たぶん、ヴィランが親らしいが。それはそれとしてヒーローの子どもの方が気苦労が多い。   作:幽 

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評価、感想ありがとうございます。感想いただけましたら嬉しいです。



何か、こういったの読みたいとかありましたら、ここにくだされば。何か、アンケートというか、興味です。
https://odaibako.net/u/kasuka_770


共犯者

憧れ。

それは、誰にだってあるだろう?

 

才能マンなんて呼ばれる程度に、大抵のことをこなせる爆豪勝己にだってそれは存在した。

 

理由なんてどうだっていい。

ただ、彼にとって、オールマイトの姿に憧れた。

それだけでいい。

あの日、彼が勝つ姿をかっこいいと思って、ああなりたいと思った。それだけだ。

 

だからこそ、自分の弱さが、自分の憧れを殺したというのならば。

 

いったい、どうすればいいというのだろか。

 

 

 

「・・・・いや、不法侵入とか、まじのまじでアウトなのはわかってたんだけど。」

「・・・・・なら、どうしてした。」

 

爆豪は目の前の黒い髪をした女を見た。

軟派女、とは言っているが爆豪自身はそれのことをけして蔑んでいるわけではない。

個性の力の幅が広く、活躍しているヒーローだ。

そこまで下に見ているわけではない。

 

けれど、突然自分を訪ねてくる意味がわからなかった。

 

「心配だったんだよ。」

「はあ!?心配されるいわれなんてねえだろうが!舐めてんのか!?」

 

その言葉に夢意転夜はゆっくりと顔を上げた。その顔には、何か、思い詰めたような顔をしていた。

 

「だって、辛いに決まってるじゃないか。」

憧れを、自分が終わらせたというのなら。

 

「私ならきっと、ずっと、赦されないままどうしようもなくなってしまうのに。」

 

掠れた声に、爆豪は、何か、己のうちを柔らかく撫でられたかのような感覚がした。

 

 

 

考える、考える、考える。

 

考えたとしてもどうしようもないと知っていて、なお、それでも。

考えずにはいられない。

 

オールマイトは、以前から、限界が来ていたとして。

それでも、自分があの時、もっと強ければ。

 

前を走って行く、でくの坊の姿が見える。

ずっと、自分の後を追いかけていた、弱くてどうしようもない幼なじみ。

 

オールマイトに認められて強くなるあいつ。

オールマイトを終わらせた弱い己。

 

そうであるというのなら、自分は、自分の在り方は。

 

とんと、己の肩を叩かれて我に返る。

そこには悲しそうな顔をした女がいた。

 

「・・・・オールマイトのおっちゃんに、君が元気そうだって聞いてさ。嘘だって思った。そんなことあるはずない。きっと、ずっと、自分を責めてると思った。」

「くだらねえこと言ってねえでさっさと出て行け。」

 

なんとか、転夜のそれに掠れた声でも返事をする。嫌な汗が出る。その、瞳に見つめられるのが嫌だった。

爆豪の弱さを、じっと見つめるその瞳が不愉快だった。

 

「ほら、やっぱり、辛いんじゃないか。」

「出ていけつったろうが!」

 

ばんと、手のひらに爆破を纏わせて、転夜を威嚇するように手を振った。それに転夜は一瞬だけ無表情になった後、爆豪の手首を握った。

それに爆豪は自分の体が重くなり、そうして個性が使えなくなったことを理解した。

 

「てめえ、いい加減に。」

「だってさあ。」

 

女が下手くそな笑みを浮かべて、途方に暮れたような顔をして、爆豪のことを見ている。

 

「あこがれじゃなかったとしても、同じようにオールマイトを終わらせた私が、こんなに辛いのなら。」

君が辛くないはずがないじゃないか?

 

 

そう言って、爆豪を、一人の英雄を終わらせた共犯者が見下ろした。

 

 

 

「・・・・あの人は、私を責めなかったよ。そりゃあそうさ。責める人じゃない。責めたってどうしようもなくて、あの人は、オールマイトはそれを仕方が無いことだって言った。でもさ、そんなことはないんだよ。私が、私が!あの時、もっと上手く動ければ、上手く、出来て、君が攫われる事なんてなければ!」

あんなこと、起きなかったのに。

 

爆豪は思わず黙り込んでしまった。

それは、あまりにも生々しくて、そうして、抜き身のナイフのように鋭い、爆豪の中にある悔恨と似ていた物だから。

 

鏡合わせのような、怒りに似た後悔。

それを、大人が。

 

飄々として、他者をからかうような、そんな曖昧な、軽いだけの女が、それを、その弱さを爆豪の前で晒していた。

それに、黙り込んでしまった。

 

 

「・・・・考えるんだ。考えて、せんないことだってわかってる。わかってるのに考える。あの人の夢を、終わらせたんだ。とても、綺麗な、夢だったのに。苦しんでも、悲しんでも、起ったことが変えられないなら。それなら。どうすればいいんだろう。」

 

そうして、転夜はじっと爆豪を見る。

金と銀の目が、己のうちを撫でるような瞳が、爆豪を見る。

 

「君は、きっと、辛いだろう?」

「・・・・だったらなんだっていうんだよ?」

 

その時、爆豪は、冷え冷えとしたが声を出した。

 

「辛い?苦しい?仮にそうだとして。それでどうだってえんだよ!」

「うん。」

 

見る、見る、見る。

言う気なんてなかったし、いっても無駄だと理解していて。

けれど、その金と銀の瞳が、自分を見ているとわかると、煩わしくて仕方が無い。

追い返してしまえば良いのに。

さらけ出された、女の弱さ。

 

いいや、その、弱さを嘆く在り方は、今の己自身のものでもあった。

それが目の前にあるのが気にくわない。

それが、何か、必死に目をそらしていた物がそこにあるのが気分が悪くて仕方が無い。

 

けれど、追い返してしまえば、何か自分が逃げたようにさえ感じてしまった。

 

弱い女が苦しむ様が、自分と重なってしまった瞬間、爆豪の中で何かが爆発した。

 

「強いオールマイトに憧れて!そのくせ!よええてめえのせいでオールマイトが終わったんだ!俺の、俺が、弱いから!そのくせ!俺を追いかけてたはずのデクが、オールマイトから認められて、強くなってやがる!間違ってたのかよ!俺の、俺の、強さへの、憧れは!」

 

ギラギラとした瞳で、爆豪は目の前の女を見た。

何というのだろうか、下手な慰めでもするのだろうか?

少年の苦悩に満ちたそれを聞いて、オールマイトを終わらせた共犯者は静かな目をしてその赤い瞳を見返した。

 

「間違ってなんていないよ。」

 

じっと、自分を見つめる、金目銀目はまるで月を模した水面のように揺蕩っている。

 

「昔、人が焼け死ぬのを見たことがある。」

 

突然、そんなことを言った女を爆豪はじっと見た。そう言っても女は、しんと静まりかえった目をして爆豪を見る。

 

「ろくでもないところで産まれてね。まあ、それはそれとして、行き着くとこも真っ当じゃなくてね。小学校にも行かなかったし、食事も与えられない事なんて結構あって。それで、まあ、大人に手ひどく扱われることもあってね。酷い目に、遭いそうになって。」

 

まるで、当たり前の日常を話すかのような、軽やかな声だった。

 

「助けてくれた人がいた。でも、結局個性が暴走してね。自分の個性で焼け死んだ。助けてって、手を伸ばしていたのに。私は弱くて臆病だったものだから。そのまま逃げ出した。」

そんなもんだ。弱い誰かの選択肢なんて。そんなもんだ。

 

転夜はそっと、爆豪から手を離した。手を離して、向かい合った女は穏やかに微笑んでいた。穏やかで、柔らかい、微笑みを浮かべていた。

 

「この世界は残酷さ!誰かを助けたいなんて想いだけで何かを出来た事なんて無い。オールマイトがヒーローだったのは、誰かを助けたいと願って強くなり続けたからだ。ならさ、君の憧れを間違いだなんて、どうして、誰が言えるんだよ。」

 

何を言えばいいのだろうか。

生々しいまでの、爆豪の知らない、冷え冷えとした手触りの話だった。

女の目に映ったのは、どこまで、悲しいとしか示していなかった、

 

「なら・・・・・」

 

どうして、そんなことを言ったのだろうか。

いいや、きっと、今の爆豪にとって。

 

追い詰められ、悩み、のたうち回る少年からすれば。

 

オールマイトからの寵愛を得ているなんて評される女に、多くの物が重なってしまったのだろうか。

 

「なんで、俺じゃなくて、デクだったんだ!なんで、デクが、めえかけられるんだよ!俺じゃなくて!あいつが、どうして!」

 

転夜はそれに爆豪に近づき、そうして手を伸ばしてくる。

振り払おうとした。振り払おうとして、けれど、女の歪んだ顔を見た。

 

それに、何を言えばいいのだろうか。

 

拒絶することも、追い出すことも出来たのに。

 

それと自分は同じだった。

自分と同じ、罪業を理解してそこにいたものだから。

 

ならば、自分は、それをどうしろというのだろうか。

 

否定することも、肯定することも出来ない。

絡まった思考の中で、普段の強気な彼はなりをひそめてしまった。

すでに、それは、爆豪勝己の弱さに触れてしまっていた、暴かれてしまっていた。

だから、だろうか。

その手を、振り払うことは出来なかった。

 

脳裏に、女と似た声が響く気がした。

 

君は、少しだけでも泣くべきだ、と。

それに、何かがあふれ出てしまったのだ。

 

転夜は、食いしばるように噛みしめた歯に、伏せられた顔に、察した。

それは、轟燈矢が、泣く寸前の顔によく似ていた物だから。

だから、転夜は咄嗟に爆豪のことをかき抱いた。

少年よりも少しだけ高い背に、己の肩にその顔を押しつけた。

肩に、じんわりとした暖かさを感じて、転夜も歯を食いしばった。

 

君は悪くないよ。

 

優しい人の言葉が頭の中で繰り返される。

 

そうなのかもしれない。そうであるのかもしれない。

わかっている。

優しい人がそういうのならば。最善を尽くしたと信じたい自分がいる。

けれど、それでもだ。

 

どうすればいいんだろうか?

 

腹の中で、どうしようかとのたうち回る自分がいる。

転夜は、片手だけ、自分の服の裾を掴んだ少年に何も言わなかった。何か言うことを、慰めの言葉なんて、その少年は望んでいないことをなんとなく理解していた。

 

 

「・・・・あんたは、なんでデクが選ばれたのか知ってるのかよ。」

「知らないかなあ。あの人は、私を可愛がってくれるけど。秘密の多い人だから。きっと、今だって、私の知らないことがたくさんある。そんな人だから。」

 

少しして、転夜のことを振り払うように突き飛ばした爆豪はそのままベッドに座り込んだ。

 

そうして、ぼそりとそう言った。

それに転夜は気楽そうな声を出した。きっと、そんな風に言った方が、女の最愛によく似た少年には気楽なのだろうと思ったのだ。

 

「あんたから見て、デクと俺は何が違う?」

 

なんだか、とっても甘えたなことをしているなあと思った。けれど、それに反応せず転夜は淡々と答えた。

 

「同じじゃないのかい?同じ物に憧れたんなら。いつかの到達点は同じのはずだ。少なくとも、私にとってはね。」

 

それに爆豪は黙り込んだままだった。それに転夜はそっと、どこからか一枚のカードを取り出した。

 

「今日、ここに来たのは、本当はこっちが本命だったんだ。」

 

それに爆豪はちらりと転夜の手を見た。そこにあったのは、一枚のオールマイトのカードだ。

 

「周年記念の展示会で配られたって言うブロマイドカードなんだって。君と緑谷君、オールマイトのファンだって聞いてさ。まあ、励ましというか、元気ないかも知れないから。喜んでくれるかなって。まあ、君は下にいなかったから他の子にいってみてね。好きなの持ってけばいいよ。」

「・・・・サイン。」

 

爆豪のそれに、転夜はああと頷いた。

せっかくだからとして貰ったサインは、キラキラとしたカードにしっかりと刻まれている。

 

「うん、せっかくだからしてくれたんだ。あー、いらないかな?」

「・・・・・いらね。」

「そっかあ。」

「今は。」

 

いらんか、そっかあとへこんだ転夜に爆豪は付け加えるようにそう言った。爆豪はじっと、サイン付きのそれを見つめていた。

 

「……欲しくなったら言うから、預かっといてくれ。」

「・・・・わかった。なら、預からせて貰うよ。」

 

転夜はそう言った後。カードをしまい、そうして背伸びをした。

 

「それじゃあ、私はそろそろお暇するよ。いや、不法侵入の極みだし。ばれたときが恐ろしすぎる。」

 

そう言って、そのまままたベランダに向かった。

 

「それじゃあね、こんな時間にごめんなあ。」

「・・・・本当にな。」

「あはははは、ごめんねえ、いやあ。それでも、やっぱり、君のことが気になって仕方が無かったんだ。」

 

きっと、高校生のころの私なら泣き叫んで、愚図って動けなくなっていただろうから。

 

爆豪はじっと、ケラケラと笑う、共犯者を見つめた。転夜はベランダの柵を乗り越えて、そうして飛び降りる前にくるりと振り返った。

 

「ああ、そうだ。もしも、何かヒーロー関係で聞きたいこととか、協力がいるなら私に連絡してよ。これでも顔が広いからさ。何かしらの伝手は辿れるしさ。」

「・・・・・なんで、んなこと言うんだよ。あんたと俺、何にも関係ないだろうが。」

 

それに転夜はきょとりと、幼い顔をして、そうしてにひひひと笑った。

 

「そうだなあ。そりゃあ、好きな人に似ている男の子が頑張っているなら。応援したくなるのが女心なのさ。」

 

それに驚いた顔をした爆豪に転夜は手を振った。

 

「それじゃあね!まあ、コネが一つ出来たとでも思って。何かあれば頼れば良いよ!」

 

そういって、転夜はそのままベランダから飛び降りた。

それを見送った爆豪は憎々しげに顔をしかめ、そうして、呟いた。

 

「・・・・俺と、あいつと、何が、違うのか。」

 

 

 

 

(・・・・大丈夫かなあ。)

 

転夜は寮から飛び出して、そうして、急いで学校の中をかけていく。

何と言っても、時間は大分遅い。

 

(用事があるっていってるけど、さすがに遅くなりすぎた!学校から出られるかな?)

 

本当ならば、転夜自身は、爆豪に干渉する気はなかったのだ。

自分の顔を見れば、ヴィラン連合のことを思い出して、嫌な気分になるだろうと考えていた。

けれど、オールマイトの、爆豪の様子を聞いて嘘だと思った。

 

辛いに決まっているのだ。

焦凍からの又聞きでも、爆豪という少年は挫折を知らず、健やかに育っているように感じられた。

そんな少年にとって、憧れを終わらせたというそれは、どんな意味になるのか。

 

(私なら。)

 

自分ならばと、考える。

 

転夜は良い。

転夜は、オールマイトを終わらせたことを辛いと、苦しいと、確かに思っていたけれど、それと同時に安堵していた。

ああ、あの人は、もうこれ以上無理をせずに生きてくれるのだと。

だから、転夜はまだ、飲み込めた。

 

結局の話、転夜はオールマイトのことを疎んでいて、八木俊典のことを愛していた側の人間だ。

 

けれど、少年が違う。爆豪勝己は、違う。

 

転夜が、エンデヴァーを、ブルーフレイムを、終わらせたというのならば。

それは、彼女の終わりと同様だろう?

 

だから、気になってしまった。ずっと、気になってしまったから。

今日、オールマイトのグッズを言い訳に、爆豪に会いたかったのだ。

 

「・・・・まあ、あの様子なら。」

「何がだ?」

 

転夜はその声に、ぴたりと思わず動きを止めた。それと同時に、何かに体を拘束された。

 

「むーいー・・・・」

 

倒れ込んだ転夜の視線の先には、これ以上無いほどに怒りの表情を浮かべた相澤と、そうして、やれやれと言っているかのような根津校長がいた。

 

 

「・・・・お前、いい加減にしろよ?」

「だから、ごめんなさい!」

 

転夜は相澤に連行されるような形で校門までの道を歩いていた。

 

転夜は、相澤に拘束された後、短くはあれど、たっぷりと叱られた。

 

「夢意!お前、こんな時間になにをしてるんだ!?大体、寮生活にした意味を考えろ!あと、さっき寮に行ったら緑谷の奴が半泣きでオールマイトグッズ抱えてたんだがあれはなんだ!?」

「いやあ、焦凍が荷物の整理してたから私も断捨離してたら、色々出てきたオールマイトのグッズの、特級呪物というか……」

「そんなもんを子どもに押しつけるな!」

「いや、ファンからすれば生唾ものだよ!?というか、何故ばれた!?」

「学校に入ってくるときに連絡が来てんだよ!あと、監視の目はしっかりしてるんだ!」

「くっそお!安心安全の雄英め!」

 

拘束されたまま転夜がじたばたと動くのを見て、相澤の肩に乗っていた根津がまあまあと落ち着かせる。

 

「まあ、相澤君もそれぐらいで。転夜君も時間とか考えて欲しいかな。寮生活の最初で動揺はさせないで欲しいかな?」

「・・・・それは、ごめんなさい。」

「あと、ちらりと見たんだけど、本当にヤバ目のオールマイトグッズだね。あれ、普通にマニアがどんなにお金を出しても欲しがる奴でしょ?」

「全部、オールマイトのおっちゃんがくれたんですけどねえ。」

 

それに根津と相澤は、本当にあの人は変なところで甘くしやがって、と少しだけ虚空を見つめたくなる。

 

「だからといって、緑谷君にあんなにあげなくても。」

 

拘束から解き離れて、立ち上がり、転夜は軽く首を振った。

 

「いやあ、緑谷君、というか。爆豪君にもあげたかったんですけど。」

「爆豪に?」

「・・・・ぬいぐるみっていいですよね。」

 

転夜は突然そういった。それに、二人は先を促すように黙り込んだ。

 

「抱きしめるとほっとするし、暖かいし、なんか抱きしめてると、もう少しだけ頑張ろうと思えるって言うか。大好きなものの、ぬいぐるみとか、グッズとかって。恥じない自分を思い出せるので。」

いいですよね、そういうの。

 

転夜の声に、二人は黙り込んだ。

本当は、二人は、転夜の目的を探るために来たのだ。

その女が、何故、わざわざこんな時間に寮を訪ねてきたのか、その理由を。

 

「だから、爆豪君にか。」

「まあ、余計なお世話かも知れませんけど。気にはなってましたよ。当たり前のように。」

 

気になってしまったから。

転夜はそう言って、繰り返して、噛みしめるように相澤と根津の前を歩く。

それに二人はそうかいと頷いた。

 

「だがな、それはそれとしてどうする気だ!あのグッズもだ!学生に押しつけるもんじゃないだろう!」

「だって!上げる先が、もう、それしか思いつかないというか!」

「持って帰れ!」

「爆豪君がいるかもしれないし!あ!校門も見えてきたので!」

 

転夜は逃げ切るためにそう言って笑みを浮かべて校門を見つめる。それに相澤はため息を吐いた。

 

「・・・・そうだな、俺も仕事に戻るが。お前を叱るのは、俺の役目じゃない。」

「え?」

「親御さんによろしく言っといてくれ。」

 

転夜はそれに校門の近くに佇む、轟炎司と、轟燈矢の姿にさあと顔から血の気が引いた気がした。

 





俺の怖い話?
そうだな、昔、中学の頃、俺、仲の良い奴がいなくてな。まあ、勉強とか色々あったし。それでも、家は姉弟多かったから寂しいとかはなかったんだけどよ
でも、帰り道に、いつからか一人だけ、俺と帰ってくれる奴がいてさ。俺の中学、人が多くてクラスが違ったら存在知らねえ奴とかざらにいたからそんなもんかって思ってたんだが。

まあ、楽しかったぞ、一緒に帰んの。で、あるとき、そいつに家に誘われたんだよ。放課後に、おすすめの小説あるから貸してくれるってさ。
それで、家に行ったんだ。行ったんだけどな。

なんでか、神社に行ったんだよ。古びた、神社。そこの本殿の中にそいつ入っていってさ。中、暗くて見えなかったんだけどよ。それでも、入ってきてよって言ってくんだよ。
・・・・や、神社だ、おかしいってわかってたんだよ。でも、まあ、招かれてたから、入る買って思ったときに。

蘇芳がな、迎えに来たんだよ。
野太い声で、鳴いててさ。可笑しいなあとは思ったんだ。あいつ、毛が長いから外に出して貰えねえのに。

でも、その声にようやくやべえって思って、神社から逃げ出そうとしたんだよ。よくよく思えば、あんなとこに神社なんてあるはずねえのに。
それで、そのまま背を向けて逃げようとしたんだけどさ。腕、掴まれたんだよ。
ああ、本殿から手が伸びてた。数メートルは伸びてたな。
がっちりと掴まれたんだどな。

遊ぼうって、言ってたな。

転夜姉に聞いたんだよ。怖い物は、炎を怖がるって。
だから、思いっきり燃やした。

ああ、それで逃げ出せた。無我夢中で走ったら通学路で、蘇芳がいたんだ。そんでそんまま帰った。

思い返したら、俺、一緒に帰ってた奴の顔も、名前も思い出せねんだよなあ。だから、たぶん、そういうことなんじゃねえのかな?




以前、後書きにあった転夜の異母兄、本編に出そうか、それとも番外編に置いておこうか悩んでおりまして。参考程度に知りたいです。

  • 二次創作だし、いいんじゃない!
  • 一周回って見たい!
  • 番外編で留めておけば?
  • いっそ、兄弟増やそう!
  • どっちでも
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