たぶん、ヴィランが親らしいが。それはそれとしてヒーローの子どもの方が気苦労が多い。   作:幽 

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評価、感想ありがとうございます。感想いただけましたら嬉しいです。

原作に燈矢と転夜がいく話、どの時間軸の二人を、どの時間軸の原作に飛ばすかで大分展開が違うから悩んでる。

何か、こういったの読みたいとかありましたら、ここにくだされば。何か、アンケートというか、興味です。
https://odaibako.net/u/kasuka_770


雑談枠

 

「どうしよう!?間に合うよね!?」

 

 

茶野ミミはどたどたと慌てた様子で部屋の中を早歩きで急ぐ。

 

「ああ、レポート書いてて遅れちゃった!」

 

そういって彼女はそのまま部屋に置いてあるパソコンの目の前に座った。そうして、ブックマークしていたサイトを開き、目当てのものを開いた。

 

「よかった!間に合った!」

 

それは動画配信サイトで、今回の配信はまだ始まっていないようだ。待機画面には、すでにマスコット化している赤毛の猫がちょこんと座っているイラストが映しだされている。

 

「よかった、何ヶ月ぶりだろ。久しぶりの配信、今日は、先輩出たらいいけどなあ。」

 

そう言いつつ、ミミは持っていたスマホを開いた。そこには穏やかに微笑む、一人の女がいた。

 

茶野ミミの初恋は、すっぱり、さっぱり、あっさりと終わりを告げた。

たった一人に全てを捧げている、ミミの初恋は彼女のことを振り切ってヒーローになってしまった。

けれど、けして交流が途絶えたわけではない。

元々、他社(者)に対して甘い、それこそ庇護欲をそそり、尚且つ年下のミミが頼み込めば連絡先を貰うこと程度簡単だった。

それからもちょこちょこ連絡だけは取り続けている。

 

ミミはちらりと先輩、夢意転夜とのメッセージのやりとりの画面に目を向けた。

 

(・・・・目が覚めて、心配しないでって言ってたけど。)

 

神野の事件の時は本当に心配した。一向に既読にならないメッセージアプリとにらめっこすること、幾度か。

何とかついた既読と共に、無事であることを知らされてどれほど嬉しかっただろうか。

 

(事情が事情だから、あんまり連絡は無いけど。それでも、無事で良かった。)

 

ミミは淡く笑った。

現在、ミミは大学院にて薬学を学んでいる。

もちろん、エンデヴァー事務所に、事務員で入るという選択肢が頭をもたげなかったわけではない。

けれど、昔からの夢と天秤にかけたとき、悩んだ。行きたかった大学にも、手が届く学力はある。

恋のために、夢を手放すのか?

 

それは、違うだろう。

 

(何よりも。)

 

きっと、転夜は、そんな少女には恋なんてしてくれないだろうから。

 

だからこそ、ミミは自分の夢の道を進むことにしたのだ。

 

そこで何か、音がして、パソコンに目を向けた。

 

「あ、始まる。」

 

 

画面が切り替わると同時に、現れたのは。

 

『はーい、エンデヴァー事務所チャンネル、希少な雑談枠の配信なんだけど。ヒーローのブルーフレイムと。』

『ゲストのホークスがお送りします。うん、蘇芳、視聴者さんたちにサービスするのは良かけど、俺らにケツ向けるのはやめんね?』

 

どん、とこれまた目つきの悪い赤い猫の顔が画面一杯に広がる。

 

その言葉の後に蘇芳はずるずると後方に引きずられていく。机を挟んで座っている二人の間にまで引きずられた。

それに蘇芳は満足したのか、机に乗ってカメラをのぞき込んでいたのか、そのままでんと鎮座している。

そうして、マスコットよろしく二人の間の位置に箱座りで居座り、じっとカメラを見つめる。

どうも、事務所ではなく、自宅で配信をしているようで背景は和室のようだった。

 

『ちなみに、仕事終わりに自宅でしてます。』

『今日はもう、ここで泊まることが確定しとります。』

 

なんてことを二人が喋っている。

非常にどアップになった蘇芳、いいや、エンデヴァー事務所の公式チャンネルをみている視聴者たちがチャットでコメントを打ち込んでいく。

 

ナイスニャンデヴァー!

ニャンデ元気そうだなああ。

前に出した等身大のぬい再販して欲しいよなあ。

ニャンデヴァーいただきました!

 

それにミミはちらりと、パソコンを置いたデスクに作り付けられた本棚を見る。そこにはちょこんと、目つきの悪い赤い猫のぬいぐるみが飾ってある。

ニャンデヴァーがグッズ化されたのは偏に、転夜のおかげ、というかせいだ。

 

元々、グッズの少ないエンデヴァーファンの彼女はなければつくったるわいの精神で、ぬいぐるみなどを生産していたわけだが、それはもちろん可愛がっている猫にまで及んだ。

何かの雑誌の撮影で、私物紹介があったのだが、そこで出てきたエンデヴァーそっくりのぬいぐるみは見事に話題をかっ攫った。

元々、人気の転夜と同じ物を持ちたい人間もおり、その派生でグッズが出たのだ。

 

(・・・これは、先輩のお手製だけど。)

 

デザイン案で自分で作ってみたんだ~と渡されたそれは、ミミの宝物だ。

ただ、年々、執念なのか、クオリティが上がっているのが気になるが。

 

『今回はお知らせとかじゃなくて、ただの雑談枠なんだけど。』

 

エンデは?

ホークスいるじゃん。

なんでホークスなの?

エンデヴァー出して欲しい

なんでホークス?

エンデヴァーは?

今回、エンデヴァー出ないの?

 

『お父さんは今日は出ねえよ。』

『俺は、アシストの見舞いでこっちにねえ。そのついでだよ。』

『九州土産ありがとな。』

『いいよ~、いつもお世話になってるし。』

 

それに思わずミミはコメントを打ち込んだ。

 

アシストは出ないんですか?

 

そんな催促染みたコメントを打ち込んだことはないのだが、それでも思わずそんなことを書いてしまった。

 

が、どうもそんなことを思ったのは、ミミだけではないようだ。

 

 

それよりアシストは?

アシストでないの?

アシスト元気?

アシスト、走れてる?

 

アシストへの見舞金だと、お金を投げるものもいた。

それにブルーフレイムこと、轟燈矢がため息を吐いた。

 

『・・・あいつも、本当なら出る予定だったんだけどさあ。ついこの前に無断外出してお父さんに謹慎食らってる。』

『現在、エンデヴァーさんの近くでふて寝しとるよ。』

 

それにミミの頭の中では、エンデヴァーの膝の上にでんと乗っかり、ふて寝している転夜の姿が浮んだ。

 

あのなあ、おっちゃんの膝の上ってなあ、あったかいし、世界でいっちゃん安全なんだよー

 

なんて暢気に微笑む先輩の姿を思い浮かべる。

一度、燈矢のSNSに載った、エンデヴァーに膝枕されて爆睡をこいている転夜の写真はバズりにバズった。

 

あれ、許可とかとったん?

安心しろ、エンデヴァー事務所のルールはほぼ俺だ。

まあ、甘やかされた放蕩息子の発言。

古参のファンの間で炎上したけど。

炎上してたね。

まあ、そのエンデヴァーに愛された俺には無ダメージだけど。

無敵やん。

 

なんて会話がホークスと燈矢の間で交わされたのは誰も知らないことだろう。

 

そんな中、ふと、ミミは燈矢の首元に銀色の鎖があることに気づいた。ミミはそれにしかめっ面をする。

転夜が活動を休止していた間、燈矢が突然、アクセサリーを付け始めたときは驚いた。高校生の時に一時期、ばちばちにピアスを付けていたことは知っている。

 

私、清楚派なんだよなあ。

 

という転夜の発言で止めたらしいが。

けれど、それ以降は何かしらアクセサリーを付けることはなかったのだが。

突然、意味深なシンプルな、銀の指輪を付け始めたのだ。

 

ブルアシ、アシブル界隈はひどくざわついた。

もちろん、ミミもざわついた。

 

(先輩のCPはどれも地雷!でも、それはそれとして、あそこの絵描きさんがかく先輩は基本的にかっこいいし、可愛いから!)

 

こそこそ閲覧だけはしている。夢関係は見ていない。戻れなくなりそうだから。

 

このために、エンデヴァー事務所にお祝いコメントが非常に届いたそうで、処理が大変だったようだ。

ちなみに、そういったことがないという発信はしっかりとされた。

 

『まあ、今回の雑談枠もアシストの復帰、とっくに発信してるよね?それの祝いというか、テンション上がった転夜のガス抜きみたいなもんなんだけど。』

『そうね、なのに謹慎って、あいつは。』

『最後まで、ヤだーって言ってたけど。今回はお父さんも赦さなくてね。』

 

それにミミはるんるんと笑った。

むすりとした、普段はかっこいいのに、きっと愛らしいような、そんな、幼子のような顔をしていたのだろうなあと考えてにやにやとしてしまう。

 

『にしても、今日どうするんね?』

『話すことねえ。何か明るい内容が良いんだけどさ。』

『次のチャートの話とか?』

『どうせなら、うちの弟の話する?』

『出たね、ブラコン。』

『いいじゃん、下の弟は一般人だから話題にするの嫌がんだもん。』

『だもんって可愛くなかよ。そうだねえ、質問コーナーでもする?』

 

ホークスの言葉に、またコメントが流れていく。

 

つーか、その銀の指輪はなんですか?

素敵な指輪ですね、絶対アシストも同じのつけてますよね?

いやあ、アクセサリーとかつけてなかったのにどうしたの?

新しいグッズですか?

 

「あーあ・・・・・」

 

ミミはそのコメントになんとも言えない気分になる。もちろん、二人にくっついて欲しくない、欲しくはない、けれど。

さっさと決めろや、といいたくなるのはわかる。

 

「・・・高校から外堀埋めて、すでに要塞出来てるのになあ。」

 

ミミは考える。たぶん、転夜の反応的に燈矢が告白でもすれば、絶対的にくっつくのだ。そう、燈矢さえなんとかなれば。

思い出すのは、高校生活に、なんとか隙間を縫って食らいつこうとする度に当たり前のように転夜の腰を抱いているクソボケ男の姿である。

 

「なんないんだろうなあ。」

 

ミミはぽつりと呟いた。

 

『・・・・転夜とのペアリングだけど?』

 

燈矢のそれにコメントが、だああああと流れていく。

 

ぬか喜びさせて楽しいですか?楽しいんですね?

ようやくくっついたのかと思ったのに、どうなの?

お祝いコメント、贈ったんですけど!?

一周回ってその指輪はなんなんですかね?

さっさと決めろや。どヘタレ。

もう、エンデが結婚した年、越えちゃったんですが?

 

コメントを読んだらしい燈矢は机をばんと叩いた。

 

『うっせえわ!!お前達には関係ないだろ!?』

 

燈矢のそれにコメントが加速する。

 

いつまでお預け食らえば良いんですか?

おじいちゃんになったエンデが早くみたい。

推しCPの結婚を早く祝いたいのに!

俺たちはいつまでお前達のもだもだを見れば良いんですか?

へたれ

どっちがウェディングドレス着るんですか?

アシストにお父さんと呼ばれるエンデが見たい。

子ども生まれたら絶対教えて!!

 

 

いくつか何か、趣旨が違うようなものが混ざるが、ミミはスルーした。

 

『だああああああ!そういう、その、それは、まだ、あれだ。俺がタイミングを計る、それは、あれだから!』

 

机に拳を叩きつけたそれに蘇芳だけが煩わしそうに野太い声で鳴いた。それに燈矢は悪かったというようにその背中を撫でた。

 

『まあまあ、みんなも落ち着きなよ。こういうことはやっぱし、当人の問題やし。』

『そうそう。』

『いやあ、まさか、十年単位で外堀埋めまくって、その後はどうにもしませんなんてオチはなかやろ?』

『・・・・・まあ。』

『いやあ、ブルーフレイムの指輪見た時にオールマイトととうとうかってご祝儀の厚さについて話し合ったこっちとしては、もうすぐやろっておもっとるよ?』

『お前、いつの間に、オールマイトのおじさんと連絡を。』

『なあああああ!?燈矢、そろそろね!?そろそろなんだよね!?』

『お前も同じか!?』

 

段々と声にすごみが増していくホークスが燈矢に迫る。

 

ホークスになじられてて草

ホークス、その顔が黒くなるのなんなん?

まじでホークスの言うとおり。

結婚するなら限定のグッズとか出さない?

ウェディングドレス系のアクスタ売って。

 

だらだらと流れていくそれに燈矢が据わった眼で叫ぶ。

 

『お前らな!なら、今、好きな奴とか気になる奴がいる奴、今すぐ告白してこいや!』

 

燈矢のそれにコメントの勢いがなくなる。

 

いや、好きな人は今いないので。

ごめん、既婚者。お前を一歩リードしている。

この前告白できました!振られました!

好きな人に告白して、恋人になれた時点でブルフレよりも一歩前を行ってる事実、いつも笑う。

恋人いまーす、まじ幸せ。

 

明らかに煽られているそれに、ブルフレの眉間に確実に皺が寄る。その表情は、切れ散らかしているエンデヴァーそっくりだ。

さすがは親子だなあとミミは思わず感心する。

 

『大丈夫?血管切れそうな顔をして。』

『だーれのせいだよ?』

『ヘタレな自分のせいじゃん?』

『焼き鳥になりてえのかなあ!?』

 

ぐわんと怒鳴るが、それと同時にニャンデヴァーが煩わしいというようにその太い尻尾でびたんと顔を殴る。

 

『ほら、蘇芳もいっとるで。』

『なんだよ、蘇芳まで。』

 

そう言いつつ、燈矢は机に突っ伏してふてくされるようにため息を吐いた。

 

(こういうところがあるから、男の人からも人気なのかな?)

 

燈矢のようなタイプのヒーローは、基本的に女の人からの支持率が高い。

傲慢で、能力が高く、愛想が悪い。何よりも、見た目がピカイチだ。

ならば、見た目目当ての女性からの支持率が高いのかというと違う。

 

能力が高く、傲慢で、他者を煽るようなことを言うのだけれど。

 

好きな女の子の前で物の見事に及び腰で中学生も真っ青の恋模様をしているのだ。

なんだか、応援したくなる。

そのへたれっぷりに応援するしかなくなるのだ。

 

『うるせえよ、どうするんだよ、告白したら燈矢のことは姉弟みたいに思ってるから、とか言われたら!』

 

んなことは、と思いかけて、それを聞いた視聴者も、ホークスもちょっと思った。

 

いや、若干あり得るかもなあと、という質感はある。

 

ちゃんとした大人ではあるのだろう、ヒーローなどでの活動などを見る限り、ただ、妙に価値観が小学生というか。

ちゃんと、恋というものがわかってるのか、あの子はというとどうなんだろうなあと思う。

 

(そのくせ、でも、やっぱりかっこいいんだよなあ。)

 

はあとミミはため息を吐いた。

 

『よく思うんやけど、あの人、こういう系の放送見てもスルーしてんの?』

『スルーしてるんだよ!だからどうなのかわかんねえんだよ!!』

 

燈矢の嘆きを聞きつつ、ミミは視聴をやめようかと考える。

 

(今日は先輩でないのか。でも、聞いてたら様子は聞けるかも。)

 

そこまで考えたとき、画面の中が騒がしくなる。

 

『あれ、エンデヴァーさん?』

『と、転夜まで?』

『やっほ!私もしゃべる!!』

 

画面から聞こえてきたそれにミミは目をキラキラさせた。

 





エンデヴァー事務所のちゃんねるで、一番燃えた動画はなんだと思う?
え、わかんない。
正解は、おっちゃんに乙女ゲーをやらせた動画。
あの、フリゲーのやつ?

いやあ、雑談枠の企画でやらせたんだけど、エンデヴァーに何やらせてるんだと古参のかたから文句が。
でも、お父さん誰のことも攻略しなかったじゃん。

まあ、ゲームの概要をよく理解してなかったから学校生活を過ごすもの、みたいに思ってたからね。
フリゲーだからすぐに終わって良かったけどねえ。学生なら勉強と部活だろうってパラメータ上げすぎて、部活の先輩と妙に熱い学校生活を終わらせて、大会に優勝した親友ルートはらしいといえばらしかった。

熱い学校生活だったね。

でも、主人公の、女の子名前を付けるときに思いつかなくて私の名前を付けようとしたときはびびった。
即興とは言え、炎子ちゃんはどうかと思う。
むっきむきなんだろうなあ、炎子ちゃん。

今度はギャルゲーしてもらうか。
かまいたちの○は?
それも面白いかもなあ。









以前、後書きにあった転夜の異母兄、本編に出そうか、それとも番外編に置いておこうか悩んでおりまして。参考程度に知りたいです。

  • 二次創作だし、いいんじゃない!
  • 一周回って見たい!
  • 番外編で留めておけば?
  • いっそ、兄弟増やそう!
  • どっちでも
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