たぶん、ヴィランが親らしいが。それはそれとしてヒーローの子どもの方が気苦労が多い。   作:幽 

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感想、評価ありがとうございます。感想いただけましたら嬉しいです、

冷さん視点。上下で終わらせたい。

後書きのは、ホラー系のSSです。短いので、置くとこもないのでここに置きます。


氷が理解したこと 上

 

 

「冷さん!今日も、変わらず輝かんばかりの美しさですね!ああ!お荷物、お持ちしますから!!」

 

変わった子だと思った。

会ったときから、ずっと、自分のことをやけにきらきらとした目で見つめてきて。

けれど、そのくせ、近づこうとして離れていく。

 

「・・・・違うよ、あいつはさ、お母さんが、理想のお母さんってだけなんだから。」

 

つんとした息子の言葉に、少女の視線の意味がようやくわかった気がした。

 

 

轟冷は、個性婚の末に結婚をした。

最初の頃は、まだ、穏やかだった。けれど、長男の燈矢の体質に問題が見つかってから、どんどん歯車が狂っていた。

 

家の中が、歪に、軋んで、狂っていくと分かってなお、冷という女に出来ることはなかった。

あったのかもしれないし、やはり、なかったのかもしれない。

 

軋む音を自覚しながら、何も出来ない日々が続いていたとき。

 

「こんにちは、改めまして、夢意転夜と言います!」

 

燈矢が一人、少女を連れてきた。

連れてきた、というよりは、燈矢を連れて帰ってきたという方が正しいのだが。

 

その日は、いつも通りというのか、家から燈矢が出て行くのを見送った。夫が帰ってこないことにほっとしていたときのことだ。

 

その、真っ昼間に、近所で火事が起こった。

ああ、物騒というか、危険だと思って、家の子どもたちに声をかけて。

そこで、燈矢がいないことに気づいた。

 

そんなことはないという思いと、まさかという考えの二つがぐらぐらと揺れた。

いいや、きっと、帰ってくる。

本当にそう、なのかはわからない、からと。

 

なのに、燈矢は、いくら待っても、夕方になっても帰ってこない。それに、夫に電話をして、そうして、二人で町中を駆けずり回った。

頼むと、どうかと、二人で、心のどこかでそうなのかもしれないと思いながら、どうしても信じたくないと目をそらして。

いいや、そんなことはない。そんなことはない、と信じて。

 

帰ってきてくれたとき、どれだけ嬉しかっただろうか。

 

夫の轟炎司と話し終わった後、冷は燈矢の体を抱きしめて、よかったと、心配したとすすり泣いた。

それに燈矢は、どこか、気まずそうに視線をそらしていた。

 

それから、夫から短く、燈矢がヒーローになることを許可する旨を話された。冷はその理由を察していた。

少女が、自分たちの前で起こした奇跡。それがあるからこそ、燈矢のことについて認められたのだろう。

冷は、それに少しだけほっとした。

これで、少しでも家の中が落ち着けばと、そう思っていた。

 

「いい加減にしろ!クソ親父!!!!」

 

なんて思っていたのもつかの間、あまりにも、その少女は家の中を全て変えてしまった。

 

燈矢の精神は落ち着き、夫は家の中に目を向けるようになり、焦凍は無茶な訓練から外され、冬美と夏雄は笑みを浮かべることが多くなった。

驚くことに、不定期ではあるが、家族皆で食事をするようになった。もちろん、そこには大抵、件の少女がいた。

 

「おいしーい!!」

「そう?たくさん食べてね?」

 

少女は、よい食いっぷりで、大抵の物は目をキラキラさせて冷の作ったものを食べる。毎回、おいしいおいしいと笑う少女を見れば、そう、悪い気持ちにはならない。

 

「燈矢、いいなあ!毎回、こんなにおいしいの食べられて!」

「転夜の方が嬉しそうだな?」

「そりゃさ。誰かの作ったご飯食べるのなんて、初めてだからなあ。」

 

少しだけ、気になるけれど、親もおらず、その年で一人で暮らしているとは聞いていたので、色々と複雑なことがあるのだろうと思っていた。

 

少女は変わっていた。

それは、もちろん、多くあるが、まず、冷の夫の轟炎司に怯むこともなく怒鳴り合えるほどの胆力をその年で持っていると思った。

 

「・・・・怖くないの?」

 

そんなことを聞いたことがあった。それに、少女は平然と答えた。

 

「おっちゃんが私に危害を加えることは百パーないことは確信してたから。あの人、めちゃくちゃリスク管理、というか、現状に対して理性的な方だから。」

 

けろりとそんなことを言ってくる。

冷にはそれが信じられない。何と言っても、冷の知る男は、不器用で、人との関わり方が微妙に斜め上を行く男なのだ。

 

「そう、かしら?」

「うーん、そうだなあ。冷さん、ヒーローの収入源で一番大きいのってなんだと思う?」

「それは、グッズとか、CMとか?」

「そうだよー。オールマイトのおっちゃんとかは、そういう収入は募金とかにしてるみたいだけど、でも、割合としては微々たる物でも入ってくるお金はえげつないわけなんだけど。おっちゃんのグッズ類の売り上げとか、CM契約とか殆ど無いのも知ってるよね?」

 

冷はそれに頷いた。

グッズはそれこそ、ランキング入りしているヒーローたちが足並みそろえて出したシリーズもののぬいぐるみとか、お菓子のシールだとか、チャリティーで配るボールペンだとか。

そんなものばかりだ。

CMも缶コーヒーなど、本当にメディア露出は少ない。

 

「うんうん、でもさ、おっちゃん、事務所はけっこういいとこに建ってるし、おまけにSKも結構な人数雇ってる。これってさ、CMも、グッズの売り上げもないくせに、ランキング入りしてる人気者達のグッズなんかの収益と同等の、お金が入ってるのだ!さて、収入源は?」

「なに、かしら?」

「ヴィラン討伐の報奨金と、スポンサーなんだけど。これ、本当に化け物級なんだよなあ。」

 

転夜はしみじみと呟く。

 

そりゃね、高名なヴィランだとかだとそれこそ、金は出るけどね。命の危険のあるヒーローの給料はえげつないし、サポート物品だってそうだよ。耐火性のものって、高いのに、それだってSKのためにいいものをそろえてる。おっちゃんの分もね。

それをまかなえるほどの討伐数を重ねてるのと、メディア露出しなくてもいいから、金を出すって言うスポンサーを引っ張って来れてる。

 

「おっちゃん、組織運営については本当に化け物級に上手いんだよなあ。ワンマンに見えて、他者に任せるところは任せて、その上でちゃんと収益を出してるの、えげつなさ過ぎてゲロが出るよ。」

「そんなに?」

 

あまり、仕事のことは触れていない冷にとって、転夜の評価は新鮮だった。それに、転夜はにかりと笑った。

 

「そんなに、さ。正直、組織運営とかの部類なら、オールマイトのおっちゃんよりも優れてる。あの人、そういうとこ雑だし。少数ならいいけど、多数の人数管理になるとキャパ超えんじゃないのかな?」

 

面白そうに言った少女は、やはり、子どもらしくない。そうして、少女の言葉から知る夫の側面に物珍しさを覚えた。

 

「だから、あの人、実際の所、リスクマネジメント?みたいなのはしっかりしてるんだよ。ただ、一回執着する部分に対してだけは、微妙に理性が飛ぶけど。あの人は、ヒーローとして倫理観はあるからねえ。見ず知らずの少女に暴力を振るうってことは逆立ちしたってあり得ないってわかってたからさ。」

だから、好きに噛みつけた。私が、あの人の、№1に近づくために有益だって事実も加味した上で。

 

「・・・・家では、そうでないけれど。」

 

皮肉を織り交ぜたそれに、転夜は淡く微笑んだ。

 

「№1に近づくって言うのが、おっちゃんの執着する方向性だからなあ。」

それだけ、別枠なんだろうね。

 

そう言った少女は、ひどく、大人びて見えた。

 

 

大人びて見えると言うだけならば、そういうこともあるのだろうが、それ以上に変わっているのは、やたらと冷のことを賛美することだろうか?

 

冷さん!いえ、今日も女神のごとき、美しさで!

何かお手伝いをしましょうか!?

あ、もし、時間があるならお茶でも!

 

なんて、少女は冷に対して、正しいのかわからないが、ラブコールをしてくる。

冷を見る目は、キラキラとさせて、羨望に満ちている。

けれど、だからといって、近づこうとすると遠のくのだ。

それなら、お茶でもいく?というと顔を赤くして、心の準備が、と遠のいていく。

 

女の子が好きなのだろうか?

そう言った子がいるのは、ぼんやりと知っているが、実際に見るのは初めてで、対応に困る。だからといって無碍にも出来ない。

冷は、その少女に心底、感謝しているのだ。

 

 

「・・・・燈矢、転夜ちゃんと、この頃どう?」

「・・・・・なんで、お母さんが、転夜のこと気にするわけ?」

「ううん、ただ、この頃は勉強とかで忙しいみたいだから、どうかなって。」

「いつも通りだよ。」

 

冷は、少々無愛想な燈矢のそれに苦笑した。

変わったというならば、隣に立つ息子が最たるものだろう。

あれだけ妬んでいた末っ子への接し方が普通になり、父親への執着は明らかに薄くなっている。

そうして、今はというと、冷から料理を習っているのだ。

その理由を、冷は知っている。

 

「・・・・転夜と俺の弁当、俺が作りたいから料理、教えて。」

 

それに冷は明日は台風が来るのではと戦々恐々としてしまった。

 

今まで、訓練にしか興味を持たなかった息子が唐突にそう言ってきたのだ。まあ、いいことかと思い立ち、冷と燈矢は不定期に共に台所に立った。

 

夫は不思議そうな顔をしていたが、食事に気を遣うのはいいことだ、と納得しているようだった。

鈍いなあと、冷は少しだけ呆れた。

 

「これ、燈矢が作ったの?おいしいね!」

 

なんて、夕飯時に言われたときの顔だとか、学校から空の弁当を抱えて帰ってくる時の笑みだとか。

今の顔だってそうだ。

 

「・・・・俺のほうが、可愛いって言ってたし。」

 

なんて嫉妬に濡れた声を聞くと、冷は感慨深くなる。

ふむ、息子よ、自分が同い年の時よりもずっと青春をしているな、と母親として思ってしまう。

ただ、なんというか、性別の在り方が微妙に反対のような気がするが。

 

燈矢は転夜が来てから、本当に変わった。

例えば、学校からの評判ががらっと変わった。以前は協調性がなく、クラスで孤立をしていると聞いた。

けれど、現在はなんと、転夜以外のクラスメイトに勉強を教えて感謝されている、なんて話を聞いた。

 

「・・・・やっぱ、燈矢っておっちゃんに似てるなあ。」

 

その話に、転夜はそんな感想を吐いた。

 

「どうしてそう思うの?」

「ううん、冷さん、例えば、Aって目的のために計画を立てることはできるでしょう?これをすればいいって。でも、実際問題、それを遂行できるってやつはなかなかないでしょう?でも、おっちゃんも燈矢も、その計画をちゃんと実行して、遂行できるのが化け物みたいにすごいというか。」

曰く、勉強を教えるのが下手だった燈矢の教え方が上手くなったらしい。

 

「いや、目的のために、やれることを増やせば良いってそりゃあそうだけどさあ。それが出来るようになるための努力を重ねるってすげえ精神力。燈矢は置いといて、なんでおっちゃん、あんなに卑屈なのか。」

 

燈矢は変わった。けれど、冷は素直に嬉しいと思う。少なくとも、以前よりも、燈矢は他に対して目を向けて、ずっと楽しそうにしている。

 

ただ、転夜は、なんだろうか。

冷を口説くのは、基本的に二人きりの時だけだ。

 

「お母さん、忘れないでよ?」

「うん?何が?」

「転夜は、お母さんが、理想のお母さんで懐いてるだけだからね?」

 

つんと澄ました様子でそんなことを言ってくるのだから、驚いた。

 

「お母さん?」

「そうだよ、あいつさ、すーぐに目移りするんだよ!?俺がいるのに!俺の顔が一番好きとか言ってひどくない!?でもさ、あいつが惹かれるのって、そりゃあ、白髪とかが多いんだけど、圧倒的に年上なんだよ。子どもがいるような。」

 

燈矢はぷりぷりしながら包丁で野菜を切る。

 

「・・・・あいつ、前に言ってたんだよ。おかあさんって、みんな、あんな感じなのって、お母さんのこと見ててさ。あいつ、母親のことを知らないらしいから、お母さんのこともそういう意味で見てるだけだから!」

 

なんてことを言ってくる。

冷は転夜のことを、恩人だとは思っているだけで、ある意味でそれ以下でも、それ以上でもないけれど、燈矢にとっては違うのだろう。

嫉妬の方向性が違うような気もする。

けれど、それ以上に、冷は思った。

 

(・・・ああ、そうね。あの子は、甘え方がわからないのか。)

 

それは、本当に、根本的な、理解だった。

そうして、思い出す。

彼女の精神面での主治医の言葉だ。

 

おそらく、この夜泣きが落ち着く頃には、もしかしたら、保護者への試し行為や甘えが出てくるかも知れません。その時は、他のお子さんときちんと兼ね合いを持って、甘やかしてあげてください。

それが、一番の薬ですから。

 

なんていうことを聞いて、夫が少女にぬいぐるみを渡し、夜泣きは起こっていないけれど。

結局、少女は、ただの一度も、自分にも、夫にも甘えに来ることはなかった。

 





何故か書いてた、ホラー系SSです。



「おっちゃーん!」
「・・・・転夜?」

エンデヴァーは思わず、顔をしかめた。

その日は、とある、違法な個性強化剤の摘発に赴いていた。
時刻は深夜。それこそ、草木も眠るなんて表現の似合う時間帯だ。そこは、人気のない、廃ビルだった。
もう少しで突入という時で、いの一番に向かうために裏口近くに待機をしていた。
廃ビルと言ってもさすがに鍵がかかっており、それを開けようとする警察の人間の姿が見えた。
エンデヴァーは仕事用のケータイに着信が入った。てっきり、緊急の連絡かと相手を見ずに出た。

そうして、聞こえてきたのが、冒頭のものだった。

「転夜?お前、何をこんな時間に・・・・」
「おっちゃん、そこ、入らない方がいいと思うんだが。」
「は?」

エンデヴァーは突然電話してきたこと、そうして、話してきた内容に顔をしかめる。

「お前、何を言ってるんだ?」
「ねえ、入るなら、せめて朝にしないか?うーん、入らない方がいいんだよ。ねえ、その廃ビルさ、もう、誰もいないから調べるだけ、無駄とは言わないんだけどなあ。証拠はあるけど。」
「おい、転夜、お前何を言っているんだ?」

エンデヴァーは混乱しながら叫んだ。電話の向こうの少女は、まるでその場が見えているようにそう言った。

「おい、調べるだけ無駄とはどういうことだ?お前、この件を知っているんだ?」
「エンデヴァー?どうしたんだ?」

そう言ってきたのは、その場の指揮を執っていた警察の人間だ。

「・・・今回の件が、ばれている、ということはないのか?」
「何を言っているんだ、そんなわけ・・・・」

エンデヴァーが耳からケータイを離した瞬間、どうもスピーカーになったらしく少女の声が辺りに響く。

「・・・・おい、やめろ、扉を開けるな!」

少女の叩きつけるような声がした。それに、扉を開けていた警察が、え、と驚いたように声を上げた。そうして、きいいと、重たく、鉄の扉が開いた。

その時だ。
何か、ぬるりと、やたらと生暖かい空気がビルの中から吹いてくる。つんと、鼻を生臭さがついてくる。
本能のように、エンデヴァーは炎を纏った。

「ねえ、何も喋っちゃダメ。ビルの中を見るな。」

やはり、スピーカーから発せられた少女の声は、何か、静かだというのにその場にやたらと、大きく響く。
エンデヴァーは、何故か、その声に従ってしまう。

「・・・・あーあ、出てきちゃったか。うんうん、どうしたものかな?何が望み?」

誰に話しかけている?
そう聞こうとするのに、何故か、声が喉に張り付いたような感覚で、どうしても何も喋られない。
いいや、丁度、エンデヴァーは扉の前に、体の右側を向けるように立っていたわけだが。
ざわざわと、何か、危機感と言えるものが確実に、せり上がってくる。
今すぐにもで、その、扉の奥に炎を叩きつけたくなる。

「何もしちゃダメ、何も喋っちゃダメ。他の人も、全員だからな。」

そんなときだ、ぺたりと、音がした。
丁度、エンデヴァーの炎に照らされて、少しだけ、ビルの中が照らされている。そうだ、その、照らされた部分に、足が、見えた。

細く、青白い、何か、病的な、印象を受ける足だ。

ビルの中は暗く、焔に照らされた足しか見えない。

ちょーだい。

それは、男とも、女とも、子供とも言えないような、何か、多くの声が混ざったような声だった。

「ダメだ、やれん。」
ちょーだい、
「その男はやれん。それには親がいる。」
ちょーだい。
「そのヒーローは、おっちゃんのお気に入りだ。必要だからやれん。」
ちょーだい。
「その警官は、この前、子が生まれた。やれん。」

その場にいた人間を、ねだる、声がする。それに転夜は淡々と応えていく。それに、エンデヴァーは冷や汗を垂れる。
だって、少女は、的確に、その場にいる人間の情報を言い当てていく。
どこで知った?
いいや、その前に、この、声の主は。

「ちょーだい。」
「ダメだ。」

最後の言葉は、まるで、氷のように冷たい声だった。

「これは、冷さんのものだ、これは、燈矢の物だ、これは、あの子達の物だ。お前にやれるものではない。」
これは、お前が手に入れられるような、安いものではない。

跳ね返すような、強く、冷たい声がした。

それに、一瞬の沈黙の後、声、がした。

「なら、なにならくれるの!?」

叩きつけるようなそれに、もう、数人は恐怖で涙が出ていた。エンデヴァーも我慢の限界だった。それ故に、もう、炎をビルに叩き込もうかと考えた。

「何を言う。扉は開いた、お前はもう出れるじゃないか。」
「でられるの?」
「ああ、出られる。出て、そうだな。まあ、仕方が無いか。道連れがなければ我慢が出来ないだろう。お前を苦しめたものならば、連れて行ってもいいよ。」

いいの?

また、あの、不愉快な、声がする。

「ああ、いいよ。」
許す。

まるで、裁定をするもののかのように、静かな声で、そう告げる。
それと、同時に。

ふ、あ、あははあははあはあはあははあはあはははははははははは。
きゃはははあはははははははははははははははははははははははは!!!!!!

さざめきのように、笑い声が、聞こえた。
それと同時に、扉から、幾人もの、足だけが、エンデヴァーたちの横をすり抜けて、夜の暗闇の中に消えていく。
それと同時に、きいいいいと音を立てて、轍の扉が閉じた。

「はあ、まあ、当人だけ持っていくなら証拠は残る、かな?おっちゃん、もう、入っても良いよ。そのビル、空になったから。あと、そうだな。うん、出来るなら、一階の、一番奥の、倉庫の、隅のタイルの辺りを調べてくれ。」
もう、手遅れだけど。見つけられないのは寂しいから。

じゃあね、とそのまま、ケータイは切れてしまった。



「っていうのが、親父から聞いた怖い話なんだけど。」
「まって、まってまって!!夏休みだから怖い話をしてって言ったけどさ!?それって、その後どうなったの、轟君!?」
「何もねえぞ?親父、その後慌てて家に帰ったけど、転夜姉は寝てたし、起きた様子もなかったらしいし。大体、親父の仕事用の電話なんて、家族全員知らないから、電話のしようがないしな。ああ、でも。」

焦凍は、クラスメイトを前にして、思い出したかのように頷いた。

「その事件の後、変死事件が続いて、調べたら死んだ奴ら全員、事件への関連があったってのは、まあ、聞いた。あと、調べろって言われたタイルを引っぺがしたら、薬を試しに使われて、ショックで亡くなった人の死体があったっていうのは聞いたが。」

転夜姉、変なところで勘が良いからな。もし、何か言われたら、素直に従った方がいいと思うぞ?

そう言って、赤と白の髪を揺らして、少年は淡く微笑んだ。

以前、後書きにあった転夜の異母兄、本編に出そうか、それとも番外編に置いておこうか悩んでおりまして。参考程度に知りたいです。

  • 二次創作だし、いいんじゃない!
  • 一周回って見たい!
  • 番外編で留めておけば?
  • いっそ、兄弟増やそう!
  • どっちでも
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