たぶん、ヴィランが親らしいが。それはそれとしてヒーローの子どもの方が気苦労が多い。 作:幽
上下で終わらなかった。
何か、こういったの読みたいとかありましたら、ここにくだされば。何か、アンケートというか、興味です。
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「ねえ、つまらない?」
そう言って、己の腹の上でくつろぐ女に、男は顔をしかめた。
「楽しそうに見えるのかい?」
「見えないから聞いたんだ。」
女はそう言って、心底楽しそうに微笑んだ。
結局の話、男は、108を殺すことはなかった。
「・・・・殺さないの?」
何か、ある程度満足いくまで男の顔にキスをした108は何のアクションも起きないことに不思議に思ったのか、こてんと首を傾げた。幼い仕草に、男ははあとため息を吐き、立ち上がった。
「興がそがれた。」
「あれ、帰るのかい?」
無視して男は部屋から出ていく。そこで、後ろから声がした。
「また、来てねえ!」
間延びしたような声を背に、そのまま男は家を出た。
結局、それから少しして、男は又108の元を訪れた。それは、もちろん、個性についての用があることと、それと同時に、意味のわからない生き物へのかすかな好奇心のせいだろうか。
君が魔王になるまでの物語。
強者への媚びだとか、憎しみだとか、恨みだとか、そんなものではない、男の知らない感情を含んで自分に接する存在に好奇心、というよりも、今後似たような存在が出てきた折の対処について考えたかったのだ。
「ああ、又来てくれたのか?」
それはいつもそう言って、男のことを招き入れる。そうして、いつも通り、茶を出して、男にしだれかかるように膝の上に座り、キラキラとした瞳を自分に向ける。
何をするわけではない、女は、非常におしゃべりで、口から生まれてきたと言われても納得が出来るような存在だった。
近所にうろつく猫の話、読んだ本の話、散歩している最中に見つけた店の話。
くだらないと言えばくだらない、返事をする価値もないとそのまま無視をしていても、変わらないのだ。
当たり前のように膝の上に座り、自分の首に腕を巻き付けるという動作はあまりにも自然すぎてそのままにしている。
その動作が不愉快にまで行かないのは、偏に、その女が眺めるに足る顔立ちをしていた所為だろうか。
間近に眺めても、特別不愉快ではないため、適当にさせていた。
ある時、ごろんとソファの上に転がった男の腹の上に乗っかってくるような女だった。
それでも、男が殺さなかったのは、偏に、だ。
「殺すのかい?」
くすくすと、それは心底楽しそうに笑う。
「ねえ、ならさ。キスしていいよね?」
そう言って、当然だという顔で、それは嬉しそうに男に顔を寄せるのだ。そうして、キスするのに飽きれば、甘える猫のように額をぐりぐりとこすりつけてくる。
それをされると、何か、殺す気も失せてしまう。なにか、そこまでの事をするほどの存在なのかという疑問が浮かんだ。
「それ、どうにかならないのか?」
「何がだい?」
その時は、108はソファの隣に座り、何やら雑誌を眺めていた。男がそう言ったのは、偏に、女の身に纏っているTシャツがだっるだるで上から見下ろすと、完全に胸が見えてしまっていたからだ。
「・・・・着ている服だ。」
女は、変わること無く非常にダサいTシャツで出迎えた。男は、いつも、思う。こいつの服のセンスはどうなっているんだと。
猫と和解せよというフレーズが書かれているものか、寿司という漢字がでかでかと書かれているもの、極まっているものはOPPAIというローマ字が書かれたTシャツだろうか。
着ているものなんて気にしてはいない。けれど、なんだろうか。これは、どうなんだ?
ずっと、思っていた。
無駄に顔立ちがいいために、何か、こう、顔面と着ているものの齟齬が酷すぎる。
「何がダメなんだい?」
「何が、わかるだろう?」
「そんなことを言うなら、お手本をちょうだいよ。何がダメなのかわからないのに。」
そう言われ、男は108を睨む。殺してやろうとか殺気を出せば、いいのと、108の目が向けられるのを感じて、視線をそらした。じいっと、視線を感じて、ちらりとそれを見れば、上目遣いにいたずらっぽく笑っていた。
何か、殺そうとすることが、まるで自分がキスをねだっているような空気になってしまい、面白くなかったのだ。
「・・・・・くれるの?」
「そうでないなら、何故、こんなものがここにあるんだ?」
男はちらりと、女を見た。女の手には、キレイな包装紙から取り出された、白いワンピースが存在していた。
レースがふんだんに使われており、豪奢な印象を受けるが、下手な人間が着れば服のデザインに負けてしまいそうなものだった。が、女の顔があればなんとかなるだろう。
「ふ、ふふふふふふふふふ、うん、いいね、素敵だね!」
108はそう言って、鼻歌交じりに、ワンピースを己の体に合わせてくるくると回り始めた。
まるで、ワンピースとワルツでも踊っているかのような、夢のような光景であった。
「今度から、そういったちゃんとした服を着ろ。」
「う、ふふふふふふ、そうだなあ。お望みなら、そうしようか。」
ちらりと見た女は、今まで見た中で一等に嬉しそうに笑っていた。女が、美しい服を贈られると嬉しいと言うことは知っていた。けれど、その女がそんな風に喜ぶことが意外でもあった。
ある日のことだ。
服を贈ってから、初めて、女の自宅を訪ねていたときのことだった。
男は珍しく、道を歩いていた。女の家まで、ゆっくりと、特別な用もなく歩いていた。
丁度、夏の日で、ギラギラと降り注ぐ日差しに、体温調節のための個性を使用した。それと同時に、転移系の個性でも使えば良かったかと思った。
そんなときだ、道の先に、白い何かがふわりとそよいでいた。それに、思わず視線を向けると、そこには、まるで夏の白昼夢が人になったような存在がいた。
まず、目を惹くのは真っ白な日傘だ。レースが編み込まれた、華奢なそれは、けして雨には耐えられないだろう。それと同時に、足下を覆うのは、これまた繊細なデザインの、白いサンダル。
そうして、男はようやく、それの纏う衣服に見覚えがあることに気付いた。
何と言っても、自分が108に贈ったワンピースだった。それに、男は改めて女を見て、そうして、気づく。
108は、同じ年頃の青年と和やかに話していた。いいや、108はこちらに背を向けていたが、青年の顔はよく見えた。それは、まるで熱に浮かされたかのようにうっとりとした視線を女に向けていた。
何かが背中から、頭まで駆け巡るような気がした。男は、大柄な体を生かして、早足で、二人に近づいた。青年は、自分に近づいてくる大柄な自分に気づいたのか目を見開いた。
それに、108がようやく気づいたのか、くるりと振り返った。
「やあ!」
それは、まさしく、白昼夢のような、そんな、美しい女だった。
さらさらとした純白の髪は、細かく、結い込まれ、赤いリボンで細かくまとめられていた。そうして、夏の日の下で、微笑む、真白の女はそれこそ、夢のような光景だった。
108は男に気づくと、たんと、ためらいもなく跳ねてみせた。
男は思わず、女のことを受け止めた。
「やあ、久しぶりだね!待っていた!」
ころんと、陽光の遮断が出来ているのか疑問に思うような日傘が転がった。思わず受け止めた女は嬉しそうに、まるで、天使のような可憐な笑みを浮かべると、これ以上嬉しい事なんて無いような顔で、男の顔に額をこすりつけた。
男はその仕草に、固まってしまった。何か、あまりにも気安い在り方に、じっと目の前のそれをみた。
「ああ、ごめんね。こんな暑い中で話に付き合ってくれたのに。ふふふふ、お迎えが来たから、もう、行くね。」
そう言った後、女は、ゆるりと、口元と目元を緩ませて、男の顔に頬を寄せ、首に腕を絡めた。
「素敵でしょう?私の旦那様?」
「・・・・おい。」
その言葉で、青年はがーんという顔をした後に、悲しそうに走り去っていく。それを見送り、男は、女のことを乱雑に放り捨てた。
108は軽々とその場に降り立った。そうして、当たり前のように日傘を拾い上げた。それに、男は不機嫌そうな顔をした。
「何をしているんだ?」
「何って、散歩だよ。外に出るって伝えてあったはずだけれど。」
「・・・・それで、何故、その服を着ているんだ?」
男の見下ろした、白いワンピース。一見ドレスのように、レースなどでデザインされたそれは、女の華美な顔や、華奢な体によく似合っていた。
男の言葉に、108はぷくりと頬を膨らませた。そうして、拗ねたような顔をする。わざとらしい仕草だが、驚くほどに似合うのが腹が立つ。
「何故って、君が悪いんだろう?」
「なんだと?」
「こんな素敵な服を贈ってくれたのに、なかなか来てくれないんだもの。」
108はくすくすと笑って、くるくると、その場で裾を持って回って見せた。ひらりとスカートの裾が揺らめく度に、目が奪われるような感覚がした。
夏の日差しの中で、真白の女が、軽やかに踊っている。
「女はね、とびっきりの相手から贈られた、素敵な服なんてね、本当ならすぐにでも着たいものなんだよ。なのに、君、なかなか来てくれないんだもの。」
「なら、勝手に着ればよかっただろう?わざわざ、他人に見せびらかす必要があるか?それとも、他者に尻尾を振るほど、人恋しいのか?大体、その傘や靴は何だ?そんなもの、持っていなかっただろう。」
冷たく、男がそう吐き捨てると、108は驚くように目を見開いて、また、くすくすと軽やかな笑い声を上げて、くるりと、日傘を回した。
「まったく、魔王様は、女の子のことがわかっていないな。いいかい?とびっきりの人に、素敵な服を貰ったんだ。なら、それに合わせて、最高の自分を見せたいに決まっているだろう?それで、ワンピースを見比べて、小物をそろえて。なのに、君、来ないんだもの。なら、誰かに褒めて欲しいって言うのが、女心なのさ。それで、言うことがあるんじゃないのかい?」
女はくるりと男に振り返って、両手を後ろ手に、見上げるように男を見た。
それに、男は困惑するような顔をした。言うべきことなんてあるはずがないのだ。
「・・・・なんだ?」
「もう!見てくれよ!君の贈ってくれたワンピースに、合うように、最高に可愛くてキレイにしたんだ!なら、一言ぐらい褒めるぐらいはしてもいいじゃないか?」
「・・・・他の男に、すでに言わせたんだろう?」
「まったく、バカだなあ。」
その罵倒に男の眉間に皺を寄せるが、次に出てくるそれに、思わず黙ってしまった。
「好きな人に褒めて貰わないと、意味が無いだろう?」
真白の女が、笑っている。星色の、キラキラとした、瞳が自分を見つめていたずらっぽく笑っている。
だから、そんな風に笑うから。
ぽつりと、呟いてしまった。
「・・・・似合っている。」
それに、女は、またくすくすと笑う。そうして、日傘をくるりと回して、踊るように跳ねた。
「ふふふふふふ、まったく、素直じゃないなあ!」
笑っている、笑っている、女は、そうやって、魔王の前でしてみせるには、あまりにも軽やかに笑う女だった。
(・・・・クラクラ、する?)
暑さのせいか?いいや、個性で調整をはかっているのに?
クラクラと、真夏の、日の下の中で、白昼夢のように、美しい女が笑っている光景に、男は目を細めた。
それから、女は、やっぱりダサいTシャツばかりを着る。それが腹立たしくて、怒った男は服を全て捨てた。そうして、自分の好みの、清楚系な服を贈った。
もしも、そこに娘がいれば、服の好みが燈矢そっくりなのマジで嫌なんだけどと、死んだ目をしたことだろう。
108はそれに、けらけらと笑って、仕方が無いと笑うだけだった。ワンピースだとか、白いシャツだとか、そう言った服を着ても、女の仕草が変わるわけでは無い。
変わること無く、108は男に乗っかってくるし、ソファの上でだらしなく横になる。
男は、何と無しに、服がめくれて見える、白くて薄い腹に目を向けた。
男は、何のためらいもなく、その腹に手を滑らせた。
「あ・・・・・」
男はびくりと震えるその腹、横腹なども満遍なく撫でる。
(・・・・・肉付きはいいな。)
男にとって、あまり意味があることではない。ただ白くて薄い腹を見ていると、何か、昔の、弟のあばらの浮いた鶏ガラのような体躯を思い出してしまった。
薄いが、柔い腹に満足して、ふと、女の顔を見た。
そこには、まるで、色づいたリンゴのように、顔を赤くした、女がいた。
男は、今まで見たことのない女のそれに、目を見開いた。
それに思わず、手を動かすと、また、びくりと、体が跳ねた。
「あっ・・・・」
どこか、甘さを含んだ声がした。
「・・・・その、急に、そうやって触ってくると、驚いてしまうんだよ。くすぐったいからさ、離してくれないかな?」
顔を真っ赤にして、それは、男から、逃れるように、ずるりと体を動かした。普段ならば、無視して、そのままにしているはずだった。
けれど、男の中で、妙な興奮が湧き上がる。そうして、その足をずるりと、自分の方に引き寄せた。
「え?」
「・・・・そんなつれないことをいうものじゃない。」
「な、何がだい?」
顔が赤く、怯えるように体を縮こませる様に、すれば、ムクムクと湧き上がってくるものがあった。それに、何か、わくわくして、女に覆い被さる。そうして、108がするように、その頬に口づけをしてみせた。
そうすると、顔を真っ赤にする。
「あ、あ、その、やめてよ・・・・」
「・・・・何故だ?」
「え、だって・・・・・」
また、薄い腹を撫でれば、びくりと体が震えた。それに、男は上機嫌になる。何か、今まで散々にいいようにされて来たために、良い気分だった。
そうして、ふと、思い出す。
「お前も言っていただろう?」
「え?」
「旦那様、と。」
そう言った後、男は、着ていた服をまさぐった。
「・・・・子どもが出来たよ。」
女がそういうのは、ある意味で、当然の帰結だった。
・・・・あれ、燈矢さん?
あ、燈矢兄。
え、轟君のお兄さん!?
うん?ああ、焦凍に、その友人たちか。
どうしたんだ?学校に来るなんて珍しい。
いや、実は、オールマイトのおじさんに用があって転夜と来たんだけどな。あれ、見てみろ。
・・・いい加減にしてくれませんか?
あの、その、ごめんね!?
ごめんじゃなくて!いい加減に仲直りしてって言ってるの!
めちゃくちゃ転夜さんにバク詰めされてるオールマイトがいる!?
おまけに、股の間に足を入れられて、思いっきり詰られてるんだが!?
何してるんだ?
・・・・転夜の奴さ、オールマイトと、そのSKにお世話になったのって知ってるか?
えっと、オールマイトから聞いたことが。
まあ、それでな、何か諸事情で、そのお世話になったSKがオールマイトの事務所を出て、自分で今は事務所を構えてるんだけどな。まあ、それは色々あるから、いいんだけどな。
へえ、そんなことが。
でも、そのSKとオールマイト。互いに用があると、転夜のことを伝書鳩にしてるらしくてな。互いに気になってるのに、連絡とるのは気まずいから、転夜に互いの近況を聞いたりして。
それで、転夜姉ぶち切れてるのか。
別居してるけど、離婚には至れないギリギリの夫婦が、子どもでなんとか繋がってるみたいな微妙な質感を感じる。
うちも、転夜姉がいなかったら、似たようなことになってたんじゃねえのか?
焦凍、それ、お父さんの前では言ってやるなよ。
もう、毎回毎回、用もないのに連絡して!もちろん、嬉しいけどさ!それはそれとして、互いのことを私を使って探り合うの止めてって言ってるでしょ!知りたいなら直接聞く!
いや、わかってるけど、気まずくてさ。
もう!今度、無理矢理、顔合わせさせるからね!?
それは止めて!?
以前、後書きにあった転夜の異母兄、本編に出そうか、それとも番外編に置いておこうか悩んでおりまして。参考程度に知りたいです。
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二次創作だし、いいんじゃない!
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一周回って見たい!
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番外編で留めておけば?
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いっそ、兄弟増やそう!
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どっちでも