新学期から2週間がたち、まだ登別が帰ってくる見込みのないと流石の部員達にも不安が現れていた。
監督から逐一状況の報告は受けていはいたが、心配だけが募っていた。
牛宮「はぁ・・・。まだ登別先輩は戻って来ないんですかね。」
佐々木「お前、普段は登別さんを邪険に扱ってるくせに、ちょっと会わないと調子の良い事言いやがって。」
畑中「でも、流石に心配っすよ。もうすぐ、大会があるのにこのままじゃ、なんか寂しいっすね。」
そんな、鬱屈とした部室に3年達が入ってきた。
西山「お前達、入部希望の1年達がグラウンドに集まって来てるぞ。気持ちはわかるけども、練習を始めるぞ!」
キャプテンの一喝に、部員達は重い腰を上げてグラウンドに向かうことにした。
グラウンドにつくと、20人ほどの1年生が集まりワイワイと盛り上がっていた。
岸田「凄いな。まさかこんなに集まるなんてな。」
花美詩「あぁ、でもここから何人が残ってくれるのかが重要になって来るからな。」
1年達の前に部員が並ぶと、静かになった。
だが、殆どの視線は速水に向いていた。
西山「俺がサッカー部キャプテンの西山だ。まずは自己紹介と、そうだな・・・、サッカー部を選んだ理由でも教えてくれ。」
こうして1年による自己紹介が始まった。
しかし1年がサッカー部を選んだ殆どの理由は、分かりきっていたが速水に憧れての事だった。
そして最後の1人となったが、その1人は長髪の女子生徒だった。
畑中「おっ、マネージャー志望っすか!やった!いよいよ俺達にもマネージャーが出来るっすね。しかもこんな美人なら最高っすよ!」
「マネージャー志望じゃありません!」
「僕は早坂奏(はやさか かなで)プレイヤーとして入部希望です!」
花美詩「珍しいな。で、なんでこの部活を選んでくれたんだ?」
早坂「はい!理由は登別先輩に憧れて来ました!あの人にとっての1番になるためにこの部活を選びました!」
その発言に1年達はざわつき始めた。
あんなのに、やあり得ないなど、心無い発言も聞こえてきた。
だが、そんな言葉を一切聞くことなく早坂は速水を見ていた。
早坂「今までは貴方と登別先輩の2トップでしたが、僕は貴方に絶対に負けませんから!」
強い口調での言葉に、一触即発の雰囲気になったが速水は笑いだした。
速水「何を言い出すのかと思えば。あんまり汚い言葉を使いたくないが、君みたいなか弱い少女に譲る程、その位置は安くない。」
早坂「わかってます。だから、僕の実力で奪い取って見せますよ。」
岸田「まぁ、確かにFFには女子生徒も参加出来るとは言え、大丈夫なのか?」
西山「良いじゃないか。こんなにやる気に満ちた触れた選手なら、俺も大歓迎だぜ。」
西山「さぁ、練習を始めるぞ!」
~~~次の日~~~
次の日、グラウンドに来たのは早坂だけだった。
西山「あれ?他の人は?」
早坂「えぇ。練習が思ったよりキツかったとかで、皆諦めました。」
あまりの事に、皆は拍子抜けだった。
早坂「それよりも、登別先輩はどうしたんですか?今まで姿を見てないんですが。」
花美詩「それはその・・・。」
今の登別の現状をどこまで使えて良いのか、花美詩は迷っていた。
それを見て、早坂はなにかを察した。
早坂「わかりました・・・。登別先輩は秘密のトレーニングをしてるんですね!今までプレイはサポートに徹してたので、今年は攻撃に回るために、調整をしてるんです!」
的を射ている発言に皆は驚いた。
そして、彼女の登別への理解度を改めて実感した。
速水「なるほど、これは中々の強敵だな。」
花美詩「そのようだな。登別が戻ってくるのが、より楽しみになったな。」
こうして新生陵星中サッカー部が発足し、FF県大会が幕を開けたのだった。