かつて世界一にまでなった雷門中の伝説から数十年。
記憶より記録に残る事が多くなる程の月日が流れていた。
その中で、新たな伝説が始まろうとしていたのだった。
「よーし。今日の練習はここまで!!」
季節は2月。ここは陵星中。
FF県大会で準優勝の成績を出した中学だ。
その学校で練習が終わったところである。
この学校はキャプテンである西山光樹(にしやま こうき)を筆頭に15人ほどのサッカー部員達が日夜、練習に励んでいた。
西山「登別、今日は一緒に帰るか?」
登別「すまねぇキャプテン。今日も居残りで練習してきてぇからよ。」
西山「そっか、あんまり無理だけはするなよ。もうすぐ練習試合があるんだからな。」
それだけ言うと、西山は部室へと戻って行った。
~~~5時間後~~~
登別「ハァッ、ハァッ・・・。まだだ。このままじゃダメだ。」
「相変わらず自分に厳しいな登別。」
登別「奥野監督。」
登別に声をかけたのは陵星中サッカー部の監督である奥野忠尚(おくの ただふさ)である。
この学校の教員では無く、外部の人間なのだが理事長の親友らしく、サッカー部を任されているのである。
奥野「ここ毎日、お前は居残りで特訓しているな。このままじゃ、体を壊すぞ。」
登別「いえ!俺なんかまだまだです。」
奥野「やはり速水を意識してるのか。」
速水俊平(はやみ しゅんぺい)
一年前に転校してきた生徒であり、この選手がサッカー部に入った事で、陵星中は県内でもそこそこ名の知れるチームへとなれたのだった。
登別「えぇ、俺みたいな小物は少しでも地力を上げてかなきゃならないんです。今の俺達はあいつに頼りきり。なら少しでも負担を減らさなきゃ同じFWとして示しがつかねぇ!」
陵星中は元々、FFでは鳴かず飛ばずの成績しか残せていない中学だった。
1回戦突破出来れば大金星。
そう言われる程に、弱小中学だったのだ。
だが、速水が入ってからは破竹の勢いで勝利を重ねていき、準優勝という栄光まで上り詰める程になった。
やはり強いFWがいると練習が捗るのか、GKの西山も着々と実力をつけており、FWの速水GKの西山は県内でも無視できない程の名プレイヤーへと成長できたのだった。
奥野「そうか、だがもう時間も遅い。選手はコンディションも維持できなければ駄目だぞ。」
奥野にそう言われ、時計を見てみると既に21時をまわっていた。
流石にこれ以上は家族にも心配をかけると思い登別も練習を切り上げ、帰る事にした。
登別「今日は仕事で忙しかったのにわざわざすみませんでした。」
一礼して登別は部室に戻って行った。
奥野「強い子だ。自分の力に気づけていないがここまでやれる子は中々いない。フッ、この調子なら今年のFF、楽しい事になりそうだな。」
陵星中が新たな伝説を作り出す。
その道は始まったばかりである。