たぶん、ヴィランが親らしいが。それはそれとしてヒーローの子どもの方が気苦労が多い。 作:幽
女の話は終わり、次は、どうしようか。書きたいとこだけ書いていくぐらいの質感でいます。
あの世界、創作よりも、生物関係の方が同人誌は盛んそうだなあと思います。
何か、こういったの読みたいとかありましたら、ここにくだされば。何か、アンケートというか、興味です。
https://odaibako.net/u/kasuka_770
まるで、今にも女の腹を食い破ってくるのではないかと思うときがあった。
「ねえ、君。誓ってあげるよ、この胎にいるのは、魔王の子どもだ。」
そんな自分の考えなど気にもとめずに、淡く笑って、その胎を抱えていた。
「きっと、これは、君にとって、素敵な。」
あの女は、何と言っているだろうか?
「私のことは殺してもいいけれど。この子は必ず産ませてくれるかい?」
妊娠を聞いて、やってきた男に108は淡々とそう言った。それに、男は、一口だけ、紅茶を啜った。
来る度に勧められるため、面倒になり、口にするようになったそれは柑橘系の匂いがした。
女はそう言って、まだ膨らんでもいない腹を撫でる。
「・・・・堕ろせと言った覚えはない。」
「そうかい。それなら、よかったよ。」
そう言った後、女はどこかうきうきとした様子で、男に微笑んだ。それに、男は思わず口を開いた。
「何がそんなに嬉しいんだ?」
「?嬉しいだろう。愛しい子だ。」
鼻歌でも歌いそうな、いいや、歌いながら、それは淡く笑った。
膨れていく胎を見ていると、嫌な気分になった。
何か、悍ましいものが、その胎の中でうごめいているような気分になった。それ故に、男は、産むことを是とした手前、落ち着かない気分になった。
けれど、108は、どんどん大きくなっていく胎をこれ以上無いほどに慈しんでいる。それが、どうしようもなく、不愉快だった。
元より、男には、子どもは幾人かいた。といっても、会ったこともない。
個性とは、血縁由来で能力が決まる。それならば、自分の子どもも、似たような能力になるのか。
そんな疑問から、数人、精子を提供した。
けれど、改めて、子を胎に入れた存在を見ていると、何か、嫌な感覚を覚える。
不愉快と、と言えるのだろうか。
「なんだい、不機嫌そうな顔をして。」
「・・・・・楽しいのか?」
「楽しいよ、ずっと言っているじゃないか。」
それはそう言って、子どもの服を準備していた。時間があるからと、毛糸で子どもの帽子を編んでいた。最初は失敗ばかりで、明らかにボロボロのものばかりだったが、今では、綺麗な編み目になっている。
女がする話は、基本的に赤ん坊のことばかりになった。
どちらに似るのか、順調に育っていること、性別のこと、着せる服のこと。
毎回話す話題が赤ん坊一択になり、何か、つまらないと思うようになった。
「まあ、胎に子どもを入れない君からすれば、他人事ばかりだね。」
「他人事な。」
それは事実だ。男からすれば、生意気な女を屈服させるのが主な目的で、子どもまで望んでいたわけではない。ただ、出来た子どもについては、何か、有用な使い道もできるかと一旦は考えた。
自分に、何か手間があるわけではない。
「そう言えば、君はちゃんと、人から産まれたのかい?魔王なんだから、木の股から産まれたのかい?」
「どうだっていいだろう。」
そう言われて、脳裏に浮んだのは、産まれて間もなく、見た肉塊のことだった。
赤子、赤子、赤子、女の胎から産まれる、存在。
母を食らって産まれる弱者、母の血肉を食らって産まれた己。
ならば、それは?
己の血を引いた、今、母の胎にいる存在は?
それは、いったい、どんな風に産まれてくるのだ?
隣に座る女を見た。変わること無く、鼻歌交じりに編み物をしている。見下ろしたその瞳は冷え冷えとした目で、女の腹を見下ろした。
男の指先は、ぴくりと震えた。
その腹を食い破って、子どもが産まれてくるとして。
それでもいいじゃないか?
そんなささやきがあった。
それは、なんて、魔王の子どもとして、ふさわしいことだろうか?
それと同時に、濁った瞳で倒れる純白の女の姿を想像した。
こぼれ落ちて、二度と、笑うことのない女。それに、男の中で、不快感が湧き上がる。どんな理由が有るにせよ、己の者を奪っていく存在。
それが許されるのか?
(・・・・早いほうが、ずっと。)
男が108に腕を伸ばそうとした。けれど、それよりも先に、108は顔に花が開くように微笑んだ。そうして、男の腕を掴んだ。
「ふふふふ、ほら、お父さんにご挨拶したいって。」
突然のそれに、言われるがままになると、みちみちに膨れた腹の上に手が置かれた。それに、かすかに、腹の中から何かがとんとんと叩くような感じがした。
「あははははは、君がいるときは寝てばかりだからね。今日は起きてるみたいだ。」
置いた手に、まるで、ここにいると叫ぶようにかすかな振動が伝わってくる。
「可愛いね。」
伏せた女のまつげが震えているのが見えた。自分の手に重なった、女の華奢な手が見える。
「君に似た子がいいなあ。」
「・・・・何故だ?」
「だって、そうしたら、とっても愉快な子が生まれそうじゃないか?それに、君に似た子じゃないと、抱っこするとき、君、潰しちゃいそうだしね。」
「どんな間抜けだ。」
「抱っこしてくれるよね?」
「・・・・・暇があればな。」
それに、男は何か、げんなりとした気分になった。それ故に、ぼそりと呟いた。
「・・・似るなら、お前に似た方がいい。」
その言葉に、女は驚いた顔をして、そうして、けらけらと笑った。
「ふ、ふふふふふふ、そんなこと、言えるんだ。」
楽しいお父さんだね。
そう言って、女は、膨れた腹に微笑んでいた。
それに、男は、やっぱり、女に似た子どもがいいと思った。
「・・・・僕は、当分、ここには来れないからな。」
「おや、また、悪事かい?」
会ったときと同じ、蝉の声が煩わしい夏のことだ。
女の胎に子どもが宿ってから、男が通ってくる頻度は格段に上がった。といっても、部下に言って、女の様子は逐一報告はさせていたし、赤ん坊の成長具合も全て把握している。
けれど、何故か、男は定期的に女の元に通っていた。
「そうだ、赤ん坊のもののついでに、君にもあげるよ。」
そう言って、真夏に白いマフラーと黒いマフラーを渡してきたときは心底呆れた。おまけに、白いマフラーには、女が自分に付けた名前が編み込まれていた。
「・・・・ねえ、君って、名前ってないのかい?」
「言ったはずだが?」
「あれって、名前って言うよりも、君の概念としての在り方だろう?せっかくなら、真の名前ってものがあったほうが、ロマンがあるじゃないか?」
おかしなことを言ってばかりで、すでに、反応するのも面倒だった。
「・・・・くだらん。」
「えー、いいじゃないか。そうだ、私が付けてあげよう。」
そう言って、女は意気揚々と、自分に付ける予定の名前を告げた。それに、男は顔をしかめた。
「まるで、女のような名だ。」
「うん?確かにそうかもしれない。君に付ける名前にしては、あまりにも、可憐かもなあ。」
そう言った後、女は、その名前を読み替えて、もう一つ寄越してきた。
「これならいいだろう?今日から、君の名前は。」
男は、言い返すことも面倒で、そのままにさせていた。別に、二人の時にしか呼ばない名前なんて、気にすることもなかった。
全てが、ただの気まぐれだった。それ以上でも、それ以下でもない。少なくとも、男にとってはそうだった。
「・・・・それで、だ。もしも、産気づいたら、伝えてある電話番号に電話するんだ。」
「ああ、君の息のかかってる医者の番号だっけ?」
「ああ、そうだ。そこで出産すれば、そうそうのことはないだろう。」
子どもは順調とは言え、何があるかはわからない。早期の出産になる可能性もあり、一応の準備はしておいた。
「何かあれば、僕が戻る。」
「・・・・・ねえ、君。」
ちびりと啜った紅茶を飲みながら、ちらりと、女を見た。女は、何か、いつものそれにしては珍しく、静かな笑みを浮かべていた。
「この子、産まれたらどうするんだい?」
それに男は、何が言いたいのか理解が出来なかった。男は、またちびりと紅茶を啜りながら、正面を見つめる。己の背後で鼻歌交じりに編み物をしているらしいそれのことを考える。
正直、男は、女の産んだ赤ん坊に何かをする気はなかった。
それは、女の好きにすればいいと考えていた。産まれるのも女であるらしく、何か、自分にとっては何かをするという目的も見いだせない。
このまま、女が適当に育てればいいだろうと思っていた。
けれど、改めてそう言われて、ふむと男は考える。
魔王の子として生まれるというのならば、確かに野放しにはしておけない。
(・・・側近として教育でもするか?)
そこまで考えて、女の血を引いていることを思い出す。あんなにも、脳天気な女の、子だ。そんなことを期待するのは、違う。
(こんな女の子どもは、適当に、日の当たる場所で、ぼんやりと育つほうが・・)
そうやって笑っているのが、似合う気がした。けれど、ふと、思い出す。女が、自分に魔王としての在り方を求めていることを。
何を考えている?
男は、己の中で、そんなことを考えていたことに茫然とした。
悪辣なことを是としていた。
悪逆であることを嬉々として行った。
外道であることを楽しんでいた。
なのに、なのに、なのに。
自分は、何を、考えている?
男は、それに呆れた。何と言っても、自分は魔王だというのに、何をそんな甘ったるいことを考えている?
「・・・さあな。弟の個性を入れて、代わりにするか。それとも、僕の次の器にするか。血が繋がっているのなら、馴染むだろう。個性が強力なら、別の使い道も考えられるだろうが。」
どうだっていい。そう言っても、どうせ、産まれてから改めて決めればいい。その時には考えも変わっているかもしれない。その程度の話だ。
「・・・そうかい。」
静かな声に男は目元を震わせた。何故って、その声は、普段、女がするにはあまりにも冷たくて、北風のように寒々しい声だった。
男は、それに思わず振り返ろうとした。
けれど、それよりも先に、108は背後から男のことを抱きしめた。
「ねえ、君。」
「・・・何だ?」
それに108はくすくすと軽やかに笑って、そうして、男の白い髪を梳る。
「君は、私に素晴らしい贈り物をくれた。」
「その膨れた腹がか?」
「ああ、素晴らしいものだ。私はね、私は。」
少しだけ言いよどんだ後、女は口を開く。
「私は、本当は、生きても、死んでも良かったんだ。きっと、どちらでも。でも、君のおかげで、少しだけ、生きていると言うことがどんなことか、思い出せた。感謝しているよ。」
「そんなことを言うのは、お前ぐらいだろう。」
男は女に何かをした覚えなんてありはしなかった。それに、108は男の髪を梳る。
「・・・・この胎にいるのは、魔王の子どもだ。私だけの子どもではなくて。だからこそ、普通の子どもじゃない。きっと、これは、君にとって、素敵な。」
女の声がした。けれど、男はそれを聞き流した。だって、女の話は、いつだってくだらない、雑談の域を出ないものばかりで。
きっと、それだって、その程度だろうと、最期の言葉を聞き返すこともなかった。
女が死んだ。
その連絡を取ったのは、男が遠方に赴いてすぐのことだった。
何もかもを一旦放り出して、向かったのは、男の息のかかった人間のところではなくて、一般的な病院だった。
「散歩の途中に産気づかれて、救急車で運び込まれてきたんですが。」
女の担当らしい存在が、横からそんなことを話してくる。持たされた連絡先から来た電話から、自分に連絡が来たようだった。
けれど、全てが、遠くに聞こえた。
遠くに聞こえて、女の、遺体を前にして。
「・・・・お父さん、どうか、気をぉ!」
「うるさい・・・・・」
煩わしい、あり得ないことを喋るそれが潰れるような気配がした。女は、起きなかった。
「出血死、のようだ。」
女の死因を調べさせれば、答えはあっさりとしていた。
誰かの攻撃でもない、ただ、ただ、女の体が出産に耐えきれなかっただけのことだった。
・・・・何故だ?
女が死んだ。ちらりと見た女は、雪のような白い肌が、さらに白くなり、まるで蝋人形のようだった。
ぼんやりと、男は、その女のことを見つめた。
何故だ?
ぼんやりとまるで眠っているようにしか見えない女の遺骸を見つめる。ベッドに寝かせ、白いワンピースを着せてやった。女の気に入りの、最初に贈った、ワンピースだった。
何故だ?
ぼんやりとした意識の中で、そう、考える。
女のことを見張らせていた部下に聞いても、ただの不注意で、気づいた時には病院に送られていた。そうして、女は死んだ。
部下は殺した。
それでも、気が晴れない。
見下ろす遺骸は、個性のおかげで、腐ることもなく眠ったままの姿を残したままだ。
女が、死んで。
もう、笑うことはない。もう、いたずらっぽく、話しかけてくることはない。もう、もう、女の柔らかい唇が己に触れることはない。
暖かで、柔らかな体は、冷たく硬くなっている。
何故だ?
がんがんと、頭痛がするような心地で、女を見つめる。もう、柔らかな、日だまりのような匂いはしない。
何故だ?
思考が止まり、何故だと、それだけをぐるぐると頭の中で巡っている。
何故、それは、その、女は、死んで。
その時だ、子どもの、泣き声がした。
それに、男はゆっくりと振り返る。そこには、赤ん坊が、小さなベッドに横たわっていた。
部下に世話をさせ、殆ど、顔も見ない、己の娘。
何かあったのだろう、赤ん坊の泣き声に、ふらふらと、側に寄った。
まだ、産まれて時間も経っていない。しわくちゃで、顔も殆どわからない。
泣く、赤ん坊を見つめる。
己の子どもだという、女の子どもだという。
けれど、しわくちゃのそれには、どちらの面影も感じない。
「・・・・お前を産んで、死んだのか。」
ふと、そう呟いて、気づく。
ああ、そうか。
これが、あの女を、殺したのか。
男は、無意識のように、赤ん坊に、手を伸ばす。
これが、あれを殺したのだ。これが、自分から、あれを奪ったのか。
「お前が、あいつを・・・・」
子どもに触れる、その瞬間。
ねえ、君、抱っこしてあげてね。
女の、声が、した気がした。
それに、男の手が、赤ん坊に触れるか、触れないかで、止まった。
可愛い子が産まれるよ。
どちらに似るかな?
君に似た子がいいなあ。
どんな個性だろうね?
ねえ。
ぶるぶると、手が震えた。まるで、何かが自分の頭に入り込んでくるような、感覚がする。
気持ち悪くて、けれど、二度と聞けないはずの女の声に、男は歯を食いしばる。
少しだけ、もう少しだけ、その声を、聞いていたかった。
君と、私の子どもだ。
その声が頭に響くと同時に、子どもに触れるか、触れないかで宙ぶらりんになっていた指先を、赤ん坊の手が、掴んだ。
暖かくて、柔い、女の手に似た、感覚がした。
「はあっ!!」
叫ぶように息を吐き、そうして、男はふらふらと、赤ん坊を睨んだ。それは、自分の指先を掴み、そうして、まだ、見えていないだろう目を見開いて、自分に向けていた。
女と同じ、金と銀の瞳が、己を見ていた。
ねえ、君。これは、魔王の子だからね。
女の声が、した。可憐な、鈴が鳴るような、声がして。
きっと、君にとって、素敵な。
素敵な、あの、女は、何と言っていただろうか?
男は、子どもの手から指を丁寧に剥がし、そうして、ふらふらと女の横たわるベッドに向かった。
女を見た。女は起きない。
渦巻く、何か。己の中で蜷局を巻き、まるで暴れ回るような衝動。後ろで、赤ん坊の泣き声が聞こえる。
殺せ、殺してしまえ。
そうだ、そうすべきだ、それこそが、己のものを奪った存在への当たり前の報復だ。
けれど、けれど、そう思う度に、女の、声がする。
柔らかな、あの声が、自分に囁く。
それに、男は、己の中で渦巻く感覚から、目を背ける気がした。
(・・・・早く。)
自分から、赤ん坊を遠ざけなければ。そうしなければ、そうしなければ。
男は、必死に、子どもから、目をそらす。
どうでもいいだろう?
気になんてしても仕方が無い。
そうだ、取るに足らない、ただの赤ん坊。己が、殺す価値もない。
幾度も、己に言い聞かせるように、頭で呟く。
ならば、ならば、そんな赤ん坊、どうだっていい。
死のうが、生きようが、どうだって。
「すぐに、それは、施設に入れろ!」
命じた部下は、困惑したような顔で、赤ん坊を見つめた。部下は混乱していた、なんといっても、男の運営する施設は多くある。
孤児院から、病院、そうして、個性の実験施設。
「どこに、でしょうか?」
その言葉に、男は、子どもに視線を向けようとした。けれど、それから、必死に視線をそらした。
見てはいけない、認識してはいけない。はっきりと、まっすぐと、赤ん坊を見れば、自分は。
「例の、施設に入れろ。」
それに頷いた部下に、男は、一つだけ命じた。
「管理番号として、108番を振れ。」
そう言った男の頭には、やはり、女の声が聞こえた気がした。
殺処分が決定しました。
そんな連絡が来たのは、いったい、どれぐらいの時間が経ったときだろうか?
そんなことを考えて、そうして、書類に目を通したとき、目を見開いた。
自分が、遠ざけた、娘の殺処分が決まった。
個性も脆弱で、今後に伸びる可能性も低いと、決定されたそれ。付随した写真に写ったそれに、男は目を見開いた。
あまりにも、それは、それは、あの女に似ていた。それに、男の中で、ようやく渦巻いていた怒りが薄れた。
ああ、あまりにも、それは、いつかに見た女の面影を移していた。
だからこそ、男は、子どもの殺処分を止め、迎えに行くと、そう決めて。
(・・・・ことごとく、失敗した。)
「おじさん?どうしました?」
その声に、男は、ぼんやりと夢うつつに浸っていた中、現実に戻る。
「・・・・うん?いいや、少し、娘のことを思い出していてね。」
「そうなんですか?」
「ああ、何か、迎えに行こうとする度に、邪魔が入ってね。」
施設が燃えた後、気落ちしていた男に、幸運が訪れた。それは、男が取引をしていた人身売買の組織で、少女が見つかったのだ。
それに、男は喜んだ。己自ら迎えに行こうとしていたとき、まさしく、髪一本という時間差で、オールマイトに保護されたことに苛立った。
そこで、焼け跡を漁って、いいものが手に入ったが。
けれど、その後、少女は、写真で見たような暗い目なんて忘れて、すっかり元気になった。
なら、これでよかったのだ。
自分が迎えに行く事なんて決まっていたから。
「それは、大変ですね。あ、でも、今度はきっと大丈夫ですよ!」
そう言った、女によく似た顔。
その顔を見つめていると、また、女の言葉を思い出す。
これは、きっと、君にとって素敵な。
(さい、確か、さい、と続いて。)
くしゅんと、寒さにくしゃみをする音がして、気がつく。男は、それに己がしていた、古びた白いマフラーを少女の首に巻き付けた。
「・・・寒いだろう?」
「え、でも、これ・・・」
「いや、古びているが、よければ使って欲しい。今度からは、ちゃんと厚着をしておいで。寒いだろう?」
「でも、これって、なんか、手作りでは?」
「なら、次に会ったとき、返してくれればいい。」
少女は、男の頑なさを察して、必ずお返ししますと頷いた。それに、男は、少女の髪を梳るように撫でた。
(素敵な、さい、さい、さい・・・・)
男は淡く微笑んだ。
これは、きっと、己の最愛だ。
女が言ったのは、きっと、そんなことだったのだろう。
そうして、男はまた、考える。女が死んでから、思い出したようにし始めた、それの出生、どこの人間で、何を目的としていたのか。
それがどこの誰であるのかを知ったとき、男は、女への疑問が膨れた気がした。
(お前は、何を考えて、僕に近づいた?)
それに答える存在はいなかった。
・・・・とうとう、私のぬいが出ました。
買ったよ。
ホークス。ばっちばちにSNSに写真載せてからな。
まあ、そっちも、SNSで手に入れましたって言ってくれたしね。
まあねえ。といっても、私が主に連れるぬいは決まってるから君は基本的にお留守番なんだけど。この頃、おっちゃんのぬいを連れる子、多いね。
どっかの誰かのおかげで、大量の新規が増えたからね。まあ、エンデヴァーさんみたいなタイプは愛想がよくなるとやばいからね。
ああ、古参が荒れてること多いからなあ。にしても、燈矢のぬいと一緒にするのはわかるけど、なんで、私とおっちゃんのぬいだけを連れてる人がいるんだ?普通に考えて、燈矢と三体で行きそうなのに。
・・・・・うん。
つーか、それ言い出したらホークスと転夜だけ連れてる子もいるよな。まあ、仲はいいけどさ。そこら辺重視してるなら、俺もいないとおかしくね?
手に入らなかったのかな?燈矢のぬい人気だし。
いや、それ言い出したら転夜のぬいのほうが希少なんだぞ?
でもさ、転売嫌だからって受注にしたんでしょ?なら、欲しい人は手に入れてるはずだよ。というか、ホークス何を黙ってるの?
・・・ごめんね、俺、そこら辺の組み合わせ、地雷、なんよ!
急にどうした?
俺と、燈矢と、転夜。また、エンデヴァーさんとかのトリオなら許す!でも、エンデヴァーさんと、転夜とか。俺と転夜とか!公式以外は、俺、認めんから!!
唐突に熱く語り出したなこいつ。
何が、お前にそうさせるのか。あ、そうだ、ホークス。聞きたいことがあるんだけど。
なんね?
あのさ、九州の方で。個人で作る本とかの交換会があるんだけどさ。
は?
そこで、ヒーロー専門のやつやるんだけど。それで、おっちゃんのマニアが、おっちゃんの今までの軌道振り返るファンブック作るらしくて!欲しいんだけど、会場の場所がわかんなくて。道案内を・・・・
あかんよ!!??
うっさ!?
えー、なんでさ。別に、顔出して行こうとかは思ってないよ?
ダメに決まってるやろ!?そんな、そんな、ご本人爆誕は、生ものじゃあ、御法度よ!?
あらぶっておられる~
もう、諦めろって。
えー、でもさあ、欲しいんだよ。おっちゃんのファンブック。
そんな、そんな、ダメに決まってる。ただでさえ、個人でカプが多すぎて、島がやばいことになってるのに。能力的にも便利すぎて、脇役でも常連なのに!?右でも、左でも、あまりにも大手が過ぎるのに!?そこに、本人登場!?悲劇以外の何ものでもない!?
・・・・なんか、すごいブツブツ言ってるな。
だから言っただろう?そういうのに参加しない方がいいって。
でもさあ、立場が立場だから、同担の濃厚な何かに触れたいじゃん。
まあ、確かに、憧れてるヒーロー、普段は何してるって雑談にも、え?今は、隣で茶を啜ってるよって答えられる立場だとなあ。
特に、燈矢となんて王道の男女のカプから、女男、同性、逆カプまで網羅してて、まじで母数がやばいんよ!?いや、無理、無理、阿鼻叫喚の地獄は必須!ここで止めなきゃ、俺が!!
早口ですげえ言ってるけど、これ、当分帰ってこないなあ。
通販してくれることでも願っとけば。
薄い望みだな・・・・・
以前、後書きにあった転夜の異母兄、本編に出そうか、それとも番外編に置いておこうか悩んでおりまして。参考程度に知りたいです。
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二次創作だし、いいんじゃない!
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一周回って見たい!
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番外編で留めておけば?
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いっそ、兄弟増やそう!
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どっちでも