たぶん、ヴィランが親らしいが。それはそれとしてヒーローの子どもの方が気苦労が多い。 作:幽
次は、幼少時のオリジン組の邂逅かな。
何か、こういったの読みたいとかありましたら、ここにくだされば。何か、アンケートというか、興味です。
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「なってやる!」
叩きつけるような声だった。そうして、それは、正義感とか、そんなものではなくて。
「お前を超えるなら、それぐらい!」
けれど、それは、なんて、力強く響いただろうか。
しんと、静まりかえった、青い瞳が自分を見ている。
それに、オールマイトは、黙り込んだ。サー・ナイトアイはオールマイトが暴れるのを止めたのを理解して、ほっと息を吐く。
「・・・・今、君が、それを言うのかい?」
「今でないのなら、いつになるんだ?」
それに、オールマイトはゆっくりと視線を上げた。青い、炎のような、苛烈な瞳が自分を見つめていた。
ああ、とエンデヴァーは思う。
何故、自分はここにいるのだろうと。
サー・ナイトアイから電話が来たとき、本当ならば、来る気はなかったのだ。それとは、あくまで、夢意転夜という存在の保護観察などについてやりとりをするだけで、なし崩しのような交流自体、あまりよく思っていなかった。
オールマイトという存在が不快だ。それは、ある意味で、羨望だとか、嫉妬だとか、そんなものがない交ぜになっている。
気にもとめずに、ありたいのに、鮮烈な光が己を焼いている。
けれど、オールマイトがそこまでの重傷を負うほどのヴィランに興味が出た。そのヴィランがどうなったのか、死んだのか、捕縛されたのか、それを知るために言われた病院に向かった。
いいや、重傷といっても、どうせ、けろりとして、いつも通りの態度で、やあ、エンデヴァー君、なんて言ってくるのだと思っていた。
なのに。
向かった先にいたのは、今にも、崩れ落ちそうで、けれど、必死に、泥の中を這いつくばるように足掻く男の姿だった。
なあ、おい。
少し前に、俺にうざがらみしてきただろう。
なあ、おい。
少し前に、転夜と出かけたいと駄々をこねたばかりだろう。
なあ、おい。
サー・ナイトアイが何か言ってなかったかと怯えながら言ってきたばかりだろう。
なあ、おい。
何故だろうか。
いつも、元気で、そこにいて、追いつこうと足掻いてなお、きっと、それは、己が勝ってなおも、すごいね、エンデヴァー君なんて、あっけらかんと笑っているはずのお前は、どうして、そんなにもボロボロで、今にも死にそうで。
行ってくる。
そういって、当たり前のように、家を出ていった、父と重なった。
「そうであるとしても!平和の象徴が、崩れ落ちるわけには行かない!私は、そのためにここまでした!そうあるために、今までを積み重ねた!私が、私が、踏ん張れば!誰も怯えることがないというなら!次世代の、平和の象徴が、産まれるまで、私が、たとえ、死ぬとしても!!」
「オールマイト!興奮しては!」
サー・ナイトアイは、ベッドから再度、起き上がろうとするオールマイトをまた止めた。
ああ、やはりダメなのか、止められないのか。
せめて、エンデヴァーの言うとおり、少しだけでも休んでくれれば。
そんなときだ。
バキャッッ!!
何かが破壊されるような、爆音が辺りに響いた。それに、部屋にいた人間達の動きが止まり、そうして、音の発信源に視線を向けた。
「え、エンデヴァー君?」
音の発信源は、エンデヴァーだった。ベッドに備え付けられていた、そこそこ立派なサイドテーブルを、拳でたたき壊していた。
拳を振り上げたままに、そのまま振り下ろしたそれの被害に遭ったサイドテーブルが哀れな様相になっている。
そうして、顔を下に向けていたエンデヴァーがくわっとオールマイトに怒鳴った。
「いい加減にしろ!!!そんなに、俺たちのことが信用できないのか!!??」
怒号、というそれにふさわしいそれを一心に受け、オールマイトは茫然とした顔をする。
「し、信用って・・・・」
「違うか!?いいか、お前は確かに平和の象徴と言われているだろう!!だがな、お前と、今、日本にいるヒーロー全員を合わせて勝てないヴィランがいるともでもいうのか!?」
「そ、そんなことは言ってないよ!?さすがに、日本にいるヒーロー全員とは・・・」
「なら、どうして、無理矢理に立ち上がろうとする!?貴様が、今、救えんものがあるからこそ、
それに、オールマイトは目を見開いた。
「で、でも、それでも、穴が出てくるはずだ。なら、私が出た方が、解決を・・・・」
「それで、無理をして、最良の状態から遠のくと!?」
エンデヴァーは、改めて、ようやく、自分が怒り狂っていることを理解した。
何故、ここにいるのか?
オールマイトを倒したヴィランが気になった。
あの子どもが、オールマイトを心配していたから様子が気になった。
サー・ナイトアイへの義理があった。
全て、事実だ。
けれど、それ以上に、怒りがあった。
どうして、お前が、重傷になっているんだ?なぜ、お前が、ヴィランなんてものに傷を負わされている?
お前は、お前は、お前は。
「俺が、お前を超えるまで、万全のままでいてもらわなければならんのに!!」
それに、その場にいた人間が、茫然とする。何故って、あまりにも、男のそれはエゴに満ち満ちていた。
今までの発言なんて放り出した、エンデヴァーというそれの、あまりにも生々しい本音。
「え、エンデヴァー君!?君、私の心配とかぜっんぜんしてないのかな!?」
「当たり前だ!俺は!お前が!嫌いだ!!」
叩きつけるようなそれに、オールマイトはさすがにへこんだ。
いや、なんだかんだ、仲良くなれているなあなんて思っていたのに。何か、ここまでストレートに、お前の地位というか、強さにしか興味ないと言われるとへこむ。
オールマイトは、正直、年の近い、友人的な存在には少し憧れていたので。
「俺は、お前のことをずっと見てきた!それこそ、学生の頃から!ずっと!俺よりも強いと!それだけが気に入らんと、お前の戦い方、戦術を徹底的に研究した!だが、それで、勝てないと覚った。」
忌々しいと吐き捨てる。
エンデヴァーは、ずっと、オールマイトというヒーローを見てきた。
己、いいや、あまたのヒーローとは隔絶された存在を、ずっと、それは見てきた。
けれど、無理だと理解した。
どう足掻いても、あれほどの個性には勝てないと理解した。
「・・・俺は、個性婚に手を出した。」
エンデヴァーの独白染みたそれに、病室は静まりかえる。エンデヴァーはそれを気にはしなかった。
後悔はしていなかった、後悔などしてはいけないのだ。
あの子達のことを、後悔なんて、出来なかった。
「貴様以上の逸材を、己の個性を打ち消す、子どもを望んだ。」
「・・・・君は。」
「後悔はしていない。この狂気、といえる存在がなければ、出会えなかったものがある。」
そうして、産まれた子どもたち。そうして、歪んでいった子どもたち。
己が、歪ませて、そうして、産まれた、最高傑作への歪な思い。
クソ親父!
そうだ、そこに。
見ろよ!!
飛び込んできた、一人の少女。
「・・・・・そこに、あいつが来た。あいつが来て、そうして、俺はようやく、多くと向き合った。」
そうだ、ある時のことだ。少女が言った。
「なあ、おっちゃん。」
「なんだ?」
「おっちゃんさ、燈矢が一人前の、それこそ、オールマイトのおっちゃんよりも強くなってもさ。ヒーロー、止めたりしないよね?」
「・・・・何を言ってる?」
「だって、おっちゃんが、ヒーローになったのは、強くなりたかったからでしょ?でも、目的がなくなったら。止めたりしないよね?」
「止めて欲しくないのか?」
「・・・うん。だってさ。燈矢は、私にとって、唯一だ。私は燈矢のもので、燈矢は私の片割れだ。でもさ、やっぱりさ。」
夢意転夜は、こっそりと、こそこそ話でもするように、エンデヴァーに囁いた。
あのね、それでもね。私の、一番かっこいいヒーローはさ、エンデヴァーだから。
えへへへへと、照れたように笑う少女。
「だからね、ずっとね。出来ればね、ヒーローでいて欲しいな。」
ヒーローとして、望まれること。
一番のヒーローだと、自分に言った少女。
そうして、息子の言葉。
「お父さんさ、俺がヒーローになっても一線を退くとか、する気はないよね?」
「なんでだ?」
「後進教育に集中するとか、してもいいけどさ、生ぬるいこと言わないでよ?」
「ふ、急にどうしたんだ?」
「あのさ!俺は、オールマイトを超えるぐらいのヒーローになるんだ!でも、それなら、その前に、お父さんのことだって超えるんだ!本気のお父さんを超えないと意味ないじゃんか!」
だから、さ。
そう言って、期待を背負わせて、そうして、歪ませてしまって。
けれど、立ち直って、背筋を伸ばした自慢の息子の一人が己に言う。
「ずっと、本気でいてよ、お父さん?」
それに、それに、エンデヴァーはなにを思っているのか、自分でもわからない。けれど、立ち上がらなければと思った、
このまま、少なくとも、自分は今のままであることに甘んじてはいけないのだと思った。
己の背を追いかけてくる誰かがいるのならば。その期待に、応えたいと願ってしまったから。
エンデヴァーは一度だけ、まぶたをつむった。そうして、見開いたその、青い瞳。
「・・・・・お前がそこまで言うなら、なってやる。」
「な、何にだい?」
「次の、平和の象徴。」
お前が、暢気に眠ることも出来んというのなら。
焔の男は、たった一人の、一番星の男に言い放つ。
「俺が、次代の平和の象徴になってやる!」
それこそが、エンデヴァーの覚悟の言葉だった。
なぜ、強くなりたかったのか?
わかっていたからだ、優しい父は、弱い故に、何も救えずに死んだのならば。
強くなければ、最初から、何かをする権利さえないのだと。
だから、強くなりたくて、その証明足るオールマイトに執着し、そうして、敗北を理解した。
そうして、あの子達を作った。
けれど、ああ、違う、違ったのだ。
己が、強くならなければ、意味が無い。自分が、足掻くことを諦めてしまってはいけない。
いいや、本当の願いは、自分自身で、その男を超えたかったのだ。
「貴様と同じ方法でなかったとしても、俺は俺のやり方で、次代の平和の象徴になってやる!だがな、貴様がそのまま体調不良で一位を陥落し、繰り上がりで№1になるなんてごめんだ!いいか、最良の形のお前を超えなくては意味が無い!」
エンデヴァーは、オールマイトを睨んでいった。
「俺が、お前を超えるというのなら、少なくとも、それぐらい出来なくて、何が№1だ!貴様が言ったんだ!己では救えず、俺にしか救えないものがあったというのなら!それは、他のヒーローとて、同じはずだ!今、お前が倒れ伏しているのなら、お前に救えないものを、
ぶんと振った手を、そのまま、オールマイトの胸ぐらに伸ばす。
「お前だけが、ヒーローなのか!?」
「そ、そんなことは・・・」
「なら、お前の言葉が、まるで、自分以外は有象無象でしかないと言っているようにしか聞こえんと理解しろ!」
「思ってない!」
「なら、大人しく休んでいろ!」
「え、えっと・・・」
「返事!!」
「う、うん!!」
ぴしゃりと言われて、オールマイトはすごすごと、ベッドの中に戻っていく。
オールマイトはそれに、何か、なんて反応すればいいのか、わからなかった。
憧れている、あなたのようになりたい、あなたの、あなたの、あなたの。
そんな言葉なら、幾度も聞いて。
けれど。
次代の平和の象徴になってやる!
そんなことを、真っ正面から己に言った存在なんていただろうか?
方法なんて度外視したとしても、ずっと、自分のことを追い続けた誰かのことを、オールマイトは改めて、理解した。
次代、次代の、誰か。
それは、どんな、存在だろうか?
少なくとも、選ぶことはあっても、立候補してくるなんて予想外で。
なにか、オールマイトは、少しだけ、体から力を抜いてしまったのだ。
わからないけれど、一瞬だけ、寄りかかるという動作を選んでしまった。
それを確認したエンデヴァーは無言で、懐に手を伸ばし、取り出したものをオールマイトに渡した。
「・・・・なに、これ?」
それは、プレゼント用紙に包装された四角い箱だった。
「・・・・父の日だったろうが。転夜がお前宛に用意したが、直接渡したがって結局、今まで放置されていたが。」
「ちち、のひ・・・・・」
「あいつ、曰くの話だが。」
エンデヴァーは呆れたようにため息を吐いた。
「自分のせいで誰かが傷つくことに耐えられないと己の身を挺して足掻くことが許されるのなら。そんな自分が傷つくことに悲しむ誰かを無視するのは、少しだけ卑怯じゃないか、と言っていたぞ。」
オールマイトは何も言わずに、じっと、父の日のプレゼントを眺めた。そうして、それにはシールに書かれたメッセージがあった。
また、会いに来てください。
言葉少なな、けれど、少女の慕わしさ。それを、オールマイトは、潰さないように、けれど、握りしめるように、掴んだ。
「・・・・まあ、お前がそのまま早死にしたいなら好きにすればいい。ただ、このままだと、お前の望みは叶わんと思うが。」
「・・・・何の話、だい?」
「転夜のヴァージンロードを歩きたいと、散々駄々をこねていただろう。このままだと、俺か、それとも、サー・ナイトアイが歩くことになるぞ。」
それに、オールマイトは、電撃が走ったかのような顔をした。
「や、やだあああああああ!!私が、歩く!!」
「なら、さっさと寝て治せ!!」
それに、オールマイトは、ごそごそと、ベッドの中に戻っていく。それを見つめて、はあとため息を吐いた。
「・・・・根津校長、公安にも伝手は?」
「ふむ、何をする気だい?」
「ともかくは、日本全体を網羅していたこのバカが、少なくとも、一ヶ月は使い物になりません。なら、全体の警戒態勢を敷き、近くのヒーローが駆けつけられるようなシステム作りが重要でしょう。」
「そうだね。オールマイトのすごさは、強さと同時に、対応の早さが一番だし。」
「探索系のヒーローを探して。」
「支持率(指示者)を置いておいたほうがいいかな?」
「そうですね、今は、能力一択でしょう。ランキング上位の、フットワークが軽いものを選んで。あとは、公安の情報なども欲しいですね。今、活発になっている組織ぐるみの存在を知りたい。」
「それもそうだね。チームを組んで。」
サー・ナイトアイは、茫然と、目の前で起こっていることを見つめた。あんなにも、自分の言葉なんて聞きもしなかったオールマイトをねじ伏せて、少なくとも、一ヶ月の療養を強制させたのだ。
「・・・・サー・ナイトアイ!」
「あ、はい!」
「お前の能力も重要だ!来てくれ!」
その言葉に、サー・ナイトアイはオールマイトをちらりと見た。それに、オールマイトはひらひらと手を振った。それに、今は、置いておこうと思い、オールマイトの側から離れた。
少なくとも、オールマイトが、一時でも休むという選択肢をしてくれたことを理解して安堵した。
彼の日が、暮れるいつかが遠のいたような気がした。
お前のことを考えている。
ずっと、ずっと、ずっと。
だから、オールマイトを前にしても、ただ、気がせいていた。
迎えに行ったら、どうしてやろうか?
おいしい食事、素敵な服、可愛らしいぬいぐるみ。
望む物ならば、なんだって叶えてやりたかった。
いいや、何をしても、きっと、お前の名前を呼んでやりたかった。
オールマイトと拳を交わす。
「忌々しい!いつもだ、いつも!お前が、僕の目的を邪魔する!!」
紙一重で連れて行かれた娘、それの中にいる可愛い弟。全部、全部、己に向けられる慕わしさまでも、それが持っていく。
いいや、何を言っている。
自分の存在を知れば、あの子は、きっと、自分を選ぶ。だって、自分は、こんなにも、こんなにも、あの子を愛している。大好きな、可愛い娘。
そうだ、預けているマフラーはお前にやろう。お前の母親が作った服はもう着れないから、それだけは、大人になっても付けられるだろう。自分とおそろいの、白いマフラー。
気に入っていただろう?
(そうだ、何をしても、お前の名前を呼んでやろう。)
己の娘に、転夜なんて似合わない。そうだ、決めていた。
お前の名前を決めていた。
君に名前をつけよう。
そう言って、自分に微笑んだ、女が最初に自分に付けようとした名前。
(・・・・お前の、名前は。)
オールマイトと男は向かい合う。
(・・・・
けれど、男が、それっきり、少女を迎えに行くことは結局無かった。
ギャグ時空です
・・・・転夜、今日は、お父さんと出かけようか?
転夜、すぐにそいつから離れろ!
離れてえけど、がっつり腰を抱き込まれてるから無理なんだよ!!つーか、くそ親父!また脱獄したのか!!
普段、大人しく捕まっているだけいいだろう!久しぶりにお前の休みだ!お父さんと遊ぼう!
遊ばねえよ!帰れよ!牢獄の意味をご存じ!?
・・・お父さん、ここはもう、二人で殺す気でいくしか。
まあ、まあ、待ちなさいって。
・・・・なんで、お袋がいるのさ。というか、あなた、ここに出てきちゃいけない奴じゃないの?
まあ、ギャグだから。こういうときは、あれだよ。
あれ?
うん、聞いたことある!親権を主張する母親二人に、子どもを引っ張らせる、奴だけど!私は、死ぬ!!い、だだだだだだだだだだ!!
貴様、離せ!
誰が離すか!私の娘だぞ!?
これ、転夜、死ぬ奴じゃないの、お義母さん!?
いや、よく、見なさい。エンデヴァーが転夜の悲鳴にびびって、そうして。
お父さんが、手を離した!
そう、これは、本当の親ならば、子を傷つけないために手を離すだろうということを示す教訓的なもの!
・・・・そのまま、連れて行かれてるんだけど!?
まてえええええええええ!!??
まあ、こういうのは、双方にある程度の倫理観を期待している前提なので、旦那様には意味の無い奴だね。ちぎれも、治せばいいとか思ってる人だから。
ダメじゃん!!
以前、後書きにあった転夜の異母兄、本編に出そうか、それとも番外編に置いておこうか悩んでおりまして。参考程度に知りたいです。
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二次創作だし、いいんじゃない!
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一周回って見たい!
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番外編で留めておけば?
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いっそ、兄弟増やそう!
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どっちでも