たぶん、ヴィランが親らしいが。それはそれとしてヒーローの子どもの方が気苦労が多い。 作:幽
手が、差し出された。
清らかで、真っ当で、輝かしい生き物が、自分に手を差し出してくれた。
それを取れば良いのだろう。
それを、求めればいいのだろう。
けれど、家畜の少女が首を振る。
そんなこと、できないよ。
家畜の少女が微笑んだ。
そんなしかく、とっくに、なくしているもの。
何かが自分に近づいてくる。赤々と、燃えるそれが何であるのか、転夜は思わず叫んだ。
「燈矢!?」
その声と同時に、まるで弾丸のように転夜に抱きつき、そうして、ぐるんと回転して、抱き合いながら落ちていく。
ばっと顔を上げれば、そこには、ああ。
変わること無き、ぱちりと、炎を纏った轟燈矢が顔を輝かせてそこにいた。
「転夜、無事だったんだな!?」
「無事って、君、何してんのさ!?」
「お父さんが前、炎の出力頑張れば飛べるかもって言ってたから!」
「ぶっつけ本番でする奴があるか!?」
「お前が能力上げてくれてたから、何とかなったんだ!!」
「というか、この暗闇の中、どうやって見つけたんだよ!?」
「勘!!」
「馬鹿野郎!!」
転夜はそう叫びながら、重力を切り替えて、無重力にする。そうすれば、ふわりと、二人は浮んだ。
「転夜、よかった!!」
ぎちりと抱きしめる燈矢の暖かさに、今までの震えが収まる気がした。
ああ、暖かい。
暖かくて、キレイで、変わらず、素敵な、生き物が自分を心配してくれている。
それが、たまらなく嬉しい。
例え、己の個性が目的でも。それでも、いいとさえ思えて。
「お前が、我楽のこと庇って連れて行かれて!俺、ほんとうに心配したんだ!なんで落ちてたんだよ!そうだ、寒いよな!」
ぱちりと、燈矢は小さな炎を纏った。そうすれば、暗い中でも、明るく、二人を照らす。
真っ白な、雪のような髪。澄んだ、青の瞳。
そうして、それを煌々と照らす、茜の炎。
ああ、キレイだな。とても、キレイだな。
清らかで、真っ当で、健やかな、転夜の、憧れ。
いいじゃないか。
なあ。
(このまま、このままで。)
その、暖かくて、キレイな手を、掴んでも。
ダメ!!
叩きつけるような、家畜の声。
それに転夜は燈矢を見た。これ以上無いほどに、嬉しそうに笑っている。
だめ、ぜったい、にだめ。
どうして?
笑っている。家畜の少女は笑っている。ぼたりと、涙が、流れている。
そんなしかく、とっくに、なくしているもの。
(・・・・そっか。)
ああ、そうだね。
「にしても、どうして、さっきだってこんなふうに・・・・」
「燈矢。」
「なんだよ?」
「ごめん。」
さよなら。
転夜はそう呟いて、そのまま、個性を切り、落ちた。驚いた燈矢の顔が、よく見えた。
いいのと、転夜は問いかける。
それに、家畜が首を振る。
いいの。
ほんとうに?
うん。
だって。
それは、そっと顔を伏せた。
そんなしかく、とっくに、なくしているもの。
そうか。そうかと、転夜は頷いて。そうして、変わらない家畜の少女の決意に頷いて。そのまま落ちていく。
なのに、なのに。
また、焔が、転夜に飛びついてくるのだ。
「転夜!!お前、どういうつもりだよ!?」
「・・・・しつこいんだよ!」
燈矢はまた、足から炎を出力して、転夜の元までやってくる。それに、転夜は吐き捨てるように言った。
「はあ!?しつこいって、このままだと地面に叩きつけられるだけだろ!?」
「・・・・・だったら、なんだよ。」
「ふざけんな!!」
ごうごうと、落ちていく、空気の音がする。その中で、燈矢が叫ぶ。
「何言ってんだよ!お前は、俺とヒーローになるんだろう!?なら・・・・」
それに、転夜の中で、何かがぶちりと切れた。
「私が、ヒーローになんてなれるわけがないだろう!?」
叫んだそれに、燈矢は驚いた顔をしていた。それに、転夜は顔を歪め、そうして、燈矢の胸ぐらを掴んだ。
「お前はずっと、私にそう言うな!ああ、そうだろう!お前は、そうやって、素直に信じられるだろうな!でもな、私は違う!私と、お前は違うんだ!」
「どこがだよ!お前と俺で、なにが!」
「私の親が、ヴィランでもか!?」
それに燈矢の目が見開かれた。それに、転夜は燈矢の胸ぐらをキツく握りしめて、覆い被さるようにして叫んだ。
「そうだよ!?私がどんな出自か知ってるか!?有用な個性を生み出すために生まれて、ヴィラン達の施設で育った!その間に、何をしたと思う!?意味もわからずに、悪事をして、傷つけ、壊して、家畜のように生きた!それでも、惨めに生き残って、ここまで来た!お前に、お前なんかに、私の何がわかるんだ!?」
ああ、傷ついた顔をしている。茫然と、顔をして、自分を見ていて。それに、転夜は薄暗い喜びを覚える。
美しい生き物だった。
真っ当で、健やかで、のびのびとしていて、愛された生き物。
素敵だと思った、いいなあと思った。己から、対極のように、遠く、離れた生き物。
それが、そのまま、真っ当に生きてくれと、真っ直ぐに、生きてくれと。
そう願って。
願っていたのに、それは、真実なのに。
ああ、ずっと、妬ましかった。
憧れで、美しいと思って、なのに、妬ましくて仕方が無かった。
自分の行き先が輝かしいものと疑わなくて、努力すれば夢が叶うと信じていて。
己を心配する父母を憎んで。
愛してくれる弟妹と拒絶して。
あーあと思う。
己が望む全てを持ってなお、まるで、地獄で生きているような顔をする君が。
「私は、ずっと、君が憎かった。」
至近距離で憎悪にたぎらせる瞳で、少年の青い瞳を、のぞき込む。
ああ、やっぱり、それは、とてもキレイで。
憎いと、どこかで思うのに。
それでも、やっぱり、思ってしまう。
どうか、このままで。
ああ、この健やかな、真っ当な生き物が、このまま、まがることなく生きてくれと。
家畜の少女が淡く微笑む。
わたしが、ふれて、よごれちゃったら、いやだから。
そんなことはないかもしれないのに?
・・・・・きれいな、ままでいてほしいなあ。
じっと、見つめているのだと。
わかるのだ。
その瞳が、どれだけ、美しいものを見るように、目を細めているのかわかるから。
転夜は、少女に頷いた。
だから、手を離すんだね。
転夜は歯を食いしばる。
さあ、見ろと。
今まで、ずっと、隠して、目をそらして、知らないでくれと願った転夜の事実だ。
きっと、誰もが疎うだろう、転夜の泥だ。
でも、きっと、これでわかるだろう?
輝かしいそれを願う資格が、転夜にはないことを。
「ヒーローの子どもの君が!私には無い物を持って!愛された君が!それを疎む君が!ずっと、ずっと、大嫌いだった!なあ、どうだ!?それでもか!?それでも、私がヒーローになれると言えるのか!?」
君は、きっと、輝かしい未来を手に入れる。君のことを知っている。少しの間、篝火のように、その炎に身を委ねられたら、虫のように死んでも良いと思っていた。
このまま死ねば、君は傷つくだろうか?
それもいいなと、ほの暗く、思う己がいる。
その、真っ当で、美しい生き物に、傷を付けたいと願う心がある。
茫然とした、少年に、ああと思う。
何も言えるはずなんてないのだと、そう。転夜はそれに、燈矢から手を離そうとした。
けれど、まるで、逃がさないというように、燈矢は転夜の手首を掴んだ。
「・・・・お前は、どう思ってるんだよ?」
「なにが、いいたいんだよ!?」
燈矢はそれに、己を掴む、転夜の手首を握りしめた。そうして、ぐいと力を込めて覆い被さるように転夜を見た。
「お前は、なれないからならないって言ってるけど!俺が聞きたいのは、お前が、“なりたい”かを聞いてるんだよ!?」
黙り込んだ転夜に、燈矢はたたみかけるように言った。
「なりたいんだろう!?ヒーローに!」
「そんなこと、一回だって言ってないだろう!?」
「なら、なんで、あんなに俺や焦凍のために動いたんだ!?ばれたくないって何度も言って!ナイトアイや、オールマイトに誤解される可能性だってあって!」
「違う、ただ、私は、私は、君を、応援したくて。」
「なら、どうして、お父さんの話も、焦凍のことだって気遣うんだよ!俺、知ってるんだからな!お前が、ヒーローの話、楽しそうに聞いてるの!」
「何を証拠に!」
「見てたからだよ!」
青い瞳が、自分を見る。青い空と同じ、澄んだ瞳が自分を見る。
「お前が、俺を見てたから!だから、俺だって、ずっと、お前のこと見てたんだよ!だから、わかるんだよ!お前が、俺と同じように、そうだって、ずっと!」
知ってるんだよ!
見られてはいけない秘密を、覗かれてしまったと理解した。
輝かしい夢だと思って。
自分には届かない夢だとわかって、それでも、どこか見つめずにはいられなかった。
それは、たぶん、真っ当な理由ではない。
ただ、ただ、思うのは。
ヒーローに憧れた、死んでしまった兄貴と呼んだ少年で。
あんなに憧れて、なれなくて、そうして、見捨てられた少年。自分と違う、最後まで、誰も来てくれなかった少年。
わからない、ただ、ヒーローになれば、助けられるのだろうか?
自分と同じ、地獄に誰も来なかった誰か。
もしも、なれたら、助けられるのだろうか。
ああ、とても、利己的な願いだ。
正しい側にいたい、光の当たる場所で、誰かに誇れる生き方が出来たら。
(私も、君達と同じように。)
日の当たる場所で、生きる在り方を選べるのだろうか?
できっこない!!
ぐるりと、ひっくり返る。
「・・・・できっこ、ない。」
「どうして!?」
「とーや、わたしがなにをしたのか、なにをされたのか、しらないからいえるんだ!わたしが、わたしが、どれだけみすてて、どれだけしらんぷりをしたのか、いえるんだ!わたしがひどいやつなのに!」
「そんなの知るか!!」
なのに、燈矢はそういうのだ。
「自分が今、どんな顔してるのかわかってるのか!?」
どんなかおをしてるの?
わからない。
ずっと、わらって、ひょうひょうとして、へいきそうなかおで、ここまできて。
「どうしてそんなに傷ついてるんだよ!?違うだろう、お前だって、ヒーローになりたいって思ってるんだろう!?」
ああ、きずついたかおしてる。
それが、いたましくて、でも、うれしい。そんなふうに、こころに、ひっかききずをつくれるじじつが、うれしくて。
あんなにも、満たされてるのに、とても幸せそうなのに。
なのに、不幸な顔をして、一人で夢も目指せない、可哀想な君が好きだった。
だから、手を差し出した。
そんな君が、自分みたいな存在でも、笑わせることが出来て嬉しくて。
でも、傷つく。
自分がどんな生き物なのか。どんな風に生きてきたのか。わかっているから。だから、オールマイトとサー・ナイトアイに見られたとき、夢の終わりだと思った。
輝かしいものに憧れる資格なんて、自分は、とっくに、失っていた。
「だから、もう、わたしに、かがやかしいゆめなんてみせないで・・・・・!」
「お前が言ったんだろう!?」
なにを、なにをいったことなんて。
「お前が!俺に!ヒーローになれるって!なあ、それなら、お前だって同じだ!」
届かないとしても!手を伸ばすことぐらいは許されるって!
「お前が俺に言ったんだろう!?」
それは、いつかに、転夜が施した、少年への祈りだった。
ほら。
いつかの、家畜の少女が、己の全てを押しつけるために作り出した誰かが微笑んだ。
君は、ほんとうは、ずっと、言って欲しかったんだろう。燈矢に言ったことを、誰かに。
「俺はいつかに、全部、否定された!足掻くこともできなかった!でも、奇跡はあった!なら、お前だって同じだ!親がヴィラン!?だったらなんだよ!俺が聞いてるのはお前なんだ!なあ、だから、言ってやる!今度は、俺が、お前に!」
ああ、いわないで。
おねがい、いわないで、もう、ゆめなんて、みたくない。
耳をふさいで、目をそらして、必死に拒絶しようとした。なのに。
ほら、聞いて。ねえ、君。
家畜の少女の頭を撫でる。
ほら。
「お前は、ヒーローになれる!」
もう、君は、自由になっていいんだよ。
優しい声が、そう言った。
「ちがう、ちがうのに!」
「ああ、もう!頑固者!そろそろ諦めろよ!というか!もう、ほんとうに落ちるぞ!?」
地面はどんどん近づいている。わかる、早く、なんとかしないといけないのに。
頭の中で、ぐるぐると、回る。
みとめたくない、そのてなんてとりたくない。おわりにしたい、ゆめなんて、もう。
ヒーローなんて、だって、かれらは、わたしのじごくにきてくれなかった。だから。
「転夜!ああ、もう!お前!」
「だって、だって・・・・・」
「お前らああああああああああああ!!」
それと同時に、転夜と燈矢に何かがぶつかるように接触する。そうして、かっ攫われるように腰の辺りに丸太のような何かが巻き付いた。
「何をしている、お前達は!!!!????」
スピーカーでも付けてんのかという程の爆音が辺りに響き渡る。それに、二人はあんぐりと口を開けて。そうして、叫んだ。
「「お・・・・・」」
「おっちゃん!?/お父さん!」
「何をしている、お前達は!?」
怒号のように叫び、二人の間に押し入ったそれに、誰かがけらけらと笑っていた。
なあ、君。
笑っている、誰かは、なんだか、愉快そうに笑っている。
ほら、いたじゃないか。
どこが?ここは、わたしのじごくじゃない。
そうだね。でもさ。
君が破滅するその時に、やってきてくれたヒーローじゃないか。
赤く燃える、焔の男が転夜を見た。
「うっわ!?」
「お父さん、なんか、揺れて!?」
「くそ、まだ安定していないんだ!?転夜!」
それに転夜は言われるがままに、重力についての反転を行う。それに、ぐるんと一度は回転するほどの不安定さはどこへやら。
ふわりと浮んだと同時に、転夜と燈矢の耳に、エンデヴァーの怒声が響き渡る。
「お前ら!!」
「うっるせえ!!」
「五月蠅いではない!お前達、どこに行っていたんだ!?こっちは、オールマイトやらサー・ナイトアイと一緒にお前達のことを探して駆けずり回っていたんだぞ!?冷も、冬美達もお前達のことを心配していたんだぞ!?」
きーんとする耳に、エンデヴァーはたたみかける。
「勝手に逃げ出しやがって!少なくとも、俺の後ろにでも隠れれば、どうとでも繕えただろうが!」
「わたしが、その・・・・・・」
「ヴィランの施設で育ったんだろうが!その前の所属もわからん、孤児だと聞いた!」
「なら、おっちゃんは、その・・・・」
「くだらんことで悩むな!」
少女はその言葉に、茫然とした。思わず仰ぎ見たエンデヴァーの顔には、変わらず、憤怒が宿ったまま。
「ヒーローになる上で、できるだけ素性は身ぎれいにしておくべきだが!そういったことは機密情報だ!表に出ることはない!堂々としていればいいものを!」
少女は、茫然としてしまう。
いや、自分の素性は、ある程度、知っていてそれなのか?
「・・・・・あやしいって、おもわないの?」
とても、それは、幼くて、拙くて、子どものような声で、少女はそう聞いた。それに、エンデヴァーは何言ってるんだという顔をした。
「だって、わたし、きゅうにあらわれて、あやしくて・・・・」
「・・・・・転夜、一つ、言っておくぞ?」
人に取り入ろうとする奴は、家庭のことに口をださん、そうしてな。
「怒りに任せて抗議のために人の眉毛を抜いておいて、何を言っているんだ・・・・・!?」
ごもっとも!
少女は、空を仰ぎ見て、自分の動きに関して、確かに勢いのままに動いた自覚もあって。
それに、誰かがけらけらと笑っている。
ねえ、君。ほら、ヒーローはいたじゃないか?
こんな、ちがう。こんなの、ぜんぜん。
でもさ、今、嬉しいだろう?なあ、君が、ほんとうに、全部、放り出そうとした時に、ヒーローが来てくれた。
喉の奥が、熱い。頭の奥が、痛む気がする。
どうして、ききたかった。
「ねえ、おっちゃん。」
「なんだ!?」
変わること無い怒鳴り声、優しさなんて、欠片だって無い。
「おっちゃんは、わたしが、わるいこでも、たすけてくれる?わたしは、わるいこだから、いままで、だれも、たすけてくれなかったの?」
掠れた声でそう聞いた。少女は、初めて、ヒーローに聞いた。ずっと、ずっと、聞きたかった。
じぶんのじごくに、ひーろーはおとずれなかった。
それは、きっと、じぶんが、ヴィランの、こどもだからだと、ずっと、そうおもっていた。
だから、ききたかった。
じぶんの、ふこうは、じぶんのせいだったのか。
「お前が法を犯したというなら、拘束の上で、警察に引き渡すが。未成年ならまずは保護をするべきだろう。」
「お父さん!?」
絶対に、今言うべきでは無いだろうと燈矢が叫んだ。けれど、エンデヴァーはさらに続けた。
「だが、お前の場合事情が違う。お前の元に助けがなかったのは、お前を助ける俺たちヒーローの力不足だ。お前に非があるはずがない!」
きっぱりと、それは、いつだってある意味で自罰的な傾向のある男はなんのためらいもなく、そう言って。
その時だ。
転夜はまぶしさを感じて、目を細めた。
「くそ、夜が明けたか。無断外泊だぞ、お前達!?」
それに、何故だろうか。
いつかに、言われたことを思い出す。
夜は、いつか、明けて朝になるように。君の夜も、いつか転じて、朝がくるはずだ。
朝日が、顔を出したのが見えた。
ほら、朝が来たよ。
己の頭を、誰かが撫でる。
もう、朝が来た。君はもう、許していいんだ。なりたいんだろう、ヒーローに?
家畜の少女が問いかける。
・・・・そうしたら、いなくなるんでしょう?
いいや、ちがうよ。私は、ただ、
焔を纏った、男だ。
ひどい男だ。不器用で、父親としては最低で、見ているものに一直線。
ああ、それでも。ただ、この場に来たと言うだけ。きっと、この男じゃなくてもよかった。
きっと、救われたいから、必死に、ある意味で適当に、近くにあったそれに縋っているだけなのかも知れない。
問いの答えだって、もっと、上手い答えがあるはずだった。
ある意味で、転夜の地獄に間にあったのは、オールマイトで。
(でも、オールマイトじゃだめだった。)
転夜の
「ねえ・・・・・」
「なん、だ・・・・・・」
エンデヴァーと燈矢の顔が驚愕に染まる。頬に暖かさと、冷たさが同時に走る。ああ、暖かい何かが、ボタボタと、零れていく。
「わたし、ヒーローになれるかな?」
「うん!」
燈矢が、転夜の手を掴む。
「転夜は、俺と、ヒーローになるんだ!」
ああ、そうだ。そうだった。きっと、自分も、ずっと、君の手を掴みたかったんだ。
ずっと、昔。
家畜の少女に宿り、そうして、彼女の地獄を肩代わりするために切り離されたそれは、淡く微笑んだ。
泣き声が聞こえる。
少女が、わんわんと泣いている。もう、赤ん坊以来、上げることのなかった泣き声が聞こえる。
もう、男か、女か、そんな自意識さえも曖昧なそれは、淡く笑った。
その産声に、微笑んで、それはゆっくりと、少女の中に溶けていった。
転夜の夢は、いつか家族を作ること。
以前、後書きにあった転夜の異母兄、本編に出そうか、それとも番外編に置いておこうか悩んでおりまして。参考程度に知りたいです。
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二次創作だし、いいんじゃない!
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一周回って見たい!
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番外編で留めておけば?
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いっそ、兄弟増やそう!
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どっちでも