愚問なり、無知蒙昧、知らぬならば答えよう   作:まいねーむいずあしたか

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お久しぶりです。

感想、評価、お気に入り登録ありがとうございます!!

息抜きで書いた番外編が思ってた以上に反応あって嬉しい限りですわ…。

感想にもありましたが、あっちはあくまで番外編なのでまた書くとしても半ダイジェストで何かの記念とかになるかと……本編先に進めたいしね。


まほよコラボたーのしぃー



006 『葬送』

 

呻くだけで反応はなし、か。

 

完全に精神が壊れたか?身体の方は蟲が生かしているだけって感じになってるのかも。

 

そこらにあった木の棒でつついてみたが特に反応はなく呻き続けていたので、もう時間の問題かも知れないなこれ。

 

意識がしっかりしているなら桜を理由に交渉できたかもだけど、仕方ないか。

 

色々と面倒だけど予想してた範囲内ではあるので、こうなった時用のプランも一応はある……ぶっつけ本番でやりたくないなぁ。

 

出来るかどうかが不明な事をプランに組み込まなきゃならないってのは相当嫌なんだけど、成功すれば俺とキャスターのアドバンテージがかなり大きくなるのでどっちみちやるしかない訳で。

 

まぁ、失敗しても死にかけの雁夜を介錯することになるだけなので気楽にやろう。

 

「―――接続(access )回路(circuit)

 

雁夜と自分の魔術回路を接続する。

 

―――ぎ―――がぎゃが―――――――ぐぎがががが。

 

呻く声がうるさくなったが、無視しよう。

 

しかし、事前にキャスターと考察を重ねたり、自分とキャスターのパスなどを確認してあったけど、他人の身体だと全然わからんぞ!?

 

ついでに雁夜の場合は回路がほとんど自前じゃないし、生き残ってる蟲が生存本能込みで頑張り過ぎてるから回路を繋いだことに対して拒否がすごい。

 

えっと………これをこうして。あれはコレで………うるさい、大人しく従え。

 

きぃきぃ騒ぐ蟲を支配下に置き黙らせて再開して、ココがこうなって?コレで…………出来た!多分だけど!!

 

()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

俺の魔術回路から雁夜の魔術回路と蟲に干渉して掌握、雁夜の令呪を無理矢理バーサーカーに使用する。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

雁夜の手の令呪が発光し、三画あるうちの一画が消える。

 

「(キャスター、どう?)」

 

念話をキャスターに繋ぎ結果を確認する。

 

『どうした!その程度か!!フィオナ騎士団の騎士の実力をもっと見せてみよ!!』

 

………テンション上がり過ぎだろ、そんなに暴れられるのが嬉しかったのか。

 

「(おーい、キャスターさーん?バーサーカーの様子はどうですかー?)」

 

『む、マスターか。バーサーカーなら兜を脱ぎセイバーに何やら話しかけているぞ?』

 

「(それが出来ているなら狂化は解けているか、時間制限はありそうだけど)」

 

『そうだな。では、もういいな?こちらはもう少し楽しませてもらうとしよう』

 

「(了解、計画に支障がない範囲で楽しんできて)」

 

念話を終える直前に雑な返事が聞こえたけど、本当に大丈夫かな?

 

でも、バーサーカーがセイバーと話が出来たなら……セイバーの士気を上げるか下げるかは出来たはずだ。

 

士気が上がったならアーチャーに対する戦力になるし、下がったならセイバーを倒すのが楽にはなる。

 

どちらにせよ、何処かでセイバーの様子は見に行かなきゃいけないか。

 

―――――――――ぐぐぎ――――ががぐが。

 

あ、まだ雁夜に回路繋いだままだったわ。残りの作業もさっさと終わらせなきゃ。

 

雁夜から残った二画の令呪を奪い取る。右手に残っていた令呪が消え、手持ちの礼装に保存されたのをきちんと確認してから繋いでいた接続を断つ。

 

監督役の余剰令呪みたいに自分の身体に保存してもよかったけど、敵マスターに俺に残ってる令呪の数を誤認させられるし、令呪は取引の材料にも使えるので今回は礼装へ保存することにした。

 

取引とかする相手がいなかったら、その時は自分で使えばいいし。

 

「無事に終わりっと。あぁ、疲れた」

 

念の為に自分の身体に異常がないか身体を軽く動かしたり、魔術回路に魔力を流したりして確認するが大丈夫そう。

 

さて、ここでの用事は終わったし雁夜にはもう用はないんだが。

 

…………これは甘さだと思うけど、まぁいいか。

 

「これは令呪の対価だ、間桐雁夜」

 

手持ちの礼装から痛み止めに使えるものを取り出し、雁夜に使う。

 

ついでに、催眠と夢見が良くなる魔術をかける。

 

呻く声が少しずつ小さくなっていく。

 

魔術回路を繋いだ時に気付いたが、ここまで生きていたのが不思議なくらいだった。

 

身体は蟲に犯されボロボロどころの話ではなく、肉だけじゃなくて主要な臓器は一部喰われていたし、この血やら何やらで汚れてる服を脱がしたら身体が不自然にベコベコに凹んだりしてると思う。

 

「聞こえているかは知らんが、一応伝えておく」

 

「間桐桜は無事だ」

 

「俺がゾォルケンの蟲蔵から連れ出した」

 

「キャスターが肉体や精神の治療を行っている」

 

「将来、間桐桜がどういう道を進むかは知らんが」

 

「なるべく本人の希望は聞くつもりだ」

 

「だから、ゆっくり休め」

 

「よい夢を、間桐雁夜」

 

雁夜の眼が閉じられたのを確認し、此処から立ち去るべく歩き出す。

 

―――――――――あ――――――りが―――と――――。

 

思わず足を止めて振り返る。

 

幻聴か?それにしてははっきり聞こえた気がするが。

 

桜の事を告げたとはいえ、魔術師が嫌いなはずの雁夜から礼か。

 

まぁ、幻聴なら幻聴で感謝の言葉だから別にいいか。

 

「あとで、余裕があれば埋葬しに来るよ」

 

穏やかな表情で眠りについた雁夜に、俺はそう声をかけこの場を去った。

 

 

 

⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎

 

 

 

―――――時間を少しだけ巻き戻す。

 

マスターである玲依と別行動をするキャスターは、3騎のサーヴァントが戦闘を行っている場所へ向け、暗い森の中を疾走していた。

 

普通の人間なら歩く事さえ困難な鬱蒼と木々が立ち並ぶ夜の森だが、影の国の女王たる自分であればこの程度問題などありはしない。

 

聖杯戦争が始まってから、ようやく敵サーヴァントと戦うことが出来るという期待もあり、昂り続ける感情をあえて抑えず速度を上げ戦場へと走る。

 

今回の戦闘についてマスターからの指示は1つ。

 

『ランサーが戦場から離脱しようとする動きがあれば、素直に離脱させる』

 

その指示を守るなら後は好きにしていいと言われている。

 

出来るならセイバーとバーサーカーを戦わせて、ランサーと戦って欲しいとも言われたが、そちらは戦場の流れ次第なので、どうするかの判断はこちらに委ねられている。

 

私としては3騎全てを相手にしても構わないのだが、マスターの情報(記憶)通りならバーサーカー(ランスロット)セイバー(アーサー王)を狙い続けるだろうから、バーサーカーを狙っても不完全燃焼で終わる可能性は高い。

 

セイバーを狙えば、騎士として決着をつけたがっているランサーと、王に裁かれたいというバーサーカーから横やりを入れられるだろう。

 

確かに、中途半端な乱戦になるくらいならランサー1人と戦った方が楽しめそうではある。

 

そして、マスターからはランサーのみと戦う事になった場合、倒せる機会があるなら倒してしまっても構わないとも言われている。

 

マスターの記憶では、ランサーのマスターであるケイネス・エルメロイ・アーチボルトがセイバーのマスターである衛宮切嗣に魔術戦を挑むが、決闘と戦争の違いを理解出来ていないケイネスは切嗣の切り札である起源弾で魔術回路を意図的に故障させられ命の危機に陥る。

 

それを繋がったパスから察知したランサーが戦場から離脱し救援に向かうらしいが……その通りになるとは限らない。

 

衛宮切嗣は確かに対魔術師の魔術使いとしては有能であろう。

 

だが、そんな魔術師殺しの此度の標的であるケイネス・エルメロイ・アーチボルトは時計塔にたった12人しかいない君主の1人だ。

 

純粋な魔術の腕では切嗣が敵うはずはなく、だからこそ切嗣は銃火器などを使って思考を誘導し、起源弾という切り札を使い仕留めるしかなかった。

 

では……もしマスターの記憶とは違い、ケイネスが常に冷静に切嗣と戦っていたらどうなっていただろうか?

 

ケイネスが決闘に拘らず、魔術師や君主としての矜持で行動せず、聖杯戦争に参戦したマスターとしてアインツベルンのマスターである切嗣を排除することだけを考え、行動していたとしたら?

 

それでも切嗣が勝つかも知れないし、もしかしたらケイネスが勝つかもしれない。

 

マスターという異分子(イレギュラー)がいる時点で、マスターの記憶通りになることはない。

 

「『だから、俺が考えた作戦なんかよりキャスターの勘の方がよっぽど頼りになるし。作戦とかは考えるけど戦闘中に何かあったら作戦を無視してキャスターの好きに判断していいよ?』か。信頼されているのか、丸投げされているのか判断に困るな」

 

口煩く指示をされるよりはよっぽど楽ではあるが。

 

「では……まずは、小手調べといこう」

 

なに、英霊とは生前に一騎当千、万夫不当の英雄と呼ばれた者達だ。

 

本来の威力の半分以下なら問題なく対処されるだろう。

 

むしろ、これぐらいを軽く対処出来ぬようなら興が醒める。

 

「絶技、限定発動」

 

走る速度そのままに槍を天高く蹴り上げ、それを追いかけるように跳躍し………勢いを乗せて槍を蹴り抜く。

 

蹴り穿つ(ゲイ・ボルク)死翔の槍(・オルタナティブ)!!」

 

蹴り出された朱色の槍が分裂し、三騎のサーヴァントが争い合う場所へ幾千もの棘となり降り注いでいく。

 

森の木々を砕き、大地を大小の穴を穿ってはいるが……手ごたえはないか。

 

「ふむ。やはりあの程度の威力では話にならんか」

 

地面に着地し、魔術を使い棘を降らせた槍を手元に戻す。

 

土埃のせいで視界が悪くなっているが、三騎ともに大した損害を与えられていないだろう。

 

「何者だ、貴様」

 

凛とした声と共に風が巻き起こり、土埃が払われる。

 

マスターから事前に聞いていたが、今のがセイバーの風王結界か、便利な物だな。

 

こちらを睨み警戒するセイバー、バーサーカーやランサーも一旦戦闘を止めこちらの様子を伺っている。

 

細かな傷こそあれ、三騎共に深傷を負うことはなかったらしい。

 

それと、私が何者か確認をするということは、先程使用した宝具の真名は聞かれていなかったらしいな。

 

「サーヴァント、キャスター」

 

なら、わざわざ真名を名乗る必要はないな。

 

三騎ともケルトに近しい英霊なのだから、私の真名にもすぐに気づきそうだが。

 

朱槍を構え、獲物となる三騎を見据える。

 

「さて、楽しませてもらおうか」

 

精々、退屈をさせないで欲しいものだ。

 

 

 

 





次回、「ある日、森の中、クマよりもやべぇ神父に出会った件」。


仕事忙しいので、次回は書けたら投稿になりそう……。

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