちである。
何処のオリ主だ?と言いたくなるが、型月世界なんぞに前世の記憶を持ったまま転生した時点で馬鹿みたいな属性や特性を持つ可能性はあるんだよなぁ……。
なんせ、並行世界どころか観測次元とでも呼ぶべき異世界から来た魂が記憶持ち越して生まれ直すとか、第二と第三にかすってるようなもんだしなぁ。
生まれも前世より過去だし……あれ、これ第五にもかすってない?時間旅行は本質じゃないからセーフかな?セーフだといいな。
本当に、よく俺無事に生まれてここまで育ったな?存在自体が特異点みたいなもんだろ。アラヤかガイアのどちらからかは知らないが、抑止力やら守護者に殺されてないのが不思議で仕方ない。
魔術師の家に生まれてなかったら絶対何かのタイミングで魔術師とかにバレて拉致→実験→解体→標本の実験動物エンドまっしぐらだっただろうし。
まぁ、魔術師の家系だからこそまだ自衛やら誤魔化しが出来てるだけで……ミスったら実験動物にされるエンドのは変わらんか。
「そんな訳で、肉体的にはまだ9歳のガキだが……よろしく頼む、キャスター」
本当に、なんでこんな事になったんだか…。
不満も不安も大いにあるが、俺の聖杯戦争はこうして始まったのだった。
実際、型月世界に異世界転生したら存在自体が異質過ぎて抑止力案件になりそうなんだけど……どうなんやろか。
主人公の名前だったり、サーヴァントは次回明かします。
お気に入り、評価、感想などあればよろしくお願いします!!