その日の練習終わり、早坂は速水に呼ばれていた。
皆が帰ったグラウンドで待っていると速水がやってきた。
早坂「わざわざ何ですか?もう日も落ちかけて来てますし、なるべく速めに済ませましょうよ。」
早坂がそう言うと、速水は少し言いづらそうにしていた。
それを察してか、早坂は近くに有ったボールを速水にパスをした。
早坂「まぁ、先輩のタイミングで大丈夫ですからね。」
速水「ああ。何て言葉にすれば良いかを考えててな。俺はそう言う事は苦手で。」
パスを受けた速水は、足先でボールを弄った後にリフティングを始めた。
そして少しの間沈黙が流れたが、意を決した速水はリフティングを止めた。
速水「早坂、次の相手である守野浜は説明が有った通り守備が固いチームだ。」
早坂「それは聞いたのでわかってます。」
速水「はっきりと言う。守野浜との試合ではお前のシュートは絶対に通用しない。」
速水の言葉に驚きこそすれど、すぐに早坂は冷静な表情になった。
速水「そのリアクションからして、お前自身も薄々感ずいてはいたんだな。」
早坂「はい。僕のシュートには圧倒的に足りない物がありますから。それを先輩は読み取ったんでしょう?」
早坂からの指摘にまた速水は複雑な表情になり、目を逸らした。
早坂「そこははっきりと言って貰って構わないですよ。」
速水「そうか。なら言うぞ。お前のシュートには、力強さが足りないんだ。」
速水「尾山中との試合や、今日の練習を見ていてお前のシュートのコントロール精度や、スピードは目を見張る物がある。だが、それでは鉄壁を崩すには至難の技だ。」
早坂「わかってます。だからと言って先輩1人に負担をかけるのは、尾山中の時みたいにすぐに対策を取られちゃいます。だからと言って・・・。」
速水「今すぐにシュートの威力を上げるのは、不可能だ。だから、俺とお前で連携シュートを造り出す!」
速水の提案に、早坂は今度こそ驚きを隠せなかった。
早坂「言いたい事は良くわかりますが、試合まで時間がありませんよ。そんな即席のシュート、それこそ止められちゃいますよ。」
速水「わかってる。それでも勝利への可能性を1%でも高める為には、やるしか無いんだ。」
並々ならぬ覚悟の速水に、呆れる様にため息をついた早坂だった。
早坂「・・・わかりました。その作戦に乗りましょう。連携シュートの練習中に別の策が思い付くかも知れませんしね。」
そう言って2人はハイタッチを交わした。
こうして2人による連携シュートの特訓は始まった。
そしていよいよ、守野浜中との試合の時が訪れるのであった。