たぶん、ヴィランが親らしいが。それはそれとしてヒーローの子どもの方が気苦労が多い。   作:幽 

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感想、評価ありがとうございます。感想いただけましたら嬉しいです。

性転換だとか出来ると知ってはしゃいだ転夜であるが、何の役に立つのかと後で正気に戻った。

後半ラブコメっぽくなりました。たぶん、ラブコメ。

後書きの話、いつか書いてみたいなと思っています。
SKはサイドキックのことです。
本編見てると、転夜の愛情表現は父親似だった‥?



夜に会う

 

 

 

(・・・・・吐きそう。)

 

夢意転夜は、その日、夜の公園で黄昏れていた。

 

(受験、が、近い!!)

 

かっと目を見開き、そうして、ベンチの背もたれにずるずると下がっていく。

 

 

 

かれこれ、轟家で過ごして年単位が過ぎた。

末っ子はすでに小学生になっている。

 

(入学式のおっちゃん、五月蠅かったなあ・・・・・)

 

ちなみに、五月蠅いとは、ヴィランの案件で入学式に来れなかった轟炎司がひどく五月蠅かったという話だ。

 

「転夜姉、見て!ランドセル!」

 

にこにこと笑って、ランドセルを背負ってくるくる回る轟焦凍は大変愛らしかった。

冬美も小学校を卒業し、セーラー服に身を包むようになった。

 

(やっぱ、儚げでなくても、ああいうはつらつと言うか、元気な子のセーラーもなかなか。)

 

そこまで考えて、転夜はため息を吐いた。

下の子どもたちの成長は大変に嬉しい。夏雄もだいぶ大きくなっている。燈矢だって、身長が伸びて、成長を感じる。

ちなみに、転夜は身長が百六十後半になり、燈矢を越えている。

そんな中、成長を感じると言うことは、だ。

転夜の、雄英への受験が近づいていると言うことだ。

 

(成績は伸びてるけどさあ。)

 

かれこれ1年、炎司と燈矢に多大な迷惑をかけつつ、なんとか成績は上がり、まあ、なんとかなるんじゃない?といえるまでに上がった。

公立中学で、中ぐらいの成績だった自分としては頑張ったほうだと思いたい。

 

(たとえ、それの背景に、私の成績を憂いたおっちゃんが、オールマイトのおっちゃんとか、ナイトアイのおっちゃんに相談し、そっちからの支援があったという事実があったとしても。)

 

そうであるとしても、恨んでいない。生き恥を全体的にばらまかれた感はあるが、絶対に恨んではいない。

 

(それは、それとして、だなあ。)

 

転夜が今、夜の公園にいるのは、彼女の日課がランニングであるためだ。幼い頃から延々と閉じ込められているせいか、広いところを走り回るのが好きだ。

 

お前は運動不足の大型犬か?

 

そんなことを轟炎司に言われているが、気にせずに転夜は夜になると変わらず走っている。夜に走り回ることを、炎司と燈矢はいい顔はしないが、下手な存在に害されるような存在でもなく、元より、体を動かしている方が性に合っている転夜の気分転換だ。

さすがに目をつぶってくれている。

時折、燈矢も付き合っている。

 

「・・・・新技なあ。」

 

転夜が悩んでいるのは、個性の使い方についてだった。

 

(・・・・個性に関する試験のために、新しく使い方を考えておけってなあ。)

 

現在の転夜の戦い方なんて、主に肉弾戦だ。

重力の切り替えを行い、移動する。そうして、四肢の重さなどを切り替えて打撃を加えるぐらいだ。

 

(まあ、軽い状態で勢いを付けて、反転で重くして、それに過重を加えればけっこうなダメージにはなるもんな。)

 

それはそれとして、やれることは増やせと言われるのは道理だ。

 

(・・・・電気の反対って、なんだ?)

 

なんて考えをぐるぐると考える。

時期はすでに冬である。寒いのは寒いが、家を出てくるまでに寒いだろうと着せられた防寒着のおかげで暖かい。

というか、走ってきたせいでだいぶ暖かくなってしまっている。

 

(あー。でも、そろそろ帰んないと。)

「なあ、君・・・・」

「うえっ!?」

 

 

ベンチにだらりと腰掛けていた転夜は、突然の声に、驚いて飛び上がる。そうして、声の方に振り返ると、そこには、黒いコートを纏った、大柄な男がいた。

 

「ああ、君か。久しぶりだね。」

 

転夜は一瞬、誰かと思ったが、その声には聞き覚えがあった。

 

「ああ!あの時の!」

「覚えていてくれたんだね。」

 

目深に被ったハットで顔はやっぱり見えない。けれど、見えないなりに、その柔らかな声が笑っていることを理解した。

 

 

 

「元気そうでよかったよ。」

「まあ、それが取り柄なので。おじさんも、元気でしたか?」

 

いつの間にかベンチに隣り合って座る男に疑問に思いつつも、何か、相手の声が弾んでいるために転夜は黙った。

 

(・・・寂しいのかな?)

 

以前に聞いた、同い年の娘がいるという話を思い出し、重ねている部分があるのかも知れないと思った。

男は、両手を合わせて、口を開く。夜の公園のせいで、やっぱり顔は見えない。けれど、不思議と警戒心も持たずに、転夜は男に視線を向けた。

 

「いや、すまないね。こんな時間に、一人でいる子を見て心配になってしまってね。」

「あー、それは、ご心配を。でも、おじさんも遅いですね。お仕事ですか?」

 

それに、男は楽しそうな声を出した。

 

「ああ、世界中に友人がいるんだ。友人達が色々としてくれているから、私は楽をしているよ。」

 

転夜はそれに思わず顔をしかめた。

 

「おじさん、胡散臭すぎるから、それ、止めた方が良いですよ?」

「それは、すまないね!まあ、そんなものかな。今、ちょっと、商売敵とごたついててね。」

「へえ、それは大変ですね。まあ、私も大変なんですが。」

 

はあ、とため息を吐いた転夜に、男は問いかける。

 

「おや、何かあるのかい?」

「・・・子どもだからって、脳天気に考えてると思ってます?」

「いいや、そんなことはない。子どもには子どもなりに悩みがあるだろう?」

「うええええ、大人だなあ。」

 

下唇を突き出して、拗ねたような顔をした。それに、男はくすくすと楽しそうに笑った。

 

「まあ、どんな悩みでも話してごらんよ。案外、解決方法が見つかるかも知れないよ?」

 

それに転夜は少しだけ考え、まあ、外部の人間にばれてもいいだろうと口を開いた。

 

「いえ、なんというか。個性の使い方に悩んでいて。」

「へえ、個性か。」

「どうしても、応用が苦手で。」

 

転夜は簡潔に己の個性について話をした。それに、男は少しだけ考え込むような仕草をした。

 

「・・・・個性を使うとき、どんなイメージをしてるんだい?」

「イメージ?えー、ひっくり返してる、だけだしなあ。」

「それは、コインをひっくり返すような?」

 

具体的なそれに、転夜は無意識のうちに己の中のイメージを口にした。

 

「いえ、針だ。」

「針?」

「時計の、羅針みたいな。それが、ぐるっと回る感じ。」

 

十二という数字を刺していた針が、六というそれを指すように、ぐるりと回転する場面が浮んだ。

 

「・・・・ふむ。ほら、イメージ一つでもだいぶ変わる物だろう?なら、君にとっては。対極に位置するものは確実にひっくり返すことが出来るはずだ。」

「簡単にいいますけどねえ。」

 

やはり、困り果てたような顔をして、転夜はやっぱり何が出来るんだと考える。

 

そこで、上から声がした。

 

「・・・・・例えば、なんだけどね?」

性別なんかも、変えられるんじゃないかい?

 

男のそれに、転夜は目をぱちくりとさせた。

 

 

出来るのか?

そんな疑問が浮んだ。性別を変えるなんて、それこそ、体全体の改変になる。そこまでことごとく変えられるものなのか?

 

(まあ、体質も変えられるのなら、いけるのかな?)

 

元より、出来なくてもデメリットがあるわけではないと思い、そのまま個性を使ってみた。

 

ぐるりと、己の中で、針を動かす。

 

ぐんと、視界が高くなるのが分かった。体は、一瞬だけ、軋むような感覚を覚えた。

 

「は?」

 

思わず出した声が、低い。転夜は思わず己の手を見た。そこには、自分が記憶しているよりも少しだけ大きな手があった。

ばっと、自分の体をまさぐれば、明らかに以前の自分よりも筋肉質で、しっかりとした体がある。

なんだかキツくなった靴でぴょんと飛んだ。

そこにいるのは、少々女らしい顔立ちをした、背の高い少年だ。

 

「ほ、本当に、できたああああああああ!?」

 

転夜は時間帯の事なんて忘れて、思わず叫んでいた。

 

 

男の手が、震えた。

 

「すごい、ここまで出来るんだ!体の一部、だけなら。」

 

男の指先がぴくりと震える。

 

「手の一部とか、大と小とかで切り替えらんないかな?おっきな手でパンチとかいいな!」

 

男が、一歩、目の前の少年に足を踏み出した。

 

「あ、もしかして、年齢とかもいけないかな?」

 

口元に、どうしようもなく、笑みが浮んだ。

 

少年は、自分から少しだけ離れた場所でくるくると回っている。

 

「すごいなあ、できたよ!」

「ああ、本当だ。」

「おじさんの言ったとおりだ!」

「ああ、ああ、とても、とても。」

素晴らしい。

 

目の前で、一人の少年が笑っている。

黒い髪に、一房だけ、真っ白な髪が流星のように瞬いている。

無邪気に、楽しげに、愚かしく、己に嬉しげに、微笑んでいる。

 

ああ、本当に、素晴らしい。

素晴らしいから、そうだ、逃げないように、今度こそ、ちゃんと、誰にも。

 

かつりと、男は、少年に近づいて。

指先が、ぴくりぴくりと震えて。口元に浮かんだ笑みが、にんまりと、弧を描いて。

手を、伸ばして。

 

「おじさん!」

 

声がした、変声期前の、少女のように、少しだけ高い声だ。

それに気を取られていて、気づかない。

 

黒い髪をたなびかせて、少年が己に飛び込んでくる。ばっと、跳ねたと思えば自分の胸に飛び込んでくる。

 

「は?」

 

間抜けな己の声がした。そんなことをするなんて、まったく思っていなかった。

するりと、自分から逃げていくはずのそれが、自分に向かってくる。自分に、満面の笑みで、近づいてくる。

そうして、それは、自分に向かってたんと飛んだ。

それに思わず、男は少年を受け止めるように手を差し出した。

 

ぼすんと、華奢な少年の体を受け止めた。男の体がゆらぐ事なんて無い。落ちそうになった帽子を片手で押さえて、もう片方で少年の体を支えた。未だ幼い少年は、まるでそれが正しいというように、従順に己の腕の中に収まっている。

 

「ありがとう、おっちゃん!」

 

少年が笑っている。

母親似の顔立ちで、己にそっくりの目元を細め、母親と同じ色の瞳を細め、そうして、幼い頃の弟そっくりの笑みを浮かべて。

 

「嬉しいな!」

大好き!

 

自分のことを、見つめていた。

 

 

 

 

「あ、ごめんなさい!」

 

転夜は嬉しさのあまり、突っ込んでしまった無礼に慌てて男の腕から抜け出した。

男は驚いているのか、固まっていた。

 

「出来ることが増えて、嬉しくて。」

(おっちゃんに飛びつく癖が、こんなところで出てしまった。)

 

気をつけなければと思いつつ、転夜はわたわたと男を見つめる。男は、茫然としながら、自分の手を見つめている。

転夜は己の無礼をわびようと、口を開こうとする。けれど、その前に、男が呟いた。

 

「・・・・だいすき?」

 

それに転夜の顔に赤みが走る。

 

「ああああああああ!ごめんなさい、なんというか、嬉しくて、つい!」

 

顔を赤くしてばたばたと手足を動かす転夜を前に、男は幾度も片手の腕をぐーぱーと開け閉めした。

 

「・・・いいや、ただ、あまり、そういうことは簡単に言わない方がいいよ?」

 

声が震えている気がするが、ひかれてしまっただろうかと転夜は己の行いを恥じた。

 

「どうでもいい人には言ってませんから!」

 

そう取り繕った転夜は、さすがに気まずくなり、帰ろうかと思い立った。

 

「えっと、ヒント、ありがとうございます。私、そろそろ帰ります。」

「・・・・ああ。そうかい。ああ。」

 

転夜は男はじっと見つめている。それに、転夜は自分の性別を戻し、そう言えばと口を開いた。

 

「おじさんもそろそろ帰らないとですよね。娘さんとか、奥さんも待ってるでしょう?」

「・・・・妻は、いないからね。娘とは、まだ暮らせてないんだ。」

 

それに転夜は聞いてはいけないことを言ったかと慌てた。それに、取り繕うように言った。

 

「あーですねえ。商売仇とかありますし。落ち着いてからの方がいいですよね!」

「そう思うかい?」

「せっかく会えたお父さんと暮らしてるのに、仕事でばたばたしてたら余計に寂しいかなあと。まあ、娘さんがどうおもっているかですけど。」

「・・・・そうだね。」

「まあ、私は帰りますね。そろそろ遅いですし。」

 

転夜はそう言って恥ずかしさのために去ろうかと考えたが、それよりも先に、ふと近くにあった自動販売機が目に止まった。

転夜は少しだけ立ち止まり、自動販売機に向かい、何かを買った。そうして、男に近づく。

 

「あの、甘い物って好きですか?」

「ああ、好きだけれど。」

「なら、これ、どうぞ!」

 

転夜はそう言って男にココアを渡した。男はじっとココアを見つめた。

 

「ココアかい?」

「ええ、少々、という話じゃないですが。いつ会えるかもわからないので。ハッピーヴァレンタインって奴です!諸諸のお礼と、お詫びにどうぞ!」

 

それじゃあ、と転夜はその場から駆けだした。

 

「おじさん、それじゃあ、また!」

 

転夜はそのまま、公園から駆けだした。

 

 

「・・・・・だい、すき、か。」

 

男は渡された、ココアを手の内で転がした。

 

連れて行こうと思っていた。その前に、話をしようと思っていた。少しだけ、雑談を。

その話の上で、出た、個性の話。

 

少年の、その、姿。

素敵だと思った、まさしく、望んでいたとおりの、それ。

 

善良そうで、己に向けられる無邪気な愛。

たまらなく思って、しまってしまおうかと考えた。

 

「・・・・いや、まだ。まだ、だ。」

 

そうだ、まだ、準備が出来ていない。弟を取り戻せていないし、煩わしい存在達の始末もまだだ。ならば、今は安全なあの家に残しておいた方がいい。

 

「迎えに行くのは、もう少し、先にしようか。」

 

温かなココアの缶を、男は宝物を扱うように、丁寧に扱った。

 

「またね、と、お前は言うのだから。」

 

 

 

 

 

轟燈矢はその日、自室で腕立て伏せをしていた。

 

個性を使うのもいいが、体を鍛えて基礎能力は上げておくんだぞ。

 

その父親の言葉に従ってのことだった。元より、彼の相棒である存在は日課であるランニングに行っており不在だった。

ならばと、そんなことをしていると、廊下をどたどたと走ってくる音がした。

そうして、ふすまを開けて、転夜が飛び込んでくる。

 

「燈矢、聞いて聞いて!!」

「なに、そんなにはしゃいで。」

 

燈矢が起き上がろうとすると、興奮している転夜はそれよりも先に彼の上に乗っかってくる。

 

「あのさ、すごいんだよ!新技、新技!!」

「わかったから!転夜、どいてくれない!?」

 

別に重くない。乗っかっていると言ってもあくまで覆い被さっているだけで、体重をかけているわけではないからだ。

ただ、諸諸に、直接的に伝わってくるものがあり非常に気まずい。走ってきたせいか、転夜の上がった体温が、薄手の寝間着を伝ってくるのがわかる。

が、そんな声など聞こえていないのか、転夜はにこにこ笑って言った。

 

「いいから見てよ!」

 

そう言ったと同時に、己にまたがっていた少女の体が、軋んだ。

 

「は?」

「ね、すごいでしょ?性別まで変えられるんだ!」

  

そこにいるのは、自分よりもずっと大柄な、少年だった。

 

 

 

「え?え?」

「すごいだろ?性別変えられるんだ!新しい発見!」

 

燈矢はぽかんと口を開けた。自分に覆い被さる少年を見つめた。

つやつやとした黒い髪に、それに混じる一房の白い髪。金銀の、左右に違う瞳に、にこりと笑うその顔立ち。

声も、まだ変声期前のせいか、確かに転夜と似た声だった。

ただ、違うのは、男になっているせいか、ただでさえ、身長に差があったというのに、その差が余計に顕著になっている。

 

百七十はあるだろうそれは、燈矢のことを楽しそうに見下ろしている。

 

「わかったから、どいて・・・」

「これさ、ちょっとヒント貰ってな。そしたらできたんだ!」

 

燈矢は転夜のことを押し戻そうと腹に手を添えた。その時、転夜が呟いた。

 

「・・・・そういえば、他人にも出来るのかな?」

「は?」

 

おそらく、好奇心と、素直な疑問による無意識だったのだろう。

己の体が、軋むような感覚がした。

 

「え、あ、おい、お前!!」

 

わかる、わかってしまう。寝転んでいたせいで、視界に変わりは無くとも、明らかに、諸諸の感覚が違う。

ばっと見た手だとか、そういった、まだ性差が薄いとは言え、確実に全てが変わった己の体に茫然とする。

 

「なにしてんだよ、すぐに、戻せ!!」

 

怒りに満ちた燈矢のそれに、転夜は聞いていないのか、いるのかわからないがじっと自分の顔を見つめてくる。

 

「な、なんだよ?」

「・・・燈矢、可愛い。」

 

それに思わず固まったのは、普段の、軽口のようなものではなく、ひどく熱っぽい声で囁いてくる。

 

「か、可愛い、とか、言うなって。」

「いや、すごい、女の子の燈矢、かわいい。わあ、すごい、ちっちゃくて、柔らかい・・・・」

 

少年から少女の体を触るのと、少女から少年の体に触るならば、後者の方が戸惑いがない。そのせいか、転夜は燈矢の体をぺたぺたと触る。

体温が高く、大きな手で、己の体を這い回る感覚に、燈矢はばくばくと心臓が早く、脈打つ。

 

「も、戻して、よ・・・・」

「もう少し、だけ。ね?お願い。可愛いなあ。」

 

燈矢が、転夜の体を押し戻そうとしたが、男女差か、それとも転夜自体元々筋肉質な方なのか、びくともしない。

顔が赤い、どきどきする。自分に覆い被さる、抵抗さえも出来ない存在に、何故か、どうしようもなく、心臓が鳴る。

思わず、上を仰ぎ見れば、熱っぽく、そうして、うっとりとした目で自分を見つめる転夜の姿があった。

 

どうしよう、嫌だ、女の子の体なんて、違和感があって。もっと、嫌がれば、きっと止めてくれる。でも、どうしよう、どきどきする。

 

「可愛いなあ・・・・」

 

己の耳を撫でる、転夜の甘い声に、止めろというあらがいの言葉が出てこない。

ずいっと、自分に近づいてくる転夜の顔に、燈矢は目をぎゅっとつぶって。

 

「おい、五月蠅いぞ、何をして……」

 

がらりと開いたふすまの向こうから、轟炎司が顔を出した。

そうして、彼の目に映ったのは、男になった転夜が、燈矢に覆い被さっている光景で。

 

「なにをしているんだ、お前達!?」

「え、いや、何も、まっておっちゃん!?炎は、ああああああああああああ!!??」

 

 

 





轟の家って、トップヒーローの家だし、すごいお宝とかあったりするのか?
お宝、か。珍しい物ならあるぞ。
え、何?
親父とオールマイトが腕相撲してて壊した長机。

エンデヴァーとオールマイトが腕相撲で壊した長机!?

何、その面白そうな奴。
どういう経緯なの、それ!?

うん?元々、うちの客間にあった机だったんだが。オールマイト、うちの転夜姉に会いに時々、うちに遊びに来てたんだ。それで、どんな経緯かはわからねえんだけど、腕相撲をすることになってな。
その経緯を切実に知りたい。
まあ、二人とも元々結構体重もあったし、それにあの二人の腕力を一気に受けてな。こう、ばきっと。
自明の理じゃないですか。
結構天板厚くて、数センチはある立派な奴だったんだけどな。キレイに真ん中で割れちまってな。転夜姉に説教されてる二人の写真、家にあるぞ?
あまりにも珍妙エピソード過ぎる。
といっても半分だけなんだけどな。
なんで半分だけ?
片方は、サー・ナイトアイが欲しいって引き取っていっちまって。

轟君の話に時々出てくるサー・ナイトアイって誰?
オールマイト大好きのヒーローおじさんらしい。

以前、後書きにあった転夜の異母兄、本編に出そうか、それとも番外編に置いておこうか悩んでおりまして。参考程度に知りたいです。

  • 二次創作だし、いいんじゃない!
  • 一周回って見たい!
  • 番外編で留めておけば?
  • いっそ、兄弟増やそう!
  • どっちでも
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