FF県大会の抽選くじ引きが終わり、陵星中の1回戦目の相手は尾山中に決まった。
花美詩「尾山中か、最初から中々手強い相手になったな。」
対戦相手の尾山中とは、前回の大会にて戦った相手である。
互いに前半は無得点に終わり、後半になんとか一点をとって勝利と、死力を尽くした中学だった。
西山「そう。前回はどっちが勝ってもおかしくないくらい、殆ど互角の試合だった。だから、去年からどれくらい成長出来てるのか。それが勝負の鍵になるんだ!」
西山の言葉に、2年生達は奮起して部室から、グラウンドへ駆け出していった。
だが、残った3年生と早坂は少し考え込んでいた。
岸田「登別がいない状態での初試合。相手があの尾山中だとはな。」
早坂「えぇ。あの試合も登別先輩のアシストがあっての勝利もありましたからね。僕の見立てでは、若干ではありますが不利ですね。」
そう。今までのどの試合も登別の的確で、他人には分かりづらいアシストがあり、試合運びが出来ていたのだ。
花美詩「どうする?代わりが出来そうなのは岸田くらいか。」
西山「いや、岸田にはゲームメイクをしてもらわなければ。あまり前線に出過ぎるとそれこそ、試合にならない。」
花美詩「だよな。だとすると、畑中くらいか。あいつなら、速水に合わせやすいかも。」
速水「いらない。それなら、FWは俺一人で充分だ。」
速水の発言に皆、反応こそすれ驚きはなかった。
速水「俺と登別のツートップでここまで来た。俺も自然とそれに合わせたプレイをしてる。それが崩れるとこの先、勝ち進むのは無理だ。」
3年生達4人はどうすれば良いかと考えていた。
すると、早坂が思い詰めた表情をしてなにかを覚悟した。
早坂「わかりました。こうなったら、最終手段があります。」
岸田「最終手段だと?それはなんなんだ?」
早坂「僕はこれまでの登別先輩の全ての試合を脳に焼き付けています。ですので、それを模倣すればこれまでの流れを変えずに、攻撃に活かすことが出来る筈です。」
西山「それは本当なのか!それなら、一先ず問題は解決出来るな。」
花美詩「だが、それだといままで以上の攻撃は出来ない事になってしまう。」
すると速水が立ち上がり、早坂の前に立った。
速水「今さっきの発言が本当だとしたら、お前となら合わせても良い。だが、条件がある。」
早坂「条件ですか?」
速水「今まで以上の攻撃の為に、お前には登別のアシストと、新しい戦略としてお前もシュートをしてもらう必要がある。出来るか?」
早坂「出来ますよ。いえ、やって見せますよ。僕が登別先輩の為に出来ることなら、どんな事でもしてみせますから。」
こうして大きな不安が残ったままだったが、尾山中との試合が始まる事になったのだった。