登別「なんだよ?エースストライカーがこんな所でサボりか?」
登別が茶化した様に言うが、速水の表情は固く真剣なままだった。
流石に深刻な話になると思った登別は、速水を避けて部室から出ようとするが、止められた。
速水「話があるって言ったじゃないか。」
そして速水は、登別の胸ぐらを掴んだ。
花美詩「お、おい速水!!いきなり何をするんだ!」
速水「なぜなんだ・・・。」
速水「なぜ、試合で本気を出さない!なぜ、俺にゴールを決めさせるんだ!」
花美詩が登別から速水を離そうとするが、それを登別が止めた。
登別「自意識過剰だ。俺は常に全力で・・・」
速水「ふざけるな!!俺は小学生時代のお前の試合は余す事無く全て見ている。だからわかるんだ、お前の全力は全て出しきっていない!」
登別「ならわかってるだろ。俺が最後どうなったか。」
登別の言葉に、速水は苦虫を噛み潰したような表情になった。
登別「あの頃の俺は負けなしだった。俺が独りで点を決めて独りで守って、俺だけが活躍すれば良いと思っていた。」
登別「だが、最後のあの試合で俺の身体はもたずに壊れてしまった。そのせいでチームは惨敗した。」
登別「そしてチームメイト、ファン、周り全ての人が俺を批難し離れていった。
だから、俺はもうあんな想いはしたくない。俺が身体を張ってでもチーム皆が楽しくプレー出来る様にする。それが俺のサッカーだ。」
諦めた様な、悟った様な、そんな表情をしていた。
速水「そんなに俺達が信用ならないのか!お前が全力でプレーしようが、誰もお前を独りにしない!」
登別「ふん、良いじゃねぇかよ。チームは勝ってるし、お前は陵星中のスーパースター。これ以上何が欲しいんだ?」
速水「俺が欲しいのはただ1つ。おまえが全力でプレイ出来る環境。そしてお前が背中を預けられる様な選手になることだ!」
速水は登別から手を離した。
登別「それは大層な望みだな。なら、どうする?」
登別かそう言うと、速水は下に転がっていたサッカーボールを拾い上げた。
速水「俺達はFWであり、サッカー選手だ。全てはサッカーをすればわかるはずだ!」
奥野「お前達、コートこないと思えば、ここにいたのか。」
花美詩「あ、奥野監督。」
練習にこない3人を心配して、奥野が部室に様子を見に来た。
そして花美詩が事の顛末を奥野に伝えた。
奥野「なるほど、互いの言い分も良くわかる。そうか・・・、なら、決着をつければ良いだろう。」
そうして4人は学校近くにある公園のグラウンドまで移動する事にした。