たぶん、ヴィランが親らしいが。それはそれとしてヒーローの子どもの方が気苦労が多い。   作:幽 

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感想、評価ありがとうございます。感想いただけましたら嬉しいです。

ホークス辺りはいったん終わりです。

ふと、思ったんですが、転夜のヒーローグッズが出たら、AFO買ったりするんですかね?


鷹との約束

 

 

「少し、一人での行動をしてみましょうか。」

「はあ。」

 

鷹見啓悟という少年は、自分の世話を担ってくれている目良のそれにこくりと頷いた。

 

 

鷹見、いいや、将来はホークスと名乗る少年は、結局の所その名前を捨ててしまうと言うのならば未来の名前で良いだろう。

ホークスは、その日、いくらかの金銭を貰い、町に出された。

ホークスは公安に拾われて、いくらかの時間が経ち、勉強や個性の使い方などを叩き込まれ、そうして、偽名で学校にも通い出してと物事がめまぐるしく変わっていた。

彼は、見た目を偽るために、髪や翼も黒く染めていた。

 

(・・・・息抜き、みたいなものなんやろな。)

 

ホークスはなんとなく察していた。

小学生の身で、彼に降りかかる、義務と言える物事は加重だ。おまけに、いつも、誰かしら公安の目がある。

おそらく、今も監視の目はあるのだろうが、それはそれとして自由に出来ることは悪いことではないのだろう。

 

(・・・・別に、気にせんでもええのに。)

 

こんな自由を貰うよりも、もっと個性の訓練だとか、別のことをしたかった。

リュックから感じる、かすかな重み。

早く、早く。

 

(ヒーローに・・・・)

 

 

そんなことを考えて、どこか、適当な場所で食事をしようと考えていると、ふと、地面の上に明るい色をした何かを見つける。

それが何かを認識して、ホークスは顔を、わかりにくいがぱあああと輝かせた。

 

(エンデヴァーの、キーホルダー!)

 

拾い上げたそれは、真新しく、ぬいぐるみと似たデザインだった。ホークスは顔を輝かせた。

 

(みたことなか!こんなのあるんだ!)

 

エンデヴァーのグッズは、元々、数が少ない。もちろん、ないわけではないのだが、何というか、子ども向けのものが圧倒的に少ないのだ。

事務所も支持層に向けて作っているらしく、エンデヴァーのグッズは少し、高級志向のものが多い。ホークスが使うのは難しい万年筆だとか、財布だとか。

あとは、ブラックコーヒーの缶などだ。

さすがに、それを全てねだることは難しい。

 

(でも、文房具が出たし!お茶碗とかも出た!)

 

ホークスは嬉しい。なんといっても、この頃は自分だって使えるようなグッズが出ていることが嬉しくてたまらない。

 

(でも、こんなのあったんや。どこのだろう?)

 

 

まじまじと見つめているとき、声がかかったのだ。

 

 

 

いけすかないなあと思った。

淡い銀?いいや、真っ白なだけなのかという髪に、澄んだ青い瞳をした少年。少女のように愛らしい顔は、まさしくアイドル顔負けだった。

 

「・・・なあ、それ、落とした奴なんだけど?返してくれる?」

 

不機嫌そう、というか、生来愛想がないのだろう。

つっけんどんな態度に苛立ちはあれど、それ以上に、ホークスは内心でドキドキしていた。

 

「エンデヴァー、好きなん?」

「だったらなんだよ?」

 

目の前の少年の態度に、ホークスは少し、納得した。ホークスも、エンデヴァーが好きだというと、大抵の人間はえーという顔をする。

少年も、周りに何か言われたのだと思って、じっとその顔を見つめる。

 

「・・・・おれも、好きやから。」

 

それに少年は驚いた顔をして、そうして、少しだけ嬉しそうにはにかんだ。えっへんと胸を張る。

 

「まあ、俺はそれ以上に、オールマイトはもちろん、エンデヴァーだって越えるヒーローになるからな!」

 

それに、ホークスの中で一気に目の前の少年が気にくわなくなった。

 

 

打って変わって、その少女のことは気に入った。

転夜と名乗ったそれは、少年、燈矢と打って変わって、気に入った。

自分と同じ、エンデヴァーぬいぐるみを持って、それを抱きかかえて笑う少女に、ホークスは思った。

 

それは、なんだか、どこか、少しだけ自分に似ている気がした。

 

気に入らないと思っていた少年も、少女が来て、よく話をすれば自分と同じくらいエンデヴァーが好きだと言うことがわかった。

燈矢と話をするのは楽しかった。

エンデヴァーについて、そこまで熱心に話をしてくれる人はいなかった。特に、炎という扱いの難しい個性について、燈矢は造詣が深かった。

少女は、なんだろうか。

転夜は、優しげに笑って、どこか、飄々と話す人だった。

 

(おれと一緒の、匂いがする。)

 

それは、何が、という確信があるわけではない。ただ、何か、同じ物を感じた。特に、エンデヴァーぬいぐるみを持っているのを見て、嬉しくなる。

それを持っている人なんて、ホークスは、見たことがなかった。

たいていの人は、オールマイト、オールマイトばかりで。

 

本当にそれでいいの?

 

なんて言ってくる人もいた。

 

「お姉ちゃんも、エンデヴァー好きなん?」

「うん、大好き。私のヒーローだ。君も、エンデヴァー好きなんだよね?」

 

燈矢がトイレに向かった折に、残った転夜にそう聞けば、淡く微笑んだ。その笑みは、なんだか、ホークスの近くにはいない笑みだった。

 

「うん、好き。お姉ちゃんは、エンデヴァーのどういう所が好き?」

「うーん、そうだなあ。」

 

悩ましいというように首を傾げた後、転夜は頷いて、答えた。

 

「・・・・私のこと、助けてくれたことかな。」

即物的だけどね。

 

それに、ホークスは思った。

ああ、この人は、きっと、自分と同じものなのだろうと。

 

好ましいと、そう思っていた。

聞く限り、そう、年が離れているわけではない誰かとそんな風に遊ぶなんてなかったことだ。

公安からの接触がない事から見て、二人とそうすることを禁じる気もないようで。

 

二人は、ヒーローになりたいと言った時、同じだと思った。

だからこそ、ホークスはわくわくしていた。

 

あの、暗い、陰気な家からエンデヴァーは光の当たる場所に連れ出してくれた。

 

(すごい、今度は、こんなに楽しい人たちに会うきっかけになってくれた。)

 

だからこそ、ホークスはますますエンデヴァーに対して感謝と言える感覚が増していった。

そんなとき、燈矢の台詞が赦せなかったのだ。

 

ホークスだってわかっている。

エンデヴァーというヒーローは、ホークスの永遠の憧れだ。己を救ってくれたヒーローだ。故に、燈矢というそれの発言は、彼にとってエンデヴァーを軽んじているようにしか思えなかった。

先ほどまでの楽しい感覚などみるみるしぼんでいき、頭に残るのは苛立ちだ。さすがに、まだ感情をコントロールする術など身につけていない彼は、じろりと燈矢を睨んだ。

視線の隅で、どうしたものかと転夜が悩んでいるのはわかったけれど。

そんなことなど、思考の隅に追いやられていた。

 

言葉を続けようとしたとき、悲鳴が上がった。声のする方を見ると、何やら少し先で地面に転ぶ初老の女性が見えた。

それと同時に、自分たちの横を、何か、おそらく肉食獣の個性だろうそれが、鞄を咥えて駆けていく。

 

(肉食獣、なんだろう?)

 

ホークスは駆けていくそれの服装を頭に叩き込み、そうして、倒れ込んだ女性の方に走っていく。

 

「大丈夫?」

「あ、あ、誰か!お願い、捕まえて!あ、あの中に、お、お父さんの、使ってた、財布が!!」

 

ホークスは初老の女性が怪我をしていないか確認するが、特別な怪我はないようだ。そこで、ホークスは他の二人が何をしているのかと伺った。

さすがに、咄嗟に体が動かなかったのだろうと、そう思っていたのに。

 

「おっし!行くぞ!」

「よし来た!」

 

ホークスは茫然とした。だって、そうだろう。

何故か、というか、どうしたのかわからないが、何故か砲丸投げのように転夜が燈矢のことをぐるんぐるんと振り回しているのだ。

 

転夜のそれに、燈矢が返事をすれば、彼はぐるんと勢いよくひったくり犯に飛んでいく。

 

(いや、勢いが、足りない?)

 

ホークスがそう思うと同時に、燈矢の足から勢いよく火が、噴出される。ロケットのように加速し、燈矢はひったくり犯の背中に飛びついた。

 

「うおっ!?」

 

そんな声と共に、ひったくり犯は盛大に顔から転び、がつんといい音がした。どうも気絶したらしく、そのままくたりと倒れ込んだ、まではよかった。

ぽーんと、奪い取った鞄が、飛んでいく。

そうして、迫り来る、車が見えた。

 

ホークスにだってわかった、ああ、鞄は車に巻き込まれてひどい状態になるだろうと。

被害者の悲痛な声が聞こえたが、ホークスは何かをする気はなかった。

 

特別なことがない限りは個性を使ってはいけない。

 

当たり前だ。ホークスは目立たない方がいい。今回は人命が関係しているわけではないのだ。

ならば、とホークスはその鞄を諦めようとした、のだが。

 

「うっしゃ!任せろ!!」

「は?」

 

転夜が、勢いよく、鞄に飛びつかんと、思いっきり飛んだのだ。あんぐりと、ホークスはその様子を眺める。

 

車が、迫っている。

 

(ひ、ひかれる?ううん、大丈夫だから、いった?うん?でも、え、あ・・・・)

 

スローモーションで、飛ぶ少女の姿が見える。迫ってくる車、そうして、驚愕の表情をする運転手。

何のためらいもない、少女の後ろ姿。

 

いいかい、わかっているね?

 

公安の、保護者の言葉を思い出す。思い出して、けれど、ホークスはもう、全部放り投げてしまった。

ええい、ままよ!

 

その感覚のままに、ホークスは羽根を転夜に打ったのだ。

 

「どっわ!!」

 

ぐいっと引っ張られ、地面に転がった転夜は、自分に纏わり付く黒い羽根に目を見開いた。

ホークスはやってしまったことに頭を抱えつつ、ついでに回収した鞄を被害者を渡した。

 

「ありがとう!ああ、よかった!!」

 

彼女は、鞄から急いで、ボロボロの財布を取り出して、安堵したように笑った。

 

「うへえ、君の個性って、翼ってだけじゃないのか。便利だなあ。」

 

聞こえてきた転夜のそれに、ホークスは振り返る。そこで、転夜はいつの間にか立ち上がり、そうして、ホークスを抱え上げた。

 

「な、なにするん!?」

「いやあ、ごめん!今更だけど、このことばれたら、保護者にくっそ怒られるから、一緒にずらかって!」

「はあ!?」

「じゃ、おばちゃん!気をつけてね!!」

 

転夜が走り出すと同時に、後ろから燈矢も追走する。

 

「犯人は?」

「騒ぎを聞きつけてきた人に任せた!早く、ここから離れるぞ!」

「うっしゃ、行くぞ!」

 

ぐんと、二人の走る速度が上がる、それに、ホークスは叫んだ。

 

「はなしてえええええええ!?」

 

 

 

 

「いやあ、なんとか逃げ切れた。」

「ほんと、咄嗟とは言えやばかったなあ。」

 

転夜と燈矢は、人の気配のない場所まで来て、そう言い合っているのを見て、ホークスが叫んだ。

 

「もう!二人とも、あぶなかよ!?」

「あー、安心しろ!もっとすごい修羅場を越えたことがある!」

「いやあ、でも、ひかれるかもとか思ったから、助かったよ!」

 

それにホークスはこれ以上無いほど、眉間に皺を寄せて、怒鳴った。

 

「ひかれるう思うなら、なんで飛び込んだと!?おれがたすけんかったら、本当にあぶなかったとよ!?」

 

それに転夜はきょとんとした顔をした。

 

「でも、あの人、旦那さんの形見がって言ってたから。」

「だからって!?」

「・・・・たった一つでも、事実とかさ、面影とかさ、思い出が、その人にとって生きる意味になってることがあるからねえ。」

 

何てことの無いような声で、そう言った。ホークスはそれに転夜の方を見た。少女は、ひどく、静かな目をしていた。

 

「あのボロボロな財布は、私たちにとって取るに足らなくても、あの人にとっては命と同等かも知れないだろう?」

なら、飛ぶしかないじゃないか。

 

何でも無いことのないようにそう言った転夜の隣で、同じように燈矢が言った。

 

「そうだ。大体な、助けてくれって言ってる奴のこと、助けられなくて何がヒーローだよ。」

それで戸惑ってる時点で、オールマイトのことも、エンデヴァーのことも、越えられるはずがないだろう。

 

ホークスは、それに、それに、なんだか、驚いてしまった。

 

目の前のその、少なくとも、燈矢という少年は、本気で言っているのだ。

 

オールマイトのことも、そうして、エンデヴァーのことも、越えるのだと。

当たり前のように、それに、事実として、重きを置いているのだと。

当然の言葉と行動は、確かに、示してみせた。

 

燦然と輝く星、絶対的な象徴、それを、少年は越えてみせるのだと、そう言っているのだ。

それは、子どもの全能感?それとも、ただの愚かさ?

 

けれど、けれど、己を見つめる青い瞳。

それは、空のような、海のような、そんな青ではなくて。

まるで、焔のように、燃えさかる色に似ていた。

 

ああ、でも、けれど、胸がドキドキと高鳴るのだ。

彼らは、当たり前のように助けてと、こわれる声に、走るのならば。

 

あの時、固まった自分と、彼ら。その軽やかさに、何か、ホークスの胸がどきどきと高鳴って。

 

「でもさ、君にもお世話になったね!助かったよ!」

「だな!お前、有翼の個性にしては、面白い感じだよな!羽根、一つ一つ動かせるのか!?」

 

ころっと、今までの張り詰めた空気など忘れて、二人はホークスの周りにたかり、話しかけてくる。その、脳天気な様子にホークスは叫んだ。

 

「いい加減にしんさい!!危なかったってわかっとるん!?」

 

それに転夜はケラケラと笑って、そうして、ホークスの頭を撫でた。

 

「ごめんよ、でもさ、ありがとうね。」

小さなヒーロー。

 

 

 

 

 

 

「いやあ、怒らないでよ。」

「怒ってなか!二人の危機感のなさに、あきれとるんよ!」

「怒ってんじゃん!」

 

三人はだらだらと道を歩いていた。ひとまず、その場から逃げ出した三人であるが、適当に走ったため、見事に迷ってしまった。

転夜と燈矢は保護者との待ち合わせの駅まで、土地勘のあるホークスに道案内を頼んだのだ。

 

「ほら、ここまで来たらわかるやろ?おれは、もう、いくけんね?」

 

ホークスはそろそろ帰らなければとそう言えば、転夜と燈矢は顔を見合わせ、そうして、示し合わせるように頷いた。

 

「ねえ、君。」

「なんよ?」

「あのさ、今日はお世話になったし。お礼がしたいんだ。」

「お礼って、なんね?」

 

それに転夜はにっこりと笑い、ホークスに囁いた。

 

「あのさ、エンデヴァーに会わせてあげる。」

 

その言葉に、ホークスは目を見開き、そうして、転夜から距離を取る。

 

「何が目的?」

「あー、やっぱそうかあ。」

「まあ、そりゃあ、警戒するわな。」

 

燈矢のそれに、転夜はうなずき、そうして持っていたポシェットからエンデヴァーを引き抜いた。

 

「ふふふふふ、ならば、証拠を見せましょう。」

「証拠?」

 

転夜はエンデヴァーぬいぐるみのお腹を押した。ホークスも知っている。そうすれば、効果音が流れるのだ。

けれど、聞こえてきたのは、まったく違う。

 

『精進しろ。』

「エンデヴァーの声や!」

「そうさ!実はね、こっちの燈矢のお父さんがエンデヴァーでね?これは、特別製で、生音声が吹き込まれているのだ!」

 

えっへんと胸を張る転夜に、ホークスはどきどきと胸を高鳴らせた。

 

(嘘?ううん、確かに、エンデヴァーの声やった。間違えることはなかよ。それに、もしかして、あのキーホルダーも、身内だけの非売品?なら、説明が付く。)

 

ホークスがぐるぐる考えていると、燈矢と転夜が話し始める。

 

「ほかに、なんか証拠ある?」

「あー、お父さんとこの名刺と。そうだ、お父さんのことだから、もう打ち合わせ終わってるから、電話してみる?」

(会える?会えるんかな?エンデヴァー!)

 

ホークスのヒーロー、架空が現実たり得ると、そう、肯定してくれた存在。

会いたい?

会ってみたい、会って、そうして。

 

「おっちゃんに頼んで、握手とかサインぐらいはいけると思うんだ。だから・・・」

「・・・・ううん、会わん。」

 

ホークスは、己のエンデヴァーぬいぐるみを強く抱きしめた。

 

「やっぱ、信用が・・・」

「違うんよ。でも、おれ、今はエンデヴァーに会えん。エンデヴァーに会うのはな。」

おれが、ヒーローになって。自分で会いに行く人やから。

 

揺るがぬ瞳で、ホークスは言った。

 

それに転夜は驚き、燈矢は嬉しそうににやりと笑った。

 

声に出したそれは、ホークスの胸にストンと、収まった。

 

エンデヴァーに会いたい。

あの日、ホークスにもたらされた救い、確かなヒーローという存在の実在性。

嬉しかった。

救われた事実、暗闇にともった光。

 

ああ、そうありたい。

 

自分も、こんな風に、こんな自分のように胸にともしてくれた火を、誰かに託すことが出来たのなら。

 

いつか、あんなふうになれたのなら、どれほど。

だから、今ではないのだ。きっと、今ではない。輝かしい、ホークスのヒーローに会うのは、自分の翼であるべきだから。

 

「ふ、あははははははははは!なんだよ、お前!ほら、転夜こいつ、見所あるだろ?」

「・・・・・誰よりも喧嘩してたくせに。」

 

呆れたような声で転夜はそう言った後、頷いて、そうしてホークスに持っていたエンデヴァーぬいぐるみを差し出した。

 

「ならさ、これ、君に預けてもいい?」

「え?」

「これさ、世界でたった一つのぬいぐるみなんだ。エンデヴァーからの声援付き。とーっても、貴重だ。」

「それなら、なんでおれに・・・」

「ヒーローになるんでしょ?」

 

転夜はにかりと笑った。

 

「君が、いつか、必ずヒーローになるならさ、それを預けるから返しに来てよ。いつかに、ヒーローになるって言い放ったものですがって。」

私たちの方が、先にヒーローになってみせるから。追いついてきてよ。

 

ホークスは、それにふらふらとそのぬいぐるみを受け取った。転夜はそれに、ホークスの頭を撫でた。

 

「君は、いつかに素敵な大人になる。だから、覚えておいて。君が、もしも、いろんな理由でヒーローになれなくても。ヒーローにならないって決めたとしてもいいからさ。何か、区切りが付いたら、そのぬいぐるみを返しに来てよ。」

「どうして、そんなこというん?」

 

それはホークスの素直な疑問だった。何故、ヒーローにならないという選択肢を自分に用意するのだろうか?

 

「・・・・そうだなあ、ここでお別れするのが、私にはとっても寂しいから、かな?だから、約束が欲しいんだ。君も、私も、いつかにエンデヴァーに救われたものだから。」

ちょっと、親近感があってね。

 

ホークスはそれに、理解する。

それは、きっと、頑なに、名前も、どこに住んでいるのかも、頑なに言わない少年への、せめてもの寂しさの表れで、そうして、再会の願いであるのだと。

ホークスは渡されたぬいぐるみをじっと見た。そこで、ぐいっと、何かが自分に押しつけられる。

思わず受け取ったのは、二人に会うきっかけだったエンデヴァーのキーホルダーで。

 

「俺も、それ、預けとくからな。」

「これも?」

「そ、あんだけ生意気言ったんだからな!会いに来いよ!お前、強くなりそうだしな!」

 

笑った燈矢の笑みに、ホークスはそのキーホルダーをじっと見た。そうして、自分が元々持っていた古びたぬいぐるみを転夜に渡した。

 

「・・・・これは?」

「おれも、預けとくから。お姉ちゃん、おれにコレ渡したら、寂しいやろ?だから、おれも、あずけとくね。」

 

追いかけるから、飛んでいくから。自分の出せる、最高速度で。

 

「ヒーローになったら、エンデヴァー事務所にいくけんね。」

ヒーローになりましたって。

 

笑ったホークスに、二人は、同じように笑った。

 

「うん!」

「おう!」

待ってるね!

 

 

 

 

『精進しろ。』

 

ホークスはその日、ようやく返して貰ったエンデヴァーのぬいぐるみに微笑んだ。

持って帰ったぬいぐるみは、何か仕組まれていないかと調べられ、無事にホークスの元に返ってきたのだ。

 

(本当に、あの二人、エンデヴァーの関係者やった。)

 

目良から聞かされたそれに、その意味を理解して、どきどきと胸が高鳴る。

 

『精進しろ。』

 

ホークスは、ぬいぐるみから聞こえてくるそのはげましの言葉に笑った。

 

「うん、精進するから。」

すぐに、飛んでいくから。

 

「待っててな。」

 

少年は、そう言って淡く笑った。

いつかに、誇らしげに、約束を果すのだと、そう、誓って。

 

 

 





ホークスさんや。
なんですかね?
・・・・君この頃生意気だね。昔は、お姉ちゃんって可愛かったのに。
そう言った可愛げは、ことごとく捨て去りましたんで。
まあ、可愛くない。おっちゃんの前だとかわいこぶるくせに。まあいいや、それよりもさ、意見が聞きたくてさ。
なんね?
ヒーローのグッズってさ、ある程度人気というか、知名度ないと出ないでしょ?それこそ、SKとか絶対ないじゃん?
まあ、そうね。
なんかさ、私のグッズの要望が多くて、どうしようかと思ってね。
・・・・グッズ化するん?いつ?なに?
いや、予定にはないんだけどさ。前から要望があって、特に、燈矢のぬいぐるみとか。アクスタとかが発売されたから特にねえ。というか、逆に燈矢とセット売りの希望が。いや、なんか、やたらの丁寧な文章で、圧が強い私単体販売の希望があったりして怖いんだけど。
あー、まあ、カプとかあるけんね。
何が?
きにせんでえ。というか、要望が多いなら、少量出してもいいんじゃない?元々、燈矢とコンビみたいで、メディア露出とかしとったし。そのせいでしょ。
いや、それがさ。私、個性で性別かえられっしょ?
ああ、時々なってるね。男の方が筋力増えるって。
そうそう、それでさ、なんだか男の方のグッズの要望もあって。どうしたものかなあって。
・・・・まあ、どっちも出したら?
どっちもお!?いや、さすがに、それは。
売れなかったら、俺が全部引き取るから大丈夫。
いや、大丈夫じゃないぞ!?燈矢と同じようなこと言うの止めて!?何がお前をそんなに駆り立てるんだよ?

以前、後書きにあった転夜の異母兄、本編に出そうか、それとも番外編に置いておこうか悩んでおりまして。参考程度に知りたいです。

  • 二次創作だし、いいんじゃない!
  • 一周回って見たい!
  • 番外編で留めておけば?
  • いっそ、兄弟増やそう!
  • どっちでも
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