たぶん、ヴィランが親らしいが。それはそれとしてヒーローの子どもの方が気苦労が多い。   作:幽 

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評価、感想ありがとうございます。感想いただけましたら嬉しいです。

なにか、妙に難産だった。
次は、ホークスとの再会話の辺り。

何か、こういったの読みたいとかありましたら、ここにくだされば。何か、アンケートというか、興味です。
https://odaibako.net/u/kasuka_


雑談枠 ②

轟燈矢は、丁度、配信をしていた自分たちの目の前のふすまの方を見た。

 

そこには、疲れ切った顔をした父親であるエンデヴァーこと、轟炎司の姿があった。そうして、その脇には何故か幼児の状態の転夜が抱えられていた。

 

「にゃ゛あー。」

 

蘇芳が挨拶代わりなのか、そう鳴いているのが聞こえた。

 

え、なになに?

アシスト来た!?

エンデいるの?

 

だあああとチャットが流れていくのが見える。そこで炎司は疲れた顔で、脇に抱えた幼児になった転夜をホークスと燈矢の真ん中に置いた。

 

「やっほー!こんちゃ!子どもになってるけどアシストだよ!!」

 

転夜は、カメラに向かってにっこりと笑った。それに、燈矢は何か、目がチカチカとするような気がした。

 

黒い髪はさらりと流れ、整った顔立ちにはこれ以上無いほどの愛嬌が乗った笑みが浮ぶ。いいや、それ以上にアーモンド型の鋭い印象を受ける金目銀目から星屑でも零れているのかと思うほどにピカピカと輝くそれで見つめられたなら。

 

一番星の生まれ変わり、なんてお世辞じゃないほどにクラクラするほどにそれから目が離せなくなるような心地がした。

 

アシストだああああああ!

元気!?

元気してた?

体に変わりない?

よかったああああああ、元気そう!!

好きだ!

大好きだ!

いつも通り可愛いね!!

 

燈矢の予想通り、チャット上に転夜の姿を喜ぶコメントがあふれかえる。

 

「いやあ、元気って言うか。元気になったと言うべきか。色々と立て込んでおりましたが、なんとか復活っす!」

 

ぐっと、ガッツポーズをすれば、これまたコメントがとんでもない勢いで流れ出す。そうして、それと同時に、見舞金だと金が投げられる。

 

「うわ!投げ銭感謝しますが!基本的にここの投げ銭はヴィラン関係の事件の被害者支援の募金に回されますんであしからず!」

 

元気そうにそう告げる転夜に、驚いていた燈矢は口を開いた。

 

「転夜、お前、謹慎じゃなかったのか?」

「出ていいの?」

 

その言葉に転夜はにっかりと微笑んだ。

 

「おっちゃんからちゃんと許可は貰ってるぞ!」

「はあああああ、どうやったん?」

 

あの頑固なエンデヴァーが?とホークスが驚いていると、転夜はその小さな手でヴイを作る。

 

「この姿でおっちゃんの背中に数時間ひっついて駄々をこねました。」

 

二人は思わず哀れみの視線を、カメラ側に立つ炎司に向けた。その視線に画面の向こうの視聴者も察したのかチャットが流れていく。

 

エンデ、哀れ

変わらず強いな、アシスト、色々と

わざわざちっちゃい姿でしたんか

そっちのほうが効くってわかってるんやな

数時間も駄々をこねたんか

変わらず体力あるなあ、ほんま

 

チャットが流れていく様を、転夜は淡く笑って見つめた。そうして、燈矢とホークスをちらりと見た。

それに、燈矢とホークスは元々、動画にて転夜が話すはずだった部分についてだと察した。

 

燈矢はちらりと炎司を見た。それに、彼は手元に来ていた蘇芳の頭を撫でながら頷いた。

 

(・・・・・一応、一旦は配信で転夜への反応を見てそれからどうするか決めるっていってたけど。まあ、OKも出たし。)

 

「それじゃあ、転夜が動画に出るから本来の内容を発表しようか。」

 

それにまたチャットが流れていく。

 

なんだなんだ?

雑談枠じゃなかったの?

なに?

まさか、アシスト引退とかないよね!?

引退とか言うなよ!?

 

なんてものが流れていく中、満面の笑みで転夜が叫んだ。

 

「近いうちに、ヒーロー活動を再開します!」

 

ヴイと手の形を作れば、ホークスと燈矢がぱちぱちと手を叩いた。それに反応するかのようにチャットが流れていく。

 

 

 

おおおおおおおおおおおお!

アシスト復活!復活!

よかったあ、再開よかった!!

ようやくかあ。

いや、復活早いwwwwww

さすがは体力お化け・・・・

やったあああああ!アシスト復活!

配信を増やしてくれ!

全然音沙汰ないからどうなったのか心配してたんだよ!

アシスト、この前光るエンデTシャツ着てランニングしてた?

 

「おお、喜んでくれてありがとね。あと、光るエンデヴァーTシャツ、絶賛発売中!私やホークスとおそろいになろう!」

 

ぐっと親指を立てながら転夜は嬉しそうに笑った。そうして、子どものまま机に頬杖を突いて両隣の男二人を見た。

 

「いやあ、すまんなホークス。私がいないから出てくれって頼んだのに。」

「別に構わないけどねえ。それはそれとして、ほんとに体調大丈夫なわけ?」

「おう、元気元気!この前もひったくり捕まえたばっか!」

 

かっかっかと明るく豪快に笑う様は、見ている方までもどこか朗らかな感覚にさせる。

 

「まあ、本当に元気になってよかったよ。見舞いに行っても青白い顔で横たわってるの見て、肝が冷えたけんね。」

「いやあ、お騒がせをして。でも、色々とOK貰えたからいけるぜ!」

「・・・・無理はするなよ。」

「しないよ。したら、本末転倒だからね。」

 

いつも通り、ある意味で若手で最も人気の三人にチャットが盛り上がる。それを燈矢はちらりと確認する。

コメント欄は概ね好意的だ。あくまで、おおむね、だ。

 

は?そのまま引退しろよ。

あんなことあったのにいい気なもんだよな。

反省がたんなくね?

調子にのってるよな。

男侍らせていい気なもんだよ。

 

(あー、こういうのまだ湧くのか。めんどくせえな。)

 

燈矢がそんなことを考えていると、隣でやっぱり明るい声音が弾むように響いた。

 

「引退しないぞ!そうあって欲しい人がいるみたいだけどね!」

 

それに燈矢は慌てて転夜の方を見た。

 

その女は、基本的に朗らかで図太い、いや、鉄製のメンタルであるが、それはそれとして繊細な部分がないわけではないことを燈矢は誰よりも知っていた。

 

それは変わること無くにっこりと微笑んだ。

小首を傾げて、おまけに愛らしさの増した子どもの姿のせいか、いつにもまして庇護欲を煽った。

明らかにチャットの勢いがなくなる。残っているコメントも、アンチか、それともその笑顔への賛美だ。

エンデヴァーは、己のスマホでチャットを確認しながら、向かい側に座っている転夜を見た。

 

アイドルになったほうがいいんじゃないか?

 

なんて揶揄されることもある。

エンデヴァーは、あまりそういった方面に敏感ではないが、理解はしている。

それは、他者にとってどうすれば好ましく映るかを無意識に理解し、そうしてそれを行使できる。

 

(ただ、本当にそういった方向に進むのは、まずい気がする。)

 

もっとこじれたことになりそうだとエンデヴァーは何とは無しに思った。

 

「にゃ゛あ。」

 

膝の上でふてぶてしく寝ていた飼い猫のそれに炎司は背中を掻いてやる。そうすれば、重低音のごろごろ音が聞こえてくる。

 

「止めて、誰かが救われるなら結構さ。でも、少なくとも、私がいればなんとかなる可能性があるのなら、私の存在が不利益を生まない限りはさ。」

私は、ヒーローでありつづけるよ。

 

転夜はそう言って、机の上にべたりと顎をつけてくつろぐようにもたれかかる。

 

「まだ、したいこともできてないからね。公言してるけど、私はヒーローを手助けするためにヒーローになったからね。」

 

そう言った後、転夜はゆっくりと体を起して、そうして、向かいに座った形になっているエンデヴァーを見た。

 

そうして、転夜はやっぱり笑った。

 

金目銀目から、まるで星屑がこぼれ落ちているかのような、そんな幻想に囚われてしまう。

そんな、慕い、懐き、愛し、焦がれるような、そんな、笑み。

無邪気な、これ以上無いほどの親愛を掲げる、無垢な瞳。

 

「私のヒーローの道がまだ続くなら。私のヒーローとして生き方は終わらないのさ!」

 

にかりと笑うそれに、隣にいたホークスが割り込んだ。

 

「いやあ、そうそう!まだまだヒーローとして頑張って貰わないと!エンデヴァー事務所の戦力低下とか俺だって困りますしね!」

「お、なんだよ、君も仕事しないと。」

「いやあ、しますけどね!でも、君、貴重な戦闘もできるサポートタイプなんだし。もっと頑張ってもらわないと。」

「そうだろ、外の言葉なんて気にすんな。どうせ、ネットでかき込むしかできない奴らばっかなんだから。」

「燈矢、また炎上するよ。」

「ほんま、なんとかならんの、その毒舌。」

「ほんとのこと言ってなにが悪いの?」

「奥さん、聞きました、この言い方。」

「本当にね、奥さん、どうなんかしら、この言い方。」

「あ゛?」

「「きゃーこわーい!!」」

 

きゃらきゃらとした甲高い声と共にホークスと転夜は手を取り合って肩をすくませる。

 

「というか、私はアンチのほうが好きだからね!」

 

転夜は自分へのアンチコメントの名前を読み上げて笑う。

 

「私のことを考えて、そのまま苛立って、私のことずっと見ててね。誰かに見ててもらえるの、勇気が出るから。」

 

なんてことを、輝かんばかりの笑みを付けて言ってくるのだ。

 

目が、くらむ。

なんか、くらくらする。

アンチとか気にせずに頑張れ!

まあ、この程度で揺るぐ性格じゃないわな

あー、まじで顔がいい。

わざわざチャットに来ないで欲しいわ、まじで。

アンチの奴ら、名前を呼ばれてて草。

消えたな。

悪意を向けてる存在にあんな風に笑いかけられるのってどんな気分なんだろな。

 

わざわざ名前を呼ばれた存在は、ものの見事に消えている。

色々と胃に来るのだろう。

 

それに燈矢はこれ以上無いほどに不機嫌そうな顔をして、転夜の腰を掴んだ。

そうすれば、子どものままの転夜は軽々と持ち上げられて燈矢の膝の上に収まった。

 

「んじゃ、次の話に移るぞ。」

 

まてまてまて。

普通に膝の上に載せて進行するな。

全ての話題をぶっぱしていかないで。

アシストなんでずっと子どものまんまなの?

アシストの平気そうな顔で膝の上にいないで。

ホークス、ちゃっかり写真撮ってない?

 

「ただでさえ画角が狭いんだからコンパクトにまとめたんだ。感謝しろ。」

 

渾身のどや顔を燈矢は笑う。

転夜はそれを気にもとめずにカメラに視線を向けた。

 

「にしても、ひっさしぶりの雑談枠だねえ。なんの話してたの?」

 

それに燈矢とホークスは思わずそっと視線をそらした。

 

それに同じようにチャットが流れていく。

 

 

うん、まあね。

色々ね。

ちょっとね。

アシストは結婚願望ある?

まあ、少しね。

ブルフレ結婚しないのって話

そのペアリングって結局何?

 

一応気を遣って隠そうとしてくれたが、何割かはぽろっと話をしてしまった。

 

「結婚?したいって考えてるけど。ホークスと燈矢は結婚願望ってある?」

 

それを見ていた転夜のそれにホークスがにこりと答える。

 

「えー、やっぱこういうのはご縁かな?燈矢は?」

 

無難な返答をしたホークスの隣で、燈矢がもじもじとしている。

 

「そりゃあ、昔からそうだって決めてるし?今からでもOKっていうかさ、ちゃんとそれ用の資金だって貯めてるし!今から婚姻届でも!」

 

まてまてまて

俺たちを置いてくな

スピードに、スピードに、ついていけねえ!!

結婚資金貯めてるんだ。

寝言は寝てから言って欲しい。

はよ告白しろや!!

 

流れていくチャットのことなど暢気にスルーして、転夜は口を開く。

 

「へえ、二人ともあるんだ。にしても、そうか。燈矢今年で二十四だもんな。」

「燈矢、帰ってきて!転夜も急にどうしたん?」

「いやあ、私らの年齢で、おっちゃんってすでに子ども二人と奥さん養ってたんだなあって。」

 

それに三人の視線が、蘇芳と戯れる炎司に向かった。

 

「・・・・なんだ。」

 

それに転夜が首を振る。

 

「あのおっさん、ランキング上位キープしながら、ちゃんと燈矢とかのおむつ変えたりしたらしいんだよな。」

「家事とかもしてたらしい。」

「自主鍛錬もやろ?」

 

三人はその男の体力に戦いた。

 

「おっちゃんって、けっこうちゃんと育児してるよね、聞く限り。」

「父親なんだから当然だろう。」

(まあ、つって本当に大変な赤ん坊の時だけで。焦凍が産まれるぐらいの時はまじで精神面でがたついて家には殆どいなかったらしいけど。)

 

炎司のそれにまたチャットが流れていく。

 

聞いてるか、全国の父親。

まじで大変なときにちゃんとしないと奥さんから恨まれるぞ

まじで体力お化けかよ。

俺と同い年ですでに子ども二人ってエグくない?

え、俺と同い年で?

恋人もいない俺には縁もありませんね!

 

そんなものを横目に転夜が呟く。

 

「・・・二人は人生設計とかって考えてる?」

「なんだよ、突然。」

「いやあ、お年寄りになるまでヒーローとかっていうのも難しいかと。」

「まあ、ヒーローに引退時期みたいなのって話?」

「怪我をしないわけないけんね。」

「ホークスは保険とかってどこの入ってる?」

「えー、どれ?」

「怪我関係とか。」

「ヒーロー関係の保険少ないじゃん。」

「でもさ、色々とカスタマイズみたいなのあるじゃん?」

「生命保険とかもさ、考えときたいんだよなあ。」

 

どんどん話が違うことに

年取ると健康とか話題が狭まっていくよな

やっぱ、特別治療とかで保険金出るのがいいよな

やだ、このチャット年寄り臭い

すごい、なんか、しょっぺえ話題というか。

保険料も高いんだよな。

ああいうの、控除出るけど微々たるもんだし。

でも入っておかないとなあ。

 

どんどん話題がしょっぱくなっていくのに、ホークスがはっと気づく。

 

「いやいや、違うやん!絶対、今をときめく話題のヒーローがする話じゃなかよ!」

「でも、必要だし。」

「転夜の一発目の雑談枠やん!もっと明るい話とか!」

「明るいねえ。何?」

「元の話の結婚願望の話?結婚かあ。でも、いざ、そういう話になると婚期逃しそうだなあって思うよ。」

「は?」

「なんで?」

 

相手ならすでにいるからいけるだろ。

すでに義実家同居なのに?

ああ、そのままの関係でじじばばになりそうな質感は若干ある。

というか、アシスト、俺たちの燈矢とくっつけコールをどうおもってんだ?

どうせなら俺と結婚しない、アシスト?

 

「えー、結婚してくれんの?ありがと!でも、私と結婚したいならオールマイトのおっちゃんのOKいるけどいける?自分程度の人間じゃないと認めないって言ってるんだけど。」

 

無理やん

どうしろと

あの人レベルのものを要求されている?

結婚させる気皆無やん

はーい、かいさーん!!

無茶ぶりで草

一生独身やん

ブルフレなら、いけ、いけるか?

エンデもいけんやん

 

「いやあ、結婚はして欲しいらしいよ。ヴァージンロード歩きたいって言ってた。」

「あれに届けと・・・・」

「・・・・やってやろうじゃねえか!」

「なんかやる気になっとるけん、まあええけど。」

 

呆れたホークスを横目に、転夜が呟く。

 

「みんなやたらと燈矢と私とくっつけたがるよね。」

 

それにホークスは目を見開き、そうして、燈矢と炎司の動きが止まる。

そうして、チャットもものすごい勢いで回っていく。

それにホークスが思わず問いかけた。

 

「・・・・・転夜、そのコメントようあるけど、どういう気分で見てるんの?」

 

それに転夜は燈矢に抱きかかえられたままキリッとした顔で答える。

 

「漫画の最終回で、近い立場の男女がくっつく現象的なノリ。」

「んなわけあるか!!」

 

燈矢のその叫びと共に、そのまま二人は後方に倒れていく。

 

「ぎゃートーヤが怒った!」

「てめえ、どんなノリであの量のコメントが来ると!」

「放送事故やぞ!?」

 

炎司は机の向こうで行われるドタバタ騒ぎに遠い目をした。そうして、ちらりとチャット欄を見た。

 

これは、長い道のりだぞ。

 

「・・・違いないな。」

 






そういや、転夜、聞いたけどGPSつけられとんのマジなん?
おお、まじまじのおおまじ
・・・プライバシーとかは?
いや、想えば、着る服はもちろん、住むところももちろん。衣食住のうち、食以外を開け輪渡してる時点でまあいいかなって。
・・・人権について考えた方がええんやない?

以前、後書きにあった転夜の異母兄、本編に出そうか、それとも番外編に置いておこうか悩んでおりまして。参考程度に知りたいです。

  • 二次創作だし、いいんじゃない!
  • 一周回って見たい!
  • 番外編で留めておけば?
  • いっそ、兄弟増やそう!
  • どっちでも
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