初めて聞いた登別の本音に、速水はどうすればいいのかわからなかった。
言っている事はわかっている。だが、それを自分が認めて良いのか?
それが自分の目指しているプレイヤーなのか?
去り行く登別の背中を見て、答えをだせる訳は無かった。
葛城「今のお前の気持ちはわかる。どうするつもりなんだ?」
速水「俺はどうすれば良いんだ。俺は・・・こんな気持ちで試合をする事が出来ないんだ。」
葛城「だが、それの答えを出さなければいけないんだぞ。そんな気持ちじゃ、共に戦う仲間に失礼だぞ。それに、対戦相手にもな。」
そう言って葛城は帰り支度を始めた。
そして速水の肩を軽く叩いた。
葛城「例えどっちの答えを出しても、お前や登別には酷な事にはなる。それでも答えを出してやるのが、エースストライカーで相棒であるお前の役目なんだぞ。」
それだけ言って葛城は帰っていってしまった。
~~~次の日~~~
次の日の練習時、登別は参加してはいるがやはり何処か浮いていた。
練習に身が入らない速水は、俯瞰して見れるからこそ初めて気が付いたが、登別の本当の覚悟がわかるような気がしてきた。
自分の強さを見せ付ける訳ではなく、だからと言って周りを邪魔する事は無い。
ただ、周りのためにプレイをしている姿を見ていると、どうしても心が締め付けられてしまう。
西山「どうしたんだ速水?今日はなんだが練習に身が入ってないけども。」
速水「あ、あぁ。すまん。実はだな・・・。」
昨日の事を言おうとしたが、それを伝えてしまうのは駄目なのではないか?
そんな事を考えてしまい、言葉が出なくなってしまった。
速水「いや。何でもないさ。まだ疲れが残ってるのかもな。」
そんな速水を見ていた花美詩は、何かを感じ取った。
花美詩「おい登別。お前、速水に何かを言ったんだろ?」
登別「はぁ、やっぱりお前には隠し事は無理だったか。何を言ったのかは言えない。だが、確実にこのチームを考えての事だ。」
花美詩「お前がそう言うんなら、これ以上聞かないが。見たところ速水に厳しい事なんだろ。」
花美詩の言葉に、少し気まずそうな顔をしたがそのまま登別は練習を続けた。
岸田もその雰囲気には気付いていたが、登別の言葉や態度に覚悟がわかり、見守る事を決めた。
岸田「花美詩、最悪俺達がこのチームを支えて行くしか無さそうだな。」
花美詩「そうだな。だが、速水も登別の事だ。必ず何かを起こしてくれるさ。」
そして練習が終わり、皆が部室に戻ろうとしていた。
だがそんな時、速水は早坂を呼び止めた。
速水「すまん早坂。どうしてもお前に話がある。」
早坂「そうですか。多分ですけど登別先輩の事ですよね?僕も聞きたい事があるんです。喜んで行きますよ。」