愚問なり、無知蒙昧、知らぬならば答えよう 作:まいねーむいずあしたか
お気に入り、感想、評価ありがとうございます!!
なんか日間ランキング1位にいて( ゚д゚)ってなる、なった。
不定期更新にするつもりだったんがなぁ……これだけの人に読んで貰えるのは嬉しい誤算過ぎた。
まほよコラボまでは頑張って書きたいけど、やってないフリクエやって石集めたいのもあったり。
ぱたん、と扉が閉まりタクシーは去っていった。
何かの媒体で書かれていたけど、こんな鬱蒼とした森に割と怪しい時間に行って欲しいって言われて、よく士郎を素直に乗せて連れてったよな運転手の人。
俺の場合は見た目が子供だから乗車する段階で暗示使ったけど、士郎って当時は暗示すら使えなかったはずだよね?
「森に入ったらすぐにアインツベルンに捕捉されるはずだけど、何とかなりそう?」
霊体化していたキャスターが隣に姿を見せ頷いてくれた。
「ローブに隠蔽用のルーンは刻むが、過信はするなよマスター。アサシンや言峰綺礼も来ている可能性があるのだろう?あれしきの鍛練で戦えるとは思わぬことだ」
「いやいや、流石にサーヴァントや教会の元代行者と戦うとか考えてないから」
あんな筋肉ムキムキの八極拳を使う元代行者を相手に戦うだって?キャスターに頭ケルト(弱)の鍛練を無理矢理やらされてるとはいえ、俺の子供ボディじゃ黒鍵だろうが拳だろうが言峰の攻撃が掠っただけで弾け飛ぶわ。
ローブにルーンを刻んで貰ってる間に装備の最終確認しとこ。
礼装よーし、武器よーし、護身グッズよーし、服に靴にその他諸々も問題なしっと。
「それじゃ………って、キャスター?」
装備の確認が終わり、ルーンを刻んでもらったローブを受け取ったら……何やらキャスターが嬉しそうな顔してたんだが。
すげぇ嫌な予感がする。
「マスター、悪い知らせだ」
そんな嬉しそうな顔しながら悪い知らせとかって言われても説得力ないんだけどなぁ……何があったの、キャスターさん?
「セイバーとランサーがバーサーカーと戦闘中だ」
………………………は??
セイバーと、ランサーが、バーサーカーと、戦闘中?
はいぃぃぃぃぃぃ!!??
⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎
セイバーのサーヴァント、アルトリア・ペンドラゴンはマスターとの距離を感じていた。
むろん、それは物理的な距離ではなく、心理的な距離である。
妻であるアイリスフィールをサーヴァントと行動させることで他の陣営へマスターを誤認させる囮とし、自分達が敵サーヴァントが戦闘を行っている陰で敵マスターを暗殺するという方針を取った
聖杯戦争では最優とうたわれる
だが、百歩いや千歩譲って今はマスターの方針を認めるしかない。
自分は未だ何も戦果を出していない。それどころか聖杯戦争の緒戦でランサーの宝具によって真名が暴かれ、さらに片手を封じられるという失態を演じている。
そんな自分を信用してくれというのも無理な話である。
が、召喚されてから現在まで自分と一切の交流を拒み視線すら合わせようとしないのは如何なものだろうか。
先程の会議でもそうだ。
どれだけ声を上げても一瞥も寄越すことなく黙殺し、指示はアイリスフィールを通して行うのみ。
会議の最中にランサーとそのマスターが結界内に侵入してきたという報告を受けても変わりはしなかった。
アイリスフィールを久宇舞弥と呼ばれた女性を護衛として城から逃がし、自分がランサーの足止めをしている間に多数の罠を仕掛けられた城内に敵マスターをおびき寄せ撃破する。
目の前に自分がいるにも関わらず、アイリスフィールを通して指示を出すのは流石に理解が出来ない。
そのような策を取らずとも自分は正々堂々ランサーと正面から相対し打ち破ることが出来ると叫びたかったが、戦果を出していない自分が悪いと言い聞かせ城から飛び出した。
ランサーとの戦いは沈みかけた自分の心が慰められるのは充分なものであった。
昨夜の港で、そしてこの場で剣と槍という得物こそ違うが何合と斬り交わしたのだ、互いの性根くらいは理解できる。
真っ直ぐに己の忠義を主に捧げ、倒すべき敵である自分にさえ敬意を持ち戦いに臨んでくれる。
たったそれだけのことがどれだけ今の自分には慰めになったか……。
ランサーのような真っ直ぐな忠義の心を持つ騎士が円卓には幾人いただろうか?ふと意識が逸れたが……今は、この生まれた時代も国も違うのに出会うことが出来た騎士との戦いに集中しなければ。
斬り込む。片手が上手く使えず握りが弱いが、そこは魔力放出でカバー出来る。
この程度、飽きることなく国を攻めに来る蛮族たちとの闘争をしていたあの頃と比べれば何でもない。
何度目になるのかわからぬほど剣と槍が振るわれ、交差し、火花が舞う。
焦りそうになる心を抑えつけ、ランサーの僅かな隙を見逃さないように剣戟を続ける。
まだ、まだ………まだだ……………………いまっ!!
ここまで朱と黄の二本の槍を巧みに操り続けたランサーが見せたほんの僅かな隙を突き、2本の槍を弾く。
ランサーの顔に明確に焦りの表情が浮かんだ。
勝利を確信し、ランサーに剣を振り下ろ…………せなかった。
「っ!!」
自分の直感を信じ、咄嗟にランサーに向けていた剣を盾代わりに構えた瞬間、大きな衝撃が身体を襲った。
「くっ!?」
盾にした剣ごと身体が吹き飛ばされ、何度か地面を転がり勢いを手で殺しつつ起き上がる。
「貴様!何のつもりだバーサーカー!!」
ランサーの叫びが聞こえ、視線を向ける。
そこには、黒い霞を纏った狂戦士が悠然と立っていた。
私が確信した勝利は、どうやら襲い掛かってきたバーサーカーによって台無しにされたようだ。
「Aurrrrr!!」
罅割れたような叫びを上げ、すぐ近くにいるランサーを無視してバーサーカーはこちらに襲い掛かる。
瞬く間に距離を詰められ、振り下ろされた黒く染められた棍棒を剣で受け流していく。
元は森の中で適当に拾ってきた木の棒にしか見えないのに、バーサーカーの一撃は硬く、重い。
「thurrrrrrrr!!」
幾度も振るわれる棍棒を捌き反撃を加えるが、その度に容易く躱される。
セイバーは苛立ちにも似た焦りが徐々に自分に溜まっていくのを感じていた。
昨夜のアーチャーとの戦闘でも感じたが、狂化されているにも関わらず凄まじい技量だ。
風王結界で見えなくなっているはずの聖剣の刀身を正確に把握され、こちらの斬撃が回避されている。
何処の英霊かは顔や体を覆うフルプレートの鎧のせいでわからないが……いや、自分はこの動きを知っている?
ありえない。
このような技量を持つ戦士が無名のはずはないし、自分の知る中でこのように狂気に堕ちた者はいなかった。
では、何故だ。
何故、自分はバーサーカーに
「セイバー!!」
ランサーの朱槍がバーサーカーを襲う。バーサーカーは瞬時に攻撃を止め、我々から距離を取る。
剣を構えた私の横に、朱と黄の2本の魔槍をバーサーカーに向け構えたランサーが並んだ。
「いいのかランサー?バーサーカーと共に私を屠る機会であったというのに」
「あのような狂犬の力を借りる必要などあるまい。貴様を倒すのはこの俺だからな」
騎士として、本当にありがたい人だランサー。
「では、此度の戦い。背中を預けるぞランサー」
「こちらこそ、背中は預けるぞセイバー」
先に飛び込んだのはランサー、そのすぐ後に私も続く。
「Aurrrr!!AurrrrrrAurrrrrrrrthurrrrrrrr!!」
憎悪に染まり、穢れきった血を吐き出すかのような叫びが、アインツベルンの森に響いた。
⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎
「うーわー」
キャスターに抱えられ、どったんばったん戦闘の音が止まらない場所の近くまで来たんだけど……なに、あれ。
使い魔越しには観たけど、英霊同士が戦う所を直接見るのは初めてだったけどさぁ。
サーヴァントは意志を持ったミサイルみたいなモノだと例えられていたのを前世で読んだような気がするけど、この光景を見たら納得するなぁ。
そこそこ距離があるはずなのに、音と衝撃が本当に凄い。
俺の身体より太い幹をした樹が何メートルも吹っ飛ばされてるし、きっとあの辺りの地面は爆撃されたみたいに捲れ上がったりしてクレーターだらけになってそうだな。
あと、バーサーカーの「Aurrrrrthurrrrrr!」って叫びが破壊の音に紛れて聞こえてくる。
あんだけデカい声でかつての部下が名前を叫んでくれてるんだから、セイバーも気付いてあげて欲しい。
アロンダイト出すまで気付かなかったのは流石に可哀そうだよ。
「キャスター、俺は雁夜を探すから……あとは打ち合わせ通りに」
キャスターに下ろして貰って、ここからは別行動だ。
しっかし、うきうきしながら突撃してったなぁ……作戦を忘れてやり過ぎなきゃいいけど。
おっと、キャスターばかり気にしてないでこっちも動き出さなきゃ。
何やら森林破壊をする音がかなり増えた気がするし、ガリガリ魔力を持っていかれてる気がするけど……気にしないでおこう。
キャスター、本当に大丈夫だよね?テンション上がったとかで宝具ぶっ放したりしないよね??
ふ、不安だ。
キャスターが負けるとかは微塵も思わないけど、戦うのが楽しくなって何かやらかしたりしないかめっちゃ不安だ。
雁夜ー!何処だぁぁぁ!!キャスターがやらかす前にさっさと出てこーい!!
次第に大きくなっていく破壊音に焦りを覚えつつ、見落としやすい木の陰などに注意しながら視界の悪い中を探し歩く。
魔術を使って探したいが、アサシンが来ている可能性が高いのでまだ魔術は使いたくない。
雁夜は魔術師としての質が低いから、パスの関係でバーサーカーからさほど離れられないと思ったが……読み違えたか?
ーーーーーーーーーー。
「ん、何か聞こえた?」
いま、何か聞こえた気がしたけど気のせいか?
ーーーーーーーーーーーーーーーぁ。
違う、気のせいではない。
人の声、こんな場所にいるなら聖杯戦争の関係者以外考えられない。
耳を澄ます……えぇい、サーヴァント達の環境破壊音がうるさい。
「…………こっちか」
慎重に聴き逃さないように声のする方へ進む。
いた。
大きな樹の根本、幹に背を預けて座りこんでいる人影を見つけた。
周囲を確認……わかる範囲にアサシンはいない、と思う。
暗殺者のサーヴァントに潜まれたら正直わからんので、不安ではあるがいないと信じよう。
人影に近づく、ここまで近付けばはっきりと聞こえる。
さっきから微妙に聞こえていたのはこいつの呻き声だ。
血と腐った肉の臭い、所々髪が抜けた頭、皮膚が引き攣り歪んだ顔。
頭や顔、服には血が飛び散った跡があり、手には自分で引き抜いたのか髪が絡みついている。
ーーーーーーーーーーあ゛ぁ゛あ゛あ゛。
唾液と血が混ざった液体を垂れ流す口からは呻き声が漏れ出していた。
「マキリ、いや。間桐雁夜、まだ正気は残っているか?」
敬愛する王に裁いてもらおうと会いに来たら、王が知らん騎士と仲良くしてたのでカッとなった狂戦士さんの図。
師匠の戦闘までいけなかった……。
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